ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオン。エノテカの赤ワインくじ「5等」のワインを飲んでみた。【CLARENDELLE ROUGE SAINT EMILION】

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンはどんなワインか

先日、エノテカの「トレジャーハンティング【赤】」を購入した。売価3000円で特賞から6等までの等級があり、特賞はドミナス、6等でも3800円以上のワインが当たるというワインくじ。日常には刺激が必要なのだそうなのだよし買おう、という簡易脳内会議を経て購入したら届いたので開けてみたら5等、5000円のクラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンが当選した。うーん、悪くない。

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くじのスリルをより強く味わうために「当たったワインがなんであれ、その日に飲む」という縛りプレーを実施していたため、早速その日のうちに飲むことにし、抜栓する前にサクッとワインについて調べてみた。

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンはボルドーの格付け1級、シャトー・オー・ブリオンを所有するクラレンス・ディロン・ワインズが、ボルドーワインの魅力を世界に伝えるべく造るプレミアムブランドなのだとか。

輸入元であるエノテカの商品ページには、「格付け1級シャトー・オー・ブリオンと同じ醸造スタッフが超一流の技術を駆使し、オー・ブリオンの畑を含む超一流シャトーの畑から収穫されるブドウを使用して手掛けています。」と太字で書かれている。うーん、なんかすごい。そこはかとなく「ブランド力(とマーケティング)で勝負でします!」って書いてある気がしなくもないけれども。

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クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンを飲みました。

クラレンス・ディロン・ワインズのサイトには2015年のデータしかなく、それによると品種はメルロー85%、カベルネ・フラン15%とのこと。エノテカの商品ページによれば2016年の使用品種はメルローカベルネ・フランカベルネ・ソーヴィニヨンなんだとか。年によってカベルネ・ソーヴィニヨンが入ったり入らなかったりするのでしょうか。とにもかくにも、飲んでみた。

クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンの第一印象は「すっぱい」だったが……?

飲んでみた第一印象を偽りなく書くならば「すっぱい」となる。ほかにとくに言葉がない。うーん、どうなんだろうこれ。無糖のヨーグルトのホエーのような酸味。微妙だな、困ったな。

これは明らかに戦況が良くない。戦術レベルにおいて戦力の逐次投入は愚の骨頂、ここは一旦完全撤退、回れ右して全速前進ということで、すかさず常備菜的ワインに切り替え、ほどよく仕上がったところで私が日常生活に問題を抱えた場合にいつだってそれを採用する最強のソリューションを採用した。つまり寝た。

そして翌日、私はムクリと起き上がると朝食の塩鮭をほぐしながら脳内反省会を実施した。なぜ、クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンのようないい(はずの)ワインを飲んでの感想が「すっぱい」で終わってしまったのか。「あのさあ、貴様の舌が未熟すぎる以外に答えがあると思うの?」という脳内会議与党からの糾弾は無視した上での結論は「悪いのはギョーザなんじゃないか」というものであった。反省会って犯人探しになりがちですよね。

そう、ともかく昨夜のメインディッシュはギョーザであった。ソムリエ・田崎真也氏は以前読んだインタビューで、ワインのテイスティングをする際は前日からニンニク、ニラ、ネギなどは食べないみたいな趣旨の発言をしていた(ような気がする)……! 前日どころか当日どころか、まさに同時に食べてた……。

では果たしてなにが合うのか。まず、ある程度オイリーであってほしい。んでもって、ワインがスパイシーな感じがするので、ある程度スパイシーな料理が合いそうな気がする。肉か魚かっつったらそりゃまあアンタ、肉だろう。ということで、フランス料理店でメルゲーズなる料理をテイクアウトしてみた。モロッコアルジェリアチュニジアなどの北アフリカ、そしてフランスで食べられる料理で、要するに仔羊のスパイシーソーセージって感じの一品。おいしそうだなあ。私は羊が好物であります。

クラレンドル・ルージュ・サンテミリオン、2日目に起こった奇跡

さて、ワインをほどよい温度にし、テイクアウトの羊ソーセージを温めて焼き、虚心坦懐食べかつ飲んだらこれがもうあらやだ……うまいじゃないの……うまいじゃないの(2度目)! すっぱ要素ゼロ。果実味要素もないのに、なんなんだろうこのおいしさ。ワインとソーセージが口のなかにある瞬間、そこにソーセージの赤ワイン煮みたいなおいしい一皿が出現する感じ。すっぱくて飲み進めるのが困難だと感じたワインが、スルスルと、白米に対する味噌汁みたいな相性の良さで進みに進む。ワインが疲れを知らない炭鉱夫のように、喉の奥へと突き進んでいく。うーん、アンストッパブル。なんですかこの名状しがたきうま汁。

また香りがいい。ブドウ風呂を横目に眺めながら革張りのマッサージチェアに座ってるときの香りがする。そんな体験は無論生涯で一度もしたことがないけれどもそんな印象を抱いてしまったのだから仕方ない。

第一印象悪かったのに翌日コロッと好きになるとは……チョロい系ヒロイン(略称・チョロイン)か。

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vivinoの点数は3.6点。合わせる料理によって評価が変わるってのはあるんじゃないですかね。いやホントに。

とにもかくにも、クラレンドル・ルージュ・サン・テミリオンにギョーザは合わない。そしてメルゲーズは往年の全日本プロレスにおけるジャンボ鶴田天龍源一郎のタッグ、通称鶴竜タッグを思わせる相性の良さがある。ワインは合わせる料理次第でまったく違う顔を見せる(常識)。以上が、今回私が自身の体験から言えるたしかなことのすべてだ。うーん、おいしかった。

ちなみに、ギョーザに合うワイン、というのも同時に発見したので、それはまた後日ご報告します。