ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ゴーツ・ドゥ・ロームを飲んで調べて味と感想と価格をまとめてみる。【Goats Do Roam】

ゴーツ・ドゥ・ローム=羊が・うろうろ・する≠コート・デュ・ローヌ

ルパン三世 カリオストロの城」という映画がある。

1979年公開、監督は宮崎駿。映画にひとつあれば一生心に残るようなカットが、冒頭の壁面をクルマが重力を無視して疾走するカーチェイス、ルパンの屋根から屋根への大ジャンプ、ミートスパゲティをルパンと次元が奪い合う食事シーン、ヒロインである王女・クラリスにルパンが手品を披露するシーン、時計塔でのラストバトル、水没する城、そしてもちろんラストシーン等々いくつもあり、かのスティーブン・スピルバーグは本作を称して「史上最高の冒険活劇の1つ」と言ったとか言わないとかっていう話があるそうだ。

この映画のなかに登場したマグガフィン的小道具がヤギの紋章が刻印された「ゴート札」なるニセ札だった。というわけで、ある年代に少年だった世代は、ゴートという言葉を正しく翻訳することができる。「ヤギだな」と。

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ゴーツ・ドゥ・ロームを飲みました

ビックカメラの酒販部門であるビック酒販の店頭でゴーツ・ドゥ・ロームのボトルを目にしたときに、以上に述べたような記憶が郷愁のドアを叩いたのか、なんなのか、気がついたらゴーツ・ドゥ・ロームはレジ袋に入れられていた。ゴーツ・ドゥ・ローム。すなわちフランスのワイン産地コート・デュ・ローヌのもじり。まさかのダジャレ。ワイン造りって素人が想像するまでもなく極めて高い専門性と手間が必要であろう作業を経て、最終的に我が子につけるがごとき気持ちでつけた名前がダジャレ、っていう一点に逆に凄みを感じるパッケージだ。ゴーツ(羊)がローム(ウロウロ)する(ドゥ)って意味だそうです。うん、なに言ってるかわかんない。

ゴーツ・ドゥ・ローム、お値段は1410円税込。

調べると、輸入元のモトックスのサイトに割と詳しくこの生産者のストーリーが掲載されている。それによれば時は1999年。「南アを代表する生産者だったチャールズ・バック氏率いる醸造所“フェアヴュー”」が「シラーやサンソー、カリニャン、ムールヴェードルに少量の地元産ピノタージュをブレンドし」世に出したのがこのゴーツ・ドゥ・ロームシリーズなのだそう。ワインは2002年にアメリカでリリースされると即座に大ヒット。しかし、大ヒットしたことでフランスから商標登録に待ったがかかったのだとか。バック氏はそれに抗議すべく観光バスでフランス大使館に乗り付けると、デモを決行、最終的には権利を勝ち取り、ついでにその過程をCNNが報じたことで知名度アップにも成功したのだとか。なにこの映画みたいな話。

生産者であるフェアビューのサイトによれば、使われているのはシラーズ(Shirazという表記)、ムールヴェードル、プチシラー、グルナッシュ、テンプラニーリョ、サンソー、ピノタージュ。オンラインショップに記載されている価格は55.00ランドで、1ランドは5.69円(2020年4月4日現在)なので、現地価格はささささ312.95円ですよこれがまた。とはいえビック酒販での買値は1410円なので、なお十分に安い。安くておいしくてストーリーのあるワインが私は好きであります。

ゴーツ・ドゥ・ローム、どんな味?

実際に飲んでみると、これがまたうまい。果実味が十分にあるんだけどありすぎず、渋みも適度、酸味も適度。突出したところはないけれどもバランスが良いルパン的味わい。果実味が不二子的要素、渋みを次元的要素、酸味を五ェ門的要素とするならば、それら三軸の中心に存在しているような味わい。鶏モモ肉にオリーブオイルと塩をかけて200℃に熱したオーブンで焼くという2000年くらい前すでにあった感じの料理と合わせてみたら異様に合って気がつくとほぼ空。またつまらぬ酒を飲んでしまったなんて言わないですよ私は絶対。

ちなみにこのゴート・ドゥ・ロームシリーズにはさらに上級ラインが存在する。その名もフランシス・フォード・コッポラ監督のこれまた歴史的傑作「ゴッドファーザー」をもじったネーミングの「ゴートファーザー」。またダジャレかよ!

ゴッドファーザーがイタリア系マフィアの抗争を描いた作品だけに、ゴートファーザーはイタリア系品種が中心だという話、だけど最新のヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニヨンメルロー、サンジョヴェーゼ、タナが使用されてるとのことで意外と思いっきりイタリア品種って感じじゃない感じ。今度飲む。

というわけで、コート・ドゥ・ロームは非常においしくいただけたのでした。次はコート・デュ・ローヌのワインを飲まなければなりませんな(飲んだことない)!