ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワイン歴2年のワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

カリニャンはどんな品種? 特徴は? 味は? 調べてみた!

カリニャンの原産地はどこ?

チリの有名ブランド・コノスルの「シングルヴィンヤード」シリーズは、品種ごとに最適な区画で栽培されたブドウを使って造るワイン。

カリニャンについて調べてみました。画像はwikipediaより。

カベルネ・ソーヴィニヨンシャルドネといった王道の品種がラインナップされているのだが、そのなかにひとつ異彩を放つ品種がある。カリニャンだ。最近シリーズ全8種類を購入したのを機に、このカリニャンについて詳しく調べてみることにした。

それにしてもどんな品種なんだろうカリニャン。グルナッシュとかサンソーとかとよく混ざってる南仏の品種だよねくらいのイメージしかないが、調べてみると原産国はスペインだった。そうニャンだ。

 

カリニャンとアラゴン連合王国

ワインの発祥の地は諸説あるようだが、それをヨーロッパ世界にもたらしたのは黒海沿岸、今のシリアのあたりにいたフェニキア人たち。フェニキア人がワインとブドウ栽培&醸造をローマに伝え、ローマ帝国の拡大とともに内陸のガリア(現在のフランス)などへも伝播していった。 

15世紀におけるアラゴン王国の版図がこちら。画像はwikiより。



なので品種について調べると「フェニキア人が伝えた」とか「ローマ帝国によってもたらされた」みたいな話が多く出てくるがカリニャンはその逆パターン。スペインからフランスやイタリアへと伝播していく。

そのきっかけとなったのが11世紀から18世紀にかけて栄えたアラゴン連合王国の拡大。ローマ人が他の品種を伝えたのとは逆のルートをたどってサルデーニャなど地中海世界に広がっていったんだそうだ。アラゴン連合王国の首都はサラゴサで、カリニャンの原産地はアラゴン州サラゴサ県カリニェナ。地中海の覇権国家の中心地に自生していたブドウが、国家の拡大とともに繁殖地を広げていったわけですね。歴史おもしれ〜。

 

カリニャンの繁栄と衰退

さて、どことなくマイナー品種感が漂うカリニャンだが、驚くなかれ、1988年の時点ではフランスでもっとも栽培されているブドウ(16万7000ヘクタール)だった。その理由は驚異的な高収量で、なんでも1ヘクタールあたり200ヘクトリットルとれるんだそうだすげえ。

サルデーニャ島のカリニャン畑。(Frank Bättermann)

ブルゴーニュグランクリュの基準収量は赤で35-37hl/ha。サントリーの運営する「ワイン用語辞典」によれば
1haあたりで100hlを超えると収量は多め。50hlを下回ると少なめ
とのことなので200ヘクトリットルのすごさがわかる。あと関係ないがヘクトリットルは漢字で竡

1970年代頃から、欧州ではワインの過剰生産(ワインレーク)と需要減少が問題になっていた。そこでEUがとったのが「Vine Pull Schemes」、ブドウ引っこ抜き計画(ヒマワイン訳)だ。
これはつまり減反政策と言っていいんだと思うのだが、
・ヴァン・ド・ターブル向け(高収量)ブドウ樹の植樹禁止
・抜根に対する助成金
などが実施されたらしい。結果、1988年から1997年にかけてEUのブドウ畑全体の約10%が抜根されたのだそうだ(参考資料)。

そして、お察しのとおりそのアオリを受けまくったのがカリニャンだ。1988年に16万7000ヘクタールだったカリニャンの栽培面積は、2000年までに9万5700ヘクタール、2009年には5万3155ヘクタールにまで減少してしまう。減りすぎだろカリニャン。200hl/haの高収量がアダになったわけですね。無念ニャン…!

 

カリニャンの特徴

じゃあ高収量以外にいいところはないのかキミとなるわけだが、多くの病気に弱く、機械収穫もできないことから、高収量っつってもそこまでスケールメリットの恩恵が受けられないみたいに言われているうえ、基本すっぱくて渋いため味わい面でも扱いにくく、香りもさほど強くないというなんていうかじゃあお前なにができるんだよ逆にといったスペック(ブレンドの中では色出し担当として使われることが多いそうです)。

himawine.hatenablog.com

たくさんとれて、色が深い。それがカリニャンのメリット。デメリットは病気に弱く、栽培に適した気候を選び、機械収穫できず、渋くてすっぱい。品種について調査してここまで飲むことに対するワクワク感が減ったのははじめてだ。カリニャンがんばれ。

 

カリニャン主体の飲みたいワインを探してみた

しかしながら現在は低収量とすることで凝縮感を高めたエレガントなワインもこの品種からは作られているそうだ。そこで、なんかこうワクワクするようなカリニャンのワインないかな〜と探してみたらあった。

アンヌ・グロ・エ・ジャンポール・トロがそのひとつで、ヴォーヌ・ロマネの名門グロ家の当主のアンヌさんとその夫でトロ・ボーの当主のジャンポールさんが南仏で造っているというワイン。

その所在地カゼルはヴォーヌ・ロマネと同じ標高220メートルのブルゴーニュ的気候なんだそうで、そこからできるワインはジャンシス・ロビンソンをして「まるでブルゴーニュ!」と言わしめたんだそうだ。しかもお値段はブルゴーニュ比そりゃまあ安い。

自社畑ではグルナッシュ、シラー、サンソー、カリニャンといった品種を栽培しているそうだが、そのフラグシップはカリニャン主体(カリニャン80%、グルナッシュ20%)のレ・キャレタル。これ飲んでみたい。飲んだことある方のクチコミも知りたい。

もうひとつ、スーパータスカンの父と言われたサッシカイアの生みの親、故ジャコモ・タキスさんがサルディーニャ島とその伝統品種であるカリニャーノ(カリニャンの別名)のポテンシャルに着目して造ったというバッルーアも良さそう。

サルデーニャのワインも飲んだことないしこれもいいな。(相対的)不人気品種のいいやつ、安く買えてうまい説……!

ちなみに、記事を改めてしっかり書く予定のコノスルのシングルヴィンヤード カリニャン2016は非常に良い香りで、とてもおいしいワインだった。スパイシーでとんがっててパワフルだった。要するにとても個性的だった。

というわけでカリニャンはやればできる子。ほかに飲みたいワインが渋滞しているのでアレだけれども、細々飲んでいきたいものである。

コノスル シングルヴィンヤードもよかったらぜひ。