シュナン・ブランはどんなブドウなのか問題
エノテカのオンラインストアで南アフリカの生産者・レオパーズリープの「クリナリア・コレクション シュナン・ブラン」を買った。私はシュナン・ブランという品種のワインをあまり飲んだことがなく、その知見を深めようというのが今回のテーマ。
というわけで、ワイナリーやボトルそのもののことは一旦脇に置き、今回は「シュナンブランってなんだろう」みたいなことをざっくりと調べてみた。
シュナン・ブランの親兄弟
まずは遺伝的特性から。シュナンブランのwikiによれば、その親子兄弟関係は、以下のように記述できるようだ。
【親】サヴァニャン
【兄弟】ソーヴィニヨン・ブラン
面白。ソーヴィニヨン・ブランと兄弟なんすね。地元はいずれもフランス・ロワール地方(と言われている)。シュナン・ブランとソーヴィニヨン・ブランの関係なんて考えたこともなかったが、シュナン・ブランを飲んで「ソーヴィニヨン・ブランっぽいな」と思ったことはたしかにあった。その事実を知ってから字面を見比べると、なるほどたしかに一脈通ずる気がしてくる。
Savagnin(親)→sauvignon blanc(兄弟)→Chenin blanc(本人)
なんていうんですかね、妖怪が地方によって呼び名が微妙に変化する、みたいな感じに見えてくる。人間でいえば似てるような似てないような感じの兄弟みたいなイメージですね。広瀬アリス・広瀬すず姉妹感っつーか。この場合アリスがCBすずSBである異論なんてあるはずない。
ソーヴィニヨン・ブランとカベルネ・フランの子孫であるカベルネ・ソーヴィニヨンにとっては、シュナン・ブランは叔父になる。カベソーからすると、ソーヴィニヨンブランが「親分」、サヴァニャンが「大親分」、シュナンブランが「叔父貴」にあたるわけですね。ヤクザ映画かよ。
シュナン・ブランとオランダ南インド会社とヤン・ファン・リーベック
でもってこのシュナン・ブランは世界でも南アフリカが最大の産地。なんでも、南アフリカにケープ植民地を建設したオランダ南インド会社のヤン・ファン・リーベックが1655年に南アでブドウ栽培をはじめたときからシュナン・ブランは栽培されていた可能性があるのだそうだ。
話は逸れに逸れるけれどもこのヤン・ファン・リーベック、1642年には長崎の出島にも派遣されている。三代将軍徳川家光とか四代家綱とかの時代にオランダに生まれて日本まで来てベトナムで不正蓄財で仕事クビになった後でケープ植民地を建設してインドネシアのバタヴィアで死んだリーベックの飛行機でもキツイわって移動を帆船でやってる人生半端なさすぎて南アフリカでは紙幣にもなったそうですよシュナンブランの話だった。
ゲヴュルツトラミネールとシュナン・ブランの関係
話はまた若干複雑になるのだが、サヴァニャンのwikiを見ると、サヴァニャンの別名はTraminer(トラミネール)であり、アロマ系品種でおなじみゲヴュルツトラミネールと「ほとんど変わりがないといわれている」とある。
てことはシュナンブランやソーヴィニヨンブランの親はゲヴュルツトラミネールってことになってこれは納得がいくけれどもカベルネ・ソーヴィニヨンのおじいちゃんもまたゲヴュルツトラミネールってことになるよねwiki情報かき集めると。意外〜。
と、品種の歴史を調べると、なんとなくそのブドウがどんなブドウかがわかったような気になることがわかったが、実際のところは飲んでみないとなにもわからないので飲んでみる。原稿用紙4枚分ほどの分量を費やしてしまったが、以上が前置きである。
レオパーズリープ クリナリアコレクション シュナン・ブランはどんなワインか?
さて、レオパーズリープのクリナリアコレクションは、食事とのハーモニーを意識して作られたちょっぴり上級ライン的なシリーズ。
シュナンブランの名産地だというダーバンで収穫されたシュナン・ブランを100%使用したロワールスタイルのワインで、手摘みで収穫したブドウをプレス後500リットルの2回目、あるいは3回目使用のフレンチオーク樽で発酵。9カ月澱とともに熟成された後、ブレンドされ、ボトリング。4カ月の瓶熟成を経てリリースされるそうだ。アルコールは13.5%。残糖は2.0g/L、PH3.30、Total acidはこれなんて訳すんだろう総酸値(?)は5.7g/L。
レオパーズリープ クリナリアコレクション シュナン・ブランを飲んでみた
はてさてどんな味かしらんとグラスに注いで飲んでみた感想を発表する。
「ことのほか、樽」
これである。
私が良く行くラーメン屋は「さっぱり」と「まったり」から味付けを選べる。両者の差分は背脂だ。「さっぱり」の背脂トッピングが「まったり」でスープ自体は同じ(多分)。私は基本「まったり」を選択し、せめてもの罪滅ぼしにと血液サラサラ的ななにかを期待して刻み玉ねぎをトッピングしてこれが大変にうまいという話はさておいてシュナンブランはその出自からも基本「さっぱり」系の味わいのはず。そのニュートラルな味わいに樽を足し、澱と触れ合わせることで、スープに背脂を足すように「まったり」系の味わいになるのでしょうか。シュナン・ブランに背脂、じゃなかった樽の風味を足すと、ちょっとコクが出ておいしいんですね。
結果、どんな食材にも合わせやすそうな、万能型の白ワインといった印象をこのワインからは受けた。シュナン・ブランってこんな感じにもなるんだな〜。コスパがいい意味でぶっ壊れてる南アワインに3000円課金するとやっぱりリターンがガッツリくる。たまらん。
このワイン残念ながら今はネット上で見当たらないが、レオパーズリープのシュナン・ブラン自体は入手可能
そしておいしいシュナン・ブランといえばこれ。ステレンラストの“マザーシップ”。これはホントおいしい。