ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワイン歴2年のワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

フリードリッヒ・ベッカー「プティ・ロゼ」。キツネのラベルのおいしいロゼを飲んで調べたことをまとめてみた。【Friedrich Becker Petit Rose】

ロゼの人気が世界中で高まっていると聞いて

カリフォルニアでパリピになりたいからロゼを飲んだ。なぜロゼを飲むとカリフォルニアでパリピになれるのかは説明が必要だろう。以下に記す。

ロゼは世界的に人気が高まっている。プロヴァンスワイン評議会によれば、1990年からの2015年までの25年間でロゼ市場は3倍に拡大し、現在フランスで買われるワインの3本に1本がロゼだという。

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ドイツのロゼ、フリードリヒ・ベッカー「プティ・ロゼ」を飲みました。

フランス国外ではなんといってもアメリカでのロゼ人気が高く、2016年にフランスから4000万本が輸出されたうちの43%がアメリカ向け。ウォールストリートジャーナルによれば「(今年)5月2日までの週の売り上げで、アメリカ産ロゼが36.3%、フランス産ロゼが35.5%伸びている」とのことなので、世界がコロナウイルスに覆われた2020年もも衰えるどころかさらに勢いを増していることがわかる。

ロゼとドイツとハリウッドセレブ

日々のニュースを見ていても、ブラッド・ピットアンジェリーナ・ジョリー元夫婦、キャメロン・ディアスサラ・ジェシカ・パーカーら、ロゼワインを手がけるハリウッドスターたちはどんどん増えている印象だ。いわずもがな、ハリウッドは米カリフォルニア州にある。

中間の論理を省略していうと、つまりカリフォルニアでパリピになろうと思ったらロゼを飲むしかないわけだ。カリフォルニアではプールサイドでピンクワインのグラスを片手にズンドドズンドドEDMかなんか流しながらインスタグラミングしているわけですよきっと。どうやら私の今の人生はカリフォルニアでパリピになりそうもない世界線っぽいのだが、しかしいつでもカリフォルニアでパリピになるという気構えは見せておきたい。そのためにはロゼだ。

というわけで先日ワインショップ「葡萄畑ココス」の“中の人”とツイッターのDMでやりとりをさせていただいた折に、「2000円台ロゼでオススメありますか?」と質問を投げかけてみた。それに対し、「毎ヴィンテージ飲んでいる」オススメのワインとしてご教示いただいたのが今回飲んだフリードリッヒ・ベッカーのプティ・ロゼ。ドイツのワインなので、ハリウッド(パリピ)からはだいぶ遠いところにある気がしないでもないが、まずはどんなワインか調べてみた。

ロゼというとプロヴァンス、そしてカリフォルニア、要するに暖かいところというイメージがあったのでドイツと聞いてちょっと意外に感じたのだが、国際ぶどう・ぶどう酒機構(OIV)の資料によれば、2014年時点でドイツはフランス、アメリカに次ぐロゼ消費国で、生産国としてはフランス、アメリカ、スペイン、イタリアに次いで世界5位。ドイツ人ロゼ超飲んでるし超つくってたゴメン。エントシュルディグング。ドイツ語でごめん。

フリードリッヒ・ベッカーとファルツ地方の歴史

さて、「ベッカーオススメ」「買います」というやりとりをした翌日にはすでに私の手元に現物が届いたのでしげしげと眺めてみると、キツネの絵が描かれたラベルがなんとも味があって良い。ブドウを見つめるキツネといえばイソップ童話だが、まさにイソップ童話のキツネがモチーフのようだ。

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手の届かないブドウに「どうせすっぱいに決まってる」と言った、イソップ童話のキツネがモチーフのラベルが素敵。

輸入元であるヘレンベルガー・ホーフのサイトによれば、フリードリッヒ・ベッカーはフランスのアルザス地方と接するファルツ地方の造り手。その畑は独仏国境線上に位置し、30%の畑がドイツ、70%がフランス側にあるのだそうな。故に、EUになる前はパスポートを所持して畑仕事をしていたそう。私の友人がフランス国境を走って何度も往復し、「俺はフランスに20回入国したことがある」と豪語するという仕方のないギャグを披露していたがそのリアルバージョンだ。元気かな、友よ。

フリードリッヒ・ベッカーの父は第二次大戦で荒廃した村の復興を支え、ブドウ栽培農家をまとめ上げて一大協同組合を立ち上げたの大人物。協同組合の主力は貴腐ワイン用の白ブドウだったが、フリードリッヒは大好きなピノ・ノワール、ドイツでいうところのシュペートブルグンダーをつくるために猛反対を押し切って独立。貴腐ブドウを作る生産者からは当初「すっぱくてまずい」というレッテルを貼られながらも後に大成功。手の届かないブドウを見て「どうせすっぱいに違いない」と言ったキツネのラベルはそんな経緯から来ているのだそうだ。気合入ってんなフリードリッヒさん。今はフリードリッヒさんと息子のフリードリッヒ2世で切り盛りしているそうだが、公式サイトのトップにフリードリッヒ3世(赤ちゃん)との3ショット写真が掲載されている。継がせる気満々だなフリードリッヒさん。

フリードリッヒ・ベッカーのプティ・ロゼはどんなワインか

さて、フリードリッヒ・ベッカーのプティ・ロゼは元々自宅で飲む用ワインだったのが人気が出ちゃって売れ筋商品になったというもの。どんなブドウが使われているのか、データシートの文言をGoogle翻訳にかけ、そのまま掲載すると「風化した砂岩と石灰岩の土壌で、ドイツ側とアルザス側の沈黙の周りで育ちました。ブドウの木の年齢は10〜50歳です」とのこと。沈黙の周りで育ったのか。いいな。パリピから遠ざかってきたぞ。

公式サイトのデータシートは2019年のもので、飲んだヴィンテージ(2018)とは異なるが、使用ブドウはドルンフェルダー、ムニエ、ポルトギーザー、ピノ・ノワール。購入元の葡萄畑ココスの商品ページによれば、ピノ・ムニエ 70% 、 ピノ・ノワール 20% 、 ポルトギーザー10%とあるので、年によって異なるようで「毎ヴィンテージ飲む」楽しみがなるほどありそう。

ブドウは手作業で収穫後短時間浸潤後搾汁され、ステレンスタンクで発酵。5ヵ月の熟成後瓶詰めされる(今回原文がドイツ語なので本記事の情報は『たぶん合ってる』レベルです)とのこと。いざ、飲んでみよう。

フリードリッヒ・ベッカー「プティ・ロゼ」を飲んでみた

グラスに注いでみると、うーん、美しい。サーモンピンクとかではなくて、ローズヒップティーみたいな鮮やかな赤っぽいピンク。香りも実に華やか。味わいも素晴らしいですよこれ。いちごとかさくらんぼみたいな子どもが好き系な赤くてかわいい果物の感じ。なんだけど香りも味にも甘さはなくて、あくまでトロッケン。つまり辛口。うーんレッカー(ドイツ語で『おいしい』の意だそうです)! 購入価格は2486円税込で私基準では「高いほう」だけどこの味ならば納得だ。これはぜひ次のヴィンテージも飲みたい。次のヴィンテージを飲むまで生きていたい。

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データシートによれば、「ほのかなフルーツの甘さとフレッシュストーンフルーツ、ローズヒップシトラスラズベリー、イエローフルーツのエレガントなアロマに関連する生き生きとした酸味」とのことでまさにその通りだと思う。データシートに書いてあることに納得がいくワインはおいしい。たまに「え、全然そんな味も香りもしないけど」っていうのありませんか。

カリフォルニアのパリピからはずいぶん遠い地点に来てしまったが、きっとフリードリッヒさん自慢の畑から眼下に広がるアルザス地方を眺め、アルザスとファルツの歴史の来し方行く末に想いを馳せて飲んだらさぞかしうまいだろうなあと思う。やっぱり私は、カリフォルニアでパリピにはなれそうにない。