ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワイン歴2年のワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

「いいワイン」ってなんだろう? じっくり考えてみた

「Nagiさんと、ワインについてかんがえる。」で話したこと

お友だちで醸造家のNagiさんとYouTubeチャンネルを立ち上げた。「Nagiさんと、ワインについてかんがえる。」というもので、ワイン造りのプロであるNagiさんに、素人である私が素人質問をぶつけまくる様子を楽しんでいただく、といった趣旨のチャンネルだ。

ぜひチャンネル登録してください↓

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その第1回のYouTubeLiveを先日行った。テーマは「畑、栽培、醸造。知っておきたいワインの基本」というもの。とても面白かったので、その感想をまとめておきたい。

 

いいワインって、なんだろう。

今回のYouTubeLiveでは、「いいワインとはなにか?」という問いを冒頭に発した。私の答えは「なるべく安くておいしいワイン」で、もっと突き詰めれば「おいしいワイン」だけでもOKだ。なのでまずは「いいワイン≒おいしいワイン(仮)」という仮説を立ててみよう。

himawine.hatenablog.com

我々消費者は、当たり前だがワインを造ったことがない。そのため無意識に「このワインがおいしいのは、きっとXXXXが理由であるに違いない」という妄想を脳内で行いがちだ。

オーガニック栽培のブドウだから、
野生酵母で発酵させたから、
いい区画のブドウを使っているから、
良いヴィンテージだから、
長期間樽で熟成させたから、
おいしい。
ついそんなふうに考えがち。実際、インターネットでワインを購入しようと思ったら、販売ページには上記のような文言が太字で赤字で書き立てられている。それは真実だろうか?

 

醸造家の仕事」って?

Nagiさんは上に挙げたような要素ひとついひとつを否定することはもちろんない。ただ、それらはどれも数ある要素のうちのひとつ。ワインの味を決定づける“たったひとつの要素”はなく、畑、栽培、醸造、それらひとつひとつの要素が複雑に絡み合い、ワインはひとつの味わいを獲得していく。無数の変数のカオス的交わりの果てにワインは生まれてくるのだ。考えてみればそりゃそうだ。

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自然そのままの土地にブドウを生えるままにし、収穫したブドウを容器に入れて放置するだけでもワインはもしかしたらできちゃうかもしれないが、結果できるものの味わいは誰にも予想できないものになるだろう。そして、その状態で毎年同じような品質のワインを安定的に供給するのは難しいかもしれない。

「いいワイン」とは?

予測不能に思える要素を予測し、コントロール不能に思えることをできる限りコントロールし、求められている味を実現するために必要な糖度や酸を持つブドウを収穫し、つねに安定した「おいしい」を供給することが、ちょっぴり主語が大きすぎるかも知れないが、どうやら醸造家の仕事であるようだ。

造るのが1000円の定番品なら1000円の定番品に求められる味わいのなかで品質が高いもの。1万円の高級キュヴェならその価格に見合った品質のものが「いいワイン」ということになる。「最高の区画の畑で徹底した収量制限を行い、新樽で長く熟成させたワイン……=いいワイン」といったほうに、特定の畑、特定の栽培方法、特定の醸造方法あるいはそれらの掛け合わせを、「=いいワイン」と単純に等号で結ぶことはできないのだ。

 

「おいしいワイン」の正体

たとえばNagiさんがいるドイツでは、最高級のリースリングはステンレスタンクで熟成させるケースも多くあるそうだ。栽培においては収量制限をして凝縮度を高めることがワインに求められるスタイルにとってマイナスに働くこともあるし、畑において最良の区画は気候変動の影響でブドウが過熟しやすい土地になってしまっているケースもあるという。そうでなくとも、濃厚で凝縮感の高いワインが好きな人もいれば、酸の多いワインを好む人もいる。

最高級のステーキ肉でも焦がせばおいしくない。それは論外としても、レアが好きな人に芯まで良く焼けたステーキを供しても、それはそれで喜んでもらえない。財布に1000円札一枚しか入っていない客しか来ないのであれば、切り落とし肉をなんとかおいしく調理せねばなるまい。霜降り肉が好きな人もいれば、赤身が好きな人もいる。「いいステーキってなんだろう」に答えはあるが、その答えは人によって違う。

YouTubeの動画はこのサムネが目印です。

結局、「いいワイン≒おいしいワイン(仮)」という仮説は正しかったのだろうか。おそらくイエスだが解像度が低い。ぼくたち私たちはもっとワガママを言うべきなのだ。「3000円以内で買えて、果実味があって、酸味もあって、アルコール度数は12〜13.5度くらいで香りの良い赤ワイン」とかがおそらく私にとって「いいワイン」。それはこれを読んでくれているあなたの「いいワイン」とはおそらく違う。100人いたら100人の細かすぎる「おいしい」があり、「おいしい」と「いいワイン」が等号で結ばれるとき、いいワインの数は人の数だけ存在することになる。

つまりいいワイン≒おいしいワインなのだがその数は無限であるため、たったひとつの「いいワイン」を定義することはできない。する意味がない。ここまでを理解してはじめて、土地、栽培、醸造の話になってくる。

上に挙げた私の好みのワインは、太陽が燦々と降り注ぎ気温も高い土地ではかなり造りにくいはずだ。人の数だけ好みがあり、その大まかな傾向から濃い、薄い、甘い、酸っぱいといったワインのスタイルは生じる。それぞれのワインのスタイルにはそれを生み出すのに適した土地があり、適した栽培があり、適した醸造がある……みたいな話を、40分の予定が70分くらいになってしまったYouTubeLiveでは話したような気がする。

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以上は私・ヒマワインの解釈なので、Nagiさんがこの駄文を読まれたならば苦笑いで「ちょっと違うんだよなぁ」と言うだろう。Nagiさんの意見と上に述べた私の考えはまったくもって等号で結ばれないことはご留意いただきたいし、細かいところはアーカイブが残っているので、そちらをぜひご覧になっていただきたい。もっと具体的で面白い話がたくさん聞けるはず。

そして、次回のYouTubeLiveも、ぜひご覧いただけたら幸甚だ。