ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワイン歴2年のワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

オー・メドックはどんな産地? 歴史や品種、特徴をワインを飲みながら調べてみた

オー・メドックってどんな意味?

ボルドーワインを集中的に飲もう週間みたいなことを個人的にやっている。とはいえ格付けシャトーを飲むわけでもなんでもなく、飲むのはもちろん安ワイン。今回は「やまや」の店頭で推されていたシャトー・カロンヌ・サント・ジェム2016を飲んでみた。これがなかなかよかったんですよ。

シャトー・カロンヌ サント・ジェム2016を飲みました

このワインのアペラシオンはオー・メドックオー・メドックのオーってなんなんだろうと兼ねて思っていたので調べてみると「上、高地、上流」みたいな意味があってこの場合は上流。オー・メドックは「ジロンド川左岸上流の地域」を指すのだそうだ。

いきなり脇道に逸れるがオー・メドックのオーは「haut」。似た響きの言葉にオート・コート・ド・ニュイとかの「オート」があるがこちらは「haute」で高いとか高級な、みたいな意味になるんだってわかりにくっ。と「高い」と「お高い」みたいな意味の違いがあるようだということがわかったところでhautは形容する対象が男性名詞、hauteは形容する対象が女性名詞の際に使うそうで意味は同じなのだそうだ。

オー・メドックの話に戻ると、オー・メドックは非常に広いAOCで、サンテステフAOCポイヤックAOC、サン・ジュリアンAOC、マルゴーAOCなんかはオー・メドックのサブリージョンで、オー・メドック自体はさらに広域のメドックAOCのサブリージョンなんだそうです。メドックのなかにオー・メドックがあり、オー・メドックのなかに村の名前のAOCがあるわけかなるほど。気候は海洋性、土壌は砂利、チョーク、粘土、畑の数は392。栽培品種はカベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、メルロー、プティ・ヴェルド、マルベック(コット)、カベルネ・フラン、カルメネールなど。

 

オー・メドックと17世紀オランダ人商人

さて、元々は放牧地だったというこの地を改造したのが17世紀のオランダ商人たち。湿地帯を排水し、英国市場で主流となっていたグラーヴやポルトガル産ワインに代わるワインを生産しようとしたんだとか。

彼らの試みは奏功し、マルゴー、サン・ジュリアン、ポイヤック、サン・テステフといった産地が形成され、フランスを代表するワイン産地となっていく。すげえなオランダ人商人。

ここちょっと「なんでオランダ人がフランスの土地を改造とかしてるわけ?」とモヤるのでほんの少しだけ調べると、17世紀のオランダは東インド会社がアジア貿易を独占した“黄金時代”。ヨーロッパ諸国間の貿易も支配しており、フランスやポルトガルからバルト海地域へワインを運び、穀物を積み込んで戻ってきていた。その船の数が年間およそ1000隻というからすごい。ワインは貿易のタマとしてあればあったほうがありがたい、みたいな状態だったんだと思う。

ちなみに南アフリカでワイン産業を確立したのもオランダ人です↓

himawine.hatenablog.com

 

「世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った」という言葉がある。オランダは海岸沿いに広がる湿地や泥炭地や干潟を埋め立ててつくった干拓地(ポルダー)の上に発展してきたという干拓名人。つまり、必要があり、そのための手段も持っていたことから世界は神が作ったが、オー・メドックはオランダ人が作ったということになる。歴史〜。

というわけで21世紀の日本の我々がオー・メドックで造られたシャトー・カロンヌ・サント・ジェムが飲めるのは17世紀オランダ人商人のおかげであることがわかった。ダンキュウェル!(オランダ語で『ありがとう』の意)

 

オー・メドックとシャトー・カロンヌ・サント・ジェム

そんなわけでシャトー・カロンヌ・サント・ジェムに話は移る。まさに17世紀、1648年にはすでにワインが生産されていた記録が残るというから、オー・メドックのなかでも古参の生産者なのかもしれない。その土地を1900年にエミール・ボリーが購入。ボリー家っていうのが「サン・ジュリアンのラフィット」こと格付け2級のデュクリュ・ボーカイユのオーナー一族だそうです。

公式サイトはかなり詳細で、ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨン60%、プティ・ヴェルド3%、メルロー37%。収穫は70%が手作業。30%が機械収穫。アルコール発酵後、フレンチオーク樽で12カ月熟成。卵白で清澄。卵白で清澄まで書いてあるところ珍しいな。

150ヘクタールの畑はラグランジュ、グリュオー・ラローズ、ベルグラーヴ、ラ・トゥール・カルネなどに隣接しているとのこと。有名シャトーに隣接していることを自ら謳うところも珍しいな。ともかく、良き畑に隣接していて、丁寧に醸造していることは伝わってくる。

 

シャトー・カロンヌ・サント・ジェムとクリュ・ブルジョワなのか問題

格付けに関しては、1966年にクリュ・ブルジョワ・エクセプショナルに認定された、と公式サイトにある。そして「Cru Bourgeois」のwikiを見ると、シャトー・カロンヌ・サント・ジェムは2003年時点ではクリュ・ブルジョワ・シュペリウールに認定されていたことがわかるし「Haut-Médoc AOC」のwikiでもクリュ・ブルジョワ格付けだと紹介されている。

himawine.hatenablog.com

ところが2020年発表のリストには私の目視なので確実ではないけれどもどうやらシャトー・カロンヌ・サント・ジェムの名前がないようで、クリュ・ブルジョワをめぐる近年あったっぽい混乱の過程で格付けの外にいることを選んだのかもしれないっぽい感じがする。わかりにくいんだよなあ、クリュ・ブルジョワ

こういうときは日本語の情報に限る、と輸入元のコルドンヴェールの親会社であるイオンの商品ページを見ると「スーパー・セカンド『デュクリュ・ボーカイユ』と同じクリュブルジョワ級名門ボリー家が所有するオー・メドックのシャトー。」と書いてあって「あなたがそう信じるならば、クリュ・ブルジョワだ」みたいな感じなんだよなあ(正確な情報を知っている方いたらご教示ください)。クリュ・ブルジョワはちょっとわかりにくすぎるので、今度改めて調べてみたい。

 

シャトー・カロンヌ・サント・ジェム2016を飲んでみた

さて、シャトー・カロンヌ・サント・ジェム2016なのだが冒頭にも述べようにこれが非常においしかったのだった。森の中の木工所でベリー系のジャムを煮ています、よく晴れた秋の日に。みたいな濃密かつさわやかな香り。味わいもそれに負けておらず渋みと酸味と果実味がうまいこと調和していて、今飲んでしっかりおいしいボルドーだと感じた。

カベルネ・ソーヴィニヨンが果実味のなかに内包する爽やかさがしっかりと感じられ、樽の効果がバター的方向ではなく新築の木造家屋の棟上げ式的方向に作用していて非常に香りが良い。

なんというか、ワイン初心者のころ(今もだけど)はボルドーワインのなにを選べばいいのかさっぱりわからずむしろボルドーだけは避けるべしみたいに思っていたが、考えてみるとボルドーの玉石混交感は選ぶ側からすると宝探しみたいで楽しい。今回選んだワインは石か宝石かでいえば宝石寄りだったと思う。格付けの外にこういうのがあるのはたまらんですよ安いし。

vivinoの評価は3.9と高い。わかる。

値段といえばこのワインはやまやで2200円で買った。一方、ネットで調べるとイオンで4378円と、ほぼ倍値で売られている。輸入元のコルドンヴェールはイオンとやまやが共同出資する会社。それなのに販売チャネル違いでこの価格差はいろいろ事情はあるんだろうけれどもさすがにすごい。

ちなみに楽天でも2772円で買えて、この価格だと品質に対して妥当な感じ。2200円だとかなりお得感があるので、近くにやまやがある方はお散歩がてらぜひ。

なんと私の生まれ年ヴィンテージもあった↓