ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

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ボジョレーのガメイはおいしい? シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んでみた。

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュとボジョレーとガメイ

ルイ・ジャドが所有するボジョレーの生産者、シャトー・デ・ジャックのムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んだ。

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シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ ・ロッシュを飲みました。

ボジョレーなので品種はもちろんボジョレー・ヌーヴォーでおなじみのガメイ。ガメイはボジョレー・ヌーヴォー以外ではお目にかかる機会がない感があるけど、自然派ワインの試飲会とかにいくと妙によく出てくる品種でもある不思議な品種。というわけで今回は、ボジョレーとガメイについて調べていきたいと思う。

 

ボジョレーはどんな産地か

Wikipediaによれば、ボジョレーは行政的にはブルゴーニュの一部だが、気候はローヌ地方に近く、なのにワインの特徴はブルゴーニュともローヌとも別物、と説明がある。ブルゴーニュでもなくローヌでもない。それがボジョレーだ。

そして、ボジョレーは調べれば調べるほど世界のワイン史上の特異点みたいな場所であることがわかる。1980年代のボジョレー・ヌーヴォーの世界的ブーム、その反動の世界的「ボジョレーなんて(本格的なワインじゃ)ないでしょ」的な反ボジョレーブーム的な動きを経て、「逆にありだよね、ボジョレー」みたいに言っとくとワイン通みたいに思われるだろうみたいな感じをホンモノのワイン通に見破られてただのイキリみたいに思われる危険性をはらんでいる、というのがボジョレーの現代史だと思う。

 

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 ボジョレーの有名生産者といえばマルセル・ラピエールがいるが、マルセル・ラピエールといえばフランスにおける自然派ワインの泰斗。ボジョレー・ヌーヴォー自然派という両極端感のあるワインのふるさとであり、さらにはブルゴーニョなんだかブルゴーニュじゃないんだかハッキリしないといった意味でボジョレーは本当に語りにくい。白だか黒だかわからない。困るなあ。

 

ガメイとはどんなブドウか

困るのでガメイについて調べていくと、ガメイの正式名称は「ガメイ・ノワール・ジュ・ド・ブラン」であることがわかる。「ガメイは黒いがジュースは白い」みたいなことですかねこれは。「逃げるは恥だが役に立つ」かよ。またしても白だか黒だかわからない。ボジョレーも、ガメイも、どうもイマイチはっきりしない。なんですかねこのもう恋なんてしないなんて言わないよ絶対的な「どっちだよ」感は1395年にフィリップ豪胆公がガメイ禁止令を出した、みたいな歴史的事実にはすぐに行き着くんだけど、「なぜ出したか」はイマイチわからなかったりするし。

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 ボジョレー・ヌーヴォーは「フルーティでやや甘口の速飲みタイプ」だと説明される。なのに、自然派的に仕立てられたガメイを飲むと、渋み主体のまさしく“渋い”ワインが多い。ボジョレーもよくわからないし、ガメイもよくわからない。ルイ・ジャド自体にボジョレーのラインナップがあるにもかかわらずシャトー・デ・ジャックもなんでルイ・ジャドブランドじゃないのかわからない。ボジョレーの闇が深すぎるのでもう飲んじゃいましょう。

 

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュを飲んでみた

というわけでグラスに注いで見ると、これがもう非常に濃い紫なわけですよ。『図解 ワイン一年生』で、ガメイはイチゴを擬人化したような幼い少女のように描かれていたけどこの外見はなんなら年齢不詳のスナックのママですよ。ガメイ、つかみどころがなさすぎる。

で、飲んでみるとうーん渋い。そしてすっぱい……だがうまい! 私の好みは果実味がくっきりしていて酸味がしっかりあり、たしかな渋みが全体を調和させるようなワイン、すなわち「あまずっぱいワイン」という偏差値5くらいの表現に結論づけられるのだが、これはまったくあまずっぱくない。だがうまい。え、なんで。

そもそも私の感覚器では、ワインの味わいは「果実味」「酸味」「渋み」くらいしか知覚できない。で、私の好みは,
果実味:酸味:渋み=4:4:2
みたいなワインだ。わかりやすいやつ。
なのだが、このワインは、
果実味:酸味:渋み=2:4:4
みたいな感じ。

なのにおいしいのなんなの。このワイン、ワイン好きじゃない友達と飲む際には絶対に選ばない。わかりにくすぎる。なんだけど非常においしくて、しかもなぜおいしいと感じるのかが言語化できないのホントなんなんですかね。もはやガメうまい、みたいな表現しか私にはできない。

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vivinoの当該ヴィンテージの評価は4.0と高い。間違いなくおいしいんだけど「どうおいしいか」が私の知識・経験だと表現できない。

というわけで今回も敗北だ。ボジョレーもよくわからないし、ガメイもよくわからないし、シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュがなぜおいしいかもわからなかった。

 

シャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュはどんなワインだったのか

ちなみにムーラン・ア・ヴァンは「風車」の意で、ボジョレーでも非常に古い栽培地の名称だそうだ。ブドウは手摘みで収穫・選別され3〜4週間のマセラシオンの後、10カ月新旧のオーク樽で熟成されるとのこと。ボジョレー・ヌーヴォーで行われるマセラシオン・カルボニックは行われていないようで、ガメイを使って普通のブルゴーニュワインのように仕上げたワイン、それがシャトー・デ・ジャック ムーラン・ア・ヴァン ラ・ロッシュだと言えると思う。ちなみにヴィンテージは2015だった。

以上のように、とってもおいしかったのだが本当に言語化できず、このワインがどのようにおいしいのか、ワイン賢者のご指南をぜひ仰ぎたい感じのワインだったのだった。だれか説明してください(丸投げ)。

a.r10.to