豪徳寺駅前「ワインステーション+」に行ってみた
以前ちょこちょこ遊びに行かせてもらっていたワインバー「ワインステーション」が小田急線の豪徳寺駅前に移転するというので、そのプレ・プレオープン営業に行ってきた。
新店名「ワインステーション+」は南アフリカワインとオレンジワイン、そして日本酒に特化したお店。聞けばもとは鮨屋だった物件だそうで、横長でこじんまりとした、駅前なのに隠れ家感のある空間。
一枚板の立派なカウンターには6名が着席でき、奥には立ち飲み用の樽テーブルも設置。そのさらに奥にもカウンター席があって、15名ほどが同時に利用できるようだ。内装は端的に言ってオシャレ。と、同時にどこか友人宅に遊びにきたような居心地の良さも感じる絶妙なバランス。落ち着く〜。
【1杯目】エヴィダンスbyLVHB
さて、この日は時間がなかったので少ししか飲んでいないのだが、そのうちの1杯が素晴らしかったので記録しておきたい。
まず飲んだのはエヴィダンスbyLVHBという名のクレマン・ド・ブルゴーニュ。産地は北部ブルゴーニュで、シャンパーニュまでの距離600メートルという絶妙な立地。店主いわく「実質シャンパーニュ」というワインだホントかよ。
飲んでみるとシャンパーニュ感はあまりないような気がするけども泡が出るワインとして普通においしい。リンゴみたいな感じ。お店で注いでもらって飲むワインはおいしいなあ。
コロナ禍で旧所在地の和泉多摩川駅から移転を余儀なくされ、短期間で豪徳寺に新店舗をオープンさせるまでには様々な苦労があったようだ。そんな話を聞きながらキュッと飲んで、2杯目に頼んだワインが素晴らしかったのだった。
☆【2杯目】A.A.バーデンホースト ケイジ シュナン・ブラン
それが、A.A.バーデンホースト ケイジ シュナン・ブランだ。日本人佐藤圭史さんが、師と仰ぐ南アフリカの生産者。A.A.バーデンホーストのアディさんの元でつくるスペシャル・キュヴェ。ファーストヴィンテージは2017で、それが日本人が南アフリカでワインを造った初めての例なのだそうだ。
キュヴェ名の「CAGE」はケープ、アディ、グリーティング、アースの頭文字だそう。単語のスペルに意味をハメてく、NPOとか国際機関とかがやりそうな感じのネーミング。国際的。
ワインはA.A.バーデンホーストの自社畑のシュナン・ブラン100%を使い、古樽とコンクリートタンクで全房のまま3週間野生酵母で自然発酵、マロラクティック発酵後、古樽で11カ月熟成、2021年1月29日に瓶詰めしたという無清澄のワイン。アルコール度数は14度。
注いでもらって驚いたのだが色が黄金すぎる。シュナン・ブランってもうちょと薄めでスッキリしたイメージがあったけど、見るからに豊か&リッチな色合いだ。以前飲んだマイベスト白のひとつ、マルセル・ダイスのワインみたいな輝くゴールド。
味わいは色のイメージ通りの蜜感に、スッキリきれいな酸味。そこに柑橘の皮のような、草原で草を噛んだような苦味が少し。うっま。うますぎて馬走る(草生える、みたいな文脈で)。
以前飲んでおいしかった同じ南アフリカはステレンラストのマザーシップ・シュナンブランと比較しても好みでいえばこちらのほうが上ってくらいおいしいと感じた。これは買って家で1本飲みたいやつ。
これは前ヴィンテージ↓
【3杯目】チェイス・ザ・グレープ シュナン・ブラン
さて、この日はもう1杯南アフリカのシュナン・ブランを飲ませてもらった。それがチェイス・ザ・グレープ シュナン・ブラン。こちらはスタークコンデで修行中だという日本人醸造家・内藤大さんが造るキュヴェ。
こちらも野生酵母で発酵、無濾過・無清澄とケイジ シュナン・ブランと似たつくり。こちらは私の抱いていたシュナン・ブランのイメージに近く、すっきりさわやかな味わい。レモンを超えてライム感まである清涼感があり、こちらもおいしいワインだった。
どちらも南アフリカで日本人醸造家がつくるナチュラルなシュナン・ブラン。それでも全然表現が異なるのが面白い。
というわけで、わずか40分くらいの滞在のなかで、とても面白いワインが飲めて大満足の初ワインステーション+だったのだった。
2021年10月23日のオープン日には、9リットル入りの超巨大シャンパーニュのサブラージュ(サーベルによる抜栓)イベントもあるそうですよ!