そもそもシャンパーニュデーってなんだろう?
10月23日がシャンパーニュデーだというので、ツイッター上でこんなアンケートを実施してみた。
今日はシャンパーニュデーなのか! なに飲もうかな。選べないのでみなさん決めていただけないでしょうか……?
— ヒマワイン (@hima_wine) 2020年10月23日
※選択肢は先月のセールで買ったスタンダードシャンパーニュのみなさん#CHAMPAGNEDAY
54票の投票をいただいた結果、シャンパーニュデーの本日飲むのは「ルイ ロデレール ブリュット プルミエ」となりました! 選んでもらうの楽しいな。投票いただいた皆様、ありがとうございました! https://t.co/EGKSyJpRPy
— ヒマワイン (@hima_wine) 2020年10月23日
結果、ルイ・ロデレール ブリュット プルミエが最多得票となったのでその夜おいしくいただいたあとで思った。よくわからずに乗っかってしまったが、そもそもシャンパーニュデーってなんだよ、と。
背景をロクに調べずに乗っかるのはあまりいい方法ではない。学生時代無料で英語を教えてくれるというので通った近所の教会で後にかなり熱心に入信を勧誘されて断るのに難儀した、ということがそういえばあった。怪しい宗派ではなかったのだが、英語教室を通じて仲良くなった上で勧誘されたものを断るのは気まずさの点でハードモード。当時ハタチ、のらりくらいとかわす、みたいなスキルはなかった。若かった。何の話だっけ。シャンパーニュデーの話だった。
さてこのシャンパーニュデー、今年2020年で11回目だったのだそうで、まだ歴史は浅い。調べたところによると起源は2009年。アメリカのクリス・オゲンファスなる人物が呼びかけたバーチャルイベント。この人物はアメリカのワインマーケターで、D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の専門家なんだそうだ。専門家が自分で成功事例つくるっていうすごい例ですねこれ。バレンタインデーとか恵方巻の延長線上にシャンパーニュデーはあるようだ。
なぜ10月23日なのかまで調べたかったのだが調べきれなかったが、ボカロ曲で「シャンパーニュ・デイ」というのが見つかったのでそれをご紹介しておきます。シャンパーニュ・デイにシャンパーニュ・デイを聴きながらシャンパーニュを飲みたかったが、来年の楽しみにとっておく。
https://www.youtube.com/watch?v=VvQuWFPKsa8
ルイ・ロデレール ブリュット プルミエの造り手、ルイ・ロデレールとは?
ともあれ私は10月23日にシャンパーニュ 、ルイ・ロデレール ブリュット プルミエを飲んだ。ルイ・ロデレールのシャンパーニュは今年の夏にエノテカ・ミレでクリスタルを試飲しており、これが超絶おいしくて今もその味の記憶が口腔内に物理的に残っているレベル。そのスタンダードキュヴェであるブリュット プルミエもいつ飲もうかなと楽しみにしていたのであった。
改めてシャンパーニュのことを勉強すると、シャンパーニュのグラン・クリュとはメーカーと農家が収穫期にブドウの買い取り価格を決める際、買い取り価格の基準となる村のこと。それに対して買い取り価格90〜99%の村のことをプルミエ・クリュと呼ぶんだそうな。今ではその村ごとの公定価格制度は廃止されているそうだが、17のグラン・クリュ、44のプルミエ・クリュといった呼称は残っている。昨今のプロ野球ではドラフト1位選手には契約金1億円、出来高5000万円、年棒1500万円を提示するのが相場になっているがそれにどこか似てますねこれ。グランクリュはドラ1、プルミエクリュがドラ2。
でもってルイ・ロデレールはネゴシアン・マニピュラン最大の214ヘクタールの自社畑を所有し、格付け95〜100%の、つまりドラ1ブドウ、ドラ2ブドウだけで生産量の約2/3をまかなっているんだという。そりゃ強いわ。
さらに、40の異なるクリュから仕立てられた2〜6年もののリザーブワインを150樽ほど所有。ブリュット・プルミエには90%もリザーブワインが使われていて、デゴルジュマン時に添加する「門出のリキュール」も木製の大樽で最低5年熟成したものを使うんだそうで、門出のリキュールを長期熟成させる唯一のメゾンなんだそうだ。すげえな、ロデレール。飲む前からおいしいわ。ロシア皇帝が毒殺を恐れて云々みたいな話(いろんなところで書かれまくってるので割愛)を引き出すまでもなく、ワイン自体のストーリーに隙がない。ブリュット・プルミエの使用ブドウはシャルドネ40%、ピノ・ノワール40%、ムニエ20%とのこと。オーク樽で造られた後3年熟成、瓶詰め後さらに6カ月の熟成を経て出荷されるそうだ。
【2020年10月25日追記】
ツイッターでご教示いただいたのだが、門出のリキュールはクリスタルのリザーブワインを使用、また、同じ畑の樹齢25年以下のブドウをブリュット プルミエ、25年以上のものをクリスタルに使うのだそうだ。また、ラベル裏の製造番号を公式サイトに入力すると、ボトル個体の製造年、瓶詰め年、デゴルジュマン年がわかる。これはすごいな。毎年ブレンドは微妙に異なるはずなので、ブリュットプルミエ自体にはヴィンテージ表記がないものの、年による微妙な違いがこれによって認識できる、かもしれない。
ルイ・ロデレール ブリュット プルミエを飲んでみた
さて、そんなこんなで2020年10月23日、スポンと開栓して飲んでみた。前述したようにクリスタルの味の記憶がまだ鮮明にあるため、クリスタルに比べると微妙、みたいになっちゃうとすごくもったいないなと思ったのだが杞憂だった。余裕だった。むっちゃくちゃおいしかったですなんだこりゃ。
クリスタルとの共通点はすごくハッキリした酸味。レモンとかライムとかそれこそ酢とか、「すっぱい」と聞いて思い浮かぶ梅干し以外の要素が普通にあるのにもかかわらず、形容詞としてはその対極にあるはずの馥郁、みたいなワードも同時に出てきて、すっぱまったり、みたいな矛盾した感想がグラスの底から立ち上る泡と同時に脳裏に弾ける。スリムなのにグラマラスなグラビアアイドルとか、やせてるのにやけに強い力士とか、腹が出てるのに妙に脚が速いプロ野球選手とか、そういったアンビバレントな魅力がある。学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格したのはルイ・ロデレール ブリュット プルミエを飲みながら勉強したからなんじゃないかっていう気がするレベル。高校生は飲んじゃダメだけど。
2020年10月現在価格が5000円+してしまうのでまったく安くないのが残念だけど、年に一度のシャンパーニュデーをことほぐには非常にふさわしいような感じ。シャンパーニュに24あるグランド・マルクのスタンダードシャンパーニュを制覇するという企画を個人的にやっており、今回のルイ・ロデレール ブリュット プルミエはボランジェ、テタンジェに次ぐ3ボトル目。どれもむちゃくちゃおいしくて、この企画は最高だなあと思っている次第だ。
いやはや、おいしかった。末筆ながら、冒頭に挙げた弊ツイッターでのアンケートにご投票いただいたみなさん、ありがとうございました。
エノテカがタイムセールやってるみたい↓