ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ソーテルヌ格付け一級。シャトー・ギローがつくるボルドー・ブラン「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」を飲んでみた。【Le G de Chateau Guiraud】

ソーテルヌ一級シャトー・ギローがつくる白ワイン「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」

宮澤賢治の自宅玄関には、不在時に来訪した客に向け「下ノ畑ニ居リマス」と書きおきがあったそうだが最近の私は「近クノやまやニ居リマス」状態。今日も元気にやまやにワインを探しに出かけた。

白ワインを探しに行って、見つけたのがボルドーはソーテルヌの格付け一級シャトー、シャトー・ギローのル・ジェ・ド・シャトー・ギローだ。甘口じゃなくて辛口のボルドー・ブラン。輸入元はやまやとイオン共同出資のコルドンヴェール。

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ル・ジェ・ド・シャトー・ギローを飲みました。

で、意外と安いんですよシャトー・ギロー。ファーストが7000円くらい。以前飲んだことがあるセカンド(プティ・ギロー)が4000円とか。で、この辛口白はやまや価格2420円ですよお手頃。かの特別第一級、シャトー・ディケムの地図で見たところおそらくは徒歩圏内にありながら、思わずギローちゃんと呼びたくなる親しみやすさである。

 

「ル・ジェ・ド・シャトー・ギロー」はどんなワインか

さて、アンダー2500円の価格帯でありながら、ワインの造りは本格的。80%はソーテルヌを造るのと同じ樽で、20%はステレンスタンクで発酵。3週間のマロラクティック発酵後、7カ月間樽のなかで熟成させているという。使うのはソーヴィニヨン・ブランセミヨン50%ずつ。樹齢は平均35年。

シャトー・ギローはすべての畑で有機栽培を行い、2011年には有機認証を取得しているという熱心な生産者。SO2の添加も最小限で補糖も禁止しているそうだが裏ラベルを見ると「ビタミンC」って書いてある。

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ビタミンCってなんのために入れるんだろう?

ビタミンCってたまに見るけどなんで入れるんだっけ、ということでこの機に調べてみることにした。

 

ル・ジェ・ド・シャトー・ギローとビタミンCとアスコルビン酸

座右の書『イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門』によれば、ワイン造りにおけるビタミンCとはアスコルビン酸という物質のこと。

アスコルビン酸には強い抗酸化作用があるが、アスコルビン酸自体が酸化すると過酸化水素を生成し、ワインを琥珀がかった色にしてしまうという欠点もある。それを防ぐためには二酸化硫黄(SO2)が必要であるため、SO2の効果を助ける用途で使われるのだそうだ。

himawine.hatenablog.com

「ワインをフレッシュに仕上げるために使う」という記述もあるから、味わいにも影響があるのかもしれないわかんないけど。私のワインの添加物に対する態度は「おいしくなるなら、好きにやってくれ」。「ブドウだけ」でつくったおいしいワインが私は好きだし、添加物を入れてつくったおいしいワインが私は好きだ。おいしいワインを我は所望す。

甘口ワインで知られるソーテルヌだけになのかどうなのか、ル・ジェ・ド・シャトー・ギローに使われるのはよく熟したブドウなんだそうで、アルコール度数14%と高いこともあって、全体に酸度が低かったりするんですかね。前掲書によればワインの酸度が高いとSO2の添加量も少なくて済むそうなんですよ。まあいいか。考えてもわからないのでもう飲んじゃいましょう。

 

ル・ジェ・ド・シャトー・ギローを飲んでみた

グラスに注いでみると色はかなり薄め。ただ、香りがいいなこれは。美しいな。扉がずっと閉められたままだった部屋みたいな埃っぽさがちょっとあって、それ以外はパイナップルとかグレープフルーツとかの果実の香り。つまり6畳の書斎がどういうわけだか密林化した、みたいな香り。『こち亀』でいうところの日暮巡査の部屋的な感じですねオリンピックイヤー的に言うと。いい香り。

で、飲んでみると香りの印象とはちょっぴり違ってかなりスッキリ。ソーテルヌの白ワインということで、もっと甘かったりふくよかな感じかと思いきや、スルスル飲めちゃう危険系の味わい。アルコール度数14%とは思えない飲みやすさ。おいしい。

……と、ここで原稿を閉じようとしたのだが、食卓の上に置いて温度が上がるにつれてどんどんおいしくなってきた。そして、トマトのおひたし&クリームチーズっていう白ワインに合いそうなつまみよりも、ハーブ入りウインナーみたいな赤ワインに合わせようと考えていたつまみにむしろ合う感じになってきた。2000円台ギリ前半でこれはいい。ギローちゃんいいわホント。

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vivinoの評価は3.9でした。納得。

私が飲んだのは2019ヴィンテージで、それでもやっぱりピチピチな印象。少し置くともっとおいしくなりそうな気がするような気がするので、ちょっと年数の経ったヴィンテージ も飲んでみたい! と思った次第でした。

 

飲んだのは2019ヴィンテージ。

a.r10.to

少し熟成したほうがおいしかったりするんですかねこれ。

a.r10.to