ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「お酒ドンキ」でドンペリが当たる2178円のワインくじに挑戦! なにが当たった!?

東京駅八重洲地下街の「お酒ドンキ」に行ってみた

「お酒ドンキ」なる店舗が東京駅八重洲口直結の八重洲地下街にできたと聞いたので行ってみた。狭い店内にお酒がギチギチに陳列されていて、ワインの棚も充実しているのだが、特徴的なのは棚ごとに輸入元が決まっている点。

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「お酒ドンキ」に行ってみました。

イメージ的には書店の文庫棚だ。ハードカバーがテーマや著者別に分類されるのに対し、文庫棚は多くの場合「講談社文庫」とか「集英社文庫」といったように版元によって分類される。それと同じように、お酒ドンキには「都光」棚があったり「ローヤル・オブ・ジャパン」棚があったり「オーバーシーズ」棚がある。

 

「お酒ドンキ」のワインくじは2種類

ドンキだけにエンタメ感みたいなものも非常に重視している印象で、ワインくじも複数用意されていた。そのうちのひとつが定番のドンペリくじなのだが、これがどこからどうみても成城石井のワインくじと同じやつ。

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私が購入したワインくじがこちら。成城石井感がすごい。

前述のように棚ごとにインポーターが割り当てられているようなので、このワインくじの棚が実質東京ヨーロッパ貿易棚ということなのかもしれない。東京ヨーロッパ貿易は成城石井の輸入会社であります。

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2021年6月25日現在の情報で、10本に1本バローロが当たるっていうトーレス、アンティノリ、クラレンドル・ワインズとかのワインがズラリが並んだエノテカ感満載の赤ワインくじもあった。ともあれ、本ブログの趣旨のひとつに「ドンペリが当たるまでワインくじを買い続ける」というものがあるので、迷わず成城石井くじのほうを購入した。

 

お酒ドンキのワインくじはなにが当たる? 当選商品一覧

価格は2178円。ラインナップは以下だ。

 

シャンパーニュ群】5本
1本 ドン・ペリニヨン 2万878円
1本 ドゥロ ブランドノワール 1万890円
1本 ポメリー ブリュット ロワイヤル 7480円
1本 ジャイヨ ブリュット 5379円
1本 シャンパーニュ ジョセフ デブロワ 3289円

【瓶内二次発酵群】25本
3本 モワンジョン ヴァンムスーブリュット 2849円
6本 ベー・フランソワ ブリュット 2849円
16本 ルイーズ・デストレ ブリュット 2849円

【ハズレ群】30本
14本 シャルル ベルナール ブリュット 2189円
16本 クリューズ ブリュット 2189円

くじは合計60本。価格には幅があるけれどもシャンパーニュがまとめて当たりだとすればそれは5/60で約8.3%。

続いて妥協枠としてどれもお値段2849円の瓶内二次発酵スパークリングワイン群があり、それは25/60で約41.6%。

その下に2種いずれも2189円という購入価格+11円という「一応お得です。」という印象の問答無用のハズレワインが30本用意されている。

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なかにはなにが……?

これはもうシャンパーニュでなければハズレといっていいので、91.6%の確率でハズレというかなりハードなくじだ。ちなみにすべてのワインの価格を合計して60で割った1本あたりの平均価格は約3080円となる。

 

「お酒ドンキ」のドンペリが当たるくじを開けてみた

さて、ではいざドンペリ目指してくじの中身をオープンしていこう。

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なんか出た。

厚紙の箱を開封するとキャップシールが現れるわけだが……ドンペリくじを見つけるたびに購入し過去全敗とかいう私レベルの呪われたキャリアの持ち主になるとこの時点でわかる。「あ、これシャンパーニュじゃないな」と(誰でもわかる)。

8.3%の幸運、我に訪れず。というわけで、あとは瓶内二次発酵か否かの二択となる。がっかりしつつも、ボトルを引っ張り出してみましょう。えいっ!

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ルイーズ・デストレ ブリュットが当たりました。

というわけで出たのはルイーズ・デズトレ ブリュット2849円だった。

ちょっと調べてみたところ、フランスはロワールの造り手、マルセル・マルタンがつくる瓶内二次発酵のワインで、シュナン・ブラン、コロンバール、ユニ・ブランが使われてるみたい。

マルセル・マルタンはフランスの大手GCFグループが所有するワイナリーで、輸入元はもちろん東京ヨーロッパ貿易だ。

正直に申し上げて心情的には完全無欠のハズレなのだが、そうはいってもこの季節スパークリングワインはいくつあっても腐らない。せっかくのご縁、楽しく飲みたい次第だ。

なにはともあれお酒ドンキ、インポーターごとに棚が峻別されるというわりとありそうでない感じの陳列が個性的なショップだった。すぐ近くには人気ワインが多数揃って棚を眺めるだけで楽しい「リカーズハセガワ」もあるので、東京駅に来たら一度立ち寄ってみるといいかもしれない。話のタネに。

 

こちらはオーパス・ワンが当たるワインくじ。確率1/100↓

 

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キュヴェ・リカ ピノ・ノワールが「3000円以下のピノ・ノワール」BEST級だった件【Cuvee Rika Pinot Noir】

ロングリッジの「キュヴェ・リカ ピノ・ノワール2018」を開けてみた

南アフリカの生産者・ロングリッジのシャルドネピノ・ノワールブレンドしたワイン「エミリー」がことのほかおいしかったので、その勢いで世評の高い「キュヴェ・リカ ピノ・ノワール」も開けてみることにした。

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キュヴェ・リカ ピノ・ノワールを飲みました。

ロングリッジのワインには3つのカテゴリがあり、キュヴェ・リカは「ジャスパー・ラーツ シングルヴィンヤード」カテゴリに属するワイン。「ジャスパー・ラーツ シングルヴィンヤード」ってなに? ってなるのだが、公式サイトにはこんな説明がある。

 

ジャスパー・ラーツとキュヴェ・リカ ピノ・ノワール

まずジャスパー・ラーツは、
✅ロングリッジ・ワイン・エステートの株主で
✅セラーマスターで
✅マネジーングディレクターで
✅バイオダイナミックなブドウ栽培や醸造のコンサルでもある
みたいなことが書いてある。

南アの生産者に「ラーツ・ファミリー」があるが、そことの関係ってどうなってるんだっけと調べると、アフリカーのサイトに説明があり、それによれば、元社長のジャスパー・ラーツの息子であり、現社長ブルーワー・ラーツの弟なんだそうだ。

 

キュヴェ・リカ ピノ・ノワールはどんなワインか

ともかくそのジャスパー・ラーツがその名の通り単一畑のテロワールを反映したワイン造りをしてるっていうシリーズ。それがジャスパー・ラーツ・シングルヴィンヤードシリーズであり、キュヴェ・リカはそのうちのひとつということになる。

じゃあその単一畑はどこにあんだっていうと冷涼な気候でお馴染みのエルギン。「最小限の干渉」でブドウを育て、酵素・防腐剤・安定剤を使用せず小型の開放タンクで自然発酵。のち、10%の新樽と熟成したフレンチオーク樽で14〜15カ月熟成させたそうだ(2018ヴィンテージに関して)。ガッツリ自然派っぽい感じですねこれ。

で、「今飲んでも美味しいですが、じっくりと熟成させることをお勧めします」って公式サイトには書いてある。しまったもう開けちゃったな。開けっちゃたから仕方ない、もう飲んじゃいましょう。

 

キュヴェ・リカ ピノ・ノワールを飲んでみた

さて、本ブログの特徴はワインとは関係のないことをダラダラ書くという点にあるのだが、今回の記事は非常にここまで簡潔にまとめている。なぜかといえば、めっちゃうまいんですよこのワイン。余計なこと書いてる場合じゃない! ってレベル。

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vivinoの評価もご覧の高得点。

色は薄めでわずかにくすんだようなルビー色、いい色だなあ、夏の夕陽が海に落ちるときに一番濃くなったタイミングの赤色みたいなキタコレ感のある色である。

香りは子どものころ夏の草原でなんかよくわかんないけど太い草の茎を折ったときみたいな青っぽい香りとなにかしらベリーみたいな香り。で、飲んでみると緑茶みたいなさわやかな苦味がありつつしっかりと果実味がある。うんま〜い。

すごくいいなと思ったのは、すごくバランスのとれたおいしいワインなのだが、食事を邪魔するような際立ちすぎた個性は一方でないところ。鶏肉焼いたの、刺身、サラダ、みたいなニッポンの雑な食卓にしっかりと調和してくれた。でもってちびちび飲んだ3日目に酸味と果実味がカンペキに調和して最高においしかった。うーん、大満足。

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これもう暫定王者にしちゃう!

このブログの目的のひとつに「3000円以下のおいしいピノ・ノワールを探す」というものがあり、その暫定NO.1が同じ南アフリカのクルーガー ・ファミリー・ワインズの「パーリーゲーツ ピノ・ノワール」なのだが、これは完全に甲乙つけがたい。つまりベスト級においしかった。いやー、熟成させたらどうなるんだろうこれ。また買わなくちゃいけないやつ。

現地価格が285ランドで約2231円なので味わいも含めてこれが2000円台で日本で買えるのは破格だ。有名ワインをあれこれ言うのもアレなのだがこれはガチのやつ!

 

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ニュージーランド・マールボロはどんな産地? ワインを飲みながら調べてみた【MOUNT RILEY GEWURZTRAMINER】

マウント ライリー ゲヴュルツトラメネールとマールボロ

ニュージーランドマールボロといえばソーヴィニヨン・ブランという印象がある。東京で新大久保といえば韓国料理、みたいなもんだと思うがもちろんマールボロでは多様な品種が栽培されており今回はゲヴュルツトラミネールを飲んでみた。夏になると飲みたくなるものといえば麦茶、ビール、そしてゲヴュルツトラミネールだ。

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マウント・ライリー ゲヴュルツトラミネールを飲みました。

生産者はマウント・ライリー・ワインズ。彼らについて調べる前にnz-wines.co.nzでマールボロという生産地について調べると、すごいなマールボロ。2020年のニュージーランドにおけるブドウ栽培面積3万9335ヘクタールのうち、マールボロは実に70%弱の2万7808ヘクタールを占めるのだそうだ。すさまじい。2位のホークスベイ が約5000ヘクタール、3位のセントラル・オタゴが約2000ヘクタールだからその規模がわかる。

私の出身は千葉県千葉市だが、千葉市の総面積が271平方キロメートル。マールボロのブドウ栽培地(278平方キロメートル)とほぼ同じくらいの大きさだ。千葉市けっこう大きいんですよ、人口100万人弱いるし。それがすべてブドウ畑と思うとすさまじい。

 

マールボロとブドウ品種

さて、マールボロのブドウ栽培面積3万9335ヘクタールのうち、ソーヴィニヨンブランはその約半分(48.4%)の1万9047ヘクタールを占め、ついでピノ・ノワールが2590ヘクタール。次にシャルドネピノ・グリが約1000ヘクタールで続く。ゲヴュルツトラミネールはわずか89ヘクタール。

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マールボロのデータ。画像はnz-wines.co.nzのキャプチャ

ざっくりでいうと、
ソーヴィニヨン・ブランピノ・ノワール→アロマティック品種→シャルドネ
というのが、マールボロにおけるブドウ栽培面積のボリューム順となる。雨が少なく日照時間が長いが冷涼で、水はけがいいが地味は豊かっていうチート感のある栽培地、圧倒的に涼しい系の品種がメインであることがわかる。

 

マールボロの気候

ここでマールボロの気候を東京と比較してみよう。
【年間日照時間】東京:1842時間 マールボロ:2409時間
【降水量】東京:1874mm マールボロ:655ml
うーん、マールボロ強い。
夏でも最高気温20度くらいだっていうし、そりゃあ涼しい感じの品種がおいしいでしょう間違いなく。

今回飲んだワインの生産者、マウント・ライリー・ワインズはそんなマールボロの3つのサブリージョンのひとつ、ワイラウ・ヴァレーに位置している。ワイラウ・ヴァレーは「果実味の強く豊かな味わい」が「顕著な特徴」なんだって。いいじゃないの。

 

マウント・ライリー ゲヴュルツトラミネールはどんなワインか

ワイナリーはお父さんのジョンさんが設立。ロンドンで弁護士をしていた娘のエイミーがゼネラルマネジャーを務め、娘婿のマットさんがワインメーカーを務めているのだそうだ。ロンドンで弁護士してたのが帰国してワイン造りってなんつーかこうケイト・ウィンスレット主演で映画化されそうな感じがして良い。

そのゲヴュルツトラミネールは夜間に低温で収穫、ステンレスタンクで発酵後、4カ月オリとともに熟成。アルコール度数は14%だそうだ。いざ、飲んでみよう。

 

マウント・ライリー ゲヴュルツトラミネールを飲んでみた

グラスに注いでみると、ゲヴュルツトラミネールとしてはやや濃い目のレモンの皮みたいな色。で、香りはこれ素晴らしくいいな。テンプレそのままのライチみたいないい香り。ゲヴュルツトラミネールはバラの香りがするっていうけどここで告白しますと私がバラの香りを感じたことがないんだけど大丈夫なのかな私の鼻。

飲んでみた印象を正直に書くならば、香りはゲヴュルツ、味はソーヴィニヨン・ブランという感じ。グレープフルーツ感とかレモン感があって、特有の草原みたいな香りがないことでああ俺はいまゲヴュルツトラミネールを飲んでいるのだなあとわかるみたいな感じ。苦味もないし、非常に飲みやすい。

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vivino評価は3.6。ワタシ評価はもう少し高いかも。

なんですかねこれは。マールボロの谷でミネラルウォーターを採取、成分分析にかけたら「なんてこった、こりゃワインだ……!」みたいになって瓶詰めして売り出したのがこれ、まさに現代の養老の滝、みたいに説明されても納得しそうな清らかさ。心が浄化される味だ。

これいま楽天のセールで4割引きの1490円、しかも送料無料で買えるのでかなりオススメ。送料無料分とかポイントとかを勘案すれば実質1000円を切る価格と考えると破格の良さで、定価の2000円弱くらいの味わいは十分にあると思う。ちなみにワイナリーでの販売価格は15NZドルで、日本円にして1200円弱だ。どうなってんの。

 

同ショップでセールしてるこのピノ・ノワールも良さそう。調べたらほぼ現地価格。vivino評価4.0。送料無料

 

カリフォルニアなのにグランクリュ!? 「グラン・クリュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール」を飲んでみた。【Grand Cru Vineyards Pinot Noir】

グラン・クリュ・ヴィンヤーズ  ピノ・ノワールを買ってみた

グラン・クリュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワールを飲んだ。以前安くておいしいピノ・ノワールを教えてくださいとtwitterで募集した際に、フォロワーの方に教えていただいたワインだ。

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グラン・クリュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワールを飲みました。

ワインは世界中に無数にあり、100人のワイン好きにオススメの3000円以下のピノ・ノワールを聞けば、答えは100通りではないかもしれないが、少なくとも90以上のワインの名前が挙がる。そのようにフォロワーのみなさんがオススメしてくださるワインを順次飲んでいくことで、私は常時おいしいワインにありつくことができる。みなさんいつもありがとうございます。まさに他人のふんどしでハッケヨイのこった状態である。「ヒマだしワインのむ。」はみなさんの善意で運営されております。

さて、グラン・クリュ・ヴィンヤーズだ。この生産者名を目にしたとき、私は思った。「すげえ名前だな」と。グラン・クリュ・ヴィンヤーズはブルゴーニュの格付け的な意味でのグランクリュとは関係のないアメリカワイン。東京ドイツ村(千葉県)を思わせる名称だ。大丈夫なんでしょうか。定価1300円とかなり安いし。

 

グラン・クリュ・ヴィンヤーズとブロンコワイン

さて、「グラン・クリュ・ヴィンヤーズ」という名前の生産者が存在するわけではなく、これはアメリカのワイン会社が所有するブランド名。調べると、おお、やってるのはカリフォルニア安うまワイン界の巨魁、ブロンコワイン先輩じゃないっすか!

「ブロンコワイン? 知らないな」っていう人も、カルディコーヒーファームの人気NO.1ワイン「レッドウッド」は知っているはずだ。ブロンコワインは「レッドウッド」の生産者だ。

ブロンコワインについてはこちらの記事で詳しく調べました↓

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ところでこれは本当にどうでもいい話なのだが、このワインが自宅に届き、手で持った瞬間に私は思ったのだった。「これ、レッドウッドのボトルじゃない?」と。極端に背が低く、ものすごく軽い特徴的なボトルは、レッドウッド以外に記憶がない。

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重量は1104グラム。ドンペリより500グラムくらい軽い。

結果的に、レッドウッドとグラン・クリュ・ヴィンヤーズは同じブロンコワインのプロダクトであることが判明したのでこれはほぼ間違いなく正解。ブラインドでボトル当てるのすごくないすかなんの自慢にもならないのは知ってる。

 

グラン・クリュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワールはどんなワインか

さて、なにがどうなっているのかわからないが、ブロンコワインの公式サイトは現在アクセスできない。なので輸入元の布袋ワインズのサイトを見ると、その2016ヴィンテージはピノ・ノワール81%、19%は「Proprietors’ Blend」とある。これどういう意味だろう。「所有者ブレンド」。謎だ。誰か教えてください。

アルコール度数は12.5%、発酵・醸造は「ステンレスオーク+一部オーク」とある。「オーク樽」とは言ってないので、定価1300円の価格を思えばオークチップを使用しているのかもしれないし、樽を使っているのかもしれない。わかることはこれくらいなので、もう飲んじゃいましょう。

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グラン・クリュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワールを飲んでみた

このワイン、グラスに注いだ時点でいい予感がする。薄いのだ色が。カリフォルニアの安ピノ・ノワールの多くは妙に濃い。でもって甘い。しかしグラン・クリュ・ヴィンヤーズはいい感じに色調が薄い。それでいて香りは1300円のワインと思えないほど強い。バニラの香りや枝付きレーズンみたいな香りがしっかりする。

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vivinoの評価は3.5。普通においしい。

飲んでみると梅干しみたいな酸味もはっきりとある。全米4位の生産規模を誇る生産者が、安い値段でブルゴーニュ的なピノ・ノワールをつくる、という明確な目的のもと、スケールメリットを活かしてビジネス的に一生懸命作ったみたいな味だ。ロマンはないかもしれないが、どっこい安いし味はいい。1300円のワインとしてきっちり納得のいく味がする。

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安うまピノ・ノワールMAP的には割とニッチなところにいる感じ。

というわけで、twitterでみなさんに教えてもらったワインを飲んでさえいれば私の人生は幸せなんじゃないか、という仮説がまた立証されたのだった。ありがとうございます。

 

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「インドミタ デュエット ピノ・ノワール」の“超絶コスパ”は本当か? 飲んでみた!【Indomita Duette Pinot noir】

インドミタ デュエット・ピノ・ノワールを買ってみた

インドミタの「デュエット ピノ・ノワール2020」を飲んだ。twitterなどで高コスパとして話題となり、一時期品切れ状態にもなっていた人気ワイン。話題を集めていたタイミングのヴィンテージは2019だったと記憶しているが、2020ヴィンテージを買ってみたので飲んでみることにした。

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インドミタ デュエット ピノ・ノワールを飲みました。

チリの生産者・インドミタのワイン自体は過去にプレミアムレンジである「サルドス」を飲んでいる。このワイン、プレミアムレンジだっつってんのに価格は3980円と安く、しかも味わいはなるほどプレミアムだわいというおいしさで、まさに飲むユニクロ、あるいは飲むワークマンみたいな風情があった。

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サルドスに関してはなんなら今年飲んだ赤ワインの中でも上位のおいしさだったので、今回の「デュエット」にも大いに期待している次第だ。

 

デュエット ピノ・ノワールのブドウが育つ産地「カサブランカバレー」とは

なんだけど、公式サイトが立派な割に情報が少ないんですよインドミタ。輸入元の都光の資料によれば2001年設立という若い生産者で、カサブランカバレーとマイポバレーに計500ヘクタールの畑を持っているのだそうで、どうやらデュエット ピノ・ノワールのブドウはカサブランカバレーで作っているようだ。

ちょっと話が逸れるけどカサブランカって「カサブランカ」でひとつの単語感があるけれども「カサ・ブランカ」なんですね冷静に考えると。カサ=家、ブランカ=白でホワイトハウスの意。「シャノワール」が「シャ・ノワール」で「黒猫」の意だと知ったハタチの頃以来の衝撃であるワインの話に戻ります。

カサブランカ・ヴァレーは南緯33度に位置するチリのDO(原産地呼称)。南緯33度って言われてもまったくピンとこないけど、南アフリカの主要産地である西ケープ州、オーストラリア最大の産地である南オーストラリア州などを横断するのが南緯33度線なのだそうだ。へー。

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33度線のご様子。いいとこ通ってる。(画像はwikipediaより)

気候は冷涼で雨が少なく、シャルドネピノ・ノワールソーヴィニヨン・ブランなどがよく育つのだそうだ。1980年代にチリのワイン産業が活性化したタイミングで木が植えられた、比較的若い栽培地なんだって。

今回のワインとは関係がないが、念のためマイポバレーについても調べておくとこちらは150年の歴史を誇るチリのワイン産業発祥の地。2955ヘクタールのブドウ畑の半分以上がカベルネ・ソーヴィニヨンカベルネブレンドの生産に充てられているとある。

「デュエット」は、カサブランカバレーのブドウを100%使ったというワイン。いざ、飲んでみよう。

 

インドミタ デュエット ピノ・ノワールを飲んでみた。

グラスに注いでみると、チリのピノ・ノワールらしい濃い目の赤。で、第一印象はうーん意外とすっぱいな。2020ヴィンテージ 、開けるの早かったかなひょっとして、と思ったので初日は早々に撤退。2日目、3日目と分けて飲んだのだが日を追うごとにおいしくなっていった。

香りが開くというよりも、ウイスキーのロックの氷が溶けて液体がまろやかになるみたいに、ワインの角がとれ、酸味がおだやかになって果実味が顔を出してきた。チリのピノ・ノワールはときに果実味が前に出過ぎて樽の効いたブドウジュースみたいになっちゃうことなきにしもあらずと思うけれどもこれは良いバランスで、なるほど評判になるのも納得のおいしさだ。とくに3日目は好みの味になった。

 

インドミタ デュエット ピノ・ノワールの2019/2020ヴィンテージについての追記

ちなみに、2019ヴィンテージと2020ヴィンテージの違いについて、輸入元の戸塚尚孝氏に見解を伺うと、こんな答えが返ってきた。

「2020のほうが味わいが濃い感じがしました。しなやかな印象だった2019に比べ少し果実味ののった味わいだと思います」

 まさに、2日目以降はそのような印象を受けた。初日も温度を上げながらゆっくり飲んだらポテンシャルを発揮したんだと思う。

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安うまピノ・ノワールMAP的更新しました。

インドミタは「サルドス」を頂点に、今回飲んだ「デュエット」シリーズ、さらに「グラン・レゼルバ」「クラシック」「無印」と価格帯が異なるシリーズが展開されている。定価1980円のデュエット・プレミアムがこの充実度だとすると、気になるのはさらに下のレンジ。

定価698円でスクリューキャップの無印ヴァラエタルシリーズとかも一度飲んでみたい、なんならコノスルと比較してみたいと思ったりしたのだった。楽しそうだなそれ。

 

このセットに入ってます↓

 

単品なら↓

 

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コント・ド・シャンベリ ブリュット。カクヤスで500円で売ってるスパークリングワインを飲んでみた。【Comte de Chamberí brut】

コント・ド・シャンベリ ブリュットをカクヤスで550円で買った

その圧倒的な安さで「なんでも酒や カクヤス」の看板商品と化している感のある税抜き500円が売りの「ワンコインシリーズ」。夏場に飲むビール代わりのスパークリングワインとして私もしばしば買うのだが、先日そのラインナップのなかに見かけないワインを発見したのですかさず買ってみた。

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コント・ド・シャンベリ ブリュットを飲みました。

それがコント・ド・シャンベリ ブリュット、という名前のワイン。輸入元は株式会社都光(であることを、都光の社長である戸塚尚孝氏がtwitterで教えてくれた)。550円、改めて驚異の安さだ。

どんなワインかと調べてみると、生産者はスペインのフェリックス・ソリス。あれどこかで聞いた名前だな。と自分のブログ内を検索してみると、おお、あれだ。スーパーの西友で売ってるおいしい100円台赤ワイン「FIYレッドブレンド」を造ってるところだ。スペイン最大手の巨大企業。巨大な工場で工業製品的にワインをつくる生産者である。

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コント・ド・シャンベリの使用ブドウ、アイレンとビウラとは

早速公式サイトを見てみると、コント・ド・シャンベリはアイレンとビウラを使ったスパークリングワインであることがわかる。

アイレンシャルドネとかソーヴィニヨン・ブランとかに比べると知名度低い感があるにも関わらず生産量は白品種で世界NO.1という品種で、Wikipediaによると2010年時点で栽培面積は世界3位。スペインではブドウの栽培面積の1/3がアイレンなのだそうだ。すごいぞアイレン。日照りに強く、収量が多い。強いぞアイレンwikipediaに「味わいは没個性的であるとされる」と書かれちゃってるけど。負けるなアイレン

 

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で、ビウラって知らないなあと思って調べたところマカベオのことなんですね。カバの主要品種としておなじみのマカベオことビウラ、これまたwikiには「歴史的には際立った特徴のないブドウ品種であるとされてきた」とか書かれちゃってる。

「没個性」と「際立った特徴のない」ブドウ同士がタッグを組むっていう設定がラノベっぽくて良い。なんかのアレでエリート同士のタッグを撃破する的な胸アツな展開が待ってそうな予感だ。平凡と平凡を掛け合わせれば非凡になるんだ! みたいな。いいセリフだな。すべて妄想だけど。

 

コント・ド・シャンベリ ブリュットはどんな

さて、現実に立ち返ってテクニカルシートを見てみると、安うまワインの宝庫として私のなかで知られるカステーリャ=ラ・マンチャで栽培されたブドウを使って白ワインを作り、そこに炭酸ガスを添加してつくるみたいなことが書いてある。炭酸ガスのみならず、酸化防止剤、酸味料、保存料と添加物も盛り沢山。うーん、インダストリアル。とはいえ550円で750mlのボトルが手に入るワインに対してあれこれ言うのも野暮なので、いざ飲んでみることにしよう。

グラスに注いでみるとわりと濃い目のリアルゴールド感のある色合いの液体から元気よく泡が立ちのぼり、グラスの表面でプチプチ弾ける。炭酸ガス添加ワインらしい激しさ。炭酸ガス添加ワインは翌日に泡がヘタリ倒す傾向があるのでその日のうちに飲み切りたいものだ、アルコール度数10.5度だしと飲んでみると、うん、普通にうまい。

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vivino評価も3.6と普通に良好。

その味わいは、たとえていうならば大人のC.C.レモンだ。知らなかったのだがC.C.レモンって今もバリバリの現役で、「スーパーC.C.レモン」っていう機能性表示食品になったりしてるんだそうだ正しくなんの関係もないけど。

ともかくレモンのような酸味が前面に出て、次にC.C.レモン的な甘みがあり、レモンの皮的苦味がお気持ちとばかりに複雑性を足している。全体的にリモン(スペイン語)味。やや甘さが気にならないでもないけど、それも食事を邪魔するほどでなく、夏場の夕暮れにサクッと開けて飲み始めるのには良い。

というわけで、多くは期待しないカクヤス500円泡にあって、まさに期待通りのパフォーマンスを発揮してくれたのだった。今年もカクヤス500円泡の季節がやってきた!

 

 このセットに入ってます↓

a.r10.to

 

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ボジョレーのガメイはおいしい? シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んでみた。

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュとボジョレーとガメイ

ルイ・ジャドが所有するボジョレーの生産者、シャトー・デ・ジャックのムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んだ。

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シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ ・ロッシュを飲みました。

ボジョレーなので品種はもちろんボジョレー・ヌーヴォーでおなじみのガメイ。ガメイはボジョレー・ヌーヴォー以外ではお目にかかる機会がない感があるけど、自然派ワインの試飲会とかにいくと妙によく出てくる品種でもある不思議な品種。というわけで今回は、ボジョレーとガメイについて調べていきたいと思う。

 

ボジョレーはどんな産地か

Wikipediaによれば、ボジョレーは行政的にはブルゴーニュの一部だが、気候はローヌ地方に近く、なのにワインの特徴はブルゴーニュともローヌとも別物、と説明がある。ブルゴーニュでもなくローヌでもない。それがボジョレーだ。

そして、ボジョレーは調べれば調べるほど世界のワイン史上の特異点みたいな場所であることがわかる。1980年代のボジョレー・ヌーヴォーの世界的ブーム、その反動の世界的「ボジョレーなんて(本格的なワインじゃ)ないでしょ」的な反ボジョレーブーム的な動きを経て、「逆にありだよね、ボジョレー」みたいに言っとくとワイン通みたいに思われるだろうみたいな感じをホンモノのワイン通に見破られてただのイキリみたいに思われる危険性をはらんでいる、というのがボジョレーの現代史だと思う。

 

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 ボジョレーの有名生産者といえばマルセル・ラピエールがいるが、マルセル・ラピエールといえばフランスにおける自然派ワインの泰斗。ボジョレー・ヌーヴォー自然派という両極端感のあるワインのふるさとであり、さらにはブルゴーニョなんだかブルゴーニュじゃないんだかハッキリしないといった意味でボジョレーは本当に語りにくい。白だか黒だかわからない。困るなあ。

 

ガメイとはどんなブドウか

困るのでガメイについて調べていくと、ガメイの正式名称は「ガメイ・ノワール・ジュ・ド・ブラン」であることがわかる。「ガメイは黒いがジュースは白い」みたいなことですかねこれは。「逃げるは恥だが役に立つ」かよ。またしても白だか黒だかわからない。ボジョレーも、ガメイも、どうもイマイチはっきりしない。なんですかねこのもう恋なんてしないなんて言わないよ絶対的な「どっちだよ」感は1395年にフィリップ豪胆公がガメイ禁止令を出した、みたいな歴史的事実にはすぐに行き着くんだけど、「なぜ出したか」はイマイチわからなかったりするし。

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 ボジョレー・ヌーヴォーは「フルーティでやや甘口の速飲みタイプ」だと説明される。なのに、自然派的に仕立てられたガメイを飲むと、渋み主体のまさしく“渋い”ワインが多い。ボジョレーもよくわからないし、ガメイもよくわからない。ルイ・ジャド自体にボジョレーのラインナップがあるにもかかわらずシャトー・デ・ジャックもなんでルイ・ジャドブランドじゃないのかわからない。ボジョレーの闇が深すぎるのでもう飲んじゃいましょう。

 

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んでみた

というわけでグラスに注いで見ると、これがもう非常に濃い紫なわけですよ。『図解 ワイン一年生』で、ガメイはイチゴを擬人化したような幼い少女のように描かれていたけどこの外見はなんなら年齢不詳のスナックのママですよ。ガメイ、つかみどころがなさすぎる。

で、飲んでみるとうーん渋い。そしてすっぱい……だがうまい! 私の好みは果実味がくっきりしていて酸味がしっかりあり、たしかな渋みが全体を調和させるようなワイン、すなわち「あまずっぱいワイン」という偏差値5くらいの表現に結論づけられるのだが、これはまったくあまずっぱくない。だがうまい。え、なんで。

そもそも私の感覚器では、ワインの味わいは「果実味」「酸味」「渋み」くらいしか知覚できない。で、私の好みは,
果実味:酸味:渋み=4:4:2
みたいなワインだ。わかりやすいやつ。
なのだが、このワインは、
果実味:酸味:渋み=2:4:4
みたいな感じ。

なのにおいしいのなんなの。このワイン、ワイン好きじゃない友達と飲む際には絶対に選ばない。わかりにくすぎる。なんだけど非常においしくて、しかもなぜおいしいと感じるのかが言語化できないのホントなんなんですかね。もはやガメうまい、みたいな表現しか私にはできない。

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vivinoの当該ヴィンテージの評価は4.0と高い。間違いなくおいしいんだけど「どうおいしいか」が私の知識・経験だと表現できない。

というわけで今回も敗北だ。ボジョレーもよくわからないし、ガメイもよくわからないし、シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュがなぜおいしいかもわからなかった。

 

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュはどんなワインだったのか

ちなみにムーラン・ア・ヴァンは「風車」の意で、ボジョレーでも非常に古い栽培地の名称だそうだ。ブドウは手摘みで収穫・選別され3〜4週間のマセラシオンの後、10カ月新旧のオーク樽で熟成されるとのこと。ボジョレー・ヌーヴォーで行われるマセラシオン・カルボニックは行われていないようで、ガメイを使って普通のブルゴーニュワインのように仕上げたワイン、それがシャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュだと言えると思う。ちなみにヴィンテージは2015だった。

以上のように、とってもおいしかったのだが本当に言語化できず、このワインがどのようにおいしいのか、ワイン賢者のご指南をぜひ仰ぎたい感じのワインだったのだった。だれか説明してください(丸投げ)。

a.r10.to