ドメーヌ・ド・ロランジェリー・ド・モントラベック ゲヴュルツトラミネールを買ってみた
ビックカメラの店頭で880円で売られていた南仏のゲヴュルツトラミネールとバチッと目があったので自宅に連れて帰ることにした。ラングドックでゲヴュルツトラミネール100%って珍しいなあどんな味かしらんと興味が湧いた次第だ。
格付けはIGPペイドック。ちなみにペイは地方、ドはオブ、オックはオック語で、ラングドックはそもそも「オック語」の意味(langue=言語)が転じて「オック語を話す人の土地」みたいな意味だそうですよ。
生産者の名前はドメーヌ・ロランジェリー・ド・モントラベックとかいう呪文系。ネットで調べると販売ページが見つかり、それによれば「偉大なドメーヌ シャトー ド セラムの一部」だと書いてある。ちなみにネットでの売価はおおむね1500〜1600円なので購入価格880円は破格。やったぜ。
モントラベックは城塞都市で有名なカルカッソンヌから東に50キロくらい行ったところにある土地の名前。スペインとの国境近くで、さらに東に50キロほど行くと大西洋に出る。
シャトー・ド・セラムはこのあたりで2世紀以上続くエクセア家が所有しており、エクセア家の公式サイトによれば、シャトー・ド・セラムほか20近いブランドが傘下にあるみたいだからかなり大規模っぽい。フランスってザックリ北から南に行けば行くほど生産が大規模になっていく気がしますよね(ただしシャンパーニュは除く)。
公式サイト内に残念ながら「ドメーヌ・ロランジェリー・ド・モントラベック」は見つからなかった。880円というバーゲン価格はブランド変更に伴う終売で値下げとかだったのかも。そう思って眺めると、ボトルからも大規模生産者が造る泡沫ブランドの哀愁がどこか漂っているように思える(注:真偽は不明です)。
思うように売れずワインは終売、トーキョーの片隅で半額シールを貼られて売られていく……といったドナドナ的ストーリーを妄想しているうちに、逆にワインに愛着が湧いてきた。おれが大切に飲んであげるからね……!
ラングドックとゲヴュルツトラミネール
抜栓する前にラングドックにおけるゲヴュルツトラミネールの栽培状況を調べておこうと思ったのだが、wikipediaの「ラングドックルシヨンワイン」のページを調べても名前すら出てこない。
主要品種のシャルドネ、シュナン・ブラン、泡用のモーザック、ルーサンヌにマルサンヌ、ヴェルメンティーノにブールブラン、クレレットブランシュにグルナッシュブランにグルナッシュグリにピケプールブランとかいう知らない品種にピケプールグリとかいう知らない品種その2が続いてカバ品種でおなじみのマカベオまで言及されてるってのにゲヴュルツの名前なし。アルザスから南に500キロ、ラングドックにおけるゲヴュルツのマイナーっぷりはなかなかのものだ。
ただ調べると意外とあるんですねラングドックのゲヴュルツ。違う造り手の商品ページなどを眺めると、「この品種には苦労させられたよ(笑)」みたいなコメントが割と出てくる。アンタなんで植えようと思ったんだよ!
念のためものすごく標高の高いエリアなのでは? とグーグルマップで地形も調べたが基本真っ平ら。はらたいら(ごめんなさい)。チリみたいに海流の影響で冷涼な海風が……なんてこともなさそう。温暖な地方で育てられた冷涼品種、果たしてどんな味なのか、いざ飲んでみたい。
ドメーヌ・ロランジェリー・ド・モントラベック ゲヴュルツトラミネールを飲んでみた
でですね、もとが2000円弱するワインみたいなので当然といえば当然なのだが、これが880円はド破格。常時1000円を切るワインで買えるならば1000円以下のベストワインに名を連ねるレベル。ネットで売られている1500円前後の価格でも全然アリという高性能ワインだった。
どんな味わいかといえば、私も初めて使う表現なのだが「シャルドネっぽいゲヴュルツ」みたいなことになるんだと思うたぶん。コノスル脳の私からすると、ゲヴュルツトラミネールといえばライチの香り。しかし、このワインはその特徴的な香りが弱い。ただ花粉症の症状が出ているだけかもしれないけど(実際、vivinoのクチコミを見るとライチ! みたいに書いている人もいる)。
結果、南国トロピカル系シャルドネとかそれこそシュナン・ブランのような味わいに近づいている気がする。ゲヴュルツのライチすぎる香りが少ないことで食事を邪魔しないこういう造りも個人的には全然アリだと思った。ある。ベトナム料理とかと合わせたらさぞかし合うことでしょう。あう。
880円は繰り返しになるが安すぎる。ビックカメラ、グッジョブだ。
春だしロゼりたい。