ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

下北沢ワインショップで仏・米・西試飲会に参加! 良かったのは!?

三国ワイン/仙谷共催試飲会で西8種、仏・米12種を試飲

東京・下北沢の「ミカン下北」にある下北沢ワインショップで試飲会が開催されると聞いたので行った。

共催インポーターは「三国ワイン」と「仙石」。三国ワインって調べたら元々三国コカ・コーラボトリングの100%子会社だったのが、ボトラー4社が経営統合された際に株式が売却され、現在は「クネ」でおなじみのスペイン企業CVNE社の経営になっているのだそうだ。へー。

フランスでいえばジョセフ・ドルーアン、スペインでいえばクネにロジャー・グラート、イタリアでいえばゾーニンなどを輸入している三国ワイン、今回はフランスワインとアメリカワインを計12種出展。一方の仙石はイタリア、スペインに特化しているというインポーターで、今回はスペインワインのみ8種を出展している。

こちらが仙石の8種類。画面右のボトルは参加者に「タモリ」って呼ばれてました。

下北沢ワインショップは、バー「フェアグラウンド」併設のショップ。試飲会はその長いカウンターを二分割して実施された。私はまず手前の仙石のワインを8種飲み、続いて奥の三国ワインのワインを12種いただいた。そのすべてを羅列すると長くなるので、全部で20種類を飲んだうちで、とくに印象に残った6本のワインを振り返ってみたい。

 

よかったワイン1:ヴーヴ・アンバル「クレマン・ド・ブルゴーニュ マリー・アンバル」(仏/白泡)

まずは泡から。というか泡は1本しか出展されていなかったので一択なのだが素晴らしい泡だった。クレマン・ド・ブルゴーニュ マリー・アンバルはクレマン・ド・ブルゴーニュの約40%を生産するという大規模生産者、ヴーヴ・アンバルの最高級キュヴェだそうで、ショップ価格は4400円。

三国ワインの出展ワイン。泡は撮り忘れました。

飲むとこれはもうほぼ完全にシャンパーニュ。ものすごく強いてシャンパーニュと比較すれば酸がやや控えめでそのぶんを果実が補っているという感じだろうか。3年熟成させたという複雑みとかトースト的香りも含めて非常においしく、私が飲んだクレマンのなかでは過去イチに近いと感じた。

ただし定価ベースだと税込5000円前後。この価格だとシャンパーニュが買えてしまうのが全人類共通の悩みとなると思う。良いクレマン、良いカヴァ、イングリッシュスパークリング……すべてにシャンパーニュの壁は立ち塞がる。うーんと悩んだ末にシャンパーニュなんてなかったら良かったんだ……」というワイン愛好家のなれの果てとはまさにこのことみたいな妄言・珍言を吐いたのが私だ。嘘、ホントはシャンパーニュになくなってほしくなんかない……!(メンヘラ) 

クレマン・ド・ブルゴーニュか、シャンパーニュか、みたいなブランド論争を別にすれば、素晴らしいワインだったのは間違いない。

 

よかったワイン2:クラウドライン「オレゴン ピノ・ロゼ」(米/ロゼ)

ロゼにも印象的なのがあった。クラウドライン オレゴン ピノ・ロゼがそれで、色合いはかなり淡めのサーモンピンクながら味わいはピッチピチのいちご系。

私はロゼに関してすっぱいのも嫌、甘いのも嫌というロゼストライクゾーンめちゃ狭人間なのだが、これに関しては針の穴を通すコントロールでもって心の球審が「ストライーック!」と右拳を突き上げるような良さ。

「甘ずっぱいワインが好き」という私の偏差値20くらいのワイン観に寄り添ってくれるワインだった。ちなみに、メゾン・ジョセフ・ドルーアンとドルーアンオレゴン醸造責任者を務めるヴェロニク・ドルーアンがスーパーバイザーとして参画したワインなのだそうだ。

 

よかったワイン/ドメーヌ・ドルーアン オレゴン「ラ・メゾネット シャルドネ」(米/白)

白ワインでもっとも印象に残ったのがドメーヌ・ドルーアン オレゴンのラ・メゾネット シャルドネ。AVA(原産地呼称的なの)はウィラメットヴァレー。ウィラメットヴァレーの下位AVAであるダンディヒルズとエオラ・アミティ・ヒルズのふたつの自社畑のブドウから造られているのだそうだがこれがちょっと驚きの良さ。

ラベルもなんとなくアメリカっぽくない感じ

樽が効いているんだけれど効きすぎておらず、ナッツ系の香りにボヨヨンとした果実味、バニラのようなリッチさがチビ太のおでんの3つの具だとするならば、それを貫く串的に酸が仕事をしており、ボリューム満点なのに飲み疲れない印象になっている。ショップ価格3800円だが、値段以上のパフォーマンスを出してると感じた。買います。

ちなみに、たまたま同席した某お友だちいわく、この日の白のというか全体ベストはスペインはリアス・バイシャスの造り手、エラディオ・ピニェイロのエンビディア・コチーナというアルバリーニョ単一のワインとのこと。

たしかに、リンゴのような果実味に、海のそばを感じるほのかな塩味があって素晴らしいワインだったことを付記したい。アルバリーニョはおいしい品種だよなあ。

 

よかったワイン:シンクロニア ネグレ(西/赤)

赤に話を移すと、スペインの地中海に浮かぶリゾート地・マヨルカ島のワイン、シンクロニア ネグレがとてもよかった。カイエット、メルローカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、マントネグロという、知ってる友だちに混じって面識のない友だちの友だちもいるタイプの飲み会みたいなブドウたちのブレンド

女性醸造家が造っているというこのワイン、親しみやすさはNO.1だった

それらが上手く調和しており、いかにもリゾートの砂浜で波かなんか眺めつつ飲んだらおいしいでしょうよというチャーミング系甘ずっぱワインで、これは問答無用で好きなやつ(私が)。ただ、香りにはスパイシーさ、味わいには樽の厚みもあって、ビーチでパリピッピ飲みするだけでなく、しっとりと食事と合わせてもちろん素晴らしいと思う。ショップ価格2800円はお値打ち。

 

この日の個人的ベスト:ドメーヌ・ドルーアン オレゴンの「ローズロック ゼフィリーヌ ピノ・ノワール」(米/赤)

さて、この日もっとも強く印象に残ったっていうかこれはちょっと抜けてすごいと感じたのがドメーヌ・ドルーアン オレゴンの「ローズロック ゼフィリーヌ ピノ・ノワール」。

これが今日イチ

シャンボール・ミュジニーを理想として造られたというワインなのだがこのワインの完成度の高さはちょっと異常で、7900円というショップ価格を考えても「安い」という印象を受けてしまった。普段のワイン購入平均価格が7900円どころか790円ってレベルの人間(私)に7900円を安いと感じさせるのは並大抵のことではない。

ゼフィリーヌはバラの名前なのだそうで、たしかに香りにはバラの印象がある。味わいは渋みおだやか、酸味おだやか、果実味おだやかのおだやか三兄弟。シャープでエレガントな印象がある一方で、俺はいまおばあちゃんの家の縁側でお茶かなんか飲んでるんじゃないかと錯覚させるチルアウト作用も働いている。

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隣で飲んでいた方が、「これがフランスにはないアメリカの魅力!」と語っていたが、単純に果実が強いというだけでなく、このなんともいえない親しみやすさはなるほどアメリカ的なのかもな、と思った。

ブルゴーニュはもちろん、良いカリフォルニアのピノ・ノワールも思わせ、それらとはまた異なるキャラクターを持つ素晴らしいワインだと感じたのでこれはお買い上げ。どこかのワイン会でどなたか一緒に飲みましょう。オレゴンはいいぞ。あとドルーアンオレゴンはいい…!

ほかにもシャブリの造り手が南仏で造るというラ・ジュシェールのシャルドネコスパ抜群。ショップ価格3300円ながら「ボルドーのいいやつ!」と即答しそうなテンプラニーリョ、ダマナ・クリアンサなどいいワインがゴロゴロあって、大満足の試飲会だった。下北沢ワインショップと、併設のワインバー・フェアグラウンドは駅から徒歩1分。昼から飲めて、赤白は常時3本ずつ、泡も1本開いていて、甘口ワインは30種類が味わえるそうだ。

このようなプロ向け試飲会に一般枠を設けていただけるのも大変ありがたく、また試飲会で、あるいは下北沢でなんかのどが渇いたな……というタイミングで、ぜひ遊びに行きたい場所となったのだった。

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