ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

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この甘口ワインがすごい! ラングマン「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ」を飲んでみた。【Langmann】

ラングマン ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼを買ってみた

大変においしい甘口ワインを飲んだ。オーストリアの生産者、ラングマンのゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼで、昨年に試飲会で飲んであまりのおいしさに衝撃を受けて自宅に連れ帰った1本。

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さて、公式サイトによればラングマンは「ヴェストシュタイヤーマルクの真ん中にある、絵のように美しい丘陵地」にあるのだという。オーストリアの地理はまったくわからないのでグーグルで調べてみると、ドイツの東に位置するオーストリアの南部、スロベニアとの国境に近いエリアのようだ。温暖で雨量も多く、日本に似た気候なんだそうな。

ラングマンとブラウアー・ヴィルトバッハーとシルヒャー

でもってこの土地の特産品がブラウアー・ヴィルトバッハーというブドウ品種。ブラウアー・ヴィルトバッハーはブラウワー・ポルトギーザーとブラウフレンキッシュの交配による新種で、ブラウワー・ポルトギーザーはブラウアー・ツィメート・トラウベとシルヴァーナーの交配によって生まれたって待て待て。聖書か。あるいはギリシア神話か。わかんないですそんないっぺんに言われても。

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ラングマン「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ2017」を飲みました。

ともかくブラウアー・ヴィルトバッハーは霜に強く、病気に耐性があり、ベリー類のアルマが顕著で色が濃く、タンニン豊富なワインになるとオーストリアワインドットコムにある。そして、ラングマンのあるヴェストシュタイヤーマルクではこのワインを原料に「シルヒャー」というロゼワインが造られるのだそうだ。

シルヒャーってなんだろう、と、検索クエリにカタカナで「シルヒャー」と入力すると、トップにラングマンの輸入元であるヘレンベルガー・ホーフの「シルヒャーを知るひゃー」という気合の入ったタイトルのページがヒットした。「知るひゃー」って。ともあれ、シルヒャーが「世界一すっぱいロゼワイン」と言われていることを知るひゃーすることができた。

極甘口ワインをきっかけに興味を持って調べた生産者が実はすっぱいロゼの名人だったっていうのがすごく面白い。ストレートだけで押さえ込まれた相手チームのエースの決め球が実はスライダーだと知って衝撃を受けるっていう野球漫画でよくある展開的な衝撃を受けた。シルヒャーもいずれ飲むひゃーしなくてはならない。

 

ラングマン「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ」はどんなワインか

話をゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼに戻すと、このワインのヴィンテージは2017。この年のオーストリアは大変暑く、オーストリア全体では過去5年間の平均収穫量の25%増しの収穫が行われたのだそうだ。例外的な気候となった結果「今までで最高のデザートワイン」だと生産者が豪語するワインとなったのだそうだ。ワインが熟しまくったみたいで、それがすべてのワインに対していいのかはわからないけれどもこの甘口ワインにとっては良かったようだ。良かった。少し前に話題になった書籍『ファクトフルネス』は、世界は印象とは裏腹に一貫して良くなっていると論じつつ、数少ない深刻な危惧のひとつとして地球温暖化を挙げていた。私も同感だが地球温暖化によってワインがおいしくなる場合もあるから困る。

さて、ワインは375ml入りで、アルコール度数は8.5度、残糖は173グラム/リットル、酸は11.5グラム/リットル。って数値を言われても私にはわからないので去年飲んでおいしかったコノスルの「コセチャ ノーブレ レイト・リースリング」やステレンラストの「シュナン・ド・ミュスカ ノーブルレイトハーベスト」といった甘口ワインと比較してみたい。

ラングマン 8.5度/残糖173g/酸11.5g
コノスル 11.7度/残糖75g/酸8.1g
ステレンラスト 10.9度/残糖121.2g/酸8.3g

アルコール度数が低く、その分(と言っていいのだろうか)残糖が高く、酸も高い。以上を踏まえて、いざ飲んでみるとしよう。

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ラングマン「ゲヴュルツトラミナー ベーレンアウスレーゼ」を飲んでみた!

一度試飲会で飲んでいるのでおいしいのはわかっているのだが、以上のような情報を頭に入れて飲むとやはり一味違う。突っ込んだことはないけれどもミツバチの巣穴に顔面ごと突っ込んだみたいなとろけるような甘さ。『塔の上にラプンツェル』で病気の妃を救うために王が飲ませる太陽の滴の力を宿した花のエキスってこのワインの味なんじゃないかっていう華やか&高貴テイストがする。

もちろん甘いだけではない。なんつーかですね、昭和舌の私が感じたことをそのまま書くならば梅干しっぽさがあるんですよ最後。饅頭の頭頂部に桜の酢漬けが配されている的に、このすっぱみがすごくいい味出してる。甘ずっぱいではなくて、甘いとすっぱいが混ざらず共存している二世帯住宅状態。ハチミツ梅が甘味とすっぱみでほぼ無限に後を引くみたいに、このワインもスルスル飲めちゃって危ないですよこれは。あまりお酒を飲まない女性が男性との初デートでこのワインをドンと出されたらお前はなにをする気なんだよと警戒すべきレベル。酔っちゃう。無論、酔っちゃったほうが判断としてベターな局面ならば迷わずトロっとろになるまでゴーである。

日本での定価は4000円とちとお高めだが、試す価値はあると思う。私は最近食後のデザートワインがすっかり新しい生活習慣となってしまったが、その原因のひとつがこのワイン。また飲むひゃーしたいっす。

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