ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK41

ブラインドテイスティングWEEK41に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は白2、赤1の構成だ。

さて今週は前の予定が押してしまい、後ろにも予定が入っていたことから、パーティ滞在可能時間はわずか10分。でもブラインドはやりたい。ということで完全第一印象のみテイスティングをすることとした。

第一印象を大事にするか否かはブラインドテイスティングをしているといつでも悩む大問題だが、あえて悩むことができない状況に自らを追い込むことで、第一印象は正しいのか否かをテストしたいという趣旨だ。

それで1問も正解できなかったとしてもそれは私の選んだ方法での結果であり、つまり私の実力であるということを冒頭に宣言しつつ、今週も張り切って飲んでいこう。


ブラインドテイスティングWEEK41/1杯目

さて1杯目は色が薄めの白ワイン。香りは白い花的なのと柑橘的なのと少しのハーブっぽさと蜜っぽさという、白ワインのハッピーセットみたいな香り。

飲んでみると酸が豊かなポカリというよりアクエリ系。おいしいワインだ。第一印象はアリゴテ。2020年とかのアリゴテはすごくありそう。

なのだが、ていうか第一印象だけで決めると言った2分くらい前の前言をあっさり撤回するのだが、15秒くらい経過するとあるかなきかの石油香が出てきた気がする。

というわけで、
ドイツ (ラインヘッセン)/リースリング/2022/12.5%
と予想した。


 

ブラインドテイスティングWEEK41/2杯目

続いては2杯目だがここで変化球が投げられてきた。色が濃いめ、香りも独特で、なんでしょうかねこれは。たくあんとか、ゆずのジャムとか、日光で干された畳とか、そんな雰囲気。1杯目とはまったく異なる個性的なワインだ。

飲んでみるとかなり旨みが強く、果実もいて非常においしい。個性的ではあるけれど、スパイスやハーブを効かせた煮込み料理かなんかと合わせたらとんでもなくマッチしそうな味わい。

色と個性的な香りを、私は第一印象で酸化熟成だと解釈した。だとすると候補はフランスはジュラのヴァン・ジョーヌ。以前飲んだワイナリーで長期熟成させてからリリースするカリンセラーズのシャルドネとかもこんな味だったような。

ヴァン・ジョーヌはもっと香り成分が強烈な気がしなくもないが、こう予想した。

フランス(ジュラ)/サヴァニャン/2015/13.5% 


 

ブラインドテイスティングWEEK41/3杯目

最後は赤ワインで、これはとってもおいしいワイン。

色は濃いめのガーネット。粘性高め。プラムやブルーベリーの香り、赤い花、木、皮みたいな1杯目同様の赤ワインハッピーセット的香り。

飲んでみると果実・酸・タンニンが調和して酒質が非常にやわらかい。個人的にこのやわらかさはメルローで出やすいと思っていて、シラーズやカベルネ・ソーヴィニヨンなども候補となるが素直にメルローでいくことにした。というわけで、

アメリカ(カリフォルニア)/メルロー/2021/14.5%
と予想してみた。

 

ブラインドテイスティングWEEK41予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? っていうか、第一印象だけで決めると書くことが少なくて買いてて楽しくないことがわかった。せっかくのワインも全部飲み切れなかったし、ブラインドテイスティングには十分な余裕を持って行きましょう、みなさん。今週は3杯全部すごく好みだったんだよなあ。

ともあれ正解は公式の発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。ブラインドテイスティングに必要なのは、インスピレーションなのか、それとも熟考なのか……!?(惨敗フラグ感がすごい)

ダイヤモンドでワインを「定量化」。AIソムリエってなんだ!?

「AIソムリエ」とは?

恵比寿のワインマーケット・パーティで実施された「AIソムリエ」のデータ収集テイスティングに2回にわたって参加してきた。

と、書いてもなんのことやらさっぱりだと思うので説明すると、AIソムリエとは株式会社ExtenD(エクステンド)が展開する事業。「1滴・1分でワインの味と香りを定量化するダイヤモンド化学センサ」を用い「液体の『化学指紋情報』を取得する」が謳い文句だ。

うーむ、なるほどね。ダイヤでセンサで指紋ねはいはいはいわかったわかった(まったくわかってない)。というわけでド文系人間の私にはなんのことやらさっぱりわからない(ごめんなさい)。わからないものをわかる最適の方法は自ら体験することだ。まずは「なにをやったか」から説明しよう。

ダイヤモンドセンサでワインを測定する

集まったのはExtenD社の方々と、4名のテスター。一般社団法人日本ワインブドウ栽培協会の奥村嘉之事務局長、ワインマーケット・パーティ沼田英之店長、ワインプラスカレッジ講師で『WINE ブラインドテイスティングの教科書』著者の鈴木明人さん、そして私(自称ワインブロガー)だ。明らかに私だけ場違い感が凄まじいのだがそういうのが全然気にならないという特質が私にあってよかった。

2024年2月8日に実施された第一回のテイスティング実験では、この4名がまず30種類のワインを飲み、「香りの強度」「酸味」「渋み」「うま味(甘味)」「余韻」「ボディ」「アルコール」といった項目を1から5までの数字で評価。同時に同じワインのダイヤモンドセンサによる測定が行われた。

第一回のテイスティングの様子。ExtenD社の資料より

そして、4月13日に実施された第二回では、第一回の結果を共有しつつ、新たに13種類のワインのデータを収集した。

キーワードは、4名のテスター、ダイヤモンドセンサ、そしてAIのみっつだ。まず、なぜダイヤモンドが必要なのかから私の理解できた範囲でまとめていきたい。

 

AIソムリエとExtenD社と日本におけるダイヤモンド研究

ExtenD社CTO(最高技術責任者)の大曲新矢さんは、産業総合研究所九州センターの研究員で、ダイヤモンド研究では世界的なトップランナーというすごい方なのだが、大曲さんいわく、ダイヤモンドは強度が高いため高電圧に耐えることができ、金やプラチナといった従来の素材よりもはるかに幅広いレンジで測定が可能になるのだそうだ。

これは大曲さんが言ったことではなく文系原始人の私の勝手な解釈だが、従来のセンサが1センチ単位で目盛が振られた30センチ定規だとしたら、ダイヤモンドセンサは長さが1メートルあって、かつ0.1ミリ単位で目盛が振ってあるみたいな印象だ(数字は適当)。その大きくて細かいダイヤモンド定規を使うことで、ワインという複雑な液体の、固有の特徴を数値化できる。

面白い話がある。とある大学が同じワインを海底で熟成させたものとさせていないものを分析したところ、成分は「同じ」という結果となった。ところが両者を人間が飲んで感じた味わいはまったく違ったのだそうだ。

人間の味覚はどうにかしてるほどレンジが広く、「まったく同じ成分の液体」を「まったくの別物」と判断してしまう(もちろんそこには認知バイアスもあるだろうが、それも含めて味覚と言っていいだろう)。そんな「まったく同じ成分の液体」でも、ダイヤモンドセンサならばそれぞれを「別物」と認識させることができる。

右側がダイヤモンドセンサが測定したスペクトル。ワインごとに、指紋のように波形が異なる

それを、ExtenD社は「液体の化学指紋情報」と呼んでいる。すべての液体には指紋のように固有の特徴がある。それを波形としてとらえられるのがダイヤモンドセンサだ。

ただ、ダイヤモンドセンサにも限界はある。センサが測定するのは液体ごとに異なるスペクトル(波形)のみ。それを見てわかるのは「ワインごとに波のカタチが違うなあ」という「月は丸いなあ」みたいな事実のみであり、それは私のような文系おじさんでも、大曲さんのような日本が誇る知能みたいな人でも基本的には同じこと。

AIソムリエの測定データを人間の味覚評価がリンクするよう調整。香りに関してはここまでの相関が得られている

そこに意味を持たせるために、私(おまけ)を含む4名のテスターがアサインされたというわけだ。テイスティングの専門家である鈴木さんや沼田さんを中心とする専門家の味覚情報を、AIによってダイヤモンドセンサで測定したスペクトルと紐づける、私が参加したのはそのためのデータ収集の場だったというわけだ。

 

AIソムリエとAIと人間の感覚

そして、人間の味覚データとダイヤモンドが測定するスペクトル、両者を結びつけるのがAI。だから「AIソムリエ」というサービス名となる。

ダイヤモンドセンサとは、だからすなわちソムリエの舌のようなものだ。ソムリエ(ダイヤモンドセンサ)の敏感な味覚は、一般人(従来のセンサ)が感知できないワインの微細な違いに気づくことができる。そしてダイヤモンドセンサが測定した微細な違い、それをAIによって人間の味覚データと紐付け、定量的な数値として出力する。それが「AIソムリエ」というわけだ。

先端にある黒いのがダイヤモンドセンサ。小さい!

私は当初、センサによって「苦味度」「酸味度」「渋み度」みたいに各要素の量を計測しているのかなとぼんやり思っていたが、そうではなかった。そして、それらの測定値は人間の感覚と紐づいていないので、それ自体で味わいを評価するのは難しいのだそうだ。ワイン好きなら誰もが理解できるように、酸が高いと甘味を感じにくかったり、タンニンが強いと酸も強めに感じたり、残糖がゼロでも樽熟成を経たワインでがあればバニラのような甘みを感じたりもするからだ。

ゆえに測定数値だけでワインを定性的に評価することは(当たり前かもだけど)難しい。反対に、人間の官能評価だけでワインを定量的に分類することもまたできない。極めて感度の高いセンサとAIによって、測定結果と人間の味覚情報、定量と定性ふたつのデータを結びつけようとしている点にAIソムリエの独自性がある。

 

AIソムリエがもたらす未来

じゃあこのAIソムリエが、我々のワインライフにどう関わってくるのかといえば、それはまったくの未知数だ。近未来、ワインマーケット・パーティに並べられた2000種類のワインすべてがAIソムリエで測定され、その味わいが数値化されてPOPに掲示されている可能性はある。しかし、まだ実用には至っていない。

AIソムリエによる測定により、飲まなくてもワインの味わいがわかる未来が来るかもしれない

一方で、ダイヤモンドセンサを用いたこの液体測定技術はワインだけに用途が限られたものではない。

たとえば、ダイヤモンドセンサによる測定とAIによる分析は、人間の尿の微細な変化から超初期の病気の兆候をとらえることができるかもしれない。河川を流れる水の極々わずかな変化から、土砂崩れの予兆をキャッチできるかもしれない。

そのような、我々の社会全体へのインパクトをもたらす可能性を持つ事業のファーストステップとして我らがワインが選ばれたのは、

・十分な市場規模があり

・味わいがわかりにくく

・味わいがわかりにくいという認知が共有されているから

なのだそうだ。ワインがわかりにくくてよかった。

 

AIソムリエと第二回テイスティング実験

第二回のテイスティングでは、6種類のソーヴィニヨン・ブラン、7種類のピノ・ノワールの計測が行われた。ソーヴィニヨン・ブランはステンレスタンクで発酵・熟成させた典型的なものものあれば、樽発酵・樽熟成させたシャルドネのような風味のものもあり、独特な香りのする自然派的なものもあった。ピノ・ノワールも、オーソドックスなブルゴーニュから日本の薄うま系、ジンファンデルと勘違いしそうなくらい濃いものまでさまざま用意されていた。

さまざまな味わいのピノ・ノワール。AIソムリエがこれらをピノノワールだと判定し、その上で味わいの違いを数値化できたりしたらすごい。

人間の味覚では明らかに異なるこれらの味わいを、ダイヤモンドセンサはどうとらえ、AIがそれをどう人間の味覚と紐づけるのか。今回の実験を経て、その精度はさらに高まっていくはずだ。ソムリエが数多くのワインを舌に乗せることで、テイスティングの精度を研ぎ澄ましていくように。

これだけの多様性がある商品でありながら、ワインの味わいを評価する軸は「甘口か辛口か」とかくらいしか実のところ存在しない。それも酸やタンニン、樽などの要素によって感じ方は大きく異なってしまう。

AIソムリエは、そんなわかりにくいワインの世界をわかりやすくしてくれる、それこそソムリエ的存在になっていくのだろうか。なんとなく乗りかかった船的な感じもあるし、引き続き注目したい次第だ。

今回のテイスティングで個人的に印象的だったやつ。これぞ余市ピノ・ノワール

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK40】

ブラインドテイスティングWEEK40に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。先週バタバタしていて数ヶ月ぶりのお休みを挟んでの今週は白1、ロゼ1(!!)、赤1の構成だ。

ついにきた、#パーティブラインド、ロゼ初登場である。いずれオレンジ、甘口も来るのだろうか。面白くなってきやがった…!

 

ブラインドテイスティングWEEK40/1杯目

さて1杯目は白だ。外観はやや薄めで、黄色みが少ない銀色の印象。透明度が非常に高くて、フレッシュに見える。

香りはややアロマティック。白桃、青い草、少しレモン、ほんのわずかにナッツのような香ばしさ。

飲んでみるとまず来るのは酸だ。レモンを浸した水のような印象を受ける。果実味は強くなく、甘みも感じない。

リースリングソーヴィニヨン・ブランピノ・ブラン、グリューナー・フェルトリーナーあたりが想起される。ちなみにペトロールは感じない。

でもって非常においしい。イタリアならばガヴィ、ソアーヴェ、最近飲んだヴェルメンティーノって言われたらなるほどね、となる。アルバリーニョも候補だろうか。

非常にニュートラルで高品質なワインだと思う。だからこそ、うーん、決められぬ。決められぬなあ。これでわずかでもペトロールがあればリースリングと断定するのだが、それがない。黄金感、蜜感もない以上否定せざるを得ない。

ソーヴィニヨン・ブランならばこれはどこ産だろうか。ニュージーランドかロワールかと言われれば、ロワールだ。

最後はイタリアを検討しよう。飲めば飲むほどイタリアっぽさを感じるのだ、このワイン。海の近くで魚介に合わせるワインなような気がする。

というわけで、ガヴィとソアヴェの2択の中からソアヴェを選択。
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK40/2杯目

2杯目はなんとロゼ。#パーティブラインド 61回の歴史で初のロゼだ。困ったなロゼ、あまり品種を気にして飲んでないし品種特徴もあんまり出ない傾向があるぞ、とみなさん思ったことでしょうきっと。

しかし私はワインマーケット・パーティ沼田店長と連載をやっており、そこでつい最近ロゼワインを特集しているわけなんですよ。いわば先行カンニング状態。よもや外すわけがあるまいとテイスティングして驚いた、うーん、さっぱりわからない!

色はやや濃いめのオレンジピンク。外観からは割としっかりタンニンが効いてそうな印象を受ける。香りはあまり強くなく、アイスの無糖アップルティーみたいな、ドライな甘やかさを感じさせる。少しハーブっぽさ。

飲むと一瞬キャンディっぽさがある。え、なにこれマスカットベーリーAとかじゃないですよね? ただ、その印象は本当に一瞬で、二口目以降には消える。

味わいは外観からイメージされる通り、やはり渋みがしっかりとあって、骨格もある。これピノ・ノワールじゃないかな。ワンチャンガメイもある気がする。グルナッシュ、サンソーとかの南仏品種ではない気がする。

甘やかさがないので、アメリカのホワイト・ジンファンデルでもないような気がする。王道のマルサネ・ロゼではないか…? いいや王道のマルサネ・ロゼですこれは!

というわけで、
フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2022/12.5% 
と予想した。チャーミングすぎず、これもおいしいロゼだった。


 

ブラインドテイスティングWEEK40/3杯目

さて、最後は赤だ。外観はベタリと濃いめのガーネット。液体のエッジが少しだけ曖昧な色になっていて、ほんのちょっとだけ熟成ている感。2019とか2020とか。

香りは果実とケモノ。鎮火して冷え切った炭。買ったばかりの野球のグラブ。

飲んでみるとタンニン非常に強く、果実もしっかりといる。酸も豊かにあってバランスが取れている。これもとってもおいしいワイン。

印象としてはアメリカっぽいのだが、カベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、ジンファンデル、どれもハマりそうでハマらないパズルのピースみたいにぴたりと当てはまらない。難問だ。非常においしいけど突出した個性があるかと言われるとない優等生タイプ。

じゃあどこだ。ピノタージュじゃない。チリ……だとするとカルメネールがあるかもしれない。イタリア、でもないと思う。ピエモンテではないし、プーリアでもないし、シチリアでもないし、ワンチャントスカーナはあるかもだけど違う気がする。

旧世界で行こう。フランスならばコットまたはグルナッシュ! スペインならばテンプラニーリョ! この3択で行きたい。なぜかボルドーではない気がする。

そして、旧世界でボルドー想起系なのになぜかボルドーと回答したくないと思うならば、答えはこれしかない。

スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2019/14.5%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK40予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週も公式から正解が発表された。果たして私の予想は正しかったのか? 早速見ていこう。

 

ブラインドテイスティングWEEK40 / 正解発表:1杯目

予想:
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13%
正解:イタリア(トラミン)/ピノ・グリージョ/2022/13.5%


というわけで1杯目の正解は意外なことにピノグリージョ。ピノグリージョといえばもう少し黄色い色味、黄色い果実味のイメージだが、こういうスタイルもあるんすねという結果となった。いやーこれは難しかった。それでも89名の参加者中6名の方が正解をぶち抜いているのがすごい。


 

ブラインドテイスティングWEEK40  / 正解発表:2杯目

予想:
フランス(ブルゴーニュ)/ピノ・ノワール/2022/12.5% 
正解:フランス(ローヌ)/グルナッシュ主体/2021/14%
 

2杯目はフランスはフランスでもローヌ、ギガルの「タヴェル」だった。「グルナッシュ、サンソーとかの南仏品種ではない気がする」と書いたが思いっきりグルナッシュとかサンソーとかだったまじ無念

ただこれも経験不足で仕方ないといったところ。フランスが当たっただけでも御の字、みたいな結果だった。

 

ブラインドテイスティングWEEK40  / 正解発表:3杯目

予想:
スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2019/14.5%
正解:スペイン(リオハ)/テンプラニーリョ/2020/14.5%

なんでかさっぱり理由はわからないのだが、パーティブラインドを通じて私はテンプラニーリョだけは絶対当てるマンとなっており、前回に引き続き今回も、産地に至るまでほぼパーフェクトとなったなにこれ。 ブラインドを続けていると、こういう得意品種みたいなの出てくるのもひとつの楽しみな気がする。

 

ブラインドテイスティングWEEK40

というわけで今週は産地がすべて当たり、12項目中6項目正解という良い結果だった。トップ5には入れなかったが(レベルが高すぎるよ!)、自分的にはしっかり考え、しっかり答えを出してそこそこ当たったので満足、というWEEK40だったのでした。みなさんも、月曜・火曜は恵比寿で #パーティブラインド、ぜひご一緒しましょう!

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK39】

ブラインドテイスティングWEEK39に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。最近週を追うごとにどんどん盛況の度合いが増してきて、みなさんが一心不乱にグラスと向き合う様子はさながら予備校の自習室の如し。挑むワインは今週は白1、赤2の構成だ。早速いってみよう。



ブラインドテイスティングWEEK39/1杯目

まず1杯目は白ワイン。色は非常に薄く、少し緑がかったような印象がある。見た目的にはかなりフレッシュで、ヴィンテージも若めなんだろうなあと思える。

香りはめっちゃくちゃアロマティックだ。香水の代わりに頭から浴びていいんじゃないかってくらい華やかで甘やかでそれでいて上品な香りがする。方向性としてはバラ、蜜、少しキョウチクトウのような印象の香りだ。

飲むと一転、非常にドライで酸があり、少しの苦味も相まって甘やかな印象は消える。味わいはスッキリだ。

私のなかで香りアロマティック味ドライはゲヴュルツトラミネール。ヴィオニエ、トロンテス、ミュスカ、マルヴァジアといったところが候補になりそうだが、ここはシンプルにゲヴュルツでいってみる。

フランス (アルザス)/ゲヴュルツトラミネール/2022/12.5%


と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK39/2杯目

2杯目は赤だ。色はやや薄めでグラスの底が透けて見えるガーネット。香りは非常にシンプルなベリー&バニラで、私を飲んでと語りかけてくるような人懐っこい印象を受ける。

飲んでみると意外と酸があり、複雑さもしっかりと感じられてこれは非常においしいワイン。実に好みの味筋だ。

第一印象はカリフォルニアのピノ・ノワール。次いでローヌのシラー、南アのピノタージュといったところ。香りからはカリフォルニアを想起したのだが、飲んだ味わいの複雑さ、酸が意外とある点などから判断が難しい。

のだが、カリフォルニアでもロシアン・リバー・ヴァレーとか、少し涼しい産地ならすごいしっくりくる感じがしたのでこう予想した。

アメリカ(カリフォルニア)/ピノ・ノワール/2020/14% 


 

ブラインドテイスティングWEEK39/3杯目

3杯目は2杯目とは異なりグラスの底が見えないインキーな紫色。香りは道の駅で売ってる農家の手造りブルーベリージャムあるじゃないすか。原材料:ブルーベリー、砂糖、おわり、みたいなやつ。あれ。甘やかで素朴な香りがする。

飲んでみるとこれも意外と酸がある。渋くてギチギチみたいなことはないけれども柔らかい渋みもあり、新世界というよりかは旧世界っぽい印象を受ける。甘みはさほどなく、色の印象の通りまだ固いけれども、いま飲めないことは全然なくておいしい。

飲んだことあるんだよなあ、この味。ド紫なので、マルベックとかタナとか、そういう印象を見た目からは受ける。あとはカルメネールか。スペインのガルナッチャ、テンプラニーリョも候補になりそう。

緑色っぽい要素はないと思うので、カベルネメルローとかではないと思う。シラーにしても紫すぎる気がする。

これは最終的に決め手に欠けたが、
フランス(カオール)/マルベック/2021/14%
と予想した。マルベックは本当はもう少しほっこりした印象があると思うのだがド紫すぎて黒っぽい印象を受けたので、カオールの黒ワインではないかと思った次第です。

 

ブラインドテイスティングWEEK39予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。ここ数週間の私の予想は総じて不調、不調っていうかそもそも実力がこんなもんという説もあるが、果たして今週私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。


ブラインドテイスティングWEEK39 / 正解発表:1杯目

予想:
フランス (アルザス)/ゲヴュルツトラミネール/2022/12.5%


正解:アルゼンチン(北部地方)/トロンテス/2022/13%
 


まずは1杯目だが、これは普通に間違い。ゲヴュルツトラミネールとトロンテスを間違えがち問題だ。改めてテキストを読み返すとゲヴュルツトラミネールを決定づけるライチの要素がこのワインにはなかった。

リメンバー・ライチを胸に、次回こそ当てたい。

 

ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:2杯目

予想:アメリカ(カリフォルニア)/ピノ・ノワール/2020/14% 


正解:イタリア(ヴェネト)/コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラ/2019/15%
 

そして皆様とくとご鑑賞ください、今回の赤っ恥案件がこちらだ。アマローネをカリピノって書いちゃった……。ところが、公式の発表を見ると「アメリカ」の「ピノ・ノワール」は実は産地と品種それぞれもっとも多い回答だったようだ。

アマローネをカリピノと書いてしまったみなさん、友よ、あなたは一人じゃない。

 

ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:3杯目

予想:フランス(カオール)/マルベック/2021/14%
正解:オーストラリア(南オーストラリア)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2021/14.5%
 

言われてみればなるほどな、オーストラリア・クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨン。これはグリーンノートを感じられなかったのが敗因だ。アルコール度数の高さがカベルネの緑っぽさをマスクするみたいなことがあるのだろうか、このあたりは反省し次に活かしたいところっていうか今回地味に産地と品種全外しですね……! 的中項目も2項目と過去最低クラスの成績となった。無念なりけり。

 

ブラインドテイスティングWEEK39予想を終えて

というわけでここ最近はすっかり低空飛行が続いている。ブラインドテイスティングは当たると連続して当たり、外すと連続して外しがち、つまり好不調の波がある気がしているが、今はすっかり不調期に突入してしまったようだ。

次週はちょっと都合で行けるかどうか微妙なところなのだが、もし行けないとしたならば脳内をリセットするいい機会になりそうな気もすると思ったりした、39回目の挑戦なのだった。

 

 

 

 

ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK38】

ブラインドテイスティングWEEK38に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。入店するなり沼田店長が、「今、何人来てると思う?(ニヤリ)」と聞いてきた今回、私は88番目の挑戦者。過去最高の挑戦者数になることが確実な今週は、泡1白1赤1の構成だ。

 

 ブラインドテイスティングWEEK38/1杯目

さてまず1杯目は泡だ。グラスの底からたちのぼる泡は非常に細かく非常に豊か。色はやや薄めのゴールド。香りは酸が主体のリンゴ。

泡の細かさ豊かさから、まずは瓶内二次発酵かつそれなりの、24か月以上とかの熟成を経ている気がする。候補は以下のみなさんだ。

南アMCC
カリフォルニア泡
いいカバ
フランチャコルタ
アルタランガ
シャンパーニュ
クレマン・ド・ブルゴーニュ
クレマン・ダルザス
イングリッシュスパークリング

候補多っ。多すぎるんで3択にしよう。

南アMCC
カリフォルニア泡
シャンパーニュ

まず品種はシャルドネに絞りたい。グラスの奥からクリームブリュレのカラメルみたいな香りがするので熟成した姿が美味しいブラン・ド・ブランになりそうなのだ。これはブラン・ド・ブランの赤ちゃん。

悩ましいところだが、この王道のおいしさはさすがにシャンパーニュでしょ。シャンパーニュです! 

フランス (シャンパーニュ)/シャルドネ/NV/12%
/ドザージュ9g/L

と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38/2杯目

2杯目はアロマティックな香りがする白ワイン。色合いはやや薄めのグリーンがかったゴールド。草っぽさ、強めの苦味、グレフルの白いとこ感。非常に困る。めちゃくちゃソーヴィニヨン・ブラン感があるのだ。

このブログをいつも見てくださる方はご存知の通り、ソーヴィニヨン・ブランはブラインドテイスティングでもっとも当てやすい品種のうちのひとつであり、私がもっとも当たらない品種のうちのひとつだ。裏の裏を読んでソーヴィニヨン・ブランではないッ!(正解はソーヴィニヨン・ブラン)みたいなことをかれこれ3、4回繰り返している。

「ではない」とすればなんだろう。マルサンヌ&ルーサンヌはありえると思う。ギガルの広域白とかこんな味だ。あとなんだろう。ヴェルデホとか? いやでもヴェルデホ出る? てか本当にヴェルデホだと思ってる(自分への圧)? 

というわけでローヌ白かソーヴィニヨン・ブランしか思い浮かばない。いやあとはソアヴェはあるか。ソアヴェあるな。そしてマジでわからんなこれ。

悩んでいるうちに少し温度が上がってきて、俄然ソアヴェ感(アロマティック草蜜レモンハーブ)出てきたんだよな。もうわかんないからソアヴェ!

イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13% 


と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38/3杯目

3杯目はすごく素直なガーネット。香りはブルーベリーとかブラックチェリー。そして少しのグリーンノート。後味にヴァニラ。果実は豊かだが、それ以上に渋みが強く、酸もしっかり。こんな教科書的なワインが出ることがあっただろうかこのブラインドテイスティングいやない。

つまりめっちゃくちゃカベルネ・ソーヴィニヨンなのだ。あるいはメルローだが、こりゃカベルネでしょうどこからなにをどっからどう考えても。ワンチャンあるとしたらテンプラニーリョか。

問題はほぼ産地のみと言っていいんじゃないでしょうか。わかりやすい濃さ甘さがないのでカリフォルニアではないと思う。南アでもない。オーストラリアでもないような気がする。となると答えは消去法でチリだ。

チリの海に近い畑の少し標高の高い畑のカベルネ・ソーヴィニヨンでいってみよう。頼むぞ、フンボルト海流!

というわけで

チリ(セントラルヴァレー)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2022/13.5%
と予想した。

 

ブラインドテイスティングWEEK38予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。

 

【追記】

さて今週もワインマーケット・パーティ公式SNSで正解が発表された。以下、結果を見ていこう。結局95名が参加したそうです。


ブラインドテイスティングWEEK / 正解発表:1杯目

予想:
フランス (シャンパーニュ)/シャルドネ/NV/12%
/ドザージュ9g/L
正解:イタリア(ロンバルディア)/シャルドネ/2016/12.5%
 

/ドザージュ6g/L

というわけでブラン・ド・ブランは正解だったが、フランスではなくお隣イタリア、フランチャコルタが正しい答えだった。悔しいのはヴィンテージ。「ちょい熟してるし、2016〜2018くらいかな」と思ったのだが、「ヴィンテージシャンパーニュは高いし、ブラインドには出ないだろう」みたいなグラスの外側のことを考えてノンヴィンと判断してしまったのだった自分のばかっ。

というわけで、わりと納得のいく回答ができたのだがあと一歩が及ばなかった。シャンパーニュっぽいけどほんのちょっとだけプロセッコっぽい青リンゴ感があったら、今後はフランチャコルタを疑おう。

 

ブラインドテイスティングWEEK38 / 正解発表:2杯目

予想:
イタリア(ヴェネト)/ガルガーネガ/2022/13% 

正解:スペイン(リアス・バイシャス)/アルバリーニョ/2022/13%
 

いっやーーーーーアルバリーニョか。屈辱のソーヴィニヨン・ブランは回避できたが、過去に一度も正答できていない品種・アルバリーニョで仕留められてしまった。

ソーヴィニヨン・ブラン的な草っぽさとヴィオニエみたいな花蜜っぽさが共存していて、北国の岩清水感はないのがアルバリーニョ。「最近ソアヴェ飲んだから」みたいな雑な理由で回答した己を恥じたい。

 

ブラインドテイスティングWEEK38 / 正解発表:3杯目

予想:
チリ(セントラルヴァレー)/カベルネ・ソーヴィニヨン/2022/13.5%
正解:フランス(ボルドー)/メルロー主体、カベルネ・フランカベルネ・ソーヴィニヨン/2016/14.5%
 

沼田店長の名言に「カベルネ・ソーヴィニヨンメルローの当たる確率は半々」というものがあるが、丁半博打に見事に負けて正解はメルロー。青草感を強く感じ、輪郭に丸みを感じなかったのでメルローではないと判断したが無念だ。熟成が進んでいる感じもまったく感知できなかった。

そしてなにより、「ブレンドが主流のボルドーはブラインドで出にくい」というこれまたグラス外の情報を判断材料にしてしまったのが致命的だ。いいかい坊や、グラスの外側に正解はないんだよっ!

というわけで今週は3問正解に3問目が1点加点で3.1問正解みたいな雰囲気になった。先週に引き続き、非常に不甲斐ない結果に終わってしまったので、来週こそ上位目指して頑張りたい次第です。

セドリック・ブシャールとかクリュッグのロゼとかクリスタルが当たるくじ↓

a.r10.to

中川ワインの試飲会すごいよかったのでぜひ↓

himawine.hatenablog.com

 

1980円から20万円まで!93種類飲んで発見「最強ワイン」3選

「中川ワイン」の試飲会に参加した

カリフォルニアワインのインポーターとして名高い「中川ワイン」の試飲会に参加してきた。

希望小売価格(税別)1980円のワインから200000円のワインまで、全93種類を試飲したうち、とくにこれはすごいぞと思ったワインをご紹介したい。キーワードはみっつ。

・デコイ

・グロウワー

・トーマス・リヴァース・ブラウン

のみっつだ。早速いってみよう。

 

個人的キーワード1:「デコイ」

まず声を大にして言いたいのが、「デコイはヤバい」ということだ。チリの「コノスル」が1000円前後のレンジで圧倒的においしいように、デコイは実勢価格3000円前後のレンジで特筆すべき品質だと思う。3000円以下の安ワイン大好き勢にとっては、デコイ買っとけば間違いないっすと断言できるレベル。

とくに、
【世界異様コスパ泡大賞有力候補】ブリュット・キュヴェ スパークリングワイン 3300円


【93種類のうち飲みやすかった赤NO.1】ジンファンデル カリフォルニア 2900円


【実勢3000円台世界最強メルローの可能性】デコイ・リミテッド メルロ アレキサンダー・ヴァレー 4400円


あたりはコスパが完全にぶっ壊れている。(ちなみに【 】内はヒマワインが勝手につけたキャッチコピーです)

 

デコイ ブリュット・キュヴェ スパークリングワイン

これめっちゃおいしくて、最後ちょっとだけ「念のためもう一度味わいを確認しておきたい」かなんか言っておかわりいただいてしまいましたことを告白しますすみませんすみません。

ブリュット・キュヴェ スパークリングはピノ・ノワール49%、シャルドネ47%、ムニエ4%とシャンパーニュと同じ品種を使って瓶内二次発酵させたワイン。ブドウのソースはノース・コースト&セントラル・コーストと広域なのだがもうこれほぼシャンパーニュなんじゃないか、シャンパーニュを名乗っちゃっていいんじゃないか(だめ)という味がする。

希望小売価格は3300円で、ネットで調べると2700円とかで売られているのだが、昨今の円安に伴いほぼこの値段で買えるシャンパーニュはなく、結果的にこれは価格に対して世界最強級においしい泡ということになる。なんならそもそも安いシャンパンよりうまい。南アのMCCとコスパでいえば双璧みたいなことになるだろうか。南ア好き勢に試してもらいたい。

 

デコイ ピノ・ノワール カリフォルニア2021&ジンファンデル カリフォルニア 2021

白も高コスパなのだがデコイはとくに赤がヤバい。希望小売価格2900円のピノ・ノワール カリフォルニア2021とジンファンデル カリフォルニア 2021はともに2000円台のBEST BUY。とくにジンファンデルは嫌いな人いないでしょこれ・オブ・ザ・イヤー。カリフォルニア特有の果実味はありながら甘すぎず、酸もある。

 

デコイ・リミテッド メルロ アレキサンダー・ヴァレー2021

そしてこの日の超驚愕ワインが上級レンジであるデコイ・リミテッドのメルロ アレキサンダー・ヴァレー2021だった。

コスパという概念ごとぶっ壊しにきてる

私がワインを評価する独自基準に「やわらかさ」があり、100%主観の完全定性評価ではあるのだが、このワインはやわらかさにおいては5桁円クラスのワインに一歩も引けを取っていなかったと思う。

デコイはダックホーンの廉価レンジであり、ダックホーンはメルローの名手。ハイコスパワインを造る手腕とメルローを造る手腕が正面衝突して生まれた新たな素粒子が、このデコイ・リミテッドのメルロ アレキサンダー・ヴァレー2021だ。断言する。このワインは素粒子だ(自分でもなにを言っているかわからない)。

このワインなんと3000円台で買えちゃうんですよ実勢価格だと(定価4400円)。友だちへのプレゼントや手土産にもちょうどいい価格帯。ホムパお呼ばれで褒められ続出間違いなしですよこれは。「おいしい〜」とか「ワイン苦手だけどこれなら飲める〜」とかじゃなく、「これ楽天で買える!?」って聞かれると思う(真顔で)。

というわけでデコイはヤバい。デコイ・イズ・ヤバい。

 

中川ワインの試飲会でおいしかった白ワイン

デコイの話に終始してしまうので、次なるテーマに行く前に白ワインで印象に残ったのをいくつか記録しておきたい。

ベッドロック ソーヴィニヨン・ブラン ソノマ・ヴァレー2022

ベッドロックのソーヴィニヨン・ブラン ソノマ・ヴァレー2022は樽をしっかり効かせたソーヴィニヨン・ブラン。まるでボルドー・ブランとカリフォルニアのシャルドネの中間地点みたいな独特の味筋でとてもおいしかった。5500円。

 

マックマニス ヴィオニエ2022

マックマニスのヴィオニエ2022は1980円とこの試飲会の最安値だが、これは超ハイコスパ。酸がしっかりあって白桃感たっぷりで実に美味。

 

リンカーン・セラーズ シャルドネ ナパ・ヴァレー2018

そして5000円以下のシャルドネBEST BUYがリンカーン・セラーズのシャルドネ ナパ・ヴァレー2018。飲み頃のど真ん中、スイートスポットに今突入している印象で、樽に頼りすぎず果実に頼りすぎずバランスで勝負していておいしい。ネットだと4000円をギリ超える価格なので、ちょっと贅沢したい日の候補に。

 

個人的キーワード2:ハドソンとピゾーニ。栽培家(=グロウワー)が造るワイン

そして、次のキーワードは「グロウワー」だ。シャンパーニュで新世代のRMをグロウワーと呼んだりするみたいだけど、カリフォルニアにもグロウワー系生産者はいて、中川ワインでいえばハドソンとピゾーニが双璧みたいに言っちゃっていい気がする。

 

ハドソン・ヴィンヤード シャルドネ カーネロス ナパ・ヴァレー2021

ハドソン・ヴィンヤードもピゾーニ・ヴィンヤードもいずれもカリフォルニアの有名畑。どちらも自社ワインを造っているのだが、まずはハドソンのシャルドネ カーネロス ナパ・ヴァレー2021(13000円)が素晴らしかった。

カリフォルニアワインは以前よりエレガントな路線になっていると耳にするけれど、それでもやっぱり濃くて強いものが多いと思うのだがハドソンはエレガント。

この日来日したラ・ペレのワインメーカー、マーヤン・コシツキさんが「樽はあくまでもワインのサポーター」と良いことをおっしゃっていたが、このハドソンのワインにも同じことを感じた。

マーヤンさん。シャルドネではなくソーヴィニヨン・ブランを造るのは「カリフォルニアはシャルドネには暑すぎる。だから僕はサンセールスタイルのソーヴィニヨン・ブランを造るんだ」とのこと

栽培家=グロウワーだからこそ、果実の良さを活かす造りになるのだろうか。以前、ウエストソノマコーストの造り手「フリーマン」のアキコ・フリーマンさんが「シャルドネにとっての樽は女性にとってのお化粧」とおっしゃっていたが、ハドソンのワインには素材の良さを活かした薄化粧の美があると思う。

 

 ルチアbyピゾーニ ピノ・ノワール エステート・キュヴェ 2022

そして、もうひとつのグロウワー、ピゾーニが手がけるルチアbyピゾーニのピノ・ノワールがこの日の私のMVPワインとなった。なんだこりゃうますぎる。

デコイのメルロー同様に、まず非常にやわらかい。それでいて酸がしっかりとある。やわらかさと酸は相反する要素な気がするのだがグラスの中で共存しており、そこに果実が主張しすぎず通奏低音のように流れている。

価格は1万円と高級なのだが、今回のベストコスパワインはこれだ! みたいな気分になる。高名なピゾーニ・ヴィンヤードに加えて、ゲイリーズ、ソベラネスという3つの畑から造られるワイン。単一畑より複数畑のブレンドのほうが味わいのバランスが取れる説、正しいような気がする。

 

キーワード3:醸造家トーマス・リヴァース・ブラウン

でもって最後、個人的キーワードの3つ目はトーマス・リヴァース・ブラウンだ。いや今回「うわこれうまっ!」となったワインの多くが、TRBの手がけたワインだったわけなんですよ。

 

すごいシャルドネ4選

シャルドネでは4種類「これはすごい」と思うワインがあって、そのひとつが前述したハドソン。残りは、
【バランス最強の濃い系】センシーズ シャルドネ ラシアン・リヴァー ソノマ・コースト2019(14000円)

【南国フルーツと北国フルーツの激突】リリックス シャルドネ ブラウン・ランチ・ヴィンヤード 2020(20000円)


【今回ベストシャルドネこれ疑惑】シブミ・ノール シャルドネ ブエナ・ティエラ。ヴィンヤード2020(24000円)


この3つなのだがこれがすべてTRB印。カリフォルニアらしく味わいは濃いのだが、あと一歩、そこから先に足を踏み入れたらクドくなるというラインの手前でピタリと止まり、そのラインの内側で完璧なバランスを組み上げるような造り。

白でいえば果実と酸と樽、赤でいえば果実と酸と渋みがすべてバチバチに強いのに、飲んだ印象はバランスが取れてエレガント。イヴ・サン・ローランじゃなくてラルフ・ローレンのスーツのイメージだ。

 

すごい赤ワイン4選

単純に私の好みとTRBスタイルが合うだけなのかもしれないが、今回は本当においしいと思ったワインのTRB率が異常だった。赤も列挙すると以下になる。

【すっぱいのに超うまい希少種】センシーズ ピノ・ノワール デイ・ワン ヒルクレスト・ヴィンヤード2021 (28000円)


【バランス最高峰。飲むマイク・トラウト】ダブル・ダイヤモンド カベルネ オークヴィル ナパ・ヴァレー 2021(14800円)

ダブル・ダイヤモンド。飲むキャプテン・アメリカ


【TRB所有ワイナリー。そりゃうまいよ!】リヴァース・マリー カベルネ・ソーヴィニヨン2021(18000円)


【パーカー100点の20万円ワイン】シュレイダー オールド・スパーキー・カベルネ・ソーヴィニヨン マグナム2021

今回最高額のオールド・スパーキー。もうおいしい!

 

10000円を超える高級ワインはそりゃもうどれもおいしくないはずないのだが、さすがに20種類も続けてテイスティングすると、私レベルの低テイスティング能力では差分がわからなくなってくる。

なのだがやっぱり何種類かにひとつ「おっ」というワインがあって、それが大概TRBものなのだ。スーパーワインメーカーの名にガチで全然恥じてないと思う。造るワインに個性があって、とてもおいしい。

じゃあその個性ってなんだ言え、となると思うので私が思うところを以下に列挙する。
・濃いけどエレガント
・酸がしっかりとある
・樽の使い方が穏やか
・全体にとても柔らか
・とにかく飲みやすい

こんな感じだ。印象としてはカリフォルニアとフランスの汽水域という感じで、旧世界と新大陸を結ぶ大西洋上に浮かぶトーマス・リヴァース・ブラウン島で造られるワイン、みたいなフランスとカリフォルニア両方の良さを併せ持つ感じがする。

シャルドネピノ・ノワールカベルネ・ソーヴィニヨンもおいしいが、以上の傾向が一番強く味わえるのはダブル・ダイヤモンド。ダブル・ダイヤモンドはやべえ。濃いのにエレガントなキャプテン・アメリカみたいなワインだ。

そして最後、93番目に飲んだのがシュレーダーのオールド・スパーキー2019。20万円するパーカー100点のマグナムで品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとなると、印象としては今飲むには全然早くてガチガチ、20年後に会おうみたいな感じかと思いきや全然で、今飲んで普通にウルトラうまい。

このアクセスしやすさ、飲みやすさもTRBの造るワインすべてに感じた。リリース後、すぐにおいしいワインは正義。

とにかくトーマス・リヴァース・ブラウンはガチ。TRBが醸造家としてクレジットされていたら一定の品質をクリアしていると思って間違いがないと思う。

 

おいしかったワイン:その他

最後にほかにおいしかったものをまとめよう。

パトリモニー カーヴ・デ・ライオンズ パソ・ロブレス2020

パトリモニーのカーヴ・デ・ライオンズ パソ・ロブレス2020(6万円)がとんでもないワインだった。カベルネ・ソーヴィニヨン65%カベルネ・フラン35%を新樽率100%のフレンチオークで30か月熟成させたというワインで、「山カベ」の最高峰的ワインのひとつなのだそう。

山カベに関してはまったく知見がないので今後の課題とするが、このワインはカベルネながら酸が残って極エレガント。こんなの飲んだことないな、という感じがして衝撃的だった。すごいぞ、パソ・ロブレス。

 

ノリア ピノ・ノワール ウミノ・ヴィンヤード2021

日本人醸造家の中村倫久さんが造るピノ・ノワールも素晴らしかった。日本食に合うワインを追求しておられるのだそうで、たしかにマグロやカツオの刺身とか、なんなら肉じゃがとか焼き鳥(タレ)とかにも合いそうな涼しさのなかに親しみのある味わいで大変素晴らしかった。価格は9000円。

 

印象に残ったワインBEST3

というわけで今回も素晴らしいワインにたくさん出会えた中川ワインの試飲会だった。最後に印象に残ったワインを3つ厳選して稿を閉じたい。(シュレーダーのオールドスパーキーは別格として除外)

それが以下。

デコイ・リミテッド メルロ アレキサンダー・ヴァレー2021

ルチアbyピゾーニ ピノ・ノワール エステート・キュヴェ 2022

ダブル・ダイヤモンド カベルネ オークヴィル ナパ・ヴァレー 2021

ズラリ並んだ中川ワインの93種類のなかで、私には以上3種類のワインが特別光り輝いて感じられた。みなさんもよかったらぜひ、お試しあれ。

なぜかトスカニーでぜんぶ買える↓



ブラインドテイスティング挑戦記【WEEK37】

ブラインドテイスティングWEEK37に臨んで

今週も恵比寿のワインマーケット・パーティでブラインドテイスティングに挑んできた。今週は薄い白1、黄色っぽい白1、やや濃いめの赤1の構成だ。早速味わっていこう。

ブラインドテイスティングWEEK/1杯目

まず1杯目だが甲州だ。いや薄いんですよ、色が。これだけ色が薄い品種、世界中で甲州しかない説。色の印象として透明とかじゃなくて「白」が浮かぶ品種は甲州しかないと思うんすよ自分。

という大いなる予断とともにまずは香りをとっていこう。香りは弱めだ。甲州度ワンポイントアップ。甲州、良くも悪くも香りが弱めだ。もうこれほぼ甲州で決まりだが一応飲んでみるとごめんこれ甲州じゃなかった。

あれおかしいな。ことのほかフルーツたっぷりだな。ヴィオニエとかゲヴュルツとかがありえる感じ。かなり桃の要素が強く、前述したように香りが強くないのでヴィオニエが最有力候補となる。

さすがにソーヴィニヨン・ブランじゃないし色的にピノグリじゃないしリースリングでもない。ヴィオニエでファイナルアンサーしたいけどヴィオニエ→ローヌ→マルサンヌ、という連想ゲームも脳内ではじまってしまった。だがここは初志貫徹でいこう。

フランス (ローヌ)/ヴィオニエ/2021/12/5%
と予想した。


ブラインドテイスティングWEEK/2杯目

2杯目は1杯目と打って変わってムンムンに蜜っぽさが香るワイン。なんだか貴腐ワインみたいな複雑さがある……と思って飲んだらあにはからんや、ハルプトロッケン感のある甘め(そしてちょっぴり後味苦め)のワインだった。

分類としては「やや甘口」だと思う。ドイツのリースリングか、ボルドーか。あとわかりやすく甘いワインで出題される可能性があるのってどこの何だろう。

しっかり黄色くて、酸はさほどじゃなくて旨みがしっかり乗ったやつ。飲んだことあるんだよなこれ。

……これプティ・マンサンじゃない? カリンとか黄金糖みたいな感じがあって。ソーテルヌにしては甘くないしドイツにしては酸が弱めだし。ジュランソンみありませんかこれ。いやこれジュランソンみしかない。ジュラみしか! ない!

というわけで

フランス(ジュランソン)/プティ・マンサン/2019/13%
と予想した。 


 


ブラインドテイスティングWEEK/3杯目

3杯目は紫感の強い色合いで香りは割と素直にベリー。あと皮。少し陰気で、イタリアの風がグラスの底から吹いてくる感じがする。

第一印象はサンジョヴェーゼ。サンジョヴェーゼは私の中で両性具有品種。赤ワインの性別は赤いか紫(黒)かだと思うわけだがサンジョヴェーゼはその両方の特徴を兼ね備えてる印象がある。そしてこのワインは紫寄りの印象だ。

次なる候補はバルベーラ。バルベーラはド紫品種という印象で、両者の共通点は果実と酸がしっかりしているところだと思う。あと可能性としてあるのはシラー、テンプラニーリョ、グルナッシュとかか。薄い確率でアルゼンチンのマルベック。緑の感じがないのでカベルネ系、メルローではない。

いやでもやっぱこれサンジョヴェーゼじゃないな。赤い要素がないもんな。てことはバルベーラなんすよ。バルベーラ・ダスティ一択なんすよ。

というわけで、
イタリア(ピエモンテ)/バルベーラ/2020/13.5%
と予想した。

よーし今週はしっかり自分軸で予想できたぞ、と思ったのだが回答用紙に並んだのは「ヴィオニエ/プティ・マンサン/バルベーラ」という答え。え、こんなブラインドテイスティングありえる?(難易度的な意味で)

というわけで今週は1個でも引っかかっていたら嬉しいみたいなことに結果的になった感がある。ブラインドは難しいなあ。みなさんもぜひ予想してみてください。

 

ブラインドテイスティングWEEK予想を終えて

というわけで今週も予想が出揃った。果たして私の予想は合っているのだろうか? 解答発表後に追記したいと思うので、お楽しみに。