2020年6月に飲んだワイン
2020年6月の東京は、新型コロナウイルスの自粛が終わり、経済活動が再開された一方で、月末には再び同ウイルスの感染者が増加傾向を示すというプロ野球の対戦カードでいう1勝1敗1引き分けといった月であり、そんななか私は通常の瓶のワインをブログで取り上げていないものも含めて17本、缶ワインを2缶、カップワインをワンカップ飲んだ。ワンカップっていう単位が渋いぜ。
おいしくなかったワインは一本もなく、強いていえばセブンイレブンのカップワイン(白)がうまい! 最高! とは言い難い味ではあったけれどもそれは言うだけ野暮だ。ワインはワインであるだけで素晴らしく、たとえ商業的・工業的に作られたものであっても、そこには希釈されホメオパシー級の濃度になっているかもしれないけれども必ずやどこかの誰かのワイン愛があると信じる私は夢見る中年男性の一人だ。ワインは愛でできてる(できててほしい)。
そんなわけで、すべてのワイン、すべての生産者をリスペクトしつつ、今月も飲んだワインのベスト3を記録しておきたい。
第3位「キラードロップ 」
まず第3位は689セラーズの「キラードロップ」。おいしかったなあ、キラードロップ 。購入価格3880円はデイリーワインとしては高額に感じられるけれども、果実味ボヨヨンだけではないカリフォルニアのワインの深淵を垣間見たような気がしてむしろお得感まであった。
689セラーズはまだ白ワインを試したことがないので、そちらも飲んでみたいと思う次第。あとは、日本未発売っぽいピノ・ノワールの「ゴースト・イン・ザ・ナイト」を飲みたい。
第2位「ウィル アンジェール ブリュット」と週末シャンパーニュ体験
そして第2位は「ウィル アンジェール ブリュット」だ。おシャンパーニュ。今月は週末に必ずシャンパーニュを抜栓するという貴族の暮らしをしたわけだが、そのうちの1本。
9999円税込の4本セットのうちの1本なので、1本あたりは約2500円。2500円で貴族体験ができるというそのエクスペリエンスも含めてのコストパフォーマンスが異常。2時間2500円の飲む貴族体験。泡が出ている間だけ魔法が続くおじさんシンデレラ状態である。
しかし、4本1万円でこの満足度となると、有名メゾンの高級シャンパーニュっていったいどれほどおいしいのか。高橋大樹選手は今シーズンのブレークが期待されるいい右打ちの外野手だが、同じ右打ちの外野手の頂点には鈴木誠也選手がおり、NPB屈指の高みに達している。しかし本来、どちらもプロ野球選手って段階で超人なのである。同じことがシャンパーニュにも当てはまるのだろうか。だとすれば想像するだけでウホウホだ。いつか飲む。高級シャンパーニュを。死ぬまでに。生きねばならぬ。飲むまでは。そしてがんばれ、高橋大樹選手。応援してます。
2020年6月のベスト「モンペ」
そして第一位は、たった一杯100ccあったかなかったかの量をグラスで飲んだに過ぎないドメーヌ モンの「モンペ」を挙げたい。北海道余市町登地区のワイナリーがつくるペティアンで、私は会食の際に食前酒として飲んだ。
こういう言い方はふわっとしていて嫌なのだが、「生きている味だ……」とか思ってしまった。自家製のぬか漬けとか、自家製のヨーグルトとか、そういったものを口にしたときの感じ。ワインは発酵飲料なんだなあと思わせてくれた。セブンイレブンのカップワインの180度逆サイドに、モンペは存在する気がした。
あとで調べたところによると、生産者の方を招いてのイベントがつい先日都内であったのだという。知らなかった。痛恨である。知っていれば、チケットが完売していようと店の前からコソコソと店内の様子を伺うレベルの奇行をする準備があった。そして公式サイトの取扱店のリストを見て訪ねた某店では「ついこないだまで『Mont-C(モンシー)』があったんですけどねー(今はない)」と言われるというニアミス2連発。「桐島、部活やめるってよ」かよ。せめて初めて飲んだ日にもう1杯、いや2杯、なんなら3杯くらい頼んでおけば良かった。
2020年6月は、我ら人類がウイルスとともに生きていく、そんな時代の最初の一カ月であった。そんなタイミングで、微生物なのか、酵母なのか、なにかしらの菌なのか、専門的なことはわからないけれども、そういったものの働きを感じられるワインを味わうことができたのは、なんだかすごく意味のあることな気がした。それですっかりヤラれてしまい、自宅には日本ワインのストックが増加中だ。キラードロップ (一発でもってかれる)とはまさにこのこと。
今日からはじまる7月はどんな一か月になるのだろうか。そして、どんなワインと出会えるのだろう。うーん、楽しみ。ワインを好きになってから、生きているのが楽しくて仕方ないっす。