「カレーマ」はどんな土地か?
カレーマ クラシコ プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマ、という名前のワインを飲んだ。
ワインの名称は何年飲んでも複雑怪奇だが、カレーマ クラシコがワインの名前、プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマが生産者の名前だ。もっといえばプロデュットリが協同組合(製造業者)でカレーマが地名。
ネッビオーロといえばイタリア・ピエモンテの代表品種で、このワインは以前Twitterで「今飲んでおいしいネッビオーロを教えてください」とお願いした際にとあるピエモンテの専門家に教えてもらったワインだ。
カレーマはどんな土地なのだろうか。wikipediaで調べるとピエモンテ州トリノ県にある人口765人のコムーネ。北緯45度なのでボルドーと同緯度帯ながら山あいで標高が高く、アルプスからの冷たい風も吹き込む冷涼な産地のようで、ネッビオーロの北限とも言われてるそうな。そうなんだ。
購入したトスカニーの商品ページには「”トゥピン"という石垣で囲まれた段々畑でブドウは栽培されます。」という記述があった。となるとそのトゥピンとやらを拝まずにはいられないのでグーグルマップでGo To カレーマすることにした。
カレーマとトゥピンと「バッカスの神殿」
というわけでカレーマの町にやってきた。今回飲んだワインの生産者・プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマは州道26号線沿いにある大きめの建物。その北東側の山の斜面にブドウ畑が広がっているようだ。ちょっとカレーマ散歩してみましょう。
歩き回ってみると、カレーマではどうやら垣根ではなく棚でブドウを栽培してるみたい。そして、上の写真の画面右奥に段々畑的なものが確認できる。あれがトゥピンってやつだろうか。もう少し近寄ってみよう。
残念、これ以上近づけなかったのだが、画面奥に遠望されるのが「石垣で組まれた段々畑」だという「トゥピン」だろうたぶん。機械はもちろん牛も入れないという段々畑の手入れはさぞかし大変だろうなあと思うロケーションだ。段々畑を見るとテンションあがるのなんでなんですかね。
これは斜面ではなく平地の州道沿いの畑だが、やっぱり石垣の上に畑があり、ブドウが棚で栽培されているっぽい。画面左にある柱は石灰岩から切り出された柱で、これと石垣が日中は太陽の熱を吸収し、夜はそれを排出することで昼夜の寒暖差をやわらげているそう。この柱が神殿っぽいことから「バッカスの神殿」とも呼ばれてるそうですよカッコいい。
カレーマのワインとは
エアコンの効いた部屋から1歩も出ていないがなんとなくこの土地の雰囲気はつかめたような気がするからインターネットってすごい。カレーマ、風景にどことなく山梨県みがある気がする。
ではこの土地から生まれる「カレーマ」がどんなワインなのかといえば、プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマのサイトによれば、「最低2年の熟成期間を持ち、そのうち12ヶ月はオークまたは栗の大樽で熟成させる」のだそうだ。使用品種はもちろんネッビオーロ一択。熟成期間がさらに長い「カレーマ レゼルヴァ」も存在する。中世には「王侯貴族に最適な飲み物」とされ、「太陽と石のように強く、好感が持てる」とも評されたそうですよいまいちピンとこねえな……。
今回飲んだカレマクラシコもDOCの規定通りにステンレスタンク発酵後、2年間熟成(うち12ヶ月はオーク樽熟成)しているみたい。こうなると俄然飲むのが楽しみになってきますよね、ということでいざ抜栓だ。
カレーマ クラシコ プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマを飲んでみた
色は少しオレンジがかったルビー色。香りはうーん、いいな。イチゴとかサクランボとかの香りに、バラのニュアンスが加わる。
飲んでみると香りの印象よりはやや味が濃く、アメリカンチェリーのような印象ながら全体的には薄うまにまとまっているという不思議なバランス。ほんの少し熟成した、とてもいい状態だと感じた。
あくまでも印象に過ぎないが、昔ながらの醸造所で、昔ながらのやり方でワインを造っているような、どこかおばあちゃんの漬けた梅酒感が漂う素朴な魅力にあふれている。Google mapで見てきた風景が、きちんとグラスのなかに収まっている印象だ。
プロデュットリ ネッビオーロ ディ カレーマの平均年齢は2015年時点で55歳。2025年には平均65歳になり、2035年には75歳になっていくのだろうか。後継者が現れなければ「バッカスの神殿」から生まれるこの銘酒は飲めなくなっちゃうかも。みんなで飲もうよ、カレーマのワイン。