ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「コノスル レゼルバ・エスペシャル ゲヴュルツトラミネール」が終売!? 最後にもう一度飲んでみた。【cono sur reserva especial gewurztraminer】

コノスル レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” ゲヴュルツトラミネール終売の衝撃

チリの生産者・コノスルの白ワイン「コノスル レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” ゲヴュルツトラミネール」が終売になるというニュースを目にした。コノスル レゼルバ・エスペシャル“ヴァレー・コレクション”ゲヴュルツトラミネール、長すぎるので本記事ではゲヴュルツトラミネールとだけ表記するが、それは私がワインにハマったきっかけになったワイン。

 

ワインに興味持つ→「安くておいしいワイン」みたいな雑なワードで検索→いくつかのウェブサイトをチェック→「コノスル」の名前が頻出→なんなら「コノスルって言っちゃうと話が終わっちゃうのでコノスル以外で紹介します」みたいな記事まである→これコノスル一択じゃんってことでコノスルの、松竹梅なら竹を買う日本人気質でもってレゼルバのラインから、ピノ・ノワールとゲヴュルツトラミネールを買ったのだった。もう2年近く前のことである。

コノスル レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” ゲヴュルツトラミネールと私

当時の私のワイン知識は赤ワインにはカベルネ? とメルローとかなんかあるよねってレベル。白品種に至ってはシャルドネと、あとなんかいろいろ。みたいな知識量。

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終売が決まったというコノスル レゼルバ・エスペシャル ゲヴュルツトラミネールを飲みました。

そんな世界に突如として登場したのが「ゲヴュルツトラミネール」だ。なにがいいって語呂がいい。青色発光ダイオードとか墾田永年私財法レベルの口にしたさ。ストライクフリーダムガンダムとかレベル。

しかも飲んだらアナタ、今まで飲んだことのない味がするじゃないですか。白ワイン=基本なんか酸っぱいやつ、みたいな認識だった自分にとって、そのライチのようなバラのような香りは驚きであり、甘さ、苦味、酸味、複雑性も併せ持つその構造は衝撃的だった。日本酒好きだったので、磨いた酒にフルーツのフレーバーが足されたような印象を受けたのだった。なにこれ超うまいってなった。

同時に飲んだピノ・ノワールも素晴らしかったことで、私は一発でワイン沼にハマってしまったのだった。ありがとうゲヴュルツトラミネール。フォーエバーコノスル。

なのだが、実にありがちな話としてかれこれ1年以上私はコノスルのゲヴュルツトラミネールを飲んでいない。ワインは知れば知るほど奥が深く、飲みたいワイン、飲むべきワインは増える一方。狡兎死して老狗煮らる、というわけでいつしかこのワインを選ぶことはなくなっていった。

そこに届いた終売の一報は言わば最近足が遠のいていた馴染みの店から閉店の知らせが届いた感覚、寂しさと後ろめたさのアッサンブラージュ状態である。終売を閉店を真に惜しんでいいのは買い続け、通い続けた者だけである。孝行のしたい時分に親はなし。食べたいと思うときにカール(お菓子)なし。僕は牛丼太郎が好きでした。

さて、そんな申し訳ない気持ちも込めて、私にワインの世界の扉を開いてくれたワインに謝意を伝え追悼&鎮魂をすべく、近所のワインショップで1本購入、改めて飲んでみることとした。終売のニュースがあってなお、近所のショップでサクッと買える。「買える」は正義だ。

改めてこのワインについて調べてみると、チリ国内に実に10箇所あるというコノスルの生産地域のうち、チリでももっとも冷涼な生産地のひとつだというカサブランカ・ヴァレーで栽培され、ステンレスタンクで6カ月熟成されているとある。カサブランカ・ヴァレーは標高が高く、太平洋からの冷たい風が年中吹くのでブドウがゆっくりと成熟し、きれいな酸味のあるブドウに育つのだとか。いいなあ。その風を浴びたい。本筋と全然関係ないけどカサブランカは英語にすると「ホワイトハウス」だそうです。カサ(家)ブランカ(白)か。なるほど。

コノスル レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” ゲヴュルツトラミネールを飲んでみた

さて、もう市中在庫のみ、売り切れたら終わりという状態だというこのワイン。飲むのもこれが最後かも知れぬ、と心してスクリューキャップをくるくる回し、カチリと開栓。1年半ぶりとかそれくらいにグラスに注ぐ。あれから私もたくさんワインを飲んできた。果たして感想は変わるのか否か。

で、飲んでみたらですね、うはははは、超うまい。これが1000円札1枚に百円玉1個とか2個とかで買えちゃう世界に生まれて良かった。最初に飲んだときに比べてしっかりと酸味を感じるんだけどこの酸味あるがゆえに飲んだ印象が甘ったるくなく飲み飽きないんですかね。ともかく、夏の昼間、そうめんが茹だる前に冷やしたコレを飲んだ場合、麦茶、生ビールに比肩するといって過言でないパフォーマンスを発揮してくれた。ゲヴュルツトラミネールは夏の季語(ではない)。

別れ話でこじれ倒したカップルが、ようやく別れを互いに納得し、最後に一杯酒を飲む。互いに別の道に進むことは確定しているものの、ポツポツと出る思い出話を肴に飲む酒が意外と旨かったりする、そのときの味がする。いつだって一番魅力的に感じるのは二度とは会えぬフラれた恋人。愛と悲しみの750mlである。

さらばコノスル レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション”ゲヴュルツトラミネール。私をワインの世界に導いてくれたその香りをその味を、冗談抜きで私は一生忘れないと思う。

「まだある」うちに是非。

 <追記>

葡萄畑ココスさんからコメントいただき、世界的な需要が少ないことからビシクレタに一本化していくとのこと。ビシクレタもおいしいもんなー。