ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

10日間シャンパンだけ飲み続けて見つけた1本とは!? 「辛口シャンパン5本セット」飲んでみた[PR]

ベルエポックが当たる!辛口シャンパン5本セット』を飲んでみた

突然だが私はシャンパーニュが好きだ。あのふくよかな果実感、豊かな酸、そして瓶内二次発酵由来のトースト感、細かくて豊かな泡、そのすべてが好きだ。できれば毎日飲みたい。だが、シャンパーニュはやはりおいしい分だけそれなりの価格がするので、なかなか気軽には飲めない。大手のスタンダードなら今や5000円以上は最低でも払う必要があるという時代だ。下手すりゃスタンダードで10000円しちゃう。

シャンパンハウスの看板メニュー「辛口シャンパン5本セット」がこちら。ちなみに“第
51弾”だ

どこかに1本3000円台、できれば3500円以下の手に取りやすい価格で、かつおいしいシャンパンがないかなあ、と思っていたら、しばしば利用する楽天のショップ「シャンパンハウス」から「ウチの看板メニューの『ベルエポックが当たる!辛口シャンパン5本セット』を飲んで感想を書け」とありがたい指令が下った。言うまでもない、引き受ける一択である。

送られてきたのは16999円送料無料シャンパーニュ5本入りのセット(ちなみに100セットに1セットは5本のうち1本がペリエ・ジュエの『ベル・エポック』になるそうな)。まずはその中身を確認してみよう。( )内は品種構成を示しており、PN=ピノ・ノワール、M=ムニエ、CH=シャルドネの意だ。

 

【1本目】

ガルデ ブリュット トラディション(PN45%、M45%、CH10%、ドサージュ8g/L、熟成36ヵ月以上) 単品価格7480円

【2本目】

ジャン サンドラン トラディション ブリュット(PN100%、ドサージュ8g/L、熟成36ヵ月)単品価格7150円

【3本目】

ドミニク マサン キュヴェ スペシャル ブリュット(PN100%、ドサージュ9g/L、熟成36ヵ月+) 単品価格6600円

【4本目】

シャルル ブノワ キュヴェ レゼルヴ ブリュット(PN44%、M49%、CH7%、ドサージュ9g/L、熟成24ヵ月) 単品価格7700円

【5本目】

ポル コシェ グラン レゼルヴ ブリュット(PN60%、CH40%、ドサージュ8g/L、熟成15ヵ月以上) 単品価格6050円

 

以上、単品価格は合計で税込34,980円。販売価格の16,999円は51%オフとなり、1本あたりの単価は3400円と見事に“安うまシャンパン”圏内に降りてくる。単品では7000円とかしちゃうシャンパーニュでも、セットならこんなに安く飲めちゃうのだ。セットすごい。

item.rakuten.co.jp

価格がいくらであろうと、シャンパーニュにはハズレがなく、すべておいしいことが確定している。ただ、今回の趣旨はこの5本の中から「これは!」というものを見つけ出そうという趣旨。いざ、5本のシャンパーニュを抜栓していこう。

余談だが、この10日間私はシャンパーニュ以外のワインを一切口にしていない。ていうかほぼ水とシャンパーニュしか液体を口に入れていない。というわけで今からお読みいただくのは、体内シャンパーニュ純度を高め、全力でシャンパーニュと向き合った10日間の記録である。

 

辛口シャンパン5本セット【1本目】ガルデ ブリュット トラディション

まず飲んだのはこのセットの“目玉”的位置付けの「ガルデ ブリュット トラディション」。グラスの注いでみると、シルバーに近いゴールドの色合いの液体の底から非常に細かい泡が立ち上ってくる。もうこの時点でいいんですよ。このシャンパーニュは観賞用なので飲めませんと言われてもギリ納得できちゃうレベル。

ガルデ ブリュット トラディション

ピノ・ノワール45%、ムニエ45%、シャルドネ10%と黒ぶどう中心だからか、香りにはベリー感がある。そこに少しのナッツっぽい香りが加わっているのはマロ発酵を経ているからか瓶内二次発酵由来だろうか。やさしい泡、おだやかな果実味、そしてほどよい酸味が調和。飲むジャグジーと言おうか、非常に高いリラックス効果がある。

2日目になるとこれがさらに良くなる。ベリー感はさらに進化してほぼ「あんず感」と呼びたくなる領域に到達、ナッティな雰囲気も加速し、ナッツ&ドライフルーツっぽい味わいになっている。

いずれにせよ、3400円で飲める味ではないと思うんですよこれ。貴重なリザーヴワインを30%も使って最低3年寝かせたシャンパーニュが3000円台で飲めちゃうのがそもそもおかしいのでこの調子でがんばってください。

 

辛口シャンパン5本セット【2本目】ジャン サンドラン トラディション ブリュット

続いて2本目はコート・デ・バールのセル・シュール・ウルス村を本拠地とするRMジャン サンドランの「トラディション ブリュット」。ピノ・ノワールを100%使用したブラン・ド・ノワール。ドサージュは8g/Lで熟成期間は36ヵ月と“プレステージ級”。なんでプレステージ級のワインが実質3400円で飲めちゃうのか……?

で、これがすげえワインだったんすよ。同じ約36ヵ月熟成ながら、最初に飲んだガルデには感じなかった熟成感がこちらにはある。香りも味わいも複雑で、乾杯用や前菜用にとどまらず、メインの肉料理も相手にできるくらいのパワフルさと、ブラン・ド・ノワールならではの赤ワインを思わせる肩幅の広さがある。塩で食べるステーキと合わせたい味。

2日目はこの熟成感がさらに進み、ブラインドで出されたら10年前後熟成したシャンパーニュ! と元気に回答しそうな味わいになってくる。これおいしいな。なんで熟成感のあるブラン・ド・ノワールが3000円台で以下略。

 

辛口シャンパン5本セット【3本目】ドミニク マサン キュヴェ スペシャル ブリュット

どんどん行こう。3本目はドミニク マサン キュヴェ スペシャル ブリュット。やはりピノ・ノワール100%でドサージュは9g/L、熟成期間は36ヵ月だ。また36ヵ月である。並のシャンパーニュじゃこのセットには入れんぞ、という強い決意を感じる。

ドミニク マサン キュヴェ スペシャル ブリュット

このワイン、セットでよく見る印象があって実は少々ナメていたのだが、これもめっちゃうまいやつだった。ここまでの3本の中でとっつきやすさでいえばこれがダントツNO.1。まさにピノ・ノワールのイメージそのものの野いちごやサクランボのような香りと味わいで、アペリティフとして飲むのにこれ以上のものがあるんだろうかという味わい。

どんな名投手も試合への入り方、いわゆる立ち上がりは制球が安定しなかったりして難しいものだが、それはシャンパーニュにも言える。開けたては香りが閉じていたり、味わいに角があったりするのだが、ドミニク・マサン投手は立ち上がりから全開だ。

そして2日目はさらに良い。果実感はそのままに酸がしっかりと主張をはじめ、さらにトースト感も加わって無敵モードに突入してくる。素材そのものに甘みがある食材に絶対合いそうで、白レバーの串焼き、脂の乗りまくったサーモンのカルパッチョとかはエグい相性になると思う。

 

辛口シャンパン5本セット【4本目】シャルル ブノワ キュヴェ レゼルヴ ブリュット

4本目はシャルル・ブノワのキュヴェ レゼルヴ ブリュット。ムニエ49%、ピノ・ノワール44%、シャルドネ7%とムニエ多めの黒ブドウ主体。ドサージュは9g/Lで熟成期間は24ヵ月とここまでの3本と比べると短めなのだが、実は単品価格は7700円とセット内最高額というワイン。

シャルル ブノワ キュヴェ レゼルヴ ブリュット

飲んでみると蜜っぽさ、花のような香り、レモンのような酸味にパンのような香りが加わって、これぞシャンパーニュなりけり。という味わい。スーパーバランスタイプという印象で、1本3400円では絶対飲めない大手メゾンのスタンダードキュヴェと比べて一体どこに劣った点があるのだろうかという味がする。

今回飲んだ5本のなかで2日目の変化量がもっとも小さかなったのもこのワイン。まさに超安定型のザ・シャンパーニュ。これを書いている今は昼の2時だが、思い出すと今すぐにシャンパーニュが飲みたくなってきて困る。そんな感じの味だ。

 

辛口シャンパン5本セット【5本目】ポル コシェ グラン レゼルヴ ブリュット

というわけであっという間に最後の1本に辿り着いてしまった。ここに至るまでに現実世界では1週間以上の時間が経過しており、その間にシャンパーニュ解像度はどんどん高まりを見せている。本当にだんだん「これムニエ多いなたぶん」とかがわかってくるんですよシャンパーニュばっかり飲んでると。シャンパーニュしか飲まないデイズ、最高だ。

ポル コシェ グラン レゼルヴ ブリュット

最後の1本はポル・コシェ グラン レゼルヴ ブリュット。ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%、ドサージュ8g/L、熟成15ヵ月以上。シャンパーニュの最低熟成期間は15ヵ月なので、セットの最後の1本になってようやく安シャンパーニュっぽいスペックのシャンパーニュが出てきた、という印象、だったのだがこれがまたうまいのだ。りんご、白桃、梨、チョーク、岩清水レモン、ハチミツといった印象が積み重なっており、飲めるアップルパイみたいな雰囲気。

一瞬これドサージュが多めなんだっけ? と疑うような味なのだがドサージュは8g/Lに過ぎないので、これは造りが上手いんだと思う。

飲み口は5本のなかでもっとも軽快で、アペリティフにピッタリという味わい。それでいて2日目はパンっぽさが出てきて、シャンパーニュ感が高まってくるのがまたいい。というわけで、これも実においしいシャンパーニュだったのだった。

 

辛口シャンパン5本セットを飲み終えて

というわけで、5本のシャンパーニュを飲んでみた。特徴を図にすれば、こんな感じになるだろう。

マトリクス図にするとこんな感じ

5本すべて個性が異なり、レベルが高く、なかなか甲乙が付け難い。あくまで私の好みでいえばだが、ジャン サンドランの「トラディション ブリュット」とドミニク マサンの「キュヴェ スペシャル ブリュット」で悩んだ果てに「ジャン サンドラン」を選ぶ。本当に熟成したヴィンテージシャンパーニュみたいな味がするんすよ。実質3400円なのに。

シャンパーニュの欠点は、この味が地球上でフランスのシャンパーニュ地方でしか造れないこと。そして、それがゆえに価格が高いことだ。しかし、1本3400円なら週末のプチ贅沢と考えればいける。それが5本あれば、1ヵ月ちょっとの間、毎週末シャンパーニュが飲めてQOLが爆上がる。端的にいえば、幸せになれる。

というわけですごくいいセットだった。こんなに1本1本の粒が揃っていると正直思ってなかったですすみませんでしたッッと遠くシャンパーニュ地方に向けて謝罪したい気分である。

きっと人それぞれ好みが違うはず。ぜひ、「自分はこれがおいしかった!」っていう感想を聞かせていただけたら幸甚である。

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