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「甘口ワインとブルーチーズは相性がいい」は本当? 試してみた! 【シュナン・ド・ミュスカ ノーブル・レイト・ハーベスト 2016】

シュナン・ド・ミュスカ ノーブル・レイト・ハーベスト 2016を飲んでみた

甘口ワインが飲みたいな、と思ったので買った。買ったのは南アフリカの生産者、ステレンラストの「シュナン・ド・ミュスカ ノーブル・レイト・ハーベスト 2016」。以前、ステレンラストのWEBセミナーに参加した際に小瓶に入ったものを飲み、大変おいしかった記憶があるので改めて購入した次第だ。

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シュナン・ド・ミュスカ ノーブル・レイト・ハーベスト 2016を飲みました。

 というわけで、どんなワインかご興味のある方は下記リンクをご参照いただきたい。シュナン・ブランの貴腐ブドウと、マスカット・オブ・アレキサンドリアが樹になった状態で枝を折り、水分の供給を断ってレーズン化したものを使用。

himawine.hatenablog.comあらためて飲んでみて、子供のころ駄菓子屋のマイフェイバリットのひとつだった「あんず棒」、より正確に言えば大正4年創業で国内唯一のあんず専門加工メーカーであるミナツネの「あんずボー」的なやさしい甘さがありながら、駄菓子的な甘ったるさはなく、適度な酸味とキンカンの蜂蜜漬けみたいなわずかな苦味もあって大変おいしい。「あんずボー」いい名前だなそれにしても。「ボー」の表記が最高に良い。

シュナン・ド・ミュスカ ノーブル・レイト・ハーベストに「ダナブルー」を合わせる

さて、甘口ワインを飲むのは食後のイメージがあり、なおかつブルーチーズと合わせるべしとなにかで読んだ気がする。なので、ブルーチーズを買ってきた。購入したのは「ダナブルー」というチーズ。なんでもフランスのロックフォールを参考に作られたチーズなんだそうで、当初は「ダニッシュ・ロックフォール」と堂々と名乗っていたらしいんだけれどもフランスからクレームがきて(そりゃそうだ)、「ダナブルー」という名称に落ち着いたようだ。「ダナ」は「ダニッシュ」をさらに縮めた言い方なのかな。教えてデンマークの方。ともかくデンマークを代表するブルーチーズとのことです。

そして、そのダナブルーと「シュナン ド ミュスカ ノーブル レイト ハーベスト 2016」の組み合わせが衝撃的に美味しかったのだった。私は正直に申し上げればブルーチーズが苦手。匂いっていうかあの独特の辛さが無理。自分では絶対買わない(買った)。だからそれは、あっ、あくまでワインのために買ったんだからねっ(古き良きツンデレ)。と、あまり期待をせずに合わせてみたのだが、苦手と思ったブルーチーズの辛みの角を甘口ワインが甘研磨、イガイガが球体となるかのような変化を感じたのだった。同時に、甘口ワインの甘さ部分がより穏やかになり、薄暗い茶室で濃茶を飲んだその瞬間にししおどしがコーーンと鳴って一座建立! みたいな快感が得られた。

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ダナブルー選手のご様子(画像はwikipediaより)

なぜ甘口ワインとブルーチーズの相性はいいのか?

でもって、本記事はここからが本題なのだが、ここで考えたのは「一体なにが起きたのか?」ということだ。なんでワインとチーズを食べて茶室のイメージが湧いてくるというのか。

 

私がワインと食事のマリアージュを経験した最初の瞬間は今でもよく覚えていて、もう10年くらい前、友人たちとジビエを食べに行ったときのこと。たまにはワインでも飲むか(当時はビールばっかり飲んでました)、と頼んだ赤ワインがなんだこりゃってくらい渋くて、うへえ、と思っていたところ、山シギの丸焼き的な一皿と合わせたら印象が一変、料理と一体となって赤い激ウマ滋養液と化し、驚きの味覚体験となったのだった。

そのときの合い方は、若い男女が運命的に巡り合い、ひと目でビビビと波長が合って互いに「この人だ!」と確信するような情熱的な、足し算が掛け算となるような合い方であった。一方、今日のワインとチーズの合い方は、なんすかね、老夫婦の息が合いすぎてもはや互いの人格の境界線をまたいでしまっている、融合してしまっている、といったような合い方な感じ。1+1の和が1であるような一体感。

知りたいのは「なぜ合うのか」の科学的根拠だ。調べてみると、phys.orgというサイエンス系のサイトに、「チーズがワインをおいしくすることを科学が証明(Science shows cheese can make wine taste better
)」と題された記事を見つけた。

記されているのは、赤2種、白2種の計4種類のワインをそれぞれ4種類のチーズ(エポワス、コンテ、ロックフォール、クロッタン・ド・シャヴィニョール)と組み合わせて飲み、味わいの感じ方の変化を調べるという実験の結果で、驚くべきことが書いてある。

「各ワインの嗜好性は、チーズ摂取後に増加したか、または変わらなかった。」

つまり、すべてのチーズはワインをおいしくする(少なくともマイナスにはしない)という結果になったというのだ。なんでも、チーズは赤ワインの渋みを弱め、果実の香りを強めてくれるのだそうだ。

また、同サイトには、2005年に27名の食とワインの専門家が9種類のチーズと18種類のワインから理想的な組み合わせを探ったという実験(?)の記事もあった。その結果、甘口ワインは基本的にチーズと合わせるのが難しいということ、一方でブルーチーズともっとも相性が良かったのはやはり甘口ワインだったということが記されていた。
惜しむらくは、「なぜ合うのか」の理由への明確な回答がない点で、「風味の強いチーズは風味の強いワインとの相性が良い傾向がある」というそりゃそうだ感のあることしか書いてない。

【仮説】甘口ワインにはブルーチーズだけが合う?

ただ、もちろんわかったこともある。
・そもそもチーズはワインをおいしくする。

・だが、チーズと甘口ワインのペアリングは難しい。

・風味の強いチーズと風味の強いワインは合う

・ゆえに、ブルーチーズと甘口ワインはよく合う。
結果、導き出される仮説は以下だ。
・甘口ワインに寄り添えるのは、ブルーチーズくらいなんじゃないか説。

ブルーチーズが合う、ではなくて、甘口ワインのポテンシャルというかクセの強さと寄り添えるのはブルーチーズくらいしかない、というロジック。誰とでも合う、というわけではないがゆえに、合う相手との愛称は抜群に良い。たとえるならば、林家ぺー&パー子夫妻だ。林家ぺーはクセが強く、パー子もしかりだが、二人揃うとなんの違和感もなく、調和している。

甘口ワインとブルーチーズの相性の良さを科学的に理解したいという趣旨ではじめた調査の結論が林家ぺー、パー子夫妻に着地するとは思ってもみなかった。人生は恐ろしい冗談の連続である。でもなんか、「ペー&パー子夫妻みたいなもんか」と思った瞬間に「なぜ合うのか」という疑問がストンと脳から落ちていった感じがしたのだった。

とはいえ、甘口ワインに合うチーズがブルーチーズしかないというのはさすがに暴論。ほかにはどんなチーズが合うのか、引き続き試していきたいと思う次第だ。

 

 

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