ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「Amazon限定ワイン」6本セットを徹底調査。果たしてお得か!?

Amazon限定ワインの6本セットを買ってみた。

2022年1月のAmazonのセールで、「多くの受賞ワインを輩出するイタリア各地のオーガニックワインを得意とするワイナリーから スパークリング・白ワイン・赤ワイン6本セット」という妙に長い名称のセットを買ってみた。内訳は泡2本、白3本、赤1本。

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Amazon限定ワインのセットを買ってみました。

中身はトレメンティ、アルラマードレ、ラ・ヴィという3つのブランドのまぜこぜセットで、どれもAmazon限定のAmazon直輸入商品。どのワインのことも知らない。なので調べてみることとした。

himawine.hatenablog.com

 

Amazon限定ワイン「ラ・ヴィ」はどんなワインか?

まずは「ラ・ヴィ」という名称のスパークリングワインから。「コロンバビアンカ」という生産者のプロダクトで、コロンバビアンカシチリア島の生産協同組合。公式サイトによれば1800ヘクタールの有機農法のブドウ畑を持ち、生産量は年間1400万リットル。巨大〜。

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ラ・ヴィ スプマンテエクストラドライグリッロ

しかもそれはオーガニックに限った話で、コロンバビアンカ全体では2480の農家が参画し、6900ヘクタールの葡萄畑、6つのワイナリーを持ってるんだって。神奈川県藤沢市をすべてブドウ畑にしたくらいの規模。有機農法というと小規模な生産者がこだわってやってる、という印象があるけれど、小規模農家が合従連衡し、いわばスイミー状態スケールメリットを獲得しているようだ。

セットに入っていたのは、「ラ・ヴィ スプマンテエクストラドライグリッロと、同「ネロ・ダヴォラ ロゼ」。で、個人的にはグリッロのほうが非常においしいと感じた。ジェネリックシャンパーニュ感があったんですよこれが。

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ラ・ヴィ スプマンテエクストラドライ ネロ・ダヴォラ ロゼ

手摘みで収穫したグリッロをシャルマ方式で発酵させるっていうシャンパーニュとはほぼなんの関係もないと言っていい造りなのだがなんなんでしょうねこの妙なおいしさ。土壌がチョーク質って書いてあるからそこに遠因があるのか、瓶熟2年と書いてあるからそこになにかしらの秘密があるのか、もちろんさっぱりわからないけれどもとにかくおいしい泡だった。

 

Amazon限定ワイン「トレメンティ」はどんなワインか?

続いてはトレメンティ シャルドネ ヴィオニエ。こちらはオリオンワインズという会社のプロダクトだ。オリオンワインズは欧州と北米市場に詳しいマーケターと、イギリス・ドイツ・アジア市場に詳しいマーケーター、そしてワインメーカーの3人のチームが2010年に立ち上げたという会社。

イタリア各地の生産者と契約して、同社が望む(エンドユーザーにウケそうな)プロダクトを造らせて適正市場に送り出すみたいな、なんというか賢い人が賢くやってる企業、という印象を公式サイトからは受ける。

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トレメンティ シャルドネ ヴィオニエ

前出のコロンバビアンカのサイトにもほぼまったく同じことが書いてあったのだが、オリオンワインズが掲げるのは「ヴィーガンフレンドリー」「オーガニック」「持続可能農法」の3つ。私の欧州在住の友人の一人はまさにヴィーガンなのだが、こうやって調べるとヴィーガンが欧州ではすごく一般的になってる感じがする。

「オーガニック」のメソッドはかなり個性的で、農薬を撒く代わりに「フェロモン合成物質(?)」なるものを区画周辺の空気中に拡散することによって害虫のオスの方向感覚を失わせ、交配をさまたげる農法を実施しているとのこと。そんなのあるんだ。

himawine.hatenablog.com

トレメンティ シャルドネ ヴィオニエはシャルドネ70%、ヴィオニエ30%をブレンドさせたワインで、飲んでみるとこれはとてもおいしいワインだった。シャルドネがベースなのでふくよかで厚みがあり、そこにヴィオニエ由来と思われる桃のような花のような香りが加わり、全体を酸味がまとめてソツがない。

シチリア南部の畑で採れたブドウを使い、シャルドネの20%はフレンチオークのバリックで発酵、5カ月間熟成。残りは10度の低温でオリとともに熟成させるというだけに、新樽由来の甘い感じもあっていいですよこれは。

 

Amazon限定ワイン「アウラマードレ」はどんなワインか?

最後、3本がセットに入っていたアウラマードレは調べても公式サイトがヒットせず、イマイチ調べきれなかったのだがどうやらオーガニックワインの生産者の団体なんだそうだ。

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アウラマードレ トレッビアーノ・ダブルッツォ

以下は資料に基づかない推測に過ぎないが、イタリア各地からオーガニックワインを買い付けて、自社ラベルを貼って世界に流通させるみたいなモデルっぽい。(前出のオリオンワインズに近いモデルだと思う)

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アウラマードレ ペコリーノ・テッレ・ディ・キエティ

セットに入っているのはモンテプルチアーノ・ダブルッツォ、トレッビアーノ・ダブルッツォ、ペコリーノ・テッレ・ディ・キエティの赤1本白2本。白の2本は食事に合わせやすいサッパリ系、赤ははっきりした果実味が魅力のおいしいワインで私が好きだったのは赤。

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アウラマードレ モンテプルチアーノ ダブルッツォ。ラベルが良い。

ちなみにアウラマードレの他の品種のワインは楽天でも売られているのだが、それには1本2000円台の値札が付けられている。Amazonで売られていたのは、そのワインが3本入ってほかにもワインが3本入った6本セットで6856円だから、いかに安いかがわかる。Amazon怖い(饅頭怖い的文脈で)。

というわけで駆け足でアマゾンの6本セットに入っていた3生産者とそのワインを振り返ってみたのだが、すべて大規模協同組合、大規模(?)ワインカンパニー絡みであることがわかった。大規模生産者と世界最大の小売りプラットフォーマーが組んだらそりゃまあ価格破壊が起きるでしょうよ。それを買うのってワイン業界的にはどうなのって気がしなくもないが、いかんせん私はイチ消費者。お得という言葉には弱い。弱すぎる。

最後に、ワインサーチャーなどで各ワインの海外での価格を調べてみると、ざっくり
ラ・ヴィ 9ユーロ(×2
トレメンティ 8ユーロ(×1
アウラマドレ 10ユーロ(×3
といったところで6本の合計は56ユーロ、日本円で約7305円だった。以前調べた際にも感じたことだが「Amazon限定ワイン」のコスパはちょっと底が抜けている。有名無名を問わず、ともかくおうちで安くておいしいワインが飲みたい! と思う方にとってAmazon限定ワインはかなりの狙い目だと思う(ただしもちろんハズレもある)。

というわけでAmazonワイン、引き続き調査を進めていこうと思います。まだ見ぬお宝がきっとありそう。