ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「ミレジム」「MONACA」のイタリア&フランスワイン試飲会に参加! 印象に残ったワイン4選

 下北沢ワインショップの試飲会に参加した

先月参加して楽しかったので今月も東京・下北沢の下北沢ワインショップ主催の試飲会に参加することにした。今回も参加インポーターは2社。「ミレジム」がフランスしばり、「MONACA」がイタリアしばりでの参加だ(MONACAはイタリア専門のインポーター)。

himawine.hatenablog.com用意されていたのはMONACA9種類、ミレジム6種類の計15種類のワイン。内訳は泡3、白5、赤7だ。前回同様今回も、そのなかでとくに印象に残ったものに絞って記録しておきたい。

 

MONACA出展ワイン:ジョバンニーニ「GGGビアンコ デル シッラーロ」

まずはMONACAの出展していたワインから。イタリア20州のうち18州の生産者と取引があるといい、いろいろな州のさまざまなスタイルのワインを揃えたというなか、非常に特徴的だったのがエミリアロマーニャの生産者・ジョバンニーニの「GGGビアンコ デル シッラーロ」。白ワインなのにアルコール度数が15度あるんすよこれすげえ。

発酵前に皮皮も一緒に醸しているのだそうで、それもあってか外観は白っていうかオレンジゴールド。香りにはこれはもう甘口ワインなんじゃないかっていうくらいの蜜感がある。使用品種は土着品種のアルバーナで、糖度が上がりやすい品種でもあり甘口に仕上げられることも多いのだそうだ。

香りには甘口を感じながら飲むとトロトロ系ながら味わいはドライで意外と酸もあるという不思議なバランス。果皮からタンニンも抽出されているため渋みもあり、なんならステーキまで合わせられるんじゃないのというパワフルさがあった。販売価格は3500円。

 

MONACA出展ワイン:フランコーネ「ドルチェット ダルバ ヴィニェート メントリュン」

MONACAのワインで個人的に好きだったのがピエモンテの生産者、フランコーネの「ドルチェット ダルバ ヴィニェート メントリュン」。ピエモンテといえばその最高峰のワインはネッビオーロから造られるバローロ、そしてバルバレスコ。その下のランクにバルベーラがあり、そのまた下のランクに位置づけられるのがこのドルチェットという品種だといってたぶん問題なく、私はそれぞれ全部が好き。

たとえるならばバローロとかバルバレスコネッビオーロ)は千疋屋なかんかで一粒単位で売られている大粒の佐藤錦。大正義。絶対うまい。それに対してバルベーラはスーパーでパックに入れられて、それでも1パック598円とかで売られているさくらんぼ。ではドルチェットはなにかといえばソメイヨシノが散った後に出てくるアレ、みたいな感覚だ。

粒は小さくてすっぱくて渋いのだがそれでもどうしても愛さずにはおられぬなにかが確実にあるみたいな感じ。今から数十年前、春がくるたびに学校の校庭の木に登って食べたんですよアレを。おいしかったなあ。

その印象と重なるように、このワインも渋みがしっかりあって酸味も強い。しかし、味わいの核にはキッチリ硬めで青めの果実味があって、全体のこじんまりとした味わいがなんとも良い。バローロの甲に対してドルチェットは明確に「乙」の良さがあり、そのドルチェットの良さを体現している印象のワインだった。販売価格は2600円だ。

 

ミレジム出展ワイン:ドメーヌ・イノソンティ「サン・ヴェラン レゼルヴ・ジョベール2018」

そんなこんなで続いてはフランスワイン6種を出展しているミレジムのワインを飲んでいくのだが、この日の最大の驚きとなったのがドメーヌ・イノソンティの「サン・ヴェラン レゼルヴ・ジョベール2018」だ。サン・ヴェランはブルゴーニュの南のマコネのそのまた南端にある人口181人(2009年時点)のコミューンで、ほぼボジョレー、みたいな立地。

このサン・ヴェラン、どっこい紛れもないブルゴーニュの村名アペラシオン。その香りも味わいもちゃんとブルゴーニュワインなんだけど、フルーツ&トロピカル&サンシャイン要素が強くあり、なんつーんですかね。最近のスマホゲームでよくある「水着イベント開催中」みたいな印象を受ける。ブルゴーニュのワインたちが海で水着に…!?

先月の試飲会で飲んで素晴らしかったドルーアンオレゴンシャルドネの印象とも重なる部分があって、それはつまり完熟し切ったブドウで造ったエレガントな白ワイン感、みたいなものだと思う。それぜったいうまいやつ。

となると、でもお高いんでしょう? となるわけだが安いのだ、このワイン。お値段なんと2860円税込なんですよお嬢様。安ワインの条件を税込3000円以下で買えるワインだとするならばこれは「安ワイン」なのだやべえ。2022年のコスパ・オブ・ザ・イヤーの最有力候補と言ってよく、ブルゴーニュが高いならこれを飲めばよろしいじゃないのという精神性の発露・具現化といって差し障りがない。いや、これもブルゴーニュなんだけど。

続けて飲んだシャブリ(ドメーヌ・ド・シャントメルル フランシス・ブーダン)も素晴らしかったのだが、前述したドメーヌ・イノソンティの圧倒的なコスパ感の前にやや霞んでしまった印象だった。

 

ミレジム出展ワイン:ラ・ジブリヨット「ブルゴーニュ・ルージュ2019」

もうひとつ印象的だったのがラ・ジブリヨットのブルゴーニュ・ルージュ。これはクロード・デュガのネゴシアン部門。買いブドウでワインを造るのかなと思いきやさにあらずで、樽でワインを買ってきて瓶詰めするというスタイルなのだそうだ。つまりは買いワイン。私は自社畑だろうが買いぶどうだろうが買いワインだろうがおいしければそれで良い。良きに計らってくださいという立場。

で、このワインはさらに面白いことに広域名ブルゴーニュのワインでありながら、使っているのはジュヴレ・シャンベルタンのブドウなのだそうだ。ジュヴレ・シャンベルタン村に生えてるブドウなのにジュヴレ・シャンベルタンを名乗れない畑のブドウで作られてるんだって。

ミレジムの方いわく、味わいは「デュガの味に寄せてきてる」とのことで、なんならデュガのワインも混ざってるんじゃないかという味なのだそう。飲んでみると渋みと酸味が静かに存在し、果実味はまだつぼみの状態であることを思わせる味わい。2019というヴィンテージの良さもあっていかにもこれからおいしくなりそうな気配。おいしさがクラウチングスタートの構えをとっている印象で、これもとても良いなと感じた。

というわけで今回も実に勉強になる試飲会だったのだった。インポーター2社が出展するのが良く、異なるスタイルのワインを楽しめるのがすごくありがたい。また参加します。

MVPはこれ↓

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