ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

7本で振り返る私のワイン2年史。

ワイン歴2年のターニングポイントになったワインたち

ワインにハマって2年が経った。なんとなくの興味から始まって、ワインが好きになりすぎてブログまではじめ、今ではすっかりワイン沼に肩まで浸かって良い湯加減である。

そして今回の記事は2年前の自分がこういう記事を読みたかっただろうなあ、という想定で書く。趣旨は、「ワインに上手にハマるための銘柄案内」といったもの。

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ワインにハマるきっかけになったワインってありますよね。

当時私が知りたかったのはひとえに「銘柄」だった。「どれを買えば良いか」だった。それも、RPGの攻略フローチャートがこの順序で進んでいくとラスボスまでスムーズにたどりつけますよといった順番を説明してくれるように、ワインの世界に効率よく分け入っていくための銘柄ガイドを必要としていた。

多くのワイン初心者向けコンテンツは、まず「品種」の説明がある。しかし、私に限っていえばまず「銘柄」を知りたかったのだ。「ギョギョッ、このワインうまーっ!」が先にあり、次に「これ、カベルネっていうブドウなんだ。次も同じの買ってみよ」が発生するというのが正しいフラグの立ち方だと思う。

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ワインにハマって2年間、ターニングポイント的になった7本のワインを選んでみました。

というわけで、極めて個人的ではあるものの、私のワイン2年史を振り返り、ターニングポイント的になったワインを7本選ぼうというのが今回の趣旨だ。もし万が一ワインにこれからハマりたいと思っている人の目に触れてなにかの参考になったら幸甚である。また、ワインラバーの皆様におかれましては、ぜひご自身の「#7本で振り返る私のワイン史」をお教えいただけたら幸いだ(購入の参考にしちゃう)。

 

2019年1月25日。初めてネットで買った2本のワイン

さて、ワインにはまった日付を私は正確に言える。2019年1月25日だ。アマゾンの購入履歴によれば、この日私はスペインワインのエヴォディアと、イタリアワインのカザマッタ・ロッソという1000円台のワイン2本を注文している。それが、人生初の“名指し”でのワイン注文経験だ。

そこに至るまでに私は複雑なマーケティングファネル(認知から決済に至るまでの過程)をくぐり抜けている。ざっくり以下のようなものだ。

→近所のフレンチで前菜に合わせて白、メインに合わせて赤のグラスワインを注文
→ワインも料理も妙にうまい
→ワインへの興味芽生える
→コンビニ・スーパーで適当にワインを購入
→ハズレ連発
→ワインへの興味、薄れる
→冒頭のフレンチ再訪。興味再燃
→ネットで安くておいしいワインについて調べる
→エヴォディア、カザマッタ・ロッソの2本に決め、注文

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「これだ!」というワインに出会うまでの行動イメージ。

と、このように、1月25日の前にはこのような行動を私はしている。人間がある商品を購入する背景には複雑な行動の履歴があることがわかって面白いですね我ながら。

そして、以降の購入履歴はこうだ。

1/30 カサーレ・ヴェッキオ/コノスル レゼルヴァ カベルネ・ソーヴィニヨン
2/5 カザマッタ・ロッソ/カザマッタ・ビアンコ
2/12 カザマッタ・ロッソ/エヴォディア

Youカザマッタ・ロッソ気に入ったね。よほど気に入ったのだろう、2回リピートして白(ビアンコ)まで試している。いいなあ、ハマりつつあるな、この人。ここまで来ればもうハマるでしょ間違いなく感がある。

さらに履歴を辿ると、2月14日、前回の購入日からわずか2日でコノスル・リゼルヴァ・ゲヴュルトラミネール、ならびに「コノスル・リゼルヴァ・シリーズ赤だけ5本セット」を購入している。品種ごとの違いに興味が芽生えてますね……(温かい目)。

ともあれここで私は初めて「必要量」以上を購入しているのがポイントだ。好奇心と知識欲が暴走モードに切り替わったこの時点でポイント・オブ・ノーリターンを華麗に通過し、それから今に至るまで、様々な段階をふたたび私はふむことになる。以下のようなものだ。

→リアルショップ迷走期
エノテカオンライン期
楽天移行期
楽天迷走期
→ワインセット購入期

以上を経て、興味を持ったワインを単品でツモる今のスタイルに落ち着いている。楽しい2年間だったなあ。今は「なに期」なのだろうか。きっとなにかしらの迷走期なのだろう、後から見れば。

 

7本のワインで振り返る私のワイン2年史

さて、前置きが極めて長くなったがここからが本題だ。この愉快な2年間のターニングポイントとなった7本のワインを、すでに登場したものも含めてここから紹介していく。そのワインを飲んだ(購入した)ことでなにかのトビラが開き、新しいワインの世界を覗かせてくれたワインたちだ。

なお、テイスティングやらお店で飲んだやらでほかにも印象的なワインはあるが、挙げるのはすべて自分でボトルを購入したもののみとした。また、ガッツリ印象に残っているけれども現時点でネットで購入できないもの(小布施ワイナリーとかドメーヌ・モンとか)は省いている。

それでは行ってみよう。以下の7本だ。

 

カザマッタ・ロッソ→ワインにハマるきっかけ(イタリア・赤・1000円台)

それまでの私の赤ワインへの印象は、甘いか渋いか酸っぱいか、であった。甘いものは甘ったるくて飲めず、酸っぱいものは渋酸っぱくて飲めない。ところがこれは、甘み、渋み、果実味がどれも突出せず、調和していて明らかな違いを感じられた。そしてラベルも素晴らしく、食卓に絵が飾られているように、置くだけで場が華やぐ。ワインをゼロから知りたい場合に勧めるかと言われれば今思うと微妙なんだが私はこのワインがハマる最初のきっかけ。

ちなみにカザマッタ・ロッソはビー・ビー・グラーツという元芸術家がイタリアのトスカーナで造るワインで、サンジョヴェーゼという雑にいうと甘ずっぱいブドウでできてる。同時に買ったエヴォディアもオススメ。こちらは1000円切る価格で買える。

 

コノスル・レゼルヴァ・ゲヴュルツトラミネール→ワインにハマる原因(チリ・白・1000円台)

これは何度も書いているのだが私がワイン沼にハマりこんだときに背中を押してくれたのがこのワインだ。グラスに注いだときのグラスの底から漂ってくる華やかな香りをたぶん私は一生忘れないと思う。残念ながら終売となってしまったが、下位互換のはずのコノスル・ビシクレタ・ゲヴュルツトラミネールがめちゃくちゃおいしいのでひと安心。

コノスルは安うまワイン界で知らぬ者のない自転車のマークでおなじみのチリの生産者。なにを飲んでもおいしいが、はっきりと「ライチ味」のゲヴェルツトラミネールは初心者キラーとして有名。

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デ ウェホフ バトラー シャルドネ→ワインってすごいかも、という衝撃(南ア・白・9000円台)

ワインショップ、カーブ・ド・エル・ナオタカのセットに入っていた“南アのモンラッシェ”。2019年の春、モンラッシェがなにを意味するかを知らないタイミングで飲んだんだがびっくりするほどおいしくてびっくりした語彙力。『ジョジョの奇妙な冒険』第三部で初めてラスボスのディオと接触した際のポルナレフの気持ちといえばお好きな方は理解していただけるはずだ。「恐ろしいものの片鱗を味わった」という感覚だ。また飲みたい。

デ ウェホフは南アフリカの生産者。バトラーはそのハイエンドの白ワインで、後から考えると私は白ワインの「樽」のニュアンスをこのワインではじめて感じ、それが衝撃へとつながったのだと思う。単体だと高いがセットだと比較的安く買える。

 

シックス・エイト・ナイン サブミッション カベルネソーヴィニヨン→「濃い赤」との出会い(アメリカ・赤・2000円前後)

「濃い赤」がおいしいから濃い赤ワインしか飲みたくなく、どうやらその欲求は南イタリア、あるいはカリフォルニアのワインを購入すると高確率で満たされるらしいと思っていたのがワインにハマって約1年のタイミング。このワインは一時期ハマって複数回リピートしたワイン。「これ以上おいしい(と自分が感じることのできる)ワインはこの世にないんじゃないか」と真剣に悩んだのはいい思い出。

シックス・エイト・ナインセラーズは689という数字が中国で縁起がいいとされるからとその名を冠したというカリフォルニアの生産者で、その名のとおりの「689」というワインもめちゃくちゃおいしい。サブミッションはカリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンらしいたっぷりとした果実味、豊かな樽香、濃い甘味が感じられて最高においしい。しかも高くない。最高。えらいっ。

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グラハム・ベック ブラン・ド・ブラン 泡大好きになったきっかけ(南ア・泡・2000円台)

赤、白、泡と大きくワインが分かれる中で、いちばん購入する頻度が低かったのが泡だったのだが、ワインにハマって1年半経過のタイミングでこのワインを飲んだことでその認識が激変、2020年の夏は泡ばっかり飲んでた記憶しかなくなるという事態になった。泡まみれ。2000円台半ばという価格ながら本当にシャンパーニュを凌駕しかねないような味がする。これほんとすごい。

「泡」にハマったきっかけはなにかといえばこれで間違いなく、その後、シャンパーニュへの興味がふくらんでいくことになる。南アのワインってすごいな! と思ったきっかけのひとつ。

 

クルーガー・ファミリー・ワインズ パーリーゲーツ ピノ・ノワール→安うまピノを探し求めるきっかけ(南ア・赤・2000円台)

ピノ・ノワールというワインは非常に個性的かつ魅力的なワインだが、本場であるフランス・ブルゴーニュで私のワイン1本に対する平均支出レンジである2000円台のおいしいワインを探すのは難しいため、あるときから私は非ブルゴーニュのおいしいピノ・ノワールを探すのをある種の独立した趣味として楽しんでいる。

でもってこれは現時点での私のベスト2000円台非フランスのピノ・ノワール・イン・ザ・ワールド。南アフリカの生産者で、パーリーゲーツとは聖書に登場する天国への扉のこと。これを飲んで「世界には2000円台のおいしいピノ・ノワールがあるんだ!」と感動し、それを探すのが趣味化した。おいしいピノ・ノワール情報は@ヒマワインまでお願いします。

 

ポワルヴェール ジャック→1000円台でシャンパーニュが買えるヤバさ(フランス・泡・1000円台)

でもって最後はシャンパーニュだ。開けたらすぐに飲み切っちゃわないといけないもんに何千円も払えるわけないじゃん(笑)というマトモな思考ができた頃が私にもかつてあったはずなのだが、シャンパーニュシャンパーニュにしかない魅力を知ってしまうともうダメ。財布のヒモがおじいちゃんのジャージの腰のゴムくらいゆるくなってしまうのを避けることは不可能だ。

とはいえ、5000円とか払うのはさすがに勇気がいるしデイリーに飲むのは普通に無理。というわけで、2000円を切る価格で買えるシャンパーニュ、ポワルヴェール・ジャックのヤバさが際立つということになる。ただ、より趣旨に忠実なターニングポイントという意味では初めて5000円+の巨費(弊社比)を投じて買って価格に見合う価値を感じることができたボランジェ スペシャルキュヴェであることを付記したい。

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以上の7本がわりと決定的な7本だが、私が飲んでいるのはそのほとんどが3000円以下のデイリーワインという狭い世界に過ぎず、1本あたりの平均支出額を増やせばより豊かなワインの世界が味わえると思う。私自身、仮に庭から石油が湧いてる系男子であればきっともっと高額なワインをデイリーに飲んでおり、必ずしも3000円以下にこだわっているわけではない。ただ、それでもワインは十分に、存分に楽しめている。1000円台、2000円台のワインを日常で飲み、たまのハレの日にいいやつを飲む。それでもワインはアホほど楽しめるから本当にすごいなあと思う次第だ。

みなさんの #7本で振り返る私のワイン史 はどのようなものだろうか?

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