ジョセフ・ドルーアンを飲むとテロワールが理解できる?
私がよくワインを買うショップ「葡萄畑ココス」のブログに、「テロワールを理解したくばドルーアンを飲むべし!」と題された記事を見つけた。
【ブログ更新】2部構成であった #ジョセフドルーアン に関する記事を一つにして、若干修正しました。「 #ブルゴーニュワイン を知りたい!」という方におすすめの生産者です。#ワイン好きと繋がりたい #シャルドネ #ピノノワール #ワインブログhttps://t.co/VnPeUileiG
— ワイン専門店@葡萄畑ココス (@cocoswine) 2020年5月12日
そのとき私は、「のどがかわいたなあ」とか「サウナに行きたいなあ」といったような感じで「テロワールが理解したいなあ」と思っていた。ワイン初心者あるあるだと思うが、テロワールという言葉にはワインのワインにしかない神秘性が秘められている気がする一方で、それを理解する正しい方法がさっぱりわからないからだ。
ブルゴーニュのテロワールを理解するには?
これはまさにおれのためのブログだと読んだその内容は要約すると以下のようになる。
テロワールを理解するための方法として、「同一生産者の村名ワインを飲み比べることで地域による味の違いを感じることができ」るのだが、「小さな生産者だと、村名格は3つくらいしか持っていないところも多い」ため、「まだどの村のワインが好みなのかわからない段階なら、まずは大手生産者のワインから入」るべきであり、その点ドルーアンは「広域名『ブルゴーニュ』などから始まり、『シャンボール・ミュジニー』などの村名格、『ボーヌ1級レ・ゼグロ』などの1級畑、それから『グラン・エシェゾー』などの特級畑を合わせると、90以上にもなる」ため、「テロワールを理解したくばドルーアンを飲むべし!」となるようだ。
うーん、ロジカル。納得がいく。そのブログ記事を紹介する同ショップのツイッターの文章がまた素晴らしく、そこにはこのように書いてある。
「ドルーアンは特別安い訳でもなく、味もずば抜けているわけではありません。むしろ「生産者別ブルピノ飲み比べ」なんかやったら、霞んで印象に残らないでしょう。 それはきっと畑の特徴を如実に表しているから。クラスの違いが味わいによく表れていると感じます。」
特別安いわけでも、味がズバ抜けてるわけでもない……! これを読んでわたしは「ならば買おう!」となった。なんでしょうかこの心の動き。プロ野球でいえばドラフト下位入団からのし上がってくるタイプの選手を私は応援したいタイプであります。私は巨人ファンではないのですが2018年育成ドラフト1位の山下航汰とかね。期待したいですよね。出身校は健大高崎でありますドルーアンの話だった。
テロワールを理解すべく、一路ブルゴーニュへ(妄想です)
というわけで、テロワールとはなにか。それを理解したいなあと思うので、定期的にドルーアンのワインを飲むことにした経緯が以上のようなもの。畑名まで行けるかどうかは(予算の都合で)ともかくとして、いろいろ飲み比べてみたいなあと思う次第です。
その手始めとして、まずは広域名「ブルゴーニュ」からはじめることにした。のだが、ここで極めて心苦しいことにドルアーンの「ブルゴーニュ」、葡萄畑ココスで……売ってない……そしてごめんなさいほかのショップで買った……。なんですかこの付き合い始めた初日に浮気したみたいな気分。以降は葡萄畑ココスで買いますのでご寛恕ください。
ただ、ドルーアンのワインを買って家で飲んだだけではテロワールを真に理解できるとは思えない。書籍「イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門」によれば、テロワールとは「各ブドウ畑に固有の気候や地理的要素のみならず、それぞれの土地の風土や文化、ときにはそこに関係する人間までも含まれる。要するにテロワールという言葉は、ブドウの持つ自然・文化的環境要因の総称、さらにはワインの持つ地理的な個性と定義することができる」とあるからだ。やっぱりね、その土地の風を感じ土に触れ、人と交わらねばならぬ。
というわけで、現地に行ってみることにした(グーグルマップで)。まずは羽田空港に向かいます。22時50分羽田発、AF0275便ですね。こういうのは気分が大切なので、利用する航空会社はエールフランス一択であります。
夜便なので寝てる間に到着したのはフランス、パリはシャルル・ド・ゴール空港です。私は旅行で1回、トランジットで1回立ち寄ったことがあります。クエンティン・タランティーノの出世作『パルプフィクション』で、「フランスではビッグマックのことをル・ビッグマックと呼ぶ」というセリフがありまして、それをたしかめるべく空港のマックに行ったのですが巨大な黒人店員の雰囲気に圧倒されて「ル・ビッグマックSVP(シルブプレ)」の一言がいえずに指トンでオーダーしたのはションボリした思い出であります。
空港を出たらパリ・リヨン駅に向かいます。ここからTGVに乗り込んで、一路ブルゴーニュの中心地、ディジョンに向かうわけですね。グーグルマップの写真が夜ですが、ここは“早朝”ということにします。
鉄路1時間30分、デジョンに到着です。さすがブルゴーニュの中心地、大きな街です。デジョンからは電車を乗り換えて、ボーヌへと向かいましょう。ボーヌまでは電車で20分。千葉から船橋に行くくらいの時間ですね。
着きました、ボーヌです。うん、田舎。いいなあ、こういう駅。まずは駅そばで腹ごしらえをして、周囲を散策したいところですがここはフランス。駅そばはありません。売店でオランジーナかなんか買って、旧市街へと向かいましょう。
ボーヌはローマ時代の1世紀に建設された都市で、その名はラテン語のベルーナ=春に由来するんだとか。13世紀にはすでにワインの産地として栄えたとwikipediaにはあります。城壁に囲まれた内側を旧市街と呼び、ドルーアンはその中心地にあります。
地図で見ると、駅から旧市街中心部まではどうですかね。3、4キロくらいあるのかな。歩くと1時間くらいかかりそうですが、行ってみましょうか。ここはグーグルマップ。いくら歩いてもつかれない。
というわけで着きました。ジョセフ・ドルーアン、まさに市の中心街にあります。ブルゴーニュ・ワインの首都、ボーヌにあってそのまた中心部にあるというのがすごい。お、ワインショップらしきものがあるので入ってみましょう。
で、このワインショップでジョセフ・ドルーアンの広域名「ブルゴーニュ」を飲むというのが今回の妄想の趣旨。うーん、本当に現地にいる気分に18%くらいなってきたぞ。あとは飲むのみであります。
ジョセフ・ドルーアン ブルゴーニュ ピノ・ノワールを飲んでみると?
というわけで、おれはいまボーヌのドルーアンのショップでドキドキしながらワインを試飲しているのだと己に言い聞かせながら、飲んでみたら……あらやだおいしいじゃないのこのワイン。香りも、色も、味わいも、全部良く言えば淡麗、そのまま言えば薄め。でもしっかり旨味がある。
日本語対応のドルーアン公式サイトによれば、ブルゴーニュ ピノ・ノワールは契約農家からの収穫果と果汁を使い、トータル2~3週間の天然酵母による発酵後、7~8ヶ月タンクで熟成。より優れた畑から醸造した一部のワインについては、1〜2年使用した樽を使用しているとのこと、すべての樽をテイスティングして、ブレンドを行うんだとか。
書籍「ワイン一年生」によれば、「千円、二千円台でブルゴーニュを買えば、まずひどい目に合うと思っておいた方がいいです」とあって、半ばそれを覚悟していたわけだが、なんか無難においしい。ちなみに買い値は1925円でした。お安い。ブルゴーニュのワインをほぼ飲んだことがないためわからないのだが、おそらく「ひどい目」にはあってないと思う。
私の味覚レベルでは出発地点でわりと満足なので、これからはもっとおいしくなることを期待していいんでしょうか。どうなるんでしょうか。テロワールを理解できるようになるのだろうか。というわけで、今後不定期に、ドルーアンのワインをディグしていきたいと思います。
次はこのあたりでしょうか。楽しみだなあ。