リントンパーク 76 シャルドネはどんなワイン?
昨夜は、南アフリカの生産者・リントンパークの「クラス・オブ・76 シャルドネ(リントンパーク76 シャルドネ)」を飲んだ。ワインについて調べようとリントンパークの公式サイトのURLをみると、www.lintonparkwines.co.za/とある。
co.za。いきなりの脱線となるが南アフリカの国名コードってなんでsaじゃなくてzaなんだろうと気になって調べてみると、Zuid-Afrikaというオランダ語由来なのだとか。
なるほどな〜、オランダ語かーと改めてリントンパークの公式サイトをみると、ワイナリーの創立は1699年とある。元禄12年。犬公方a.k.a五代将軍綱吉の治世。
「南アフリカ」のwikiをみると1652年にオランダ東インド会社が喜望峰を中継基地としたことからオランダ系移民が増え、南アフリカの前身的存在のケープ植民地が成立したとある。リントンパークの創設もその時代と重なっている。
オランダワインって聞かないよな〜、と思ってこれまた調べると、中世までは作られていたのが欧州が寒冷期に突入したことで衰退し、近代的ワイン生産は1970年代にようやくスタートしたんだとか。地球が冷えるとワインを作るのをやめて温まるとワインを作る。それがオランダ。冷えてる間はチューリップつくる(このくだり適当に書いてます)。オランダ人、出島でワイン作ってなかったんですかね。
いずれにしても、地球規模の気候変動とか、東インド会社とか、植民地政策とか戦争とか負の歴史も含めた人類と地球の活動によってワインって世界中に伝播していったんだなーということが歴史から学べて面白い。日本へのワイン伝来は1549年、フランシスコ・ザビエルによってもたらされたそうです。イゴヨク飲まれる赤ワイン、と覚えてくださいリントンパークの話だった。
「76」に秘められた深い意味
歴史あるワイナリーでつくられたクラスオブ 76だが、公式サイトには記載なし。class of ’76 winesっていう公式っぽいツイッターアカウントも発見したが2014年3月に開設して8ツイートだけして終わりっていう企業におけるSNS運用のなんたるかを深く考えさせられる放置具合。
class of ‘76っていうイギリスのクライムサスペンスドラマもあるみたいだけどそちらとの関連もなさそう。なんなんでしょうクラスオブ76。76年世代、みたいな意味だと思うけど。ワイナリーの現当主が76年生まれとかそんなんでしょうか。
と、裏ラベルを見ると、そこにはこんな一文があった。
「1976年6月16日のクラスに乾杯を。このボトルのすべてのブドウは、あなたがたの勇気と強さから生まれた夢を代表している」
1976年6月16日、アパルトヘイト下の南アで、白人の言語とみなされていたアフリカーンス語を黒人にも強制することに反対して黒人学生たちがデモを決行。そこに警察が催涙ガスを用いるなどして鎮圧を図ったことで暴動に発展し、黒人学生500人が死亡する大惨事が起きた。その後「多くの黒人の市民がアパルトヘイトの現実に目覚め抵抗を始めた」とwikipediaにはあり、南アでは6月16日は現在国民の祝日となっているそうだ。これは気を引き締めて飲まねばならない。飲むのは正しく歴史だ。
ちなみに輸入元のマスダの商品ページによれば、標高500メートルの畑で栽培されたブドウをステンレスタンクで発酵後、新樽のフレンチオークで1週間発酵。その後新樽と2年目のフレンチオーク樽で12カ月熟成するとのこと。おし、いざ飲んでみよう。
リントンパーク76シャルドネ飲んでみると……これはうまい!
さて、開栓してグラスに注いでみるとこれが非常に濃くていい色。旬真っ盛りの蜜たっぷりのリンゴの蜜の色。
それで、飲んでみるとこれが味もまた蜜。子どもの頃、友人と街路樹のつつじの花をつまんで、その蜜をチュウチュウ吸うという、令和の今から振り返ってみると昭和すぎる蛮行がこの季節の楽しみだったのだがそのとき吸ったツツジの花の蜜の味がする。朝露に蜜を垂らしたような味。うーん、ミッツィー(ジューシーとかジャミー的な意味で)。
もちろんフレンチオークで熟成ってだけあって樽は効いてる。蜜のパイ包み、みたいな感じする。うーん、いいなこれ。実においしいな。買い値1584円は信じられない。強いていえばテースティすぎるというか、味わいの濃さとミッツィー具合で合わせる食事は多少選ぶかもしれないけれども。
私はモッツァレラチーズとバジルとキウイにバルサミコとオーリブオイルをぶっかけるっていうオシャレ料理と合わせましたがそれはなんだかすごく合いました。モッツァレラチーズとバジルとキウイにバルサミコとオーリブオイルをぶっかけるやつ、非常においしいのでオススメであります。
南アフリカワインはうまいうまいとよく聞くけれどもこの金額でこんなおいしいワインが飲めるのであればなるほど納得だ。南アフリカのワイン、これからもっと飲まなければならないな、南アフリカのことももっと知らなくちゃなと思った初夏の夜でした。
クラスオブ76に乾杯を。