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ドン・ペリニヨンからモエ・エ・シャンドンに? カルディの「スプリングチャンスBOX」徹底分析【KALDI2022】

カルディの「スプリングチャンスBOX」に異変!?

KALDI COFFEE FARM(以下、カルディ)の人気商品に、ほぼ季節に一度発売されるワインの「チャンスBOX」というものがある。販売価格はほぼ毎回2200円。各店舗60個ずつが割り当てられ、大当たりはドン・ペリニヨンが定番として用意されていた。

私はこれを買うのを習慣としており、いつかドンペリが当たる日を楽しみにしていたのだが、2022年4月1日に発売された「スプリングチャンスBOX」から大きな変化が起きた。

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売り場の様子。ドンペリどこいった!?

カルディのチャンスBOXといえば「ドンペリが当たる!」が売り文句だったが、今回は「グレートヴィンテージワインが当たる!」というなんとも微妙言い方に変化。大当たりがドンペリじゃなくなっているだと……!?

ドンペリが1本で担っていた「大当たり枠」は3枠に拡張され、「ファミリア・コタレッラ オグラ2016」「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ2013」「モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ2013」の1万円前後のワイン3種となっている。

 

カルディのスプリングチャンスBOXとドンペリの価格高騰

一体なにが起きたのだろうか。本当の理由は知るよしもないがドンペリの価格高騰はその背景にありそうだ。

Twitterの過去ログなどを調べると、2020年にドンペリ2008の正規品が1万7600円で売られていたという記録がある。しかし、2022年4月6日現在の楽天での同ヴィンテージの売価は3万円〜といった感じ。短期間で価格がめちゃくちゃ高騰しているのがわかる。

一方で、カルディのチャンスBOXの賞品一覧に記載されていたドンペリの価格は、このブログに記録が残る2020年6月の「ワインチャンスBOX」から2022年1月の「ワイン福BOX」に至るまで通常価格 1万9634円と変化なし。

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左が2020年6月、右が2022年1月の「チャンスBOX」の賞品一覧。ドンペリの通常価格に変化は見られない。

現在2万円を切る価格でドンペリニヨンを売っている通販サイトは、ヴィンテージに関わりなく見当たらない。調達原価は確実に上がっていると思う。

カルディは国内に474店舗があり、そのうちの何店舗でスプリングチャンスBOXが売られるかは定かではないが、仮に全店舗で実施されていて、仮に調達顎が5000円増(数字は適当)だとしたらカルディ側の負担増は約236万円。

各店舗60個が割り当てられるスプリングチャンスBOXが全店舗で完売したと仮定した場合の売り上げは税抜き2000円×60本×474店舗なので5688万円。利益率ももちろん不明だが、“全店舗完売”という空想ベースで考えても236万円利益が減るのは相当キツい。この2年での価格高騰を考えれば、ドンペリ断念やむなし感はすごくよくわかる。悲しいけど、これって資本主義社会なのよねである。

 

カルディのスプリングチャンスBOXのお得度は下がった? 上がった?

では、我々買い手側にとって、今回のドンペリ→グレートヴィンテージワインへの変化はどのような影響があるのだろうか。改めて当選商品を見ていこう。

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スプリングチャンスBOXの賞品一覧。画像はカルディの公式サイトより。

【1本】ファミリア・コタレッラ オグラ2016 1万2000円
【1本】モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ ロゼ2013 1万700円
【2本】モエ・エ・シャンドン グラン ヴィンテージ 2013 9400円
【6本】アストリア カリブロ 5000円
【3本】カーサ・サントス・リマ クイド・プロ・クオ レゼルバ 4000円
【5本】ヴィーニャ・サン・エステバン プライベートコレクションブレンド 4000円
【2本】ファレスコ RC2サグランティーノ・ディ・モンテファルコ 3200円
【1本】スターリング・ヴィンヤーズ ナパ・バレー シャルドネ 3000円
【6本】イカルディ バフォイ ビアンコ 3000円
【6本】ペレ・ベントゥーラ トレゾール・キュヴェ・バリック グランレセルバ 3000円
【8本】カステッロ・ディ・ガビアーノ ルビーノ・ディ・カンタヴェンナ 3000円
【9本】ソーン・クラーク イーデン・ヴァレーNVブリュット 3000円
【10本】ブリガルダーラ ヴァルポリチェッラ スーペリオーレ 3000円

以上60本、総額は21万1900円。平均価格に均すと3531円となる。これを、買い逃した2021年10月のBOXを除く過去に購入したワインチャンスBOX群の平均価格と比較してみよう。

2022年4月 3531円
2022年1月 4136円
2021年12月 3447円
2021年7月 3639円
2021年4月 3900円
2021年1月 4167円
2020年12月 3993円
2020年6月 3388円

賞品総額に高額傾向のある正月のワイン福BOXを除けばだいたいいつも通り。ドンペリがなくなったからといって、当選ワインの総額が落ち込んだりしているわけではない。つまり、お得度は変化していないと言える。おっ、カルディいいぞ。

考えようによっては大当たり枠が1から4つに増えて当たりやすくなったので人によっては好ましい変化と感じるまである。私はといえばあくまでドンペリ狙いを標榜していたので残念で、今後は同じくドンペリが当たるくじを実施しているイオンリカー成城石井といったショップのワインくじを毎回買うことになりそうだ。

 

ところでスプリングチャンスBOXで当たる「グレートヴィンテージワイン」とは?

ちなみに、ワインにあまり興味のない方向けに書くと「グレートヴィンテージ」とは天候に恵まれて質の良いブドウが収穫できた年みたいなことを表す言葉。暑すぎたり寒すぎたり雨が降りすぎたりせずに、ブドウがすくすく健康に育った年、みたいなことで当然ながらワインの質に直結する。

himawine.hatenablog.com

なので、グレートヴィンテージのワインは他の年に収穫されたブドウで造られたワインに比べて珍重され、値段が高くなったりする。なかには良い年にしか造られないワイン、なんていうものもあるくらいなのだ。たとえばドンペリね。そもそもドンペリこそがグレートヴィンテージワインなんじゃないか……とそれは言わないお約束というものだろう。
ヒマ「かつてはカルディのワインくじでドンペリが当たったんじゃ……」
孫「おじいちゃんまたその話〜? うぜ〜
みたいになりそう。いつか。

 

カルディのスプリングチャンスBOXの当たりワイン「オグラ2016」「モエ・エ・シャンドン グランヴィンテージ2013」はどんなワイン?

さて、今回用意された「グレートヴィンテージワイン」のうち、もっとも価格が高いのは「ファミリア・コタレッラ オグラ2016」で1万2000円。ファミリア・コタレッラはカルディが運営する北海道のキャメルファームワイナリーの設立にも深く関わった醸造家、リカルド・コタレッラのワイナリー。ヴィンテージチャートを見ると詳細は省くが2016年のイタリアはたしかにむちゃくちゃいい年だったみたい。

このワインはといえば2013年のファーストヴィンテージにワインアドヴォケイト97点をとっているというシラー。普通にとってもおいしそう、というワインだ。

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果たして中にはなにが……?

モエ・エ・シャンドンのグラン ヴィンテージとそのロゼは、シャルドネにとってとくに良い年だったという2013年のブドウを使い、7年の長期熟成を経てリリースされたというシャンパーニュ。これはふつうにとってもおいしそう。私的にはこのいずれかが当たったらハッピーだ。

再度賞品リストを確認すると、「オグラ」は1本、モエのロゼが1本、白が2本。“グレートヴィンテージワイン”は60本のうち4本ということで、当たる確率は6.6%。他方、参考上代3000円のいわゆる末等は60本のなかに40本入っており、確率66.6%となっている。

モエが出れば勝ち、末等が出れば負け。中間ならば痛み分けというシンプルなゲームだ。私はこのブログを通じて「ドンペリを当てるためのメソッド」を研究してきた(ただし一度も当たったことはない)が、それも今回は使い道がない。いくつか持ってみて、なんとな〜く重そうなやつを買う、という成功体験がひとつもない手法でもってひとつを選んで自宅に連れ帰り、開封してみることとした。

himawine.hatenablog.com

 

モエは当たった? カルディの「スプリングチャンスBOX」開けてみた

カルディのチャンスBOXは箱を開けるとむき出しの状態でワインが1本封入されている仕様。なので、箱を開けた瞬間に勝敗は決する。スパークリングワインはコルクがミュズレと呼ばれる金属製のワイヤーで固定されており、それはキャップシールの外側からでもわかるからだ。

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瞬き厳禁。カルディのスプリングチャンスBOX、勝負は一瞬だ。

スパークリングワインかつピンクまたは金色のキャップシールであればそれがモエだ。グレートヴィンテージシャンパーニュ、ぜひ味わいたいっ! 出でよっ、モエ!

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あっ! ダメだこれ! この素っ気なさ全開の「私は高級品ではありませんよ」と逆に主張してる感じのキャップシール! これは……やっぱり末等! ですよね! なんとなく当選確率がアップした分だけ末等のダメージが! デカい!

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にょろ〜

というわけで今回も粛々と末等だった。カステッロ・ディ・ガビアーノはイタリア・ピエモンテの生産者で、「ルビーノ・ディ・カンタヴェンナ」はなんと同社単独所有のDOCなのだそうだ。単独所有の原産地呼称という意味ではロマネ・コンティと同じなんですよ概念としては。ピエモンテ勉強中だしむしろこれは当たりなんですよ。そうなんですよ。ぼくがそう思えばそうなんですよ泣いてない。

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バルベーラ主体の普通においしいワインでした(もう飲んだ)

というわけで私の当選結果はともかく、カルディのチャンスBOXには「脱ドンペリ」という見逃せない変化が起きたが、全体のお得度に大きな変化はないという結果となった。例年通りであれば7月に発売されるはずの「サマーチャンスBOX」ではドンペリはどうなっているのか? 引き続きウォッチしていきたい。

ベルエポック当てにいこうかな……

あるいはシャンベルタンクロドべーズ……

あとドンペリ絶対値上がりするんだから買っとくのが正解なのかも……