ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

カデ・ドック メルロー。暑い日に赤ワインは冷やしてのむべきなのか問題。【Cadet d'Oc MERLOT】

14日間のデジタルデトックス(任意&強制)とワイン

少し早い夏休みをとり、その間はデジタルデトックスと称してPCもスマホも放置してプール、昼寝、ワインをエンドレスでループする暮らしをするんだそうするんだと決意、そのような日々を過ごしてさてブログでも書くかと帰りの飛行機でPCを立ち上げたら電源が入らないのほんとやめてくださいと思ったのが一週間ほど前。PCは壊れた。あとなぜか洗濯機も壊れた。さらに四十肩も再発。神様、私はあなたの楽しみにしていたプリンを無断で食べたかなんかしたのでしょうか。

ともあれ、このブログのための書きかけの原稿、撮りためた写真は今PC本体とともに修理業者の冷たい(※イメージです)工場のなかで検査の時を待っている。デジタルデトックス(任意)からのデジタルデトックス(強制)の連続技。人生は長く、PCは壊れる。それは仕方がないんだけれども代替機(ウインドウズ機)にSDカードスロットがないため写真のサルベージができず弊ブログも開店休業状態を余儀なくされるというなか、唯一携帯で撮影していたワインについて記す。

カデ・ドック メルローとリゾート

14日ぶりのブログではあるがその間も当然のごとくワインはほぼ毎晩飲んでいた。おいしいワインもあれば、そうでもないワインもあったが、せっかくなので夏休み中に飲んで印象的なワインを紹介したい。旅先のホテルで購入したカデ・ドック メルローだ。

f:id:ichibanboshimomojiro:20200725174018j:plain

冷やして飲んでおいしかった夏のメルロー、カデ・ドック選手。

コロナウイルスが猖獗を極めるなか、旅行に存在するリスクは自分が無自覚のうちにキャリアとなって現地の方にウイルスを移してしまうリスク。というわけで空港まではタクシー、飛行機を降りてからはレンタカー店に立ち寄った以外はすべてリゾート内で過ごし、施設内ではマスク着用、かたっぱしから手指消毒しまくりという、これはバカンスっていうか俗に言う自粛では? と思わないでもない旅ではあったが、この時期に旅する以上仕方がないことである。

初日に飲んだのはシャンパーニュ。いついかなるタイミングでもシャンパーニュは素晴らしいのでおいしいのだけれどもこの暑さ、この湿気、さすがにこれはもう現地名産の蒸留酒ソーダ割だなあというわけでそれを飲んだところ、現地の料理と強烈にマリアージュを当たり前だがして、その酒のミネラル感、塩感、海感、亜熱帯感はこれぞまさしくテロワールを表現してるってことなんじゃないかと酔った勢いで感動したりしたんだけれどもここはリゾート。昼間から部屋で酒を飲むのがバカンスというものであり、それを許すための装置がリゾートである。というわけでリゾート内の売店で購入したのが、カデ・ドック メルローだ。輸入元は安心のエノテカ。旅先でエノテカのワインを見つけたときの安心感よ。

カデ・ドックの意味は?

カデ・ドックはバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が南仏ラングドック地方で造るワイン。さて、前にも軽く調べたことがあったような気がするが、ラングドックはlangue d'ocであり、「オック語を話す地方」のこと。

himawine.hatenablog.com

オック語が面白いのは、ラングドックだけじゃなくてスペイン・カタルーニャ、イタリア・ピエモンテの一部にも話者がいる点で、ラングドックを含むオック語話者の暮らす地方を総称してオクシタニアと呼ぶらしい。フランスの化粧品メーカーに「ロクシタン」ってのがあって高いホテルに行くとアメニティがドヤ顔でこのメーカーのものだったりするけれどもロクシタンはまさしく「オクシタニアの女性」といった意味なんだとか。世界は豆知識で溢れてる。

ちなみにオック語で「オック」は「はい」って意味なんだそう。いいなあ、オック。イエスの代わりにオックを使っていきたい。オック! オラ悟空、みたいなことを言ったら怒られるんでしょうか。

オックはわかったそんじゃカデはなんだと調べると「末っ子」「後輩」という意味があるそうな。以上のことから帰納的に言えることとして、カデ・ドックは「オック語を話す後輩」という意味になる。うーん、なぜか意味深。どんな後輩なんだよ。今から飲む酒はオック語を話す後輩という意味の酒なんだと思うだけで味わいが2割くらいアップするのでそろろそ抜栓しますので本当の意味はエノテカに聞いてください。ブドウはメルロー100%。それ以外は不明であります。

カデ・ドック メルロを飲んでみた

抜栓と書いたがスクリューキャップなのでクルクルカチリと回転。テキトーに冷蔵庫で冷やしておいたそれを、ワイングラスはないので(今思えば頼めば良かったが)部屋に付属のバカラ風の広口グラスに注ぎ、バルコニーに出て飲んでみたところなんだよ後輩、お前さんウマいじゃない……!

南仏といえば果実味、果実味といえば南仏、みたいなイメージがあるけれどもこのワインも果実味たっぷり。渋みはひかえめ。で、わりとしっかりすっぱみがある。このすっぱみが冷やして飲むのに最高なように感じられて、プリッツ的なお菓子しかつまみがないという状況でもスイスイ飲める。リゾートはコストのかかる天国だけれども酒がなければ天国の出力も35%くらい下がるというなか、バカンスなんだか自粛なんだかわからないリゾート滞在をバカンス側に大きく寄せる仕事をしてくれた。冷やしておいしいのは強い。

南国の暑気で赤ワインを飲む適温的な温度になっても、やっぱり「冷やしたほうがおいしいなあ」と感じたので、当たり前だけど外で飲む場合、おいしいと感じるか否かは外気温に依存するということだろうか。いずれにせよ、価格は1320円。リゾート自粛のおともワインとして、必要十分の仕事をしてくれたのだった。オック!