ミケーレ・キアルロ レ・マードリ ロエロ・アルネイスはどんなワインか?
昨夜はイタリアはピエモンテの白ワイン「ミケーレ・キアルロ レ・マードリ ロエロ・アルネイス」を飲んだ。
このワインはつい先日カルディコーヒーファームで購入した2200円ワインくじで当たったもの。当たったていうか、くじのリストのなかで最安値の参考上代2700円だったので限りなくハズレに近いアタリ、という状況だった1本だ。
ただ、ラベルが非常に良く、このボトルがあるだけで食卓に花を飾ったような効果が得られる。なんすかね、印象派とモダンアートの中間みたいな感じ。セザンヌとかのイメージで、とっても素敵だ。これでおいしかったら儲けものだがさてどうか。
ミケーレ・キアルロとアート
飲む前にワインについてざっと調べると、ラベルの良さからうかがい知れるように、ミケーレ・キアルロはアートにすごく力を入れているワイナリーで、敷地内にはインスタレーション的な野外展示があるようだ。どんな感じか。こんな感じである。
なんですかねこれは。岡本太郎とフリーダ・カーロが居酒屋でホッピー(黒)かなんか飲んで泥酔した帰り道に爆笑しながら作り上げたような造形物であります。神奈川県川崎市の岡本太郎美術館がワイナリーだったらこんな感じだろうか。岡本太郎美術館がワイナリーだったらわたしはその管理人として一生を終える。
ラベルを手がけているのはジャンカルロ・フェラーリというイタリアのアーティストのようだ。ラベルにアーティストを起用するっていうとなんといってもシャトー・ムートン・ロートシルトなんだろうけれども手に入れやすい価格でアーティストのラベルが楽しめるのはうれしい。私はアートが好きでワインも好きであります。どちらも詳しくないけど。
ミケーレ・キアルロとピエモンテ語
さて、ワインの話に戻ると「レ・マードリ」はミケーレ・キアルロが所有する畑のうちロエロDOCG産のブドウで造られたワインのようだ。
2004年にDOCGに格上げされたロエロDOCGにおいて、白と泡は95%以上アルネイスを使用する必要があるみたい。でもって、アルネイスはピエモンテの土着品種なんだとか。
そのアルネイスはピエモンテ語で「いたずら好き・気まぐれ」を意味するブドウ品種で……っていうかちょっと待って、ピエモンテ語とかあるのかよ。
すみません脱線して調べるとピエモンテ語はイタリア語の方言。ただ、単語とかがわりとガッツリ違い、たとえばhomeを意味するイタリア語casaはピエモンテ語では「ca」あるいは「mison」なんだとか。フランス語の「masion(メゾン)」に近いのかな。ピエモンテ州はフランスとの国境の州なのでさもありなん。大阪弁で飴は飴ちゃん、とかってレベルじゃない違いがあるようです。カ・ルガーテという造り手のワインを先日飲んだけどもあの「カ」はピエモンテ語の「ca」なのだろうか。わからないのでワインの話に戻ろうかと思うけれどもランボルギーニ・カウンタック(クンタッシュ)は、女性を見たときのピエモンテ語の感嘆詞に由来するそうですよ。クンタッシュ!
ミケーレ・キアルロ レ・マードリ ロエロ・アルネイスを飲んでみた
さて、ワインは手積み収穫されて15日間の発酵ののち、3カ月間のシュール・リー熟成されたのち、リリースされるとのこと。香りは黄色い果実、桃、トロピカルフルーツ、アカシアの花。だそうです。
適温は10-11度とのことなので冷蔵庫で冷やしたのちに気持ち放置して抜栓して飲んでみるとあらやだうまいじゃないのアナタ。
テクニカルシートに書いてある通りの果物系の香りながら、味わいはぜんぜん甘ったるくなく、むしろなんつーんですかあれは。オシャレなレストランとかで出てくる、水のなかにハーブとか果物とかレモンの皮とかがブチ込まれたアレ。「デトックス・ウォーター」とかってお前それ何語なんだよっていう名称で呼ばれたりするアレ的な味がします。レモンの皮の苦味とか、果実の種のえぐみとか、さわやかな草の香りとかがいい感じにまとまってる。これは私はすごく好きっす。夏に山で岩から染み出した水飲んだら「これ……ワイン!?」ってなったみたいな味がする。閑さや岩にしみ入る白ワイン。
イタリア人の友人と毎年互いに食事を振る舞う、みたいな交流を15年くらい続けていると「お互いすっぱいものが好きだよね」と思うときがある。日本料理でいえば酢の物はもちろん、酢醤油を味付けに使う場合は多いしポン酢もある。一方、イタリア人もイタリア人でレモンが好きだしワインビネガーにバルサミコも使うしアマトリチャーナは酢を入れるし酸味の強いケッパーを用いるブッタネスかなんかもなんならすっぱ味がある。
そういった料理を食べるのに、樽の効いたミッツィーな(蜜蜜しいという意味の造語です)シャルドネとかはそら合わんでしょうな、という気がする。一方で、今回飲んだワインのようなスムーズな味のものは激ハマりしそう。
うーん、うまい。これは当たって良かった。ミケーレ・キアルロはバローロの名手らしいので、いつかバローロも飲んでみたいところであります。