ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ウィラメットバレーの実力は? ソーコルブロッサー エヴォリューション ピノ・ノワールを飲んでみた。【Evolution Pinot Noir】

ウィラメットバレーとソーコルブロッサー エヴォリューション ピノ・ノワール

アメリカ・オレゴン州ピノ・ノワールがなにを飲んでもおいしいので、オレゴンのなかでも名産地と名高いウィラメットバレーのワインはさらにおいしいに違いないと探してみた。

本ブログのコンセプトのひとつに「3000円以下の世界のおいしいピノ・ノワールを探す」というものがあるが、ウィラメットバレー、さすが名産地だけあって3000円を切るワインがなかなかない。

そんななか、私が探した範囲で唯一2000円台で見つけられたのが、「ソーコルブロッサー エヴォリューション ピノ・ノワール」だ。購入価格は2508円。ラベルに「ウィラメットバレー」と記載されていることを指差し確認して買い物カゴに投入した。

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ソーコルブロッサー エヴォリューション ピノ・ノワールを飲みました。

迷う理由が値段なら買え。買う理由が値段なら買うな。

という名言があるがこの際無視だ。

迷ったら両方買え。

迷わず飲めよ、飲めばわかるさ。

本ブログでは、立派な格言よりそれホントすかねっていう格言をつねに採用していきたいと思っている次第。なので買った。

 

ソーコルブロッサー エヴォリューション ピノ・ノワールはどんなワインか?

さてではこのワインどんな生産者が造るどんなワインなのかと調べてみると、ソーコルブロッサーは1971年創業で、2021年で創業50周年。現在は創業者のふたりの跡継ぎ、アリソンとアレックスの姉弟が共同社長を務めているようだ。

オレゴン州ダンディヒルに106エーカーの土地を持っていて、AVAはウィラメットバレーAVAに含まれるサブリージョンのダンディヒルAVA。でもって「エヴォリューション」は彼らのエントリーレンジみたいですね調べてみると。ピノ・ノワールの価格は20ドルだから、2508円で買えるのはかなりお得感があることもわかった。

で、どんなワインなのか。商品ページにCEOのアリソン・ソーコルブロッサーさんによる紹介動画が貼られているので見てみた。

その内容をかいつまんで私・ヒマワインとアリソンさんの妄想対談形式でお伝えすると以下のようになる。

 

ヒマ:このエヴォリューション ピノ・ノワールはどのようなワインでしょう?

アリ:すべてここウィラメットバレーで採れたブドウで作ったピノ・ノワール。熟した果実、ちょっぴりジャムっぽさ、そしてオークのタッチがあるわね。

ヒマ:どのように造っているのですか?

アリ:ステンレスタンクで、オークに触れさせて熟成させているの。

ヒマ:なるほど。どんな料理に合うのでしょうか?

アリ:ポークチョップなんか最高。あとキノコのリゾットとか。

ヒマ:どんなキノコがいいでしょう?

アリ:なんでも合うわよキノコなら! あとチョコタルトにも合うわ!

 

キノコに合うってことはワインにも土っぽさとか森っぽさ、キノコ感があるんですかね。ともあれ「オークに触れさせながらステンレスタンクで熟成させている」、というところが面白い妄想インタビューだった。

高価格帯ワインの紹介動画ではオークの小樽を使って新樽率が何パーで、みたいな話をしているので、廉価レンジではオークチップで風味付けをしているとかそういうことなのだろうか。CEO自ら明るくそれを紹介しているのがなんかいい。いつか訪問してみたいワイナリーリストに掲載決定である。

 

ソーコルブロッサーエヴォリューション ピノ・ノワールを飲んでみた

さて、CEOとも(妄想で)話せたし、そろそろ抜栓してみよう。

グラスに注いでみると色はやや濃い目の紫色。抜栓したては鉛筆の芯みたいな焼却炉みたいな香りで、飲んでみても強めの渋みが果実味を覆い隠している印象。転職したてでまだ社風になじめず一人で公園でお弁当食べてる人、みたいな心を閉ざした感じがするのでゆっくりと見守っていきましょうみたいな雰囲気を出しつつ3日に分けて飲んでみたのだが3日目に見事に開花した。

競馬にたとえるならばスタートから逃げを打ったタンニン号を、府中の2400メートルの長い直線で大外からまくってきた果実味号が見事に差し切った、みたいな展開。道中馬群に埋もれてた酸味号も気がつけば鼻差の3着にいるみたいな。ともかくおいしい甘渋ピノ・ノワールになっていたのだった。みてくれこの味みてくれこの味、ピノピノでもピノ・ノワール、みたいな感じだ元ネタ知っている人いますか。

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vivinoの評価は2300件超えで3.8と高い。妥当な評価。

私の好みは甘ずっぱいピノノワールなので好みピンズドというわけではないのだけれど、甘渋は甘渋でおいしい。というわけでとてもいい3000円以下ピノ・ノワールだったのだった。おいしい3000円以下の世界のピノ・ノワールリストがまたひとつ潤った。

なんでも、ウィラメットバレーはかなり特異な形成のされ方をした土地のようで、一言でウィラメットバレーといっても、サブリージョンによって味わいがかなり異なるようだ。その違いはどのようなものなのか、ぼちぼちお散歩していきたい次第。

 

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フィンカ・リオ・ネグロ ゲヴュルツトラミネール。「スペインのシベリア」で造られるワインを飲んでみた。【Finca Rio Negro Gewürztraminer】

ラ ・マンチャとフィンカ・リオ・ネグロと私

理由はさっぱりわからないのだが気になるスペインワインラ・マンチャのワインだというケースが多い。
なんでなんだろうこれ。季節外れのラ・マンチャの男状態。ラ・マンチャは「乾いた土地」という意味です、とかが調べなくても出てくるようになっている。

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フィンカ・リオ・ネグロ ゲヴュルツトラミネールを飲みました。



Wikipediaによればラ・マンチャは世界最大のブドウ栽培地であり、とにかくブドウがよく育つようだ。結果、良質で安いワインができる。安うまワインのふるさと、それがラ・マンチャ
というわけで今回飲んだのはラ・マンチャを本拠地とする生産者、フィンカ・リオ・ネグロのゲヴュルツトラミネール。ゲヴュルツトラミネールっていうとアルザスとかドイツとかの冷涼な地域のブドウという印象だがまさかのラ・マンチャである。

 

標高1000メートル「スペインのシベリア」で造られるゲヴュルツトラミネール

カステーリャ・ラ ・マンチャ州北部のグアダラハラ県ココジュドに位置するワイナリーの歴史はそう古くなく、わずか0.6ヘクタールの土地にブドウの木が植えられたのは1998年のこと。それが現在では42ヘクタールまで広がっているのだそうだ。赤はテンプラニーリョが中心で、白品種はゲヴュルツトラミネールだけを栽培している。スペインでゲヴュルツトラミネールって珍しいなと思ったけど、この生産者の畑がなんと標高1000メートルに位置すると聞いて納得がいった。

標高1000メートルがどれくらいかといえば、日本に役場が標高1000メートル以上の場所にある自治体は4つしかないとかそんなレベルで、長野県原村の役場がぴったり標高1000メートルにあるそうだ。ちなみに長野県原村は8月の最高気温が27.6度だそうですよ。うーん、冷涼。フィンカ・リオ・ネグロと長野県原村はなんの関係もないけれども。

とにもかくにも「ヨーロッパでもっとも標高の高いブドウ畑のひとつ」だそうで、「スペインのシベリア」と呼ばれているそうだ。スペインのシベリアはパワーワード東京ドイツ村(千葉県)かよ。

ゲヴュルツトラミネールはそんな標高1000メートルの畑で栽培。収穫期は日中が25度、夜間は0度近くになるという激しい寒暖差のおかでゆっくりと熟したブドウは手で収穫され、発酵後4カ月澱の上でエイジングされる。アルコール度数は14度。あと、リオ・ネグロ=黒い川がモチーフと思われるボトルのデザインが「妖怪ウォッチ」のジバニャンっぽい。

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似てる。

そんなワイン(2017ヴィンテージ )はどんな味がするのか、飲んでみた

 

フィンカ・リオ・ネグロ ゲヴュルツトラミネールを飲んでみた。

結論をいうとこれは1000円台ゲヴュルツトラミネールとして記憶に残しておきたいレベルで良かった。おいしい。

香りはこの品種らしいバラみたいなライチみたいな香りなんだけど主張しすぎることがなく、白ワインとしてバランスがいい。アペリティフ専用機みたいにならず、食事と合わせられる香り。

味は極めてドライでなるほど標高1000メートル感がある。高原の朝露みたいなスッキリ&甘露が両立している良さがある。そこにちょっとの苦み。

1000円台でこりゃいいや。対普段ワインあんまり
飲まない勢用もてなしワインの候補になりそうだわい、とうまうま飲んでコルクを差し戻し、休肝日を挟んで開栓から2日後に再飲して驚いた。

まるで大輪の花が咲いたように香りがすげえ。それも、バラとかじゃなくて、巨大な食虫植物の香りを思わせるようなエキゾチックな香りがする食虫植物の香りを嗅いだことはないんだけど。この変化は面白い。急にラ・マンチャ感出てきた。

私の購入価格は1721円。値段に対して十分に楽しめるゲヴュルツトラミネールだったのだったのだが、まさかの現在売り切れ中。新ヴィンテージに切り替わったらまた飲みたいワインだ。

 

赤品種も気になるな、こうなると。

 

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セブンイレブンで発見!885円のちょうどいいスパークリングワイン「LEBOLLE PINOT NOIR SOUVIGON BLANC」とは?

「レボッレ(LEBOLLE) ピノ・ノワール ソーヴィニヨン・ブラン」を買ってみた

先日、クリュッグなどといった身に余る高級酒をいただいてしまった。非常に素晴らしい体験だったのだが、それは完全に非日常体験であり、日常に回帰するためには安ワインでバランスをとる必要がある。というわけでコンビニ・セブンイレブンへと向かった。

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晴れた日曜日の夕方に、さくっと飲めるスパークリングワインが欲しい。当日買って1時間後に飲みたいので、高級品は選択肢から外れる。安くて、近所のコンビニで買えるもの……。

ヨセミテ・ロード・スパークリングあたりが本筋だろうかとお酒コーナーに向かうと、1本のスプマンテとバチッと目が合った。「レボッレ(LEBOLLE)」って書いてある。

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イタリアのスプマンテ「レボッレ ピノ・ノワール ソーヴィニヨン・ブラン」を飲みました。

ラベルから読み解けるところによればピノ・ノワールソーヴィニヨン・ブランを使ったエクストラドライなスパークリングワインのようで、2019のミレジマート。お値段は885円(税抜き805円)。なんだか面白要素がたくさんあるので、これを選んでみることにした。

 

レボッレ(LEBOLLE) ピノ・ノワール ソーヴィニヨン・ブランはどんなワインか?

さて、一体どんなワインなんだろうかと調査してみると。イタリアはロンバルディア州、オルトレポ・パヴェーゼなる土地の生産者、ロシート・エ・グアリーニ(Losito e Guarini)の造るワインであることがわかった。

1910年創業で、年間2500万本以上のワインを生産しているという大規模生産者みたい。住所をGoogleマップに入力してストリートビューを見てみても、その外観は巨大ステンレスタンクが立ち並ぶまさに大工場の様相。高級ワインはオークの小樽から、安うまワインは巨大ステンレスタンクから生まれるという宇宙の法則(諸説あり)があるので、これは期待が高まる。

ワインショップ「ドラジェ」の産地紹介ページによれば「オルトレボ・パヴェーゼ」は世界有数のピノ・ノワールの産地で、イタリア国内で最大の収穫量があるのだそうだ。へー。

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そのピノ・ノワールを使ったDOCGワインとして「オルトレポー・パヴェーゼ・メトード・クラシッコ」があり、これは白であってもピノ・ノワールを70%以上含み、収穫年入りのミレッジマートは24カ月以上の熟成期間が入っているようだ。

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裏ラベルのご様子。2019年ヴィンテージみたいですねこのワイン。

残念ながら私の購入したボトルのどこを探しても「オルトレポー・パヴェーゼ・メトード・クラシッコ」の文字はなく、調べたところそもそもステンレスタンクでまとめて二次発酵を行うシャルマ方式。データシートには熟成期間の表示もないので、こDOCGワインのお手軽バージョン、みたいな感じですかねこれ。

 

「レボッレ(LEBOLLE) ピノ・ノワール ソーヴィニヨン・ブラン」を飲んでみた

まあいいか、おいしければ。ということで飲んでみることにした。まだ太陽が西の空に残る4月の午後17時45分。安スプマンテを開けるには最高に近いタイミングだ。

グラスに注いでみると、色合いはかなり薄めでソーヴィニヨン・ブラン感がすごくある。味わいは青リンゴみたいな爽やかさ、レモンみたいな酸味に草っぽさや苦味もあって要するにソーヴィニヨン・ブランだなこれ。ピノ・ノワールどこいった。さっぱりだけじゃないコクみたいなものもある気がするからこれがピノ・ノワールの仕業なのだろうか。

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vivinoの評価は3.0と低め。でも全然悪くないです。「こういうのでいいんだよこういうので」的役割が明確にある。

でですね、これ結論をいえばアリ。1000円でお釣りがくる価格でこれは全然オッケーだ。めちゃくちゃおいしいわけじゃないけど、雑に飲みたい日曜日の夕方に開けるのにすごくふさわしい。香りもしないことないし。

スペインのカバにはつねにシャンパーニュを目指すベクトルみたいなのがある気がして、ときにそれがいらないと感じることもあるけれど、このスプマンテにはそれが一切ないのもいい。すっきりさっぱりした味で、「よく冷やして、アペリティフに楽しんでね」以外の思想を一切搭載してない感じが良い。

 

ヨセミテ・ロード・スパークリングかレボッレか

セブンイレブンの泡といえばヨセミテ・ロード・スパークリング。ヨセミテ・ロードが720ml入りで767円で、レボッレ ピノ・ノワール ソーヴィニヨン・ブランは750ml入りで885円とほんのわずかに高いが、選ぶならば「レボッレ」一択だ。そんな感じで、実にちょうどいい安泡でした。

 

プロセッコセットとか買ってみようかな。

 

と思って1本あたり予算を倍にすればシャンパーニュか……で迷う。

 

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クリュッグを飲みに、亀戸へ。名店「デゴルジュマン」で飲んだワインがなんだか色々すごかった。

クリュッグ グランド キュヴェを飲みに、亀戸へ

過日、以前一度伺ったことがある亀戸のシャンパンバー・デゴルジュマンの店長こと泡大将氏がツイッタークリュッグ グランド キュヴェをグラスで提供する旨つぶやいておられた。

クリュッグは「これだけは飲んでおきたい」みたいな銘柄のうちのひとつ。そして私はシャンパーニュが好物。これはいくしかあるまいと、いくつかの予定をねじまげて総武線を南へ向かった。目的はひとつ。クリュッグだ。クリュッグを飲んだことがある側の人間に今夜、我はなる。

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デゴルジュマンが鎮座する亀戸横丁のご様子

亀戸駅を降り、細い路地を抜けてビル型飲食店コンプレックス的な施設である“亀戸横丁”へとたどりつき、雑然したその内部を奥へと進むとデゴルジュマンはある。泡大将に「クリュッグ一杯だけでもいいですか……?」とおずおずと尋ねると、「もちろん、いいですよ!」と迎え入れてくれた。一杯飲む時間しかなくて恐縮だが、歓迎してもらえて一安心だ(結局2杯+α飲んだけど)。

 

クリュッグ グランド キュヴェの「エディション168」ってなんだ?

さて、この日提供されていたのはクリュッグ グランド キュヴェのエディション168。168ってなんだろう? と思うわけだが、「エディション162から、エディションの数字が入るようになったんですよ」と泡大将が教えてくれた。

クリュッグが設立されたのは1843年。その最初のキュヴェが「エディション1」で、エディション168はそれから数えて167回目に造られたキュヴェであることを示すみたい。はいカッコいい。

というわけで元気よく「クリュッグください!」とお願いし、泡大将に注いでもらうわけだがその間にクリュッグがどんなシャンパーニュなのか教えてもらった。

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クリュッグ グランド キュヴェ。うーん、たまらん。

ヒマ:そもそもクリュッグってどんな特徴があるんですか?

泡:樽発酵なのですが、ノンマロ(マロラクティック発酵を行なっていない)なんです。なので、酸化のニュアンスがしっかりとあるのが特徴ですね。有名どころでは、サロンや(ルイ・ロデレール)クリスタルなんかもノンマロです。

ヒマ:なるほど〜。お、注いでもらうとこれあれですね、意外と泡は控えめなんですね。

泡:ジャック・セロスなどもそうですが、あくまでワインとして造っているんですね。泡はあくまでも楽しみのひとつの要素、というか。

ヒマ:ほえ〜、なんとなく、いいシャンパーニュ=泡立ちが豊かみたいに思ってました。ちなみに、このエディション168はどんな感じなのでしょうか?

泡:ベースになっている2012年は太陽の年って言われる明るくて陽気な特徴があるんですよ。たとえばボランジェ グランダネ 2012はトロピカルフルーツみたいな感じがするほどです。

ヒマ:そのヴィンテージの特徴がこのエディション168にも表れているわけっすね。おし、じゃあいただきます!

泡:開けたてなので、ぜひ時間の経過による変化も楽しんでみてくださいね!

 

さて、このあと30分ほど時間をかけて飲んだわけだが、私が感じたのは「これは、起承転結の『起』の部分だ」ということだ。

素晴らしい小説は最初の50ページから物語に引き込まれる。素晴らしい映画は冒頭30分が短編映画として成立する。素晴らしい漫画は1巻で完結しても面白い。

今回飲んだボトルは目の前で開けてもらったもの。「お、やった、開けたてだヒャッホー!」みたいに喜んでいたのだが、泡大将いわくこのシャンパーニュは常温でも楽しむことができ、抜栓後一週間くらいはヘタらずに楽しめるという。

はじめてのクリュッグは大変おいしかった。すごくおいしかったのだが、私が感じたのは嵐がやってくる前の薄暗くなった空と生暖かい風のような印象だ。「このあとやべえやつがくる」みたいな感覚。つまり起承転結でいう起の部分。

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開けたて、注ぎたての様子。泡自体は弱めなのがわかる。

なんでこう思うのかといえば、泡大将のおっしゃる通り、わずか30分程度の間に味がどんどん変わったんですよ本当に。グラスを回すたびに香りが変わり、飲むたびに味の印象も変わる。どんどん複雑になり、魅力的になっていった。

 

シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴがすごかった!

ちなみに、私は1杯のクリュッグを泡大将にじっくり解説してもらいつつ飲んだのだが、素人の厚かましさでこんな質問もしてみた。「泡大将オススメのスタンダードシャンパーニュはなんですか?」 というものだ。

いるんですよ。プロの小説家に「オススメ小説ベストワンは?」とか映画監督に「オススメ映画なんでもいいんで1本教えてください」とか言っちゃうタイプの素人。それ完全にこの日の私でしたすみません今は反省している

ともかくその愚問に対する答えが、シャルル・エドシック・ブリュット・レゼルヴ。なんでもこのシャンパーニュ、現行品は3年の熟成後にリリースされるらしいのだが、「旧ラベル」では熟成期間がなんと8年だったのだそうだ。それは裏ラベルで確認でき、「よかったら飲んでみますか?」と出してもらったボトルには、セラー入りが2009年、デゴルジュマンが2017年である旨が記載されている。(デゴルジュマンではこの『旧ラベル』を複数本確保しているのだそうだ)

もちろんノータイムで「いただきます」と回答。シャルル・エドシック専用グラスに注がれた液体がヤバすぎたんですよみなさん

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シャルル・エドシック ブリュット・レゼルヴ。8年熟成すごすぎた。

先ほど注がれたクリュッグとはまったく違う激しい泡立ち。香りは……これ完全にクリームブリュレ! 冷たい状態でサーブされたのに、香りはオーブンから出した瞬間のあっつあつのそれ。飲んでみてもその印象は変わらず、口のなかで泡と一体となっておいしさ爆弾みたいになる。液面が焦げたカラメルでカチカチになってんじゃないかってレベル。

なんですかねこれは。原始生命って太古の海とかじゃなくてシャンパーニュの泡から発生したんじゃ? って思うほどのエネルギーを液体から感じる。うますぎ注意報……いや、うますぎ警報だよこれは! 

 

ヒマ:なんですかこれは。超絶うまい。どうなってるんですか一体!

泡:クリュッグとは違ってマロがかかってるんですよね。発酵はステンレスタンクで、樽は使っていないんですけど、コクがすごいですよね。

ヒマ:えっ、樽使ってないんすか。

泡:そうなんですよ。「樽がきいてるね!」と言う方が結構います(笑)。

ヒマ:へ、へえ〜、そうなんすねあはははは。(『樽、きいてますね!』って言わなくて良かった……!)

 

泡大将はシャルル・エドシックを「シャルル」と呼んでいた。マニアはカップ焼きそば「一平ちゃん 夜店の焼きそば」を、親しみを込めて“ちゃん付け”をやめ、「一平」と呼ぶというがそれに近しいものを感じた。

 

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セラー入り2009年、デゴルジュマン2017年。すなわち(スタンダードでありながら)8年熟成!

 

シャトー・リューセック1996もすごかった!

クリュッグを1杯飲んで帰る」って話じゃなかったのかよ感ここに極まれりだが、こんな感じでクリュッグ エディション168をいただき、2017デゴルジュマンのシャルル・エドシックをいただき、その後シャトー・リューセック1996までいただいてしまったのだった。

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シャトー・リューセック1996。これも下手すると生涯忘れない味がした。

長くなるのであれなのだがシャトー・リューセック1996やばかったんですよほんと。泡大将いわく「高級セメダインの香り」とのこと。全カブトムシ憧れの究極の樹液、みたいな味がして、これもすさまじい味覚体験だった。めちゃくちゃおいしかった。

こんな感じで目の前にはクリュッグ グランド キュヴェ、シャルル・エドシック ブリュット レゼルヴ、そしてシャトー・リューセック1996の空のグラスが並んだ。そして最後に、空のはずのクリュッグのグラスの香りに私は心底驚いたのだった。キャラメルの香りがする! なんだこりゃ。「どうしてこうなるんですか?」と泡大将に問うと、「深いですよね……ワインは」という答えが返ってきた。「答えは風の中にある」といった意味だと解釈し、深く記憶に残るワインを3種飲ませてもらって滞在約45分、私は亀戸を後にしたのだった。うーん、大満足。またお邪魔します!

注:本記事の内容は、泡大将氏に飲みながら聞いた話をベースにしています。仮に本記事の内容に間違いがあれば、それは私の聞き間違い、もしくは知識不足からくる勘違い。間違いがあればご指摘ください!

 

クリュッグ、1本まるまる飲みたいなあ……。

 

シャルル・エドシック ブリュット レゼルヴ。現行品もいずれ飲まねば。

 

シャトー・リューセック1996は意外とお手頃……!

キスヴィンワイナリーはどんな生産者? 醸造家・斎藤まゆさんが造るワインを飲んでみた【Kisvin Winery】

斎藤まゆさんが醸造責任者を務めるキスヴィン(Kisvin)ワイナリーはどんな生産者か?

2021年4月20日放映のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に取り上げられると聞いて興味を覚え、改めてキスヴィンワイナリーのワインを飲んでみることにした。番組のサブタイトルは「笑顔をうつす、ひとしずく~ワイン醸造家・斎藤まゆ」。キスヴィンワイナリーは、斎藤まゆさんという女性が醸造家を務めている生産者だ。

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キスヴィン(Kisvin)ワイナリーについて調べたことをまとめました

キスヴィンワイナリーの歴史は、2001年、山梨県甲州市塩山のブドウ農家の3代目である荻原康弘さんが家業を引き継いたどことに端を発する。荻原さんは2002年頃にはワイン用ブドウ栽培を将来的な事業の重点項目に位置付けた、と公式サイトにある。

その後、2005年にブドウ栽培者の池川仁さん、東京大学大学院の西岡一洋さんらと醸造用ブドウの勉強会グループ「Team Kisvin チームキスヴィン」を立ち上げる。

2008年、シャトー酒折にワイン用ブドウの販売を開始してシャトー酒折よりKisvin Koshu 2008を発売すると、2009年株式会社Kisvinを設立。2013年、自社醸造施設のキスヴィンワイナリーを設立し、ワイン醸造を開始する。

 

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 この「Kisvin Koshu2008」発売の経緯は興味深い。エノテカのワイナリー紹介ページによれば、荻原さん、池川さんから届くブドウの品質が「あまりにも高い」ことに気がついたシャトー酒折が、「別にブドウを仕込ませてほしい」とオファーし、専用タンクを新たに購入してリリーすることになったのだとか。

「栽培するブドウの質の高さから特別なキュヴェが仕込まれるほど、荻原氏はブドウ栽培のスペシャリストとしてその実力を認められるようになりました。」とエノテカのサイトは荻原氏について記している。

実際、キスヴィンワイナリーの畑では、シャルドネの畑に雨除けの屋根を張り、甲州にはひと房づつ傘をかけるなど、非常に手間をかけて栽培をしているようで、それがワインのクオリティに直結しているようだ。

 

キスヴィンワイナリーの醸造責任者・斎藤まゆさんのキャリア

そして、醸造責任者を務める斎藤まゆさんは、その2013年からキスヴィンワイナリーの醸造責任者を務めているのだそうだ。

クラシコムジャーナル」の記事によれば、斎藤さんは語学に興味を覚えて15歳でアメリカ・テネシー州に留学、そこでお笑いに目覚め、芸人になろう! と演劇が盛んな早稲田大学の第二文学部に進学したのだそうだ。

 

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そして、大学2年時にボルドーを旅した際に出会った、自分たちのブドウ畑で自分たちのワインを造るおばあちゃんを見て、「あのおばあちゃんのようになりたい」と早稲田大学を中退、カリフォルニア州立大学フレズノ農学部醸造学科で学ぶ道を選択する。

そして、その在学中に書いたブログにキスヴィン・ワイナリー代表の萩原さんが注目。チームの仲間を伴ってカリフォルニアに渡り、直接斎藤さんを口説いたのだそうだ。

そしてその後、シャブリのドメーヌ・ジャン・コレ、イランシーのドメーヌ・ティエリ・リシューで研鑽を積み、晴れて斎藤さんはキスヴィンにジョインすることになる。

 

世界最優秀ソムリエ、ジェラール・バッセがキスヴィン ピノ・ノワールを絶賛

そして2017年。世界最優秀ソムリエでマスター・オブ・ワインのジェラール・バッセ(2019年没)との会食の機会を得、「キスヴィン ピノ・ノワール」を「才能豊かな醸造家が造ったこのワインは、ユニークでセンセーショナル」と称賛されたことでキスヴィンの名は世界に知れ渡ることになる。

そして、ブドウ栽培家の荻原康弘さんとの二人三脚の元、「高品質のブドウができさえすれば、醸造とはシンプルかつ平易なものである」をモットーに、ブドウ造り、ワイン造りを行なっているというのがキスヴィンワイナリーの概要。2019年には「キスヴィンシャルドネ」がANAのファーストクラスにも採用されているなど、まさに快進撃といったところだろうか。

そんなキスヴィンワイナリーのサイトには、赤ちゃんをおんぶしてブドウの世話をする斎藤さんの写真が掲載されている。シングルマザーとして一人息子を育てながら、ワインも育てているのだそうで、個人的にすごくいい写真だと思うのでぜひ公式サイトを訪問してご覧いただきたい。

 

キスヴィンワイナリーのワイン一覧

では、キスヴィンワイナリーにはどんなワインがあるのだろうか。まずはそのラインナップを見てみよう。

《白》


Kisvin Koshu(甲州)


Kisvin Koshu Réserve(甲州レゼルヴ)


Kisvin Chardonnay(シャルドネ)


Kisvin Chardonnay Nude(シャルドネ ヌード)


Kisvin Chardonnay Réserve(シャルドネ レゼルヴ)


Kisvin Blanc(ブラン)

《赤》


Kisvin Rubis(ルビー)


Kisvin Syrah(シラー)


Kisvin Pinot Noirピノノワール

《ロゼ》


Kisvin Rose(ロゼ)


Kisvin Pinot Noir Rose(ピノノワール ロゼ)


Kisvin Syrah Rose(シラーロゼ)


Kisvin Zinfandel Rose(ジンファンデルロゼ)

《スパークリング》


Kisvin Koshu Sparkling(甲州スパークリング)

白が6種、赤3種、ロゼ2種、スパークリング1種が公式サイトには掲載されている。品種を見ると、山梨県のワイナリーらしく地品種の甲州があり、白はほかにシャルドネ。赤用品種として、シラー、ピノ・ノワール、ジンファンデルなどを栽培していることがわかる。

このうち、まず注目したいのは、ジェラール・バッセが絶賛した「キスヴィンワイナリー ピノ・ノワール」だろう。エノテカの商品ページによれば「淡いルビーの色合い。チェリーやイチゴの果実香に重なるシナモンやキャラメルのニュアンスが柔らかい印象を与え」るとある。

 

もうひとつ「シャルドネ・レゼルブ」もスペシャルキュヴェ的立ち位置であるようだ。同じくエノテカの説明によれば、「今飲んでも美味しく、またしっかりとした骨格を備えているため、熟成させても楽しめる最高級の日本ワイン」とある。生産量は僅か1230本と非常に希少なようだが、一度飲んでみたいワインだ。

 

個人的には、スパークリングの「甲州スパークリング」を飲んだことがある。非常に爽やかな酸味と、甘くならない果実味が魅力のスパークリングワインで、夏に飲むのにピッタリという印象を受けた。

山梨といえば甲州。この夏には、キスヴィンワイナリーが甲州で造るワインも飲んでみたいと思う。

 

キスヴィンワイナリー「Rubis(ルビー)」を飲んでみた

さて、今回飲んだのは「Rubis(ルビー)」という赤ワインなのだが、これは一体どのようなワインなのだろうか。「e-wine」の商品ページによれば、山梨県甲州市産のピノ・ノワール48%とシラー52%のブレンド

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キスヴィンワイナリー「Rubis(ルビー)」を飲みました。

グラスに注いでみるとやや薄めの明るいルビー色で、鉛筆とか墨のような落ち着いた香りと、ベリー系の果実香が非常に心地よい。飲んでみると、かなりくっきりとした酸味が特徴的。それを渋みが支え、奥から果実の旨み、甘やかさが漂ってくる。シラーならではのスパイシーさも感じられる。

印象としては「滋味深い」という言葉になる。ガツンとステーキ! とか、バターたっぷり濃厚フレンチ! とかではなくて、焼き鳥とか山椒を効かせたうなぎの蒲焼とかすきやきとか、やや味付けの強めの和食メニューに合いそうだな、と感じた。

繊細なのに芯のところに力強さを感じ、竹のようなしなやかな弾性を感じさせる味わいは、このワインをつくる斎藤まゆさんのパーソナルもこんな感じなのだろうか、といった妄想を捗らせてくれるものだ。価格は少々高いが、日本の、山梨の赤ワインの現在地点を知る意味で飲んで損のないワインだと思う。もちろん、セラー等で寝かせて飲んだらまた違う味わいを感じられるはずだ。

 

キスヴィンワイナリーと斎藤まゆさんのこれから

WEBメディア「アクティオノート」のインタビューで、斎藤まゆさんは「いま抱いている夢」を問われてこう答えている。少し長くなるが、全文を引用する。

いまはコロナの影響で閉めていますが、私たちはワイナリーに小さな直売所を併設しています。コロナの前は、最寄りのJR中央本線塩山駅から、徒歩15分くらいの道のりを歩いて、ワインを買いに来てくださるお客さんもいらっしゃいました。私たちのワインがどうしても飲みたいというファンがもっと増えて、塩山駅の改札から直売所の入り口まで途切れることなく延びる長い行列を見るのが夢。近いうちに必ず実現させたいと思っています。

現在のコロナ禍がかえすがえすもうらめしいが、現在の状況が落ち着き、ふたたびワイナリーの直売所がオープンした折には、駅からの道のりを歩いてぜひ訪問してみたいものである。ちなみに、中央本線塩山駅はJR新宿駅から特急列車で1時間半。ちょうど良い小旅行になりそうだ。

 

キスヴィンワイナリーのワインを手に入れるには? ふるさと納税も!

では、キスヴィンワイナリーのワインを飲みたくなったらどうすれば良いか。下に販売店をまとめたが、キスヴィンワイナリーはネットショップでも比較的容易に手が入る。また、キスヴィンワイナリーではなく、チームキスヴィン名義では、チームキスヴィンがつくったブドウを使い、酒折ワイナリーが造ったワインをふるさと納税で手に入れることもできるようだから、ふるさと納税の寄付先に迷った際の選択肢にしても面白いかもしれない。

  

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<キスヴィンワイナリー・ワイナリー概要>

Kisvin Winery
 

山梨県甲州市塩山千野474

TEL:
0553-32-0003

<斎藤まゆさんプロフィール ※キスヴィンワイナリー公式サイトより>

昭和55年生まれ 早稲田大学在学中に日本でのワイン造りを目指し、同大学を中退。カリフォルニア州立大学でワイン醸造学科卒業後、成績優秀により同校ワイナリーの醸造アシスタントに抜擢。現地学生の指導にあたる。その後はドメーヌ・ジャン・コレ、ドメーヌ・ティエリ・リシュー(いずれも仏ブルゴーニュ)などで研鑽を積み、平成25年よりKisvinワイナリー醸造責任者。近年では『ワインの真実』(ジョナサン・ノシター著)「訳者あとがきにかえて」執筆など。

 

<キスヴィンワイナリー・取扱店舗>

山梨:新田商店
http://www14.plala.or.jp/nittawine/

千葉:株式会社いまでや


http://www.imaday.jp/

東京:株式会社カーヴ ド リラックス

http://www.cavederelax.com/index.html

東京:矢澤味噌醸造株式会社 
03-3973-4501


新潟:有限会社 寿酒店


https://www.kotobukisaketen.com

大阪:タカムラ ワイン&コーヒーロースターズ


https://takamuranet.com/

大阪:白菊屋


http://shiragikuya.com/

滋賀:加藤酒店


http://katosaketen.kera.jp/

福岡:尾池酒店


http://www.oikesaketen.com/

兵庫:松岡商店
 078-611-0388

キスヴィンワイナリーとANAの期間限定オリジナルワインが発売中

4月13日(火)~5月17日(月)の期間限定で、ANAオリジナルブレンドのワイン<キスヴィン>ANAオリジナルブレンド甲州【2020】が発売中。価格は3960円税込。

ANAオリジナルブレンド<キスヴィン甲州>特集| ANAショッピング A-style

 


<参考記事/サイト>

キスヴィンワイナリー
http://www.kisvin.co.jp/

クラシコムジャーナル 「「ワイン界の神様」を唸らせた女性醸造家 斎藤まゆ。ガレージで歌い踊る、その理由。」
https://kurashicom.jp/3679

アクティオノート「キスヴィンワイナリー醸造責任者、斎藤まゆ氏の挑戦。日本のガレージから、世界を驚かせるワインを造りたい」
https://note.aktio.co.jp/food/20201022-1000.html

エノテカ

キスヴィン・ワイナリー / Kisvin Winery | エノテカ - ワイン通販

 

【KALDI】ドンペリは当たるか!? カルディのワインくじ「スプリングチャンスボックス」を詳細解説【2021年4月】

ドンペリ2010が当たる! カルディ「スプリングチャンスボックス」概要と賞品一覧

2021年4月某日、カルディコーヒーファームのワインくじ、「スプリングチャンスボックス」が発売されていたので買った。かれこれ5回目の購入である。

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店舗ごとの販売数は60個。価格は2200円税込で、1等はドンペリことドン・ペリニヨンの2010年ヴィンテージ。前回までは2008年ヴィンテージだったが、今回からヴィンテージが更新されたようだ。ドンペリの2010ヴィンテージはテイスティングをしたことがあって強烈においしかった記憶がある。

 

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飲みたいなあ。否、飲む。くじを当てて。というわけでさっそく、今回の内容を見ていこう。

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賞品一覧。狙うはもちろんドンペリであります。

1本 ドン・ペリニヨン2010 1万9634円
1本 ファミリア・コタレッラオグラ 1万2000円
2本 ペレ・ヴェントゥーラ カバ ヴィンテージ ブリュット グランレゼルバ2014 8000円
1本  ローレルウッド リザーヴ・ピノ・ノワール 4000円
3本 ポッジョ・ボネッリ キアンティ・クラッシコ リゼルヴァ 4000円
4本 カーサ・サントス・リマ クイド・プロ・クオ レゼルバ  4000円
4本 スペリ ヴァルボリチェッラ・クラッシコ スーペリオーレ サントゥルバーノ 4000円
8本 イカルティ ランゲ・ネッビオーロ 3500円
6本 ファレスコ RC2 サグランティーノ・ディ・モンテファレスコ 3200円
6本 サン・パトリニャーノ1978 3200円
1本 ブリガルダーラヴァルボリチェッラ スーペリオーレ 3000円
7本  ローレルウッド ピノ・グリ 3000円
8本 ミラム プリオラーティ イニシ 3000円

8本ソーンクラーク イーデン・ヴァレーNV ブリュット 3000円

14種60本の平均価格は3900円で、2020年冬の「ウインターチャンスボックス」の3993円とほぼ同じ。平均価格4167.9円の2021年正月の「ワイン福BOX」に比べるとややお得度が低いということになるようだ。ま、細かいことは抜きにしてドンペリが当たればいいんですよ

 

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カルディのワインくじでドンペリを当てるには? 当て方を解説

さて、となるとどうすればドンペリを当てることができるか、ということになるのだが、これに関してもすでに結論は出ている。ドンペリの重さは1671グラムであり、カルディの「チャンスボックス」に用いられる箱の重量は161グラム。総重量1842グラム。これが「ドンペリの入った箱の重さ」ということになる。

参考までに、前々回私が選んだ箱の総重量は1587グラムであった。その差、驚きの250グラム弱。250グラムって猫の赤ちゃん一匹分ですからねみなさん。ここからわかることはひとつで、ドンペリの入った箱はかなり重い、わかりやすく重いということがわかる。端的に、もっとも重い箱を選べばそれがドンペリだ。

要はこの情報を知っているか知らないか。勝負を分けるのはこの1点だ。現代社会とは、より多くの情報を持っている人間が生き残るサバイバルレースである。

カルディ「ウインターチャンスボックス」の価格帯ごとの本数と、当選確率

価格帯ごとの種類と本数、当選確率は以下のようになる。

ドンペリ/1本/1.6%
1万円台/1種1本/1.6%
8000円台/1種2本/3.3%
4000円台/4種12本/20%
3000円台/7種44本/73.3%

ドンペリを当てるのが目的なのでドンペリが出れば文句なしの大勝利。2本入っている8000円のペレ・ベントゥーラは同じ生産者のスタンダードレンジが大変おいしかったのでその2014ヴィンテージのグランレゼルバはすごく気になる。というわけで、このワインまでが勝利だ。計4本。確率は6.6%。

 

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妥協枠は確率20%の4000円台の4種12本。3000円台のワインが出れば敗北だ。73.3%の確率で敗北するとわかっていても、人には戦場に向かわなければならないときがある。

ともあれ、ここ最近の私はくじ運が悪くない。2020年冬にはイオンのワインくじでテタンジェを当て、2021年に入ってからはエノテカのワインくじでサッシカイアを当てている。高まってる、運気。今回こそは当たりそうな気がするんですよ本当に。

 

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ちなみに、これは以前にも書いた内容だが1.6%の確率とはコイントスで6回連続表が出る確率だ。天をもうがつ我が運気を証明しようと試しにやってみたら一発目で裏が出た。けどほらアレですよ、運気は本番にとっておくものであるあはははは。

 

ドンペリは当たるか!? カルディのワインくじ「スプリングチャンスボックス」を購入

さて、実際の売り場に来てみると、目の前には手に取ることが可能な箱が12個ほどある。感染症対策が声高に叫ばれる昨今、万が一があってはならぬと入店直前に洗面所でよく手を洗い、店舗入り口では消毒液を両手によくよく擦り込み、指紋なくなるんじゃないかというレベルまで手指を洗浄・除菌した上で各箱をそれぞれ数センチずつ持ち上げ、私は確信した。これだ、と。

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手を除菌し倒した上で、重さを試します。

明らかに重い一箱。これがドンペリじゃなくてなにがドンペリであろうか。箱の中の液体がこう囁いている「やれやれ、おれの負けのようだな。そう、おれが……ドンペリだっ!」と。

 

カルディのワインくじ「スプリングチャンスボックス」いざ開封

やれやれはこっちのセリフだぜ……箱を開けながらドキドキしたいのに、重さってわかってしまうだなんて、正解に至る知識を身につけてしまうのも考えものだな……と自宅に戻ってきたのでさっそく計量してみることとした。

 

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あれ。

つまり箱の重さが1842グラムであることを確認する作業なんだけどおや変だな。なんかこう、自宅周辺だけ時空間がゆがんでるようだ。困るんだよなあ、重力が1Gじゃないと正確に重さが計れなくて。

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本当は1842グラムのはずなので重力に異常が起きてるとしか考えられない。

どうやら仮説上の素粒子である重力子・グラビトンに不具合が起きているようなので、気にせず開封の儀に移りたいと思う。いでよ、ドンペリ

 

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なんかでた。

これドンペリじゃないな(知ってた)。丸に十字の紋章。島津家の家紋かよ。というわけでカルディのチャンスボックス名物、開けた瞬間に勝負が決する仕様に基づき早くも非・ドンペリであることが確定した。重力が正常に働いていることがわかったから結果オーライである。ああ良かった。外れて良かった!(下を向いて両拳をグッと握り、唇を噛みしめながら)

 

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ミラム プリオラーティ イニシが当たりました

というわけで、これはミラム プリオラーティ イニシ 3000円。いわゆるひとつの末等である。ただ、このワイン、vivinoでラベルをスキャンするとその口コミ評価点は4.2点と極めて高い。「高コスパ」みたいな評価が並んでいて、飲むのが非常に楽しみだ。外れても、ハズレのワインとの偶然の出会いを楽しめる。これがワインくじの最大の楽しみだ。これは本当に。

というわけで、カルディのワインくじ「スプリングチャンスボックス」5回目の挑戦の今回のドンペリを当てることはできなかった。次回、「サマーチャンスボックス」でお会いしましょう!

 

このワインくじも買いました↓今回使わなかった運気でこっちを当てる!

 

こんなイベントもやります!

 

シャンパーニュを“食べる”とどうなる?「ハマグリのシャンパーニュ蒸し」をつくったら大変なことになってしまった

シャンパーニュ鍋」なるものがこの世にはあるらしい。

シャンパーニュ鍋」なる概念があることを知ってしまった。もともとは銀座の老舗日本料理屋「美登里」の看板メニューなのだそうで、アサリやハマグリ、カキといった貝を入れた鍋にシャンパンを注いでつくる料理なのだそうだ。なにそれ気になる。

ここで、お金のある人は「美登里」に予約を入れるだろう。ではお金のない人(私)はどうするかといえば答えは「自作」である。とはいえ今は4月。気候的にちょっと鍋って感じでもないので、試作品的に貝をシャンパーニュで煮てみることとした。酒蒸しならぬワイン蒸しならぬシャンパーニュ蒸しだ。

問題は、どんなワインを使うべきかという点になる。「美登里」の紹介記事を見ると、オススメは「アンリ・ジロー エスプリ」だそうだ。5000円くらいするやつ。はい無理。さすがに無理。5000円札を鍋に投入する度胸、我になし。

どうしたもんかなあと悩む私の肩にポン、と手を置いた者がいる。一体誰かと振り返ってみると……おっ、お前は、良識!?

 

ハマグリのシャンパーニュ蒸しを巡る「良識」との対話(脳内)

良識:現実を見ろよ、シャンパンを使って鍋を作るなんて貧乏人がやることじゃない。せめて900円くらいで買える「サラ・ビベ」を使いなさいよ。それで十分だろ?

ヒマ:良識よ、言いたいことはわかる。でも、ここはスパークリングワインじゃダメなんだよ、シャンパーニュじゃないと意味がないんだ……。

良識:シャンパーニュはどんなに安くても2000円はする。今の自分の格好を見てみろよ、シャツとズボンで総額2000円くらいだぞ? その金額を鍋に投入していいとでも?

ヒマ:くっ……じゃ、じゃあ半分っ! 半分入れるならいいだろそれなら1000円だし! 食べたいったら食べたいのッ! シャンパーニュじゃなきゃダメなんだっ。

というわけで良識に完全に論破されつつも、辛くも「2000円くらいで買えるポワルヴェール・ジャックを半分だけ使うならアリ」ということで己の心と折り合いをつけた。

そうと決まれば善は急げ。近所の鮮魚店で大ぶりな千葉県産のハマグリを買い、ポワルヴェール・ジャックを用意して日が沈むのを待った(ちなみにアサリは売り切れ、エシャロットは買うのを忘れた)。

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材料はシャンパーニュとハマグリで以上終わり。塩も入れません。

アサリが売り切れ、かつエシャロットを買い忘れたことで、この料理に使う材料はわずかふたつとなった。すなわちシャンパーニュとハマグリ約550グラム。この料理、塩すらも入れないんだそうだ。

シャンパーニュは半分を鍋に入れ。半分はそれと合わせて飲む。そのため、まずは半分を軽量カップに移したのだが「シャンパーニュを軽量カップに注ぐ」行為の心理的ハードルがヤバい。

今なら引き返せる! 「なんでも酒や カクヤス」で500円で売ってる泡でいいじゃないか! と最後の説得を試みる良識に背を向け、男なら一度決めた道を進むのみだと軽量カップシャンパーニュを投入である。2度とは戻れぬ橋を渡ってしまった感すごい。

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カエサルルビコン川を渡ったときもこんな心境だったに違いない。

ここまできたらもう後戻りは不能! ハマグリを鍋に入れて火にかけ、上からシャンパーニュを注いでいく。f:id:ichibanboshimomojiro:20210414091858j:plain

鍋にシャンパーニュ投入!

そしてこの瞬間とんでもないことが起きた。

キッチン中に溢れ出す、とてつもないシャンパーニュの香り!!!

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シャンパーニュ香が鍋から爆発している様子。すごい香りだ!

結論めいたことを書くと、これを体験するだけでもこの料理は試す価値がある。いつもはグラスから香る繊細で美しいあの香りが、沸騰することで爆発的に、暴力的とすら言えるボリュームでキッチンを埋め尽くすのだ。シャンパーニュの香り……沸騰してなお、エレガント!

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ふたを開けたときの香りがまたヤバい。

鍋をしてしばし待ち、ハマグリのカラが開いたところで取り出したら、料理としては完成だ。鍋に入れて火をつけるだけ。火が通ったなら、いざ実食である。

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完成。見た目はただのハマグリ。

カラでスープをすくい、身とともに口に入れて、私は感動した。シャンパーニュの味がする……!(そりゃそうだ)   約2000円で買えるシャンパーニュとして自宅でのちょっとしたパーティとかで毎回登場するポワルヴェール・ジャック。舌になじんだその味は、ハマグリと一緒に鍋で煮込まれてなお健在。

料理としては非常に不思議な味だ。十分に砂抜きをしたハマグリとシャンパーニュしか入れていないため、塩味はほぼない。ないのだが、それぞれの旨味が掛け合わさることで、物足りなさは感じない。

そして言うまでもなく冷やしたポワルヴェール・ジャックとの相性は抜群。ハマグリをシャンパーニュでおっかけ、次いでスープを一口……みたいに食べるとこれはもう、想像通りのおいしさ。ハマグリを食べ終えるころ、残りのポワルヴェール・ジャックもきれいに消えた。ごちそうさまでした。

 

「ハマグリとシャンパーニュのチーズクリームパスタ」をつくってみた

大満足、なのだが正直に申し上げて本番は翌日だった。

なんでも、シャンパン鍋は生クリームを加えて味変し、さらにチーズを加えてパスタにするとおいしいのだそうだ。そんなもんやるしかないので、翌日のランチにパスタに仕立てることにした。

具は千切りにしたニンジンとマッシュルーム。チーズは自宅にあったペコリーノを入れることにした。

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シャンパンパスタの材料のみなさん。

作り方は簡単だ。

【1】材料を刻む

【2】フライパンに昨日の残りのスープを入れ、具を入れて火にかける

【3】パスタが茹で上がる3分前にフライパンに移し、チーズを加えてなじませる

以上だ。

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前夜の残り汁に具を入れ、生クリームを加えてひと煮立ち。

パスタをアルデンテのはるか手前で上げてフライパンで仕上げる技はローマ近郊の有名レストランに勤務する友人に教わったワザで、ボンゴレとかが劇的においしくなるので皆様お試しください。

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茹で時間8分のパスタを5分茹でてフライパンに移し、フライパンでチーズとともに煮るの図。

で、スープがパスタに煮絡まったところで盛り付けて、オリーブオイルを回しかけて食べてみた。

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完成。

やべえ。

これはうまい。ハマグリのうまみとシャンパーニュのうまみが凝縮したエキスをチーズが塩味とともにコーティングしてパスタと一体となっている。どえらいなこれは。

そして、もはや水分をほぼ失ってなお、しっかりとポワルヴェール・ジャックの味と香りがする。ジャック健在。ゆえに、私はいまシャンパーニュを食べている。そう感じることが可能となる。これはフォークでクルクル巻いて食べるタイプのシャンパーニュ

ポイントとしてはチーズを大量に入れることだと思われる。なんだかんだシャンパーニュの酸味は煮切った最後まで残り、これはパスタと無条件で好相性とはいえない。しかし、チーズの甘みと混ざり合うことでまろやかになり、塩味とうまみもプラスされる。印象としてはアマトリチャーナ(ローマ人の友人はワインヴィネガーで味付けする)的な、すっぱい系パスタだ。

また、オリーブオイルもなんだかんだでそこそこ大量に必要だと思う。私は仕上げにかけたが、パスタとソースをフライパンで絡める際に入れる一手もありえたと思う。ここは次回以降の検討材料となるだろう。

というわけで、シャンパーニュ鍋への試作ともいえるこの料理、ハマグリだけで作ってみたがそれなりにおいしくできたのだった。次回は今冬にでもハマグリ、アサリ、カキのフルラインナップの「シャンパン鍋」に挑戦してみたい。シャンパン鍋ワイン会、とかも楽しそうだなー。みなさんぜひご一緒しましょう。

 

本日の材料ことポワルヴェール・ジャック。ポワルヴェール・ジャックは戦場を選ばない。

 

ポワルヴェール・ジャック プルミエ・クリュなんてあるのか! 買います。

 

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