ヴィンテージ カバはジェネリックシャンパーニュとして機能するか?
きっかけはカルディで売っていたカバだ。ペレ・ベントゥーラ カバ・トレゾール・ブリュットという名前のワインで、定価2145円が1398円のセール価格で売られていたので買ってみたところこれが妙においしかったのだった。打倒シャンパーニュを掲げる造り手なんだそうなので、こんなことを言うのは失礼なのだがジェネリックシャンパーニュ、擬似シャンパーニュとして機能するおいしさがあった。
そのワインが、「2017」のヴィンテージ入りのカバだったのだった。通常カバはシャンパーニュ同様複数ヴィンテージをブレンドして品質を保つはず。シャンパーニュがそうであるように、ヴィンテージ入りということはよほどいいブドウが収穫できたから……みたいなことのはず。
1000円台前半でシャンパーニュを買うことはできない。なので、1000円台前半でシャンパーニュに類似した味わいのスパークリングワインを飲むことは全・私の悲願だ。そして、この成功体験から、ヴィンテージカバは擬似シャンパーニュの有力候補なのでは? という仮説を私は組んだ。サンプル数は驚異の「1」だけど。人間は成功体験の奴隷である。
エメンディス カヴァ ブリュット2016とカバとシャンパーニュと私
そんな感じで安ヴィンテージカバを探していたら見つけたのが今回飲んだ「エメンディス カヴァ ブリュット2016」。エメンディスはスペインはカタルーニャ、カバの中心地・ペネデスに本拠地を置く生産者であるようだ。
さて、さっそく公式サイトを訪問し、カタルーニャ語を翻訳サービスに突っ込むと、こんな文言が出てきた。
「エメンディスのワインとシャンパンは、エステート内のブドウ畑で生産されています。」
思いっきり「Champagne」って書いてあるなこれ。スイスのシャンパーニュ地方のワインはフランスのシャンパーニュ地方よりも早くワインを造っていたのに現在シャンパーニュを名乗ることができず、日本のバンド「Champagne(シャンペイン)」は改名を余儀なくされた。
それくらい「シャンパーニュ」という言葉はシャンパーニュ地方で造られたワインにしか使えないものだと私は理解しているけれども商標じゃないからセーフ、みたいなことなのか。
【追記】Champagneと表記されてるのはサイトの言語を英語にした場合のみ。カタルーニャ語ではcave、スペイン語ではcava表記でした。
エメンディス カヴァ ブリュット2016はどんなワインか?
製法について調べても、英語では「シャンパンについては、ワイナリーの最も象徴的な部分のひとつであるワインセラーで、低温でゆっくりと瓶内二次発酵させます。」と書いてある。にしてもなんで英語だとシャンパーニュなんだろうなー。
ともあれ、100%自社畑のブドウを使い、14カ月熟成と丁寧につくられているのは間違いなさそう。ブレンドはチャレッロが50%で、マカベオとパレリャーダが25%ずつ。公式サイトにはヴィンテージカバの掲載はないから、良年のみ造るとかなんですかねわからないけど。ここは「良年のみ造るんだろう」と思い込むことにします。
エメンディス カヴァ ブリュット2016を飲んでみた
さて、柳の下に二匹目のドジョウはいるか、夕陽が沈むのを待ってグラスに注いでみた。色は、うん、カバらしい、少しくすんだような印象のある逆光で見る麦、みたいな色。で香りは皮みたいなパンみたいなシャンパーニっぽい香り。カバって味はともかく香りはシャンパーニュに似ているケースがままあると思うけどこれもそう。
でもって飲んでみるとこれがまあ普通においしいんですよ。味はレモンっぽい酸味とレモンの皮みたいな苦味があってシャンパーニュ感はそこまでないけど、カバとして十分においしい。いいなこれ。1190円でこの内容はアリ to the アリだ。
ヴィンテージカバはジェネリックシャンパーニュとして機能する、という仮説は十分に補強されたとはいいがたいが、ヴィンテージカバはおいしい、ということはここまで2打数2安打なので言えそうだ。
というわけで、初夏から夏にかけてどうせ大量に消費することが分かりきっているスパークリングワインの有力候補として、今年はヴィンテージカバを探してみよう! と思った次第だ。ああ楽しい。