ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

ヒマなのでワインを飲みます。ワインの知識はありません。

ドンペリ! クリスタル! ボランジェグランダネ! シャンパーニュの2008年ヴィンテージを飲み比べる会に参加してみた。

2008年のシャンパーニュを飲み比べ

2008年のシャンパーニュを飲み比べるという会があると聞いて、500円玉貯金をはたく勢いで参加した。世の中にはすごい会もあるものである。

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この日いただいたシャンパーニュのみなさん。

そのラインナップは以下のようなものだ。

1:ドゥラモット ブリュット NV
2:ドゥラモット ブリュット ブラン・ド・ブラン
3:ドゥラモット ブリュット ブラン・ド・ブラン 2008
4:シャルル・エドシック ブリュット レゼルブ
5:シャルル・エドシック ミレジメ2008
6:ボランジェ ラ ・グランダネ2008
7:ドン・ペリニヨン2008
8:ルイ・ロデレール クリスタル2008

見ての通りのシャンパアベンジャーズ状態。これらの素晴らしいワインを料理と一緒に味わうわけなんだけれどもコースの最初から最後までひたすらシャンパーニュを飲むというのも初体験だ。

会の構成は、大きく三部に分けられる。

第一部は、ドゥラモット三兄弟。

ノンヴィンテージ(以下NV)、NVのブラン・ド・ブラン、2008ヴィンテージ(以下VT)のブラン・ド・ブランの飲み比べ。

第二部は、シャルル・エドシック兄弟。

ノンヴィンテージながら裏ラベルに2009にカーブ入りと記載され、おそらく2008年のブドウが主に使われているであろうという2014デゴルジュマンのボトルと、2008ミレジメの飲み比べ。

そして第三部はアナタ、半端ないですよ。ボランジェグランダネ、ドンペリ、クリスタルという往年の西武ライオンズのクリーンナップ、秋山・清原・デストラーデの通称AKD砲を思わせる破壊力のボトルが控えている。

このように、NVを交えつつ、グレートヴィンテージだという2008年のシャンパーニュを飲んでいくというのが趣旨だ。私みたいなもんがお邪魔していい会じゃない気もするのだが、非常にフレンドリーで温かい会の空気に甘えて末席を占めさせていただいた。さっそくレポートしていこう。

 

ドゥラモットNVとドゥラモット ブラン・ド・ブランNV

まずはドゥラモットだ。この日は非常に暑い日で、遅刻スレスレで会場に駆け込んだため喉はカラカラ。というわけで思わずゴクゴク飲んでしまったのだがいきなり最高においしかった。

ドゥラモットのNVは自宅で開けたことがある。しかし、この日のこれはあれこんなにおいしかったっけ? というバランスの良さ。同席された方々にも好評で、「これは普段飲みに最高ですね!」と場が盛り上がっているのを横目で見つつ、「ふだんはカクヤスで500円で売ってる泡を飲んでます!」っていう自己紹介は封印で決まりだな、と確信したというのは秘密だ。本当に危なかった。

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そして続いては同じくドゥラモットのNVのブラン・ド・ブラン。ブラン・ド・ブランらしい酸味もしっかりありながら果実味もあってうーんおいしい。「混ぜてあるほう(NVはシャルドネ50、ピノ・ノワール30、ムニエ20の比率)がおいしいね」という声も聞かれたが私はこちらのほうが好きだった自信はまったくないけども。

 

ドゥラモット ブラン・ド・ブラン 2008

さて、続く3杯目は同じくドゥラモットのブラン・ド ・ブランの2008VT。こうして並べて飲むと私のような味音痴でも味の違いがさすがにわかる。

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左からドゥラモットBdB08、ドゥラモットBdB NV、ドゥラモットNV

2008VTは鋭い酸味がありながら、パンみたいな香りが強まってクレームブリュレ的香りに進化。香りが強くなり酸味もシャープであることで、先の尖った鉛筆と定規で引いた線のように味の輪郭が明瞭に感じた。おいしいなこれ。

にしても、この3杯のグラスにはすべてきちんと「ドゥラモット」とハンコを押されているような一貫性のある味わいがあった。サロンも飲んでみたいなあ、いつか。

 

ここで気がついたのだが3杯終了時点で私のグラスはほぼ空。それに対して参加者のみなさんはグラスの中身に十分な余裕を残している。あそうか、続くワインたちを比較しながら飲むわけだからグラスの中身をつねに残しつつ飲み進めていくのが正解なのか……! ということにこの時点で気づき、「いっやー、暑くてついゴクゴク飲んじゃいましたよアハハ」みたいな猿芝居でごまかそうとしたのはできれば隠しておきたい事実だ。

 

シャルル・エドシック ブリュット レゼルブとシャルル・エドシック ミレジメ2008

というわけで第一部的な3杯が終了した。なんならこの段階でもう大満足なわけですよ。なのだが会はまだまだ先発投手が5回を投げ切り、セットアッパーがマウンドに立ったくらいのタイミングだ。この先にどんなドラマが待っているのかオラ、ワクワクしてきたぞ状態で中盤戦に突入である。

続いて飲んだのはシャルル・エドシックのNV。シャルル・エドシックのNVといえば以前亀戸のシャンパンバー・デゴルジュマンで飲ませてもらい、そのおいしさに衝撃を受けたワインだったがやはりこの日飲ませていただいたものも非常においしかった。ここまでの4杯のなかではこれが個人的にはベストだった。

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色は濃い目で味わいは非常に華やか。今すぐ内容を確認して返送しなくちゃいけない書類(2週間放置してあるやつ)とかの存在を飲んだ瞬間に忘れられそうな味わいだ。

一方、その次に飲んだ同じシャルル・エドシックのミレジメ2008はここまで飲んだなかではもっとも気難しめに感じた。酸味が強く主張しており、わりとすっぱさが前に出ていて、もしかしたら何年後、何十年後の未来においしさのピークが来るのかもしれない。

ただ、「これすごい好き!」とおっしゃっている方もおられたので、それもあくまで好みの問題だと思う。なにしろ1万4000〜5000円ですよ市場価格。私も、この一杯だけを仮に飲んだとしたら、間違いなく「至高の味ですねこれは」とか言ってる。

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シャルル・エドシック ブリュット ミレジメ2008。

ここまででわかったことは、やっぱり有名メゾンのスタンダードはうまい、ということだ。これは非常に大きな発見だった。とにかく味のバランスが良くて、開けた瞬間から最高においしい。一方のミレジメシャンパーニュは、開けた瞬間よりも、しばらく時間が経って少し温度が上がったときによりおいしさの広がりがあるように感じた。

ひえひえ&あわあわだけがシャンパーニュではないというのはこの日の大きな学びだ。人生は学びに満ち溢れている。ちょっとぬるくなったシャンパーニュうまい。

 

ボランジェ ラ ・グラン・ダネ 2008とドン・ペリニヨン2008

さて、こうして会は残すところあと3杯。いよいよクライマックスへと向かっていく。というわけで、まずはボランジェ ラ ・グラン・ダネ 2008だ。ザ・グレート・イヤーですよねこれ英語でいうと。

じゃあどうグレートな年なのか。ヴィンテージチャートを見ると、08年のシャンパーニュ地方はワインスペクテーターでは97点、ロバート・パーカーにいたっては99点という過去最高得点をつけている。エノテカによれば「数々の生産者が「奇跡」「完璧」と表現する世紀の優良年。」なのだそうだすごい。

 

というわけでボランジェだ。ボランジェといえば樽発酵。このグラスからも樽由来なのか、なんなのか、カルバドスとかウイスキーシングルモルトみたいな熟成香的ななにかがグラスが漂ってくる。なんとも妖艶な味わいだ。

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ボランジェ ラ・グラン・ダネ2008。なんとも妖艶。

それと対照的だったのがドンペリ2008。これは、この日飲んだ8杯のグラスのうちもっともエレガントだった。パンのような香りと、キレイな酸味、それでいて厚みを感じる果実の存在感。女性の肌を褒める際に透明感があるなどと評するが、それでいうなら内臓が透けるレベルの透明感だ。それでいて厚みもちゃんとある。うはは、うまい。

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ドンペリ2008。

というわけで私はこれが今日イチ。前に飲んだ2010も素晴らしくおいしかったが、2008はまた違う味わいでこちらも素晴らしい。「ドンペリはこの状態でもおいしいけど、熟成させるとまた違ったおいしさがあるんだよね」と主宰の方が教えてくださった。今飲んでいるこれはキノコの軸の部分。それがある瞬間に、キノコのカサのような広がりを持つのだと。味わってみたいなあ。

 

ルイ・ロデレール クリスタル2008

最後がクリスタル。私の印象では、ドンペリとボランジェ グランダネの中間に位置するバランス型という印象を受けた。ピアノの鍵盤を強く押した際に出た音がいつまでも消えないようなすごくシャープな酸味のなかに、キレイな果実味も感じられる。やっぱりおいしいなあ、クリスタル。

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クリスタル2008

そしてボランジェ グランダネ、ドンペリ、クリスタルの3つを飲み比べるのが本当に楽しいのだった。最初の印象だとドンペリが断然好きだったのだが、クリスタルは温度が上がるにつれて少しずつ親しみやすさが顔を出し、グランダネはそのまま妖艶さの度合いを増していって最終的には順番つけられないくらいどれもおいしいと感じた。これどれも熟成させるともっと深みを増してくるわけなんですかねすごい。

ちなみに、この3つのワインのセパージュはすべてピノ・ノワールシャルドネ

ボランジェグランダネ→ピノ・ノワール71%、シャルドネ29%

ドンペリピノ・ノワール50%、シャルドネ 50%(※1)

クリスタル→ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%

(※1)ドンペリはセパージュが公表されていないようだが、エノテカの記事「至高のシャンパン「ドン ペリニヨン」スペシャテイスティングイベント開催」によれば、ドンペリのセパージュは「1〜2%の差異」はあるものの「基本的にはシャルドネピノ・ノワールが50%ずつで造られ」るとある。

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もちろんこの微妙な違いは私には感知不能だが、シャンパーニュのセパージュを今後はもっと気にして飲みたいなあと思った次第。

最終的にはいい具合に酔いも進んだ参加者一同で、この3つのシャンパーニュを●●にたとえるなら(自主規制)という話題で大いに盛り上がっているうちに、気がつけば閉会の時間。こうして2008年シャンパーニュ飲み比べ会という身に余る体験は幕を閉じた。ワイン会も、シャンパーニュも、どちらも本当に素晴らしいなあ、とても楽しかったなあと小学校2年生の夏休みの日記みたいな感想を抱きながら、帰りの電車に揺られたのだった。(おわり)

最後になるが、名前を伏せるこの会は、換気のされた部屋に対面を排して配置されたテーブルが各人にひとつずつ用意された上、マスク会食の厳密な運用のもと実施された。素晴らしいワインをご用意いただき、完璧な心配りで会を実施された主催者の方、ならびに新参者かつど素人の割に妙に馴れ馴れしい私を暖かく受け入れてくださった参加者のみなさんにこの場を借りてお礼申し上げる次第だ。またお邪魔させてください。

 

924円! スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズは1000円未満ワインの「柱」となるか【Three Pillars The Gourmet Shiraz】

スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズと安うまシラーMAP

さて私は個人的に「安うまシラーMAP」というものを作成している。3000円以下のおいしいシラー、あるいはシラーズを飲み、独自に作成したMAP上に配置、それを見てニヤニヤ楽しむという貴族の遊びである飲んでいるのは安ワインだけれども。

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スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズを飲みました。

今回飲んだ「スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズ」は、twitterでのオススメの安シラーズを教えてくださいという問いかけに対し、とある賢者の方が推薦してくれたワインだ。楽天での最安値は924円。やすい。

 

スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズとプロジェクトワイン

ではどんなワインなのかとスリー・ピラーズの公式サイトを訪ねると、典型的なワイン会社のブランド公式サイトのつくり。あれこれ調べると、このワインをつくっているのは南オーストラリア州のプロジェクトワインという会社であることがわかった。

プロジェクトワインは元連邦大臣と、上海と北京に住む二人の中国人ビジネスマンが株主だという企業。もともと生産者の契約ワインメーカーとしてスタートし、現在は自社ブランドに力を入れていて、スリー・ピラーズはそのうちのひとつのようだ。

つまりは大企業で、公式サイトを訪問すると、うーん巨大タンクが壮観。そしてどうやらビジネスとしての主力商品はバルクワイン。規模を生かしてバルクワインを生産して輸出しており、そのために毎年1万5000トンのブドウを破砕するというからすごい。1万5000トンっつったら1トンの1万5000倍ですよ(そりゃそうだ)!

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プロジェクトワインの巨大タンク群。画像はYouTubeのキャプチャ

工業的なワインは嫌われがちだけれども安ワインにとって大量調達・大量生産こそ正義だっていうのもどうやら事実で、私みたいなものはプロジェクトワインの巨大タンク群を見ると同時にヨダレが出るパブロフの犬的症状まで出る勢い。夜にライトで照らされる工場のタンク群にどうしようもなく惹かれてしまう、そんな私は京葉工業地域出身者だ。

 

スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズはどんなワインか

ここらで本題のスリー・ピラーズの公式サイトに移ると、ピラーズとは柱の意で、スリーピラーズとは人生を楽しむ3本柱、食事、ワイン、音楽を示しているのだそうだ。鬼滅の刃的にいうところのワイン柱的なことですね若干今更それ言うの感あるけど。あるいは葡萄柱? ブド柱? もういいか。

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公式サイトにテクニカルな部分の記載はないが、面白いのは希望小売価格で、RRP(希望小売価格)15ドルと書いてある。15豪ドルは約1240円で、繰り返しになるが楽天での最安値は924円だ(参考小売価格は1228円)。なにがどうなっているかわからないが、ふつうは輸入したら値段は現地より高くなるはずで、現地1240円なら2000円前後になるもんだと思う。それが924円で買えるのはお得だ。そしてお得はおいしさのスパイスだ。

醸造に関する情報は公式サイトにないので輸入元のファームストンのサイトに頼ると、熟成は10〜12カ月。6カ月間の「オークトリートメント」を行っていると書いてある。なんなんですかねオークトリートメントって。価格からするとオークチップと接触させることとかかな。わからないので、そろそろ飲んじゃいましょう。

 

スリー・ピラーズ ザ・グルメ シラーズはどんなワインか

で、飲んでみるとこれやっぱり非常においしいんですよ。酸味、渋み、果実味どれもが突出しない正三角形に、スパイシーさというZ軸が加わるシラーズならでは三角錐アーキテクチャ。まさに正統派の安ワインでありオーストラリアの安うまシラーズの正鵠を射たような味がする。

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安うまシラーMAP的にはバランス型という印象でした。にしても安いな!

これ、924円なら文句なしにアリ。コノスルのビシクレタではなくレゼルヴァ、私の大好きな成城石井の「30マイルシラーズ」とかがライバルになりそうな感じ。1000円未満のワインのなかでこれは非常にいい選択肢になる。

用途としては夏のバーベキュー時に氷を張ったクーラーボックスにどぶ漬けして、焼けた肉を頬張りながらゴクゴク飲む、といったあたりが最適&最高だろう。スクリューキャップだし。アルコール度数14%とかあるから、実際にやるとひっくり返るかもしれないけれども。おいしいワインでした。

 

「ロマネ・コンティと同じ製法」で2020年に話題になったアルタ・マリア ピノ・ノワールを飲んでみた。【Alta Maria Pinot Noir】

アルタ・マリア ピノ・ノワールロマネ・コンティと同じ製法」とはなにか

去年の夏ごろ話題になったワインに、アルタマリアヴィンヤーズのピノ・ノワールがある。きっかけは、WEbメディアのTABI LABOに掲載された「『ロマネ・コンティ』と同じ製法で仕込んだピノ・ノワールが2300円台!」という記事。この記事を機にショップに入荷した分がその日のうちに完売する事態となり、一躍“バズワイン”的に注目されたのはまだ記憶に新しい。

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アルタ・マリア ピノ・ノワールを飲みました。

一方で、「なんでもかんでもロマネ・コンティの名前を出すのはいかがなものか」的に侃々諤々の議論も展開されていた。

ちなみに、元記事はアルタマリア ピノ・ノワールの独特な香りに触れ、それが全房発酵由来であることを指摘し、全房発酵といえばかの有名なロマネ・コンティも全房発酵だと例示するという構造になっており、なんというんでしょうか、いわゆる「ロマネ・コンティ商法」みたいなものとは一線を画すごくマトモな記事だ。ロマネ・コンティ匹敵! とかまさにロマネ・コンティ級! 的な文言は一言も書いてない。

にもかかわらず、同記事を検索し、クリックすると、本サイトでの元記事のタイトルが「コスパよし、ハズレなしの「ピノ・ノワール」なら、この1本!」というものに差し変わっていることからも当時の反響の大きさが伺える。バズった地点を未来から眺めるの楽しいな。

 

アルタ・マリア ピノ・ノワールはどんなワインか

さて、昨年盛り上がった際のヴィンテージは2012。現在は2013ヴィンテージに切り替わっている。昨年の騒ぎになる前に私も買っていたのだが、友人が遊びに来てくれた際に泥酔した状態で抜栓、中身についての記憶は皆無という私あるあるをやらかしてしまったので、実質はじめてのアルタマリア体験をしようと購入してみた。

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さて、このワインは定価5500円のところが2000円台前半で売られているというワイン。なんでそんなことになっちゃったんだ、の説明が、しあわせワイン倶楽部の商品ページに詳しく書いてある。その事情はスーパーシンプルだ。以下のようなものである。

米国の小売チェーンで大々的に販売する予定だったが、販売先の人事異動で契約が破棄された。

うーんキツすぎる話ですねこれ。契約社会のアメリカでもこんなことが起こり得るのか……。ともあれ、生産者としては余ったワインをお金に買えなければ次のヴィンテージのワインをつくることができない。そこで、グローバルマーケットで(大幅値引きの上)現金化する運びになったのだという。昨年のロマネ・コンティ騒動は、バズって売り上げにつながったという意味で生産者にとっては大変ありがたい話だったはずだ。

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では、アルタ・マリア・ヴィンヤーズはその後どうなったのか? 公式サイトを覗きにいくと、サーバが存在しないという表示。ならばと公式のインスタアカウントをチェックすると、2017年から更新がない。詳しいことはわからないが、なんかこう、引っ越して行った友達の住んでいた家が取り壊されて更地になっているのを見た、みたいな気分。

ワイン自体は樹齢40年の古木のピノ・ノワールの8割を全房のまま発酵させ、22カ月フレンチオーク樽で熟成させたという贅沢なつくり。いざ飲んで行こう。

 

アルタ・マリア ピノ・ノワール

さて、抜栓してみると、その瞬間から、うーんいい香り。グラスに注ぐとやや薄めで少しオレンジがかったようなルビー色。これはあれですよ。おいしいピノ・ノワールです。

グラスからは青い茎とか葉っぱみたいな香りと、定期的に換気されているログハウスみたいな落ち着いた香り。飲んでみるとしっかりとした酸味と芯のある渋み、あとからほのかに果実もやってきて要するに大変においしいですねこれは。2000円台前半の味わいではなるほどまったくない。

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vivinoの評価は3.7でした。

私が仮に好みのワインを聞かれたら、「ブルゴーニュっぽい新世界のピノ・ノワール」と答え、理由を重ねて問われたならば「おいしくて安いから」という知力7くらいの回答をする。このワインは、まさにそのど真ん中。カリフォルニアの同価格帯のピノ・ノワールにままあるジャムとかコンフィチュール的なジトッとした甘さがなくて、本来160キロ投げるポテンシャルのある投手が140キロ台後半にスピードを落として四隅を突いてくる、みたいな抑制の効いた感じが良い。

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安うまピノ・ノワールMAP的にもかなり独自な位置

では、ロマネ・コンティと比較してどうかという点なのだが残念ながら私はロマネ・コンティを飲んだことがないので比較ができない。ロマネ・コンティと比較をしたい人生だった……。

とにもかくにも、バズるのも納得のおいしいワインだったのだった。それにしてもアルタマリアワインズはその後どうなってしまったのだろうか。ご存知の方、教えてください。ひとまず、「あるうちに飲むべきワイン」なのは間違いないと思うところであります。

 

“ボルドー・シュペリウール”ってなに? シャトー・ラ・ファヴィエールを飲みながら考えた【Chateau La Faviere】

AOCボルドー・シュペリウール、シャトー・ラ・ファヴィエールを買ってみた

フランス・ボルドーAOCボルドー・シュペリウールの「シャトー・ラ・ファヴィエール(2018)」を飲んだ。ツイッター上で非常にいい評判を目にしたので買ってみたワインだ。ちなみに値段も手ごろ(トスカニーで2200円)。

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シャトー・ラ・ファヴィエール2018を飲みました。

にしてもなんなんだろうボルドー・シュペリウールって。ボルドーは色の名前にもなってるくらいで問答無用でおそらく世界でもっとも有名な産地。ワインレッドの心といった場合、それはボルドーワイン色でしょうどう考えても。巨大産地だけに原産地呼称も複雑でなにがなんだかよくわからない。ので、調べてみることにした。

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ボルドー・シュペリウールと「ジェネリックボルドー

ボルドーワインの公式サイト、bordeaux-wines.jpによれば、ボルドーには60のAOCがあるうち、ボルドーのあるジロンド県全体にまたがる広域名的なAOCは7つ。ボルドー・シュペリウールはそのうちのひとつなのだが、せっかくなので以下に列挙してみよう。

ボルドー・ブラン
ボルドー・ルージュ
ボルドー・クレレ(濃いロゼ的なやつ)
ボルドー・ロゼ
ボルドー・シュペリウール・ブラン
ボルドー・シュペリウール・ルージュ
クレマン・ド・ボルドー

この7つのアペラシオンでボルドーの生産量全体の55%を占めるのだそうだ。これ以外はいわゆる地区名あるいは村名ということで合ってると思うたぶん。

これらのワインはジェネリックボルドーとも呼ばれるんだそうで、「Regional Bordeaux AOCs」のwikipediaには、「一般的にはネゴシアンや協同組合によって造られた品質の低いワインに使用され」ると書いてある。ひどい。

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ボルドーの図(画像はwikipediaより)

一方、エノテカのコラム「ワインの女王!ボルドーワインの狙い目アペラシオン」には、ボルドーとボルドシュペリウールはチリとかオーストラリアの安ワインと対抗するなかで「どのアペラシオンよりも、ダイナミックな品質向上を遂げて」きたとある。基本的にはスーパーで安売りされるワイン、なんだけど、スーパーの棚で新世界の安ワインとしのぎを削るために品質が向上している、みたいなことだと思われる。

 

AOCボルドーAOCボルドー・シュペリウールはどう違うか

さて、ではボルドーボルドー・シュペリウールはどう違うのかだが、使用品種は同じで以下の面々だ(赤ワインの場合)。

カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・フラン
カルメネール
メルロー
マルベック
プティ・ヴェルド

あれですね「いつメン」ってやつ。居酒屋ボルドーいくと大体このメンツいる。

違いはブドウの栽培方法、ブドウの品質、熟成にある。AOCボルドーが定めたよりもAOCボルドー・シュペリウールは

・より低収量で

・より最低のアルコール度数が高く

・より熟成期間が長い

よくある無印ワインとその1クラス上のワインの違いみたいな感じですねこれ。

 

シャトー・ラ・ファヴィエールはどんなワインか

個別のワインに関しては輸入元のモトックスのサイトに公式サイトの情報が翻訳されて掲載されているのでそちらででサクッと調べると、「スペリュール・クラスで格付に匹敵するワインを!」という見出しがドドンと出てくる。

2010年にサンクトペテルブルグ出身の夫婦がシャトーを購入し、2011年から「アンテグラル・ワインメイキング」を導入。それがなにかっていうと、畑に500リットルのオーク樽を持ち込み、粒単位で手摘みしたブドウをそのまま投入する手法。ブドウを採ってカゴに入れて選果台で選んで、みたいな作業なしでいきなり粒の状態で樽直行。

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サンテミリオンに隣接する立地だけにメルロー主体のようです。画像はwikipediaメルローの項より。

この樽は回転させられるんだそうで、必要以上のルモンタージュを行う必要がないんだそうですよ。よくわかんないけどすごそう

でもって土壌はサン・テミリオンと地続きとアンタそれで逆になんでボルドー・シュペリウールなんだよと問いたくなる感じ。土地の制約とかそういうことなんですかね。

その2018年ヴィンテージはボルドー右岸らしくメルロー主体で60%、カベルネ・フラン30%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%というブレンド比率。新樽率100%のフレンチオークで16カ月(公式サイトでは12カ月)熟成させるのだそうだ。新樽100%ってすごいなホントかな。いずれにせよこれで定価2500円はかなりお得ながする。生産本数は6万本だ。

 

ボルドー・シュペリウール「シャトー・ラ・ファヴィエール」を飲んでみた

さて、ではそのワインの実力はいかにと飲んでみることにしよう。その色、香り、味わいを表現するとこのようになる。

カシスすぎる赤ワイン

である。

もう四半世紀以上前になるが、16歳の私は地元のイタリアンレストランでバイトをはじめた。それまでお酒といえば法事で親戚のオジサンたちが飲むビールや清酒、あるいはコンビニの棚に並ぶ「カクテルバー」くらいしか知らなかったのだが、そのレストランにはカシスやカンパリウォッカにラム、ジン、マリブ、コアントロー、といった多彩なボトルが並んでいたのだった。それらは可視化された「まだ見ぬ世界」だった。

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本文ではヒマワインの駄話が進行中ですがvivinoの評価がすごく高いことをここでお知らせしておきますね。

なかでも目を引いたのがカシスで、その独特の香りを、カシスソーダをかき混ぜながら盗み見していたバイト仲間の19歳短大生のキレイなお姉さんの横顔とともに今も私は思い出すことができるワインの話だった。キレイなお姉さんの横顔思い出してる場合じゃなかった。

 

なんだっけ。シャトー・ラ・ファヴィエールの話だ。ボルドーのワインというと土とか鉄とか皮とかの香りと、樽の香り、ベリーの香りが共存しているみたいな印象があるけどこれはマジでカシス。樽も効いてはいるんだけれども樽を突き破るほどにカシス。

で、おいしいかおいしくないかでいうと非常においしいです。肉系であれば食事ともしっかり合う。かなり個性的な味わいではあるけど、もっと高くてもおかしくないと感じられるような味だ。

というわけでボルドー・シュペリウールなのだった。おいしかったので、またおいしい“ジェネリックボルドー”を探してみたい。

a.r10.to


 

【ネタバレ注意】なにが入ってた? うきうきワインの玉手箱の1日限定「白ワイン福袋」(3本入り1万円)を買ってみた【2021年6月】

【注意:本記事では2021年6月の『うきうきワインの玉手箱』の『1万円福袋』の中身を公開しています】

「うきうきワインの玉手箱」の毎月1日限定の福袋がヤバい、という記事を2回にわたり書いてきた。

4月は「シャンパーニュ福袋」。

himawine.hatenablog.com

5月は「赤ワイン福袋」。

himawine.hatenablog.com

これらに続き、2021年6月は「白ワイン福袋」を買ってみたのでその中身をご報告する。

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果たしてなにが入ってた?

価格は3本入りで1万1000円送料無料なのだが、1000円オフのクーポンを適用することで1万円となり、そこからポイントもつくため、1本あたりの実質の価格は3000円ちょっと(送料も勘案すると下手すると実質1本2000円台)。

それでいて、4月のシャンパーニュ福袋は単品合計価格が1万6593円、5月の赤ワインくじは1万7578円とお得感を強く感じられた。

というわけでさっそくBOXオープンの儀をしめやかに執り行っていきたい。いでよ、高級白ワイン!

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この中に入っているのは……?

 

うきうき福袋1本目 ドメーヌ・クリスチャン・モロー シャブリ・グラン・クリュ レ・クロ

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先頭バッターがまさかのシャブリグランクリュ

というわけで箱から無作為にワインを取り出してみると本当に高級ワインが出てきた。いでよと言って本当にいでるのすごい。まさかの先頭バッターからシャブリグランクリュ。暑い季節にシャブリのいいやつこりゃ最高と価格を調べると……え、単品販売価格9760円なんだけど
繰り返しになるがこの商品の実質価格は9000円前後。なのに1本目から9760円って。

【朗報】元、取れる。状態だ。というわけで2本目からは早くもボーナスステージに突入である。

 

うきうき福袋2本目/カレラ ジョシュ・ジェンセン・セレクション シャルドネ

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2本目はカレラ。うれしい。

というわけで2本目はカレラのシャルドネだった。カレラが日本向けに造った和食に合うシャルドネっていうワインでヴィンテージは2017。単品価格は3630円。

カレラのワインは過去飲んでおいしくなかったことがなく、かつこれは飲んだことがないワインなので嬉しい。スペシャル感のあるシャブリに、ちょっと贅沢なデイリー飲みで開けられそうなカレラのシャルドネ。すでにラインナップとしては満足だが、まだ残り1本がある。最後の1本、果たしてなにが出るか……!?

 

うきうき福袋3本目 ルイ・ラトゥール モンタニー プルミエ・クリュ

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ラストはブルゴーニュの一級畑。自分的には完璧です押忍!

1本目にシャブリ グラン・クリュが来て、今度はルイ・ラトゥールのプルミエ・クリュ! ルイ・ラトゥールはセブン・イレブンにも広域名ブルゴーニュが並んでいるのでお噂はかねがね、という生産者。

モンタニー知名度は低いが味は普通にブルゴーニュ、という評価をよくされるコート・シャロネーズの村名AOC。私は有名村ではなくとも味が良ければそれでオッケーという立場。非常に楽しみな1本だ。

このワインの価格は3938円、ということで3本を合計すると……出ました1万7328円。雰囲気的にはほぼ半額。どうなってんのこれ毎月思うことだけど。お得という山の頂点に君臨していると思うこれ本当に。

 

2021年6月のうきうきワインの玉手箱「高級白ワイン福袋」総括

福袋なので、思ってたのと違うとか、好みでないのが入っているリスクは当然あると思うのだが、色々なワインを飲みたいと思う私のようなタイプにこの福袋は本当にいい。だって1万円弱するシャブリなんて自分では絶対に買わないもの。

こういったワインと事故的に出会えてしまう、それが福袋の魅力だと思う。ワインを深く飲み進め、偶然よりも必然を求めるようになる中上級者の方向けの商品ではないかもしれないが、私のようなまだまだ知らないワインと出会いたい! というワイン出会い厨(本来の意味で)みたいな人間には非常に向いているという毎回同じ結論に今回も至ったのだった。

これでひとまずシャンパーニュ、赤ワイン、白ワインと3つの福袋を購入してみた。また少し期間を置いて買ってみて定期的にレポートしていきたいと思うので、どうぞお楽しみに。

ご興味ある方は売り切れる前にお早めに。



ボルドーの「格付け」って誰がいつどういう基準で決めたの? 「3級」を飲みながら調べてみた。【 Château Boyd-Cantenac】

ボルドーの「格付け」ってなんだっけ?

ボルドーの格付け3級、シャトー・ボイド・カントナック2017を飲んだ。貴様ごときがなんでそんないいワイン飲んでんだ泣かす、みたいに思われるかもしれないが、これは「うきうきワインの玉手箱」が毎月1日に発売する高級ワイン福袋に入っていた1本だ。たしかに高級ワインだが、実質の購入額は3000円ちょい。

とはいえせっかくいいワインを飲むのでそもそもボルドーの「格付け」ってなんだっけ、みたいなところから簡単に調べておこうと思うというのが本項の趣旨。ワインにおける知識はカレーにおける福神漬あるいはうどんにおける七味。なくてもいいが、あるともっといい。

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うきうきワインの玉手箱の福袋にボルドーの格付け3級ワインが入っていたのが、今回の記事執筆のきっかけです。

 

ボルドーの「格付け」と「グランクリュラッセ

で、まずはグラスを眺めてみると、「グランクリュラッセ」って書いてあるわけですよ。あれこれどういうことなんだっけとボルドーワイン.jpで調べてみると、そもそもパリ万博のときにナポレオン3世の要請により制定されたメドックの格付け、そこに選ばれた61シャトーは全部グランクリュラッセってことみたいですねこれどうやら(違ってたら教えてください)。全部グランクリュラッセで、その中で1〜5級に分かれるみたいな。

ではどうやって1〜5級の格付けはなされたのか? 詳しく調べるために、今回は「gcc-1855.fr」という1855年の格付けについての公式サイトを参考にした。そこには格付けに至る歴史がこんな風に紹介されている。長くなるので箇条書きでいってみよう。

 

ボルドーワインの格付けの歴史

17世紀、ボルドーワインの主な買い手は英国とオランダだった

そのうち英国はワインに「品質」を求めた

当時から「メドック」は高品質の代名詞だった

時代とともに客の注文も細かくなり、特定の地域(例:グラーブ地区のペサック村)に注文が集まるようになった

さらに時代が進み、客の注文は「特定の生産者」へと移っていった
(『ぺサックのワインをくれ』から『オー=ブリオンのワインをくれ』へ)

英国におけるワインのブランド熱。そこで人気となったのが、オー=ブリオン、ラフィット、ラトゥール、マルゴーだった。

この4シャトーが「格付け1級」として知られるようになる

4シャトーの成功を見て、他のシャトーのなかにも一定の人気を獲得するものが現れる。それらは、「格付け2級」として知られるようになる

1787年ごろには「格付け3級」が登場

1820年代には「格付け4級」が誕生

1850年代にはこのような明確な5つの階級が生まれ、約60のシャトーがそこに含まれていた

これらの順位は、すべて「市場価値」に従って決定されていた

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「格付け」は自然発生したものだったんですね。

うーんなるほど理解できた。正直に申し上げて、私は1855年のタイミングで当時のボルドーにおける横綱審議会みたいなのが招集され、これが1級だ、あれが2級だ、おれは前からアンタが気に食わなかったんだと侃侃諤々の議論をして決まったと思い込んでいたが、実際は違った。ボルドーの高級ワインには5つの価格帯があり、その価格帯が“格付け”ということだったのだ。なにこれ超面白い。

 

1855年ボルドーワインの格付け誕生

そして、1855年、パリ万博がやってくる。ふたたび箇条書きに戻る。

ボルドーは特産品のワインを万博に展示しようと計画

ただ似たようなボトルが並んでるだけで面白くもなんともないことが判明

品質をよりわかりやすく伝えるためワイン地図をつくることに

前述したように、格付けが「すでに存在していた」ため、仲買人によって1カ月でリスト作成

1855年の格付けに登場しているシャトーがなぜ選ばれたかというと、理由はただひとつ、登場する資格があったからだ。」

それから150年。1855年9月16日にカントメルルが5級に入ったこと、1973年6月にムートン=ロートシルトが一級に昇格したことを除いて、このリストには変更が加えられていない。それはワインにおける世界最強のランキングシステムであり、格付けに選ばれたワインは、「主人役が誇りを持って客に薦められるワイン」だと書いてある。うーんたしかにそりゃそうだ。

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今回飲んだシャトー・ボイド・カントナック2017

以上の内容は、「1855 ボルドーワイン格付けの歴史」の著者であるデューイ・マーカム・ジュニアが書いた「150年目の誕生日」という記事が元になっている。元記事めっちゃ面白いし日本語なのでぜひ読んでみてください長いけど。いっやー、それにしてもすごく面白かった。司馬遼太郎に小説にしてもらいたかったってレベル(『菜の花の沖』のテイストで)。

ちなみに、なぜメドック格付けと呼ばれるかといえば、グランクリュラッセに選ばれた61のシャトーのうち、60がメドック地区の生産者だから。残りの1つがグラーブ地区のシャトー・オー=ブリオンだ。

 

格付け3級、シャトー・ボイド・カントナックについて

さて、今回飲んだのはシャトー・ボイド・カントナックなのでその歴史もかいつまんで記すと、ときは1754年。スコットランドベルファストの商人・ボイド家の当主ジャック・ボイドがカントナックの畑を手に入れ、シャトー・ボイド・カントナックと命名したのが歴史のはじまり。それから所有者を変えつつも、クラシカルなマルゴーのスタイルを守り続けてる生産者だそうです。

公式サイトにテクニカルシートとかはなかったので、購入ショップの商品ページを見ると、使っているのはカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ25%、カベルネ・フラン8%、プティ・ヴェルド7%。新樽率30〜60%のオーク樽で約12~18カ月熟成されてるとのこと。1855年から続く格付け3級の重み、いざ味わってみよう。

 

シャトー・ボイド・カントナック2017を飲んでみた

今回は格付けについて調べるのがメインの記事なのでアレなのだがこのワインめっちゃくちゃうまいですね。2017ヴィンテージだからまだ飲むには早いのかもしれないけれども全然余裕でおいしい。ひさしぶりに超絶うまい液としか言えないやつが我が家の食卓にある。

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vivinoの評価も貫禄の4.1。そりゃそうだ。

土とか皮とか鉄とかの、なんかこう革ジャン着たバイク乗りみたいな香りも甘さはないけどたしかな果実の存在を感じる味わいも端的に言って最高。とくに2日目、3日目にかけてのパフォーマンスの上がり方はさすがだった。初回はストレートが走ってなくて先頭打者ホームランを浴びたけど終わってみればその1失点のみの完投勝利。ストレートの球速は9回裏に最速の155キロを計測、みたいな印象ですよ野球でいうと。

いいワインには理由がある。それを改めて思い知った次第。メドックグランクリュラッセ、これは飲み進めていかなくちゃなりませんな!

うきうきワインの玉手箱の1日限定福袋はまもなく販売開始。売り切れ必至なのでお早めに!

himawine.hatenablog.com

 

 

ドメーヌオヤマダ、アズッカ エ アズッコ……日本ワイン11種類を試飲。おいしかったのはどれ?

ウィルトスワイン神宮前の日本ワイン試飲会に参加した

オリンピックを間近に控えた2021年の東京。そのメインスタジアムである新国立競技場のすぐそばにあるワインショップ、ウィルトスワイン神宮前で開催された日本ワイン試飲会に行ってきた。

参加費は2900円。それで11種類のワインを試飲することができ、かつそのほとんどを10%オフの割引価格で購入できるというイベントだ。

まず、どんなワインがラインナップされているかを見てみよう。こんな感じだ。

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11種類のワイン(1本はビール)を飲みました。

甲州微行 NO BUBBLE/反射炉ビヤ
バウ BOW 白/ドメーヌオヤマダ
PUMP UPオレンヂ/イエローマジックワイナリー
コトリンゴ/ドメーヌショオ
ぴのぐり こことある/ココファーム
真夜中のラブレッテラ 白/アズッカ エ アズッコ
アルバリーニョ/カーブドッチワイナリー
ジョリジョリホリデー/ドメーヌショオ
NECO HANA/ファットリアアルフィオーレ
ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー
ピノノワール 野生酵母/多田農園

ウィルトスは自然派とかナチュールとか、そのように呼ばれるワインに強いショップだと思われるので、ラインナップもそのようなワイン中心だ。これらのワインを1時間かけて、まずはお店の方の説明を聞きながら一通り試飲し、その後に将棋における感想戦のごとく客側から再度飲みたいワインをリクエストしていく。

ちなみにドメーヌオヤマダの「BOW 白」と、アズッカ エ アズッコの「真夜中のラブレッテラ」は本数が少なく、購入の可否は客同士のジャンケンで決まる。

でもって結論を先に述べると今回の試飲会のワインはどれも素晴らしかった。これはちょっと微妙ですねってワインはひとつもなかった。というわけで、全ワインをまるっと振り返っていきたい。

 

甲州微行 NO BUBBLE/反射炉ビヤ/ビール

まず「甲州微行 NO BUBBLE」だがこれはビールだ。試飲会の先頭バッターとして用意されていたが、予想よりも濃い味のため5番目くらいに回されたという一本で、ドメーヌオヤマダのデラウェアに付着した自然酵母を使用したビール。

なにがすごいって泡がないんですよこれビールだってのに。で、飲んでみると味はたしかにビールなのだがワインのような香りや風合いがあってとてもおいしい。完全に飲んだことのない飲料だったので飲めて良かった。

 

PUMP UPオレンヂ/イエローマジックワイナリー/オレンジ微発泡

さて、本来先頭のはずのビールが5番に回ったので急遽先頭バッターとなったのがイエローマジックワイナリーのPump Upオレンヂ。山形県産のナイアガラとロザリオビアンコ甲州で作ったオレンジ微発泡ワインなのだがこれとってもおいしかった。

デラウェア、というブドウがおそらく私はとても好きだと思うのだが、旨味があってトロピカル感があって爽やかさもある。2400円という価格もあって毎回すぐ売れちゃうそうな。

 

バウ BOW 白/ドメーヌオヤマダ/白

続いてがドメーヌオヤマダのBOW 白。デラウェアを主体に、プティマンサン、シュナンブラン、そしてカベルネ・フランが少量ブレンドされているのだそうな。飲むのは初めてだけどこれはなるほど人気になるのも当然だという味わいだった。

デラウェア、生食用ブドウ(非醸造用ブドウ、非ヴィティス・ヴィニフェラ)ということで敬遠される方も中にはおられると思うのだが、日本の気候風土によく合っていて、病害にも強いのもまた事実。なので「世界基準」とかはさておいて、日本の風土にあった地酒的ワインをつくるのにはすごく適してるんじゃないかと小声で言いたい。この味の奥行きで1800円はちょっと驚きで、そりゃ売れちゃいますよすぐに。ジャンケン勝負にはもちろん参戦である。

 

Some People Talk To Animals Not Many Listen Through/ドメーヌショオ/白

次に飲んだのは新潟の造り手ドメーヌ・ショオのシャルドネの樽熟白ワイン。超長い名称は「動物に話しかける人はいるけど、聞こうとする人はほとんどいない」の意だそうだ。たしかに……!

栽培においても醸造においても可能な限り自然に行うことを目指し、ダシ感のある瑞々しい旨味を追求していると公式サイトにあるけれども、透明な液体のなかに旨味とか苦味がつまっていて、山菜の天ぷらとかにすごく合いそうな気配。

公式のオンラインショップの商品紹介に「うちにしては珍しく、整ってる」って書いてあるのがなんかいいなと思った次第だ。

 

ぴのぐり こことある/ココファーム/白

続いてはココ・ファーム・ワイナリーの「こことある」シリーズからピノ・グリ2019。「こことある」は、北海道岩見沢の「10R(トアール)ワイナリー」で醸造家、ブルース・ガットラヴさんがつくるシリーズ。

使われているブドウは私の推し自治体である北海道余市産。やわらかさや旨味が非常に強く感じられ、その中に一本スッと酸味の筋が通って非常においしいワインだった。

 

真夜中のラブレッテラ/アズッカ エ アズッコ/白

で、次が愛知県の人気生産者、アズアズことアズッカ エ アズッコの真夜中のラブレッテラ 白っていうちょっと変わった名前のワイン。面白いのは使用品種で、シャルドネと「軽く陰干ししたマルヴァジーア・ビアンカ」となっている。

マルヴァジーアというとイタリア品種。イタリアで修行したという生産者だけにイタリア品種使いが上手いのか、たしかにイタリアのさわやか白みたいな雰囲気がありつつ、そこに日本的なしっとりした“隠”のニュアンスが加わっていて大変面白いワインだった。

 

アルバリーニョ/カーブドッチワイナリー/白

その次に飲んだカーブドッチワイナリーのアルバリーニョ2020が今日のベスト級のおいしさ。試飲したすべてのワインのなかで、味のスケール感はNO.1だったと思う。(ただしその分価格も5000円超えと立派)

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ゆずのような鼻に抜ける香りがあって、雑味のないすごくクリアな味。新潟だけにわずかに海のニュアンスもあるような気が言われればするような味わいで、熟成させたらさらに緻密な味わいになるのだそうだ。大変おいしいワインだった。財布とセラーに余裕がある方はぜひ。

 

ジョリジョリホリデー/ドメーヌショオ/オレンジ

続いては再びドメーヌ・ショオのジョリジョリホリデー。ジョリジョリってなんのことかなとラベルを見ると、無駄毛をカミソリで処理している(?)全裸の女性がデザインされていた。なるほど。

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これ。

品種はこれもデラウェア。色がかなり濃い目のオレンジであることもあり、ともすればトマトジュースみたいな印象まで受けるくらいの旨味を感じて、このワインもとてもおいしかった。

デラウェア、どこかのタイミングで集中的に飲みたいなー。

 

NECO HANA/ファットリア アル フィオーレ/ロゼ

次が宮城県の生産者、ファットリア アル フィオーネのNECO HANA。食用ブドウのスチューベン94%とメルロー6%のブレンド。ウィルトスのスタッフの方の「食用ブドウは香りは強いが味の濃さは出にくい。それをメルローで補っているこのワインは、実に日本的、日本の地酒と言えると思う」という説明が納得の味。

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ラベルかわいい。

ベリー感が楽しく、かつ芯もあり、複雑でおいしいワインだった。こういった、飲んだことのなかった生産者のワインを飲めるのが試飲会の魅力であります。

 

ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー/ロゼ

さて、いよいよ終盤戦になってきたのだが次は再びココ・ファーム・ワイナリーの「ぴのろぜ こことある」。私はピノ・ノワールが好きで北海道余市好き。というわけでやっぱりこの余市の木村農園で採れたピノ・ノワールを野生酵母で発酵させたワインが私は抜群に好きだった。遅摘みのブドウをマセラシオンカルボニックで発酵させたという味はドライながらかなり甘やかで、素晴らしいと思った。

恥ずかしながら知らなかったのだが、木村農園は余市におけるピノ・ノワール栽培の第一人者的な栽培者なのだそうだ。それも納得の味である。

 

ピノノワール 野生酵母/多田農園/赤

最後は北海道は富良野の生産者・多田農園の「ピノ・ノワール野生酵母」。これも、派手さはないが沁み渡るようなおいしさがあった。ラベルも素朴で良い。

というわけで以上11本を飲んだ。

とくにおいしいと感じたのは3本。

BOW 白/ドメーヌ・オヤマダ
アルバリーニョ/カーブドッチ・ワイナリー
ぴのろぜ こことある/ココ・ファーム・ワイナリー

BOW 白は1000円台とは思えない味わいの強さがあり、カーブドッチのアルバリーニョは世界に通じる的な風格があり、ぴのろぜ こことあるは逆に国際品種ながら日本ならではの旨み、滋味深さや甘やかさがあった。どれも最高。なんだけどカーブドッチのアルバリーニョは値段が比較的高い(5300円)ため断念し、「BOW 白」と「ぴのろぜ こことある」を購入することとした。

BOW 白は2本が用意されており、購入希望者は3名。つまり1名が買えない。最初のジャンケンでまず一人の方が勝ち抜き、サドンデスの様相を呈した2回戦、最初は「グーでアイコ」。この状況では「グーに勝てる手」を出したくなるもの……ここはリスクをとって勝負手のチョキだっ! と元気にチョキをリリース。この策略が功を奏して辛くも勝利を収め、無事に手に入れることができたのだった。良かった。

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この2本をお迎え。飲むの楽しみだなー!

 

ル ・レーブワイナリー/MUSUBI2020

さて、もうひとつ、あまりにも入荷数が少ないため、500円キャッシュオンでの有料試飲となった北海道は余市のお隣、仁木町にあるル・レーブワイナリーの「MUSUBI2020」も飲んだのだがこれも素晴らしいワインだった。

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自社栽培の7品種を混醸したワインだそうで、似たつくりで以前に飲んだことがあるマルセル・ダイスのアルザスコンプランタシオンとかモンガク谷ワイナリー的な酸&コクが両立した味わい。これを書きながらこれも買っときゃ良かったなとちょっと思ってる次第だ。それを言ったらやっぱりカーブドッチのアルバリーニョもイエローマジックワイナリーもだなとキリがなくなるわけですけれども。

ともかく以上、12種類のワインは本当にどれもおいしく、他の参加者の方と「これ全部欲しいですね、うはははは(ほろ酔い)」みたいなことを言いながらの試飲会は大満足のものとなったのだった。あー楽しかった!

 

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