ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「ジヴリ」のワインってどんな味? ブルゴーニュのマイナー生産地のワインを飲んでみた。【Domaine Masse Givry Rouge 2015】

ドメーヌ・マッス「ジヴリ ルージュ2015」を買った

映画『ブルゴーニュで会いましょう』を観賞したところ、映画自体は極めて微妙な仕上がりだったけれどもそれでもとにかくブルゴーニュのワインが飲みたくなったので買うことにした。

f:id:ichibanboshimomojiro:20201215173617j:plain

ドメーヌ・マッス「ジヴリ ルージュ2015」を飲みました。

映画の原題が『Premier Crus』で舞台がコルトンの丘、そこに位置する家族経営ドメーヌの御家騒動、みたいな話なのでここはコルトンのワインを飲むのがスジかと調べてみると価格1万円前後スタートって感じでお高い。となると弱者の兵法として狙いどころはマイナー産地。

メジャー(コート・ドール)の高年棒選手に手が出ない以上、マイナーリーグからいい選手を探すのは自然。産地が有名じゃないから競争原理が働かず、結果、安くて旨い、みたいなのをいろいろ探した結果購入したのはドメーヌ・マッスの「ジヴリ ルージュ2015」である。商品単価は2453円とお手頃。気分は年棒2453万円(22万ドル)でマイナーリーグの若手と契約した在米スカウトである。

 

ジヴリとアンリ4世について

さて、買ったはいいけどジヴリってどこだっけ? から調べてみると、ボーヌの南、マコネの北のコトー・シャルネーゼに位置する小さなコミューン。AOCジヴリは村名アペラシオンで、ジヴリ村ほか6つのコミューンで生産されるとブルゴーニュ公式サイトにある。

ちなみに、ジヴリについて調べると、「アンリ4世が愛したワイン」というふたつ名がたくさん出てくる。なんならブルゴーニュワイン公式サイトにも「アンリ4世のお気に入り」と書いてある。ジヴリにはアンリ4世の愛人がいた! とかっていう愛の不時着状態の情報まであったがエビデンスが不明だったのでフランス語であれこれ検索し、いくつかのローカルの記事を見てみると、どうやら一部のワイン生産者が「ジヴリワインこそアンリ4世が愛したワインだ!」と主張しているものの、歴史的な真偽はどうやら不明なようだ。信玄の隠し湯、みたいなもんだなこりゃ。

himawine.hatenablog.com

というわけで、アンリ4世が愛したかどうかはわからないが、調べた限り有名地区とはいいがたいジヴリは品質に対して価格が高騰しておらず、かつ今回選んだドメーヌ・マッスは若手(?)ながら評価の高い生産者であることがわかった。

 

ドメーヌ・マッス「ジヴリ ルージュ」はどんなワインか

というわけでドメーヌの公式サイトを見ると、現当主は2000年に継いだファブリス・マッス。彼の代になって自社瓶詰めの割合を増やしたことが、ドメーヌとしての評価を高めることにつながっているようだ。おっ、いいじゃない。ここにきて『ブルゴーニュで会いましょう』感出てきた。

ブドウはピノ・ノワール100%。赤は除梗後に5日間低温マセラシオン。その後15日間のアルコール発酵を行うとのこと。発酵後は新樽率30%ほどの228リットルのフレンチオーク樽で1年間熟成させるそうだ。

ブルゴーニュの村名ワインとしては2453円は安いけど、デイリーワインとしては高価格。おいしいことを期待しつつ、いざ抜栓である。

 

ドメーヌ・マッス「ジヴリ ルージュ2015」を飲んでみた

グラスに注いでみると、グラスの向こう側がキレイに見える薄いルビー色。いいじゃないのこの色。キラキラしちゃってんじゃないの。そして香りが、おお、これまたいいじゃないの。なんですかこれは。チェリーか。サクランボ的な甘ずっぱかわいい匂いがしつつ、家具屋でちょっと良さそうな木の机の引き出しを開けたときみたいないい香りもふんわりする。私の勝手なイメージなのだが色が薄いのに対して香りが強いワイン=おいしい、みたいな印象がある。男性でいえば痩せて見えるがシャツの下の筋肉はことのほかマッチョ、みたいな感じだろうか。女性でいえば……は品がなくなるから割愛するが飲む前から漂うギャップ萌え感。

himawine.hatenablog.com

で、飲んでみてもあらこれいいじゃない。しっかりとした酸味があって、渋みもしっかり。でもって、果実味もきっちり残っているので飲みやすさが高い。突き抜けたおいしさがあるわけじゃないけど、価格に対してのちょうど良さがすごく、まさに贔屓チームに加入した年棒2453万円の新外国人選手がシーズン20本塁打したときの嬉しさみたいな嬉しみを感じられる。マイナーリーグ出身だけどこのジヴリって外国人選手、打つな、わりと。いいとこで。みたいな感じ。ユニフォーム買っちゃおうかなみたいになる。これは3000円以下のおいしいピノ・ノワール認定できる。

調べてみると同じ生産者のジヴリ プルミエクリュでも3000円そこそこで買える。ジヴリ村名でこのおいしさだとプルミエクリュだともっとおいしいに違いない。今度は上級レンジも試してみよう。いいなジヴリ。

飲もう 飲もう 私は元気 ワインが大好き どんどん飲もう(『となりのトトロ』主題歌『さんぽ』の節で)

ジヴリの丘で風に吹かれて歌いたい。この歌を!

飲んだのはこれ↓

プルミエクリュでもこのお値段なのいいわ↓