ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ローレ デシャルム ブリュット。ビックカメラで1980円のシャンパーニュを飲んでみた。【Laure d'Echarmes】

ビックカメラで安売りされていたシャンパーニュを買ってみた

シャンパーニュシャンパーニュというだけでおいしい。名著「ワイン一年生」にも 「質の悪いシャンパンとか、炭酸の弱いシャンパンというものはこの世に存在しません」と書いてあるので間違いない。ノー・ウーマン・ノー・クライとボブ・マーレイは歌ったが、ノー・シャンパーニュ・ノー・マズいとも歌った(歌ってない)。すべてのシャンパーニュはおいしい。程度の差はあれど。

f:id:ichibanboshimomojiro:20201014183725j:plain

ビックカメラ(ビック酒販)に鎮座する安ワインのみなさん。左が今回飲んだローレ デシャルム ブリュット

そんなおいしいシャンパーニュも問題を抱えていないわけではない。価格だ。シャンパーニュは高い。ウニやイクラが高いように。おいしいものは大概高い。悲しいけどこれって資本主義社会なのよねとしか言いようがない。であるがゆえに、いつでも探しているよ、どっかに安シャンパーニュが売っているのを〜と山崎まさよしみたいな体で探しまわっていたら見つけた。ビックカメラで。それが今回飲んだローレ デ シャルム ブリュットである。お値段驚異の1980円。安シャンパーニュ界隈の重鎮、ポワルヴェール・ジャックより190円安い、限界突破の1000円台である。それにしてもなんだってこんなに安いのだろうか。早速ワインについて調べていこう。

ローレ デ シャルム ブリュットの生産者はシャンパーニュ・グルエ

ビックカメラ店頭のポップには「フランスの有名ワインガイド『ギッド・アシェット』に毎年掲載される生産者が造るピノ・ノワールの旨みが感じられるハイスコスパシャンパン」と書いてある。

調べると、生産者はシャンパーニュ・グルエ。ギッド・アシェットのサイトに生産者名を入れてみると、なるほどその名はたしかに掲載されている。しかし、Laure d'Echarmesの名前は見つけられなかった。「毎年掲載される生産者(ただしワインが掲載されてるとは言ってない)」ということですね。あるある。

f:id:ichibanboshimomojiro:20201014181835j:plain

シャンパーニュ「ローレ デシャルム ブリュット」を飲みました。

じゃあ生産者のグルエってどんな人たちなんだろうとこれまた調べるとコート・デ ・バールで1670年から続く家系で、1975年に生産者に転じたという生産者のようだ。しかし、その公式サイトにもローレ デシャルムの名前は記載なし。京橋ワインのローレ デシャルムの商品ページを見ると「ピノ・ノワール主体」と書いてあり、そういえばビックカメラ店頭のポップにも「ピノ・ノワールの旨みが感じられる」と書いてあった。

シャンパーニュ・グルエのラインナップの中に似たワインを探すと、スタンダードキュヴェの「ブリュット・セレクション」が11〜15ユーロの安価なレンジのようで、かつピノ・ノワール主体であるようだ。調べるとこのブリュット・セレクションは日本でも2000円台前半で買える。“状況証拠”しかないが、なんとなくこのシャンパーニュ・グルエ ブリュット・セレクション≒ローレ デシャルムな気がしなくもない。加山雄三弾厚作名義で書いた曲といえば『サライ』ですよね的な別名義感、A.K.A(アズ・ノウン・アズ)感がある。いずれせよ輸入元の東栄貿易のサイトにも記載なし。このインターネットの時代にどこにも情報がない、彷徨(さまよ)えるシャンパーニュ、それがローレ デシャルム ブリュットである。

最後に、せめてどんなところで造られているのかの雰囲気を探るべく、シャンパーニュ・グルエをGoogleストリートビューで見てみよう。

f:id:ichibanboshimomojiro:20201014181328p:plain

シャンパーニュ・グルエのご様子。背後の丘は一面のブドウ畑。イイトコロダナー(写真はGoogleストリートビューのキャプチャ)

看板も小さいこじんまりとした建物だが、その背後の傾斜地にはブドウ畑が連綿とつながっている。うーん、いい風景。いいところだなあ。今回調査がいまいち芯を喰わなかった感なきにしもあらずだけど、と、一旦心をシャンパーニュ地方に飛ばしたところでいざ抜栓だ。1000円台シャンパーニュの実力やいかに。

ローレ デ シャルム ブリュットを飲んでみた

実際にグラスに注いでみると、うーん、いい色ですね。シャンパーニュらしい黄金色。飲んでみるとまさにピノ・ノワールならではのコクが……とかは1ミリもわからないけれどもたしかにシャンパーニュの味がする。

するのだが、さすがにもう少し価格帯が上のレンジのものと比べると、やや泡に大粒感があるような感じがしなくもない。そして味わいは、鬼おろしでリンゴと大根をまとめておろした汁、みたいな、酸味と少しの苦味がある。おいしいんだけど、うまい! 最高! ウヒョー! ではない。けれども1000円台で買ったと思えば十分ハッピーである。評価が難しいなこのワイン。ものすごく曖昧な座標にこのワインはいる。ドラフト1位入団の選手が代走で大活躍しているんだけどあれ、この選手に期待したのってそういう役割だったっけ感である。年棒も安いしまあいいんだけどみたいな。

結論めいたことを最後に記すならば、やっぱり安うまシャンパーニュで有名なポワルヴェール・ジャックは偉大だ、ってことになるのかもしれない。ビックカメラにはもう一種、コンテス・ド・グラモン ブリュットという2170円税込のシャンパーニュが売られている。今度はそちらもチェックしてみる所存だ。

himawine.hatenablog.com

グラハム・ベックを飲めばいいんじゃないかという気がしなくもないけど。

himawine.hatenablog.com