ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ギリシャワイン4000年の味わいやいかに。買って飲んでたしかめた。【ミロナス・ワイナリー マラグジア/MYLONAS MALAGOUSIA】

ギリシャワイン4000年の歴史

昨夜はギリシャワイン「ミロナス ワイナリー マラグジア 2018」を飲んだ。ギリシャワインを飲むのはもちろん初めて。というわけで、ギリシャワインってどんな感じなんだろうかミロナス・ワイナリーってどんな造り手なんだろうかそしてマラグジアとはなんなんだっていう疑問がポコポコ湧いてくるのでひとつずつ解決していきたいと思う次第だ。

まずギリシャワインについてだが、紀元前2000年頃、フェニキア人によってオリエントから古代ギリシアにもたらされたとある。古代ギリシャでは盛んにワインが造られ、紀元前4世紀のものとされる生産者と役人の名が刻印された陶器の入れ物が今に伝わってたりするのだそうで、造り手の名前と原産地呼称が書かれた現代のワインのラベルみたいで面白い。ロマンあるなあ。

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wikipediaギリシャワイン」より。アテナとヘラクレス、ワインを飲むの図。

そしてwikiの「ギリシャワイン」の項にある女神アテナがヘラクレスにワインを注いでいるこの画像が
アテナ「もう一杯くらいいいじゃないのグーッといきなさいよ」
ヘラクレス「いやいやいや、もう無理。もう無理ですってマジで」
とか言ってる感じに見える。ちなみにヘラクレスがかぶってる毛皮の獅子は、のちに獅子座となるネメアーの獅子。

ともあれ、東から西に伝わったワインは、古代ギリシアによって特権階級から庶民の間にも広がり、やがてイタリア半島などにも普及していったのだとか。でもってオスマン帝国に占領されている間に衰退、20世紀になって復活、という道のりを歩んだようだ。酸味が豊かなものが多いとあるのは、やっぱり魚介とかヤギのチーズに合わせることが多いからなんですかね。あと、スペインのアレとは関係なく「カヴァ」っていう種類のテーブルワインがあるそうな。

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ミロナス・ワイナリー「マラグジア」を飲みました。ボトルがかわいい。

カヴァといえばスペイン・カタルーニャ地方。で、カタルーニャにワインをもたらしたのはヘラクレスの敵の巨人・ヘリオンだっていう伝説があり、史実としてはフェニキア人がワイン生産を伝えたとされる。紀元前、ギリシャ世界にワインをもたらしたフェニキア人は、同じ技術をカタルーニャにも伝えたんですかね。ロマンがありすぎる。あとヘラクレス出てきすぎ。調べたらギリシャにはそのものズバリの「ヘラクレス」ってワインがあるそうな。いつか飲んでみたいです。

ミロナス・ワイナリーと謎の品種マラグジア

ミロナス・ワイナリーは1917年設立。首都アテネの南40キロほどの場所にあるそうで、21世紀に入ってから化学が専攻でWSETのディプロマを取得した現当主が近代的ワイナリーに生まれ変わらせたんだそう。そのおかげか、公式ウェブサイトは史上最高に見やすい。ご当主、ロジカル大王みたいな人物と見た。

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ズラリと並んだステンレスタンク。ワイナリーには近代的な設備が導入されてるみたいです。

でもって今回のワインの使用品種はマラグジア。ギリシャ大使館が発行する「ギリシャワインガイド」によれば、マラグジアは「他の品種とはかなり性質が異なる品種」であり、「数年前まで忘れ去られていたにもかかわらず」「現代のギリシャワインに新たな刺激と見通しを与え」たとある。

そしてその味わいは、「シャルドネと同じくらいパワフルで、優れたセミヨンと同じくらい濃厚」なんだそうだ。ちなみにマラグジアはギリシャ語表記だと「ΜΑΛΑΓΟΥΖΙΑ」。最初のMAと最後のZIAだけわかって間がさっぱりわからないのなんか面白くないですか。

ブドウは手摘み収穫後ステンレスタンクで80%、樽で20%の割合で発酵を行い、その後3カ月シュール・リー。さて、その味わいやいかに。

ミロナス・ワイナリー マラグジア2018を飲んでみた。

抜栓してクンクン匂いをかいでみると、うん、この匂いは知ってるぞ。これツナサンドですね。玉ねぎが入ってて、かつドライなタイプのやつ。関係ないけどこの時期(6月)に新玉ねぎだって言い張って売ってるやつってほぼ玉ねぎですよね。ともかく、ツナ、パン、玉ねぎの匂い、つまりツナサンドが香る。ツナサンド香る白ワイン。逆ではない。

と、わけのわからないことを書くハメになってしまったので、正しい情報をお伝えすべくデータシートを見ると、「春の花、桃、マンゴーの強い香りと草本植物のヒントが組み合わされています」とのこと。全然違うじゃないか。なんだよツナサンドって。お前が行くべきはワインショップじゃなくて耳鼻咽喉科だよ。でもツナサンドの匂いがします(言い張る)。あと草本植物っていう日本語がピンとこない。

味わいは、これ草ですね。香りはツナサンド、味わいは草です。草っつってもアレです。海辺ね。多島海を渡る海風にそよぐ草の味わいですよエーゲ海行ったことないけど。ソーヴィニヨン・ブラン的なスッキリした柑橘系の味わいwithさわやかな苦味from草、って感じです。

こちらも公式情報を添えると「豊かで濃厚な味わいと適度な酸味がフレーバーのバランスを提供します。フルーティー草本植物的な後味」だそうです。また草本植物かよ。草本植物推しが強い。でも味わいはアグリー。そうそう、それが言いたかったんですよ感。

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vivinoの点数は3.4点と低め。だけどおいしいです。

おいしいし、個性がすごくハッキリしていて、これは飲んでいて楽しい。行ったことないけどすごくギリシャを感じる(ホントに)。不思議の国のアリスの白ウサギが描かれたラベルは、食卓に置いとくと愉快な気分になるし。ギリシャワインもそうだけど、ミロナスワイナリーのワインをまた試してみたくなる。

ところでこのワインの希望小売価格は2200円で、私は葡萄畑ココスで2068円で買ったんだけど、一部ネットショップで2200円より高い価格で売ってるのなんでなんだろう。ワインの世界はわからないことばかりなりけり。