ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

エル・カルゴル・トレウ・ヴィを飲んでみた。「カバ品種」で造られたスティルワインの味わいは?【El Cargol treu vi】

スペインワイン「エル・カルゴル・トレウ・ヴィ」を買ってみた

私はこうしてワインブログなどを書いているのだがワインについては完全にド素人だ。ブログをはじめて約10カ月、200以上の記事を書き、そのたびにワインについて産地について調べてきたつもりだが一向に「詳しくなった」という実感がない。感覚的には子どものころ、公園の土を掘って掘って掘り続ければブラジルに行けるんじゃないかっつって友達と1時間くらい必死に掘ったときの感覚だ。ブラジルは遠く、ワインの道は奥深い。

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スペインの白ワイン、エル・カルゴル・トレウ・ヴィを飲みました。

とくに有力産地のなかで飲んでないのがスペインワインで、スティルワインに限って言えば2桁本数飲んでないんじゃないかレベル。これじゃいかんということで今月は急遽スペインワイン強化月間として、何本かワインを入手して飲むこととした。安くておいしいスペインワインをみなさんぜひ教えてください。

飲んだのは白ワイン。カタルーニャはDO(原産地呼称)ペネデスの生産者、アレマイン・イ・コリオのエル・カルゴル・トレウ・ビだ。カルゴルはカタルーニャ語でかたつむり。トレウは取り出す。ヴィはワインだそうです。かたつむりがワインを取り出す……? カタルーニャはかたつむり料理もよく食べるみたいなので鴨がネギしょってくるならぬカタツムリがワインもってくるみたいなことなんですかねわかんないけど。ともかくかわいいかたつむりのイラストが特徴的なラベルのワインだ。

さてペネデスといえばカバの産地で有名なところ。かのフレシネ社の本拠地があり、スティルワインでいえばエノテカのセットを買うとよく入ってた印象があるミゲル・トーレスもこの地でワインを造っているのだそうだ。

エル・カルゴル・トレウ・ヴィはチャレッロ単一ワイン

カバといえばマカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3品種。で、今回飲んだかたつむりのワインはチャレッロ100%で造られているバラエタルワイン。チャレッロ単一のワインはもちろん初だ。面白いじゃないの。

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チャレッロってどんなワインだったっけとまずカバのwikiをみると、「チャレッロ種はワインの骨格を作り、マカベオ種は果実香を与え、パレリャーダ種は香りに華やかさを与える」とある。チャレッロ単体での英語版wikiにはもう少し詳しく書かれていて、「チャレッロのワインは強く味付けすることができ、他の2つのカヴァのブドウ品種よりも香り高」く、「ここ20年で進化し、ヴァラエタルワインの形で見られるようになった」とある。今回の生産者がペネデスでワインを造り始めたのがまさに約20年前の1999年だから、チャレッロのような土着品種のバラエタル化にこの生産者も一役買ったりしているのかもしれない。

用いるのはリュット・レゾネ(減農薬)で栽培された樹齢70年以上のブドウ樹から獲れるチャレッロ。300リットルのオーク樽で天然酵母を用いてアルコール発酵を行い、10カ月の熟成を経てリリースされるというこのワインの味わいはいかなるものか、いざ飲んでみよう。

エル・カルゴル・トレウ・ヴィを飲んでみた。

グラスに注いでみると、おお、ことのほかゴールデン。リンゴの蜜色。カバって印象として薄めの色合いな気がするのでちょっと意外で、むしろカルフォルニアの樽の効いたシャルドネ、略称樽ドネ的な色合いだ。

で、飲んでみると蜜色から連想されるような甘さはなくてキリリとした味わい。ワインの味をワインの味でたとえていいのかは知らないが、ソーヴィニヨンブランとシャルドネが激突して融合したみたいなソーヴィニヨンブランとシャルドネがオーク樽の風呂で裸の付き合いしてるみたいな味がする。香りはソーヴィニヨンブランで、レモンwith草原の風。なんだけど、なんていうんですかね。ボディって言うんでしょうか。液体そのものはサラサラというわけではなくて、焦がしバターを入れましたみたいな感があるのはやっぱり樽の作用なんでしょうか。チャレッロ100%だけにたしかにカバ的な味わいがあるんだけれど、カバにはこの樽のニュアンスはあまりないと思うのでこれは初めての味だ。カバの名産地のスティルワインって言われて納得がいく泡のない樽カバっていう印象を受けた。樽カバってなんだよ。

このワイン、バターで焼いて塩で味付けしたシンプルなポークソテーとすごく合ったのだが、カタツムリが描かれたラベルのこのワイン、やっぱりサイゼリヤエスカルゴに絶対に間違いなく合うと思う。

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ちなみに、リュット・レゾネとか天然酵母とかっていうと自然派ワインっぽいけど味わいに自然派感はとくになかったので、清澄とか濾過は普通にやってるんですかね透き通ってるし。酸化防止剤も普通に入ってる。

価格もギリ2000円台とまあまあ高いけど、それに見合うおいしいワインだった。カバに使う品種単一のスティルワインは初めて飲んだが、こうなるとチャレッロ、マカベオの単一ワインを飲んでスペインワイン、そしてカバへの理解をもっと深めたいような気がしてくる。

というわけで、スペインワインも積極的に飲んでいきたいと思う次第。