ブリュット・ダンジャン・フェイを生む村「セル・シュル・ウルス」はどんなとこ?
昨夜はワインショップソムリエの白・泡ワインくじで当たったシャンパーニュ、ブリュット・ダンジャン・フェイを飲んだ。
生産者のポール・ダンジャン・エ・フィスはシャンパーニュ地方のコート・デ・バール地区っていうブルゴーニュ隣接した地方のセル・シュル・ウルスという村を本拠地とする生産者。セル・シュル・ウルス、どんなところかなあと検索してみると出てきたのが以下の画像だ。
よく見ていただきたいのだがこのボトル風オブジェ、ボトル部分がシャンパーニュのボトルでできてる。なんでしょうかこのかに道楽の看板レベルの問答無用感。もしわたしがセル・シュル・ウルス出身だったなら、合コンで「セル・シュル・ウルスってどんなとこ?」ととくに興味なさそうに聞かれた場合間違いなくこの画像を見せる。コイツは盛り上がるに違いないぜワインの話だった。
セル・シュル・ウルスはブルゴーニュ、それもシャブリに近いんだそうで、その土壌はシャブリと同じキンメリジャン土壌という、牡蠣の殻を含んだものなのだとか。私は牡蠣が好きなのでその時点でもうおいしそう。「キンメリジャン土壌」の響きの良さは異常であります。
ブリュット・ダンジャン・フェイはどんなワインか
その土壌から生まれたブリュット・ダンジャン・フェイはワインショップソムリエのサイトによればピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエがブレンドされ、熟成期間は「最低でも30カ月」とのこと。シャンパーニュ事務局のサイトによればAOCシャンパーニュの規定では瓶内熟成15カ月が規則だそうです。いいじゃないっすか。
この半年、泡といえば安泡しか飲んでおらず、直近でいえばカクヤスの500円泡しか飲んでいない私はいわば泡弱者。そんな私が30カ月以上熟成のシャンパーニュを飲んで果たしてどう感ずるのか……うーん、楽しみ。
ブリュット・ダンジャン・フェイを飲んで思い出した生産者との対話
というわけで土曜日の空がピンク色に染まる頃を見計らって抜栓し、グラスに注ぐと、あらやだ……なんですかこれは。グラスのなかに泉でも湧いた? みたいに底から立ち上る泡のみなさん。すごいなシャンパーニュ。さすがだな。
以前、ワインにハマりかけの頃、近所のショップで開催されたシャンパーニュの生産者イベントに興味を覚えて参加した際、来日したメゾンの代表者に「なんでシャンパーニュだけが特別なんですか?」と素人の気安さで聞いたことがある。その答えが忘れられない。こんな感じだ。
「世界中にはいいワインの産地がたくさんありますし、温暖な産地からは大変おいしいワインができます。シャンパーニュはパリの東北にある寒い地方で、他の産地より特別優れているというわけではありません。ただ、シャンパーニュには、ほかの産地にはない、シャンパーニュだけの個性があるんです」
つまりシャンパーニュはシャンパーニュだからシャンパーニュなのだ、ということを、決して上からではなく、ド素人と同じ目線に立って教えてくれたのだった。ナンバーワンにならなくても良くてもともと特別なオンリーワンなのだと。
ブリュット・ダンジャン・フェイを飲んだ瞬間に、そのときのその言葉が思い出された。「すべてのワインをリスペクトする。」がこのブログのコンセプトだが、シャンパーニュと普段飲みの安泡にはたしかな違いがある。温泉と自宅の風呂の違いみたいな、どっちがいいとか悪いじゃない本質的違い。温泉が好きだからって自宅風呂がなくていいとはならない。みんな違って、みんなお湯。だけど温泉はどう考えても特別だ。同様に、みんな違ってみんな泡でみんないいんだけれどもシャンパーニュは特別だ。明らかに。誰かを下に見るのは差別だが、誰かを仰ぎ見るのはリスペクト。私は温泉とシャンパーニュをリスペクトしています。しかしこれ、高額シャンパーニュってどんな泉質、じゃなかったどんな味がするんだろうか。温泉旅館が高級温泉旅館になる感じだろうか。いいよなあ、高級温泉旅館。
とにもかくにも、この記事を書きながら至高の組み合わせは温泉旅館に宿泊して湯上りにシャンパーニュを飲むことなのではないかという仮説にたどり着いた。それ絶対やる……おれそれ絶対やる!