ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ジョージアワインを飲んでみた! どんなブドウを使ってる? ユネスコ世界無形文化遺産の「クヴェヴリ」とは? 【VAZISUBANI ESTATE SAPERAVI QVEVRI】

カルディに言ったらジョージアワインが売られていた。

コーヒーが切れたのでカルディコーヒーファームに行って、とんかつ屋でうっかりソースかけすぎたみたいな体でついでにワインやらつまみやらを購入し、下手するとコーヒーを買うのを忘れて帰るまであるというのが私のルーティンだが、以前から気になっていたジョージアのワインを棚に発見したので迷わず買った。それが、「ヴァジスバニ・エステイト・サぺラヴィ・クヴェヴリ」である。うーん、意味がわかるのが「エステイト」だけ。ジョージア、それは私にとって未知の国。

 

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ヴァジスバニ・エステイト・サぺラヴィ・クヴェヴリを飲みました。

未知の国だけに、なんとなくジョージアはワイン発祥の地とかなにかで読んだ気がする、いつだったかは知らんみたいな不確かさ100%みたいな情報しか脳内にない。あとなんですかね、カメみたいなのを地面に埋めたりするんじゃなかったでしたっけ。あと栃ノ心ね。関取の。ニックネームは角界ニコラス・ケイジでありますワインの話をしようか。

ユネスコ世界無形文化遺産「クヴェブリ」を使ったワイン造りとは?

さて、なにもわからないのでおとなしくgeorgian wineのwikiを見ると、ジョージアのワイン造りの歴史は「少なくとも8000年」続いているのだそうだ。日本でいう縄文時代からワイン造ってる。そして、伝統的なクヴェヴリを使ったワイン造りはユネスコ世界無形文化遺産に登録されているのだとか。あ、そういえば商品名にクヴェブリってありましたよね。なんなんだろう。というわけでKvevriの項を調べると画像があった。これがクヴェブリだっ。

 

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どどん。これがクヴェブリだそうですよ。土器です。(写真はwikipediaよりCC BY-SA2.0)

クヴェブリとはワインの発酵・熟成・保管に使われる土器。ブドウを収穫後、搾汁し、地面に埋めたこの土器のなかで皮や茎ごと発酵させるとのこと。

あとでリンクを貼るジョージアのワイン造りのドキュメンタリ動画の冒頭で、歴史家・考古学者といった人々がこんなことを語り掛ける。

ジョージアではブドウの栽培が太古から現在まで続いています。ブドウとジョージア人は一緒に生まれたのです」

「ワインの歴史は、最古の農耕文化の現れとして考察されねばならない」

南コーカサスは工作農業の発祥地のひとつです」

要約すると、ジョージアは地球上で狩猟採集から農耕へと人類が移行した最初の土地のひとつであり、時を同じくして彼らはブドウの木を植え、土器のなかでワインを造っていた、ということになる。そして8000年の時を超え、ジョージアではいまも土器を使ったワイン造りが行われている。すごすぎる。飲む歴史を超えて、もはや飲む人類史、飲む文明ってレベル。

「ヴァジスバニ・エステイト・サぺラヴィ・クヴェヴリ」という商品名の意味は?

以上を踏まえて改めて商品名「ヴァジスバニ・エステイト・サペラヴィ・クヴェヴリ」を見てみよう。輸入元のサイトによればヴァジスバニは地名で、サペラヴィは品種名。つまり分解すると、ヴァジスバニ(地名)、エステイト(そのまま)・サペラヴィ(品種)・クヴェブリ(土器)ってなるようだ。この世に調べてわからないことはないですな!

在日ジョージア大使館のサイトにあったジョージアのワイン造りドキュメンタリ(日本語字幕あり)↓

www.youtube.com

品種名が名称の一部になっているだけに、このワインは100%サペラヴィ種を使用しているみたい。ではサペラヴィはどんな品種なのだろうか。

これまたwikiに頼ると、サペラヴィは「全体的な生産量の点で、これは圧倒的に最も支配的なジョージアの赤ブドウ」であり、「熟成期間を延長するのに適した非常に濃い赤ワインを生産」することが可能で、それだけに「アルコール度数が高くなる可能性」があるため「多くの場合、より軽い品種とブレンドされ」るとのこと。その単一だから味はかなり濃いのかも。

ただ、公式サイトによるとワインのアルコール度数は13%で、意外と高くない。ワイン自体は「クヴェブリで60-90日間スキンコンタクトしながら長期マセレーション」とあります。

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別のワイナリーの画像ですが、クヴェブリはこんな風に地中に埋めて、この中でワインを熟成させるとのこと。(写真はwikipediaより CC BY-SA2.0)

ちなみにジョージア語で書くとサペラヴィはსაფერავი。読めなすぎる。世界は私の知らない言語であふれてる。

ヴァジスバニ・エステイト・サぺラヴィ・クヴェヴリを飲んでみた。

さて、以上の情報を踏まえていざ抜栓。初めてのジョージアワイン。その味わいやいかに、とグラスに注ぐとこここここ、濃ッ! ド紫! 赤成分少なめの青みがかったようにすら見える紫色。色の印象からなんだろうけど、液体自体もトロリとしてるように思える。ジュースっていうよりも「汁」という言葉が似あう佇まい。

公式サイトいわく、「熟したチェリーとエルダーフルーツの際立った香り」とあるけれど、私が飲んだ印象では香りも味もブルーベリー。自分で言うのもアホらしいけどこれ確実に色の印象に引っ張られてんな。しかし、そう感じてしまったものは仕方ない。過去最高にブルーベリー感のあるワインでした。

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vivinoの点数は4.0と高評価。

おいしいんだけど、これはいかにも夏に飲むワインじゃなかった気がする。冬場、よく煮込んだなんかの肉を黒パン的なものと一緒にパクつきながら飲んだら、かなり印象が変わりそうな気がする。ジョージアワイン、まだまだ飲んでみなくちゃなりませんな。

さて、余談だがこのワイン、輸入元のサイトでは「業務専用」と書かれている。このあたりの事情は門外漢なのでわからないが、コロナ禍で業務需要が減ったことで、小売りに降りてくるなんてこともあるんですかね。おいしかったのでありがたいけど。