ミシェル・グロ「ブロゴーニュ・コート・ドール 2018」と私
ミシェル・グロのブロゴーニュ・コート・ドールを飲んだ。以前twitterで「有名生産者のおいしいブルルゴーニュ・ルージュといえば?」という質問をした際に教えていただいた生産者の一人だ。
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【質問】「有名生産者のおいしいブルゴーニュ・ルージュ」と聞いて、みなさんはなにを思い浮かべますでしょうか? 私は「トンカツ食べたい」くらいしか思い浮かばないので是非教えてください!
— ヒマワイン|ワインブロガー (@hima_wine) 2021年9月8日
というわけで少しずつこのブログを通じてブルゴーニュの生産者について知っていきたいなあと思う次第だ。題して「みんなのブルゴーニュ・ルージュ」。
どんな生産者なんだろうと調べてみると、マジか、公式サイトが日本語対応してるじゃないのすごい。えらい。早速詳しく見ていこう。
ミッシェル・グロはどんな生産者か
ミシェル・グロは1830年から続くヴォーヌ・ロマネの造り手で、栽培面積は23ヘクタール。現在は7代目のピエール・グロが当主。なるほど。
ちなみに、日本のショップサイトの情報だとピエールの父のミシェルが当主と紹介されているケースが散見されるが、息子のピエールに権限が譲られたのはごく最近の2019年頃のようだ。ピエール・グロ、1990年生まれ。若っ。おじいさんが有名なジャン・グロ。
当主が若いからなのかどうなのか、公式サイトの情報は妙に細かい。それによれば、収穫時は3〜6人の収穫人に対して一人の選果スタッフを配して収穫と同時に選果。熟成においては村名で30%、一級畑50%、特級畑100%の新樽を使用するそうな。清澄は卵白だって。地方名ブルゴーニュのワインでも、グラン・クリュのクロ・ヴージョでも、醸造方法をまったく変えていないというのがなんとも良い。
ただもちろん熟成に関しては違いがある。今回飲んだブルゴーニュ・コート・ドールは、6カ月間の大樽での熟成後、1〜3回使用した228リットル入りの中古樽に移すそうで、「これらの樽は以前に格上のワインを熟成させた樽なので、それらのワインの仄かなアロマの影響が期待されます。」とある。ホントかよ感なきにしもあらずだが、このような小さな工夫の積み重ねによって偉大なワインは造られるのだたぶん。
「ブルゴーニュ・コート・ドール」と「地理的補足を持つデノミナシオン」
こうして生まれるブルゴーニュ・コート・ドールは栽培面積0.8haの畑の平均樹齢40年の樹から、年間7000本が生産されるというワイン。エノテカの商品ページによれば、以前はブルゴーニュ・ルージュとして売られていたもので、ヴォーヌ・ロマネとニュイ・サン・ジョルジュの区画をブレンドして造っているようだ。
そもそもブルゴーニュ・コート・ドールは地域名ブルゴーニュとなにが違うんだ問題だが、調べてみるとブルゴーニュ・コート・ドールは「地理的補足を持つデノミナシオン」なのだそうだ。待て待てデノミナシオンってなんだよとなるのだがこれは「名称」の意。最初から名称って言って。
ワイン王国の2019年6月6日の記事によれば、『ブルゴーニュAOCは、ブルゴーニュ地方全体の畑が使用可能だが、「地理的補足を持つデノミナシオン」はその中でも特定のエリアに限定される。』のだそうだ。へー。地域名と村名の間のだいぶ地域名寄り、みたいな感じだろうか。ブルゴーニュAOCよりはほんのり格上っぽい。
同記事によれば、この場合のコート・ドールは「黄金の丘」の意ではなく、「コート・ド・オリエント」すなわち東向きの丘陵に由来し、ディジョン南部からマランジェまでの東向きの丘陵地帯で栽培されるブドウから作られるワインの名前となっているようだわかりにくっ!
どう考えても複雑すぎる。なんでこんなに複雑なんだよと思わないでもないがこの複雑さがブルゴーニュワインの魅力にもなっているのだろう。いろいろ考えてたらもう脳が疲れてきたので飲んじゃうことにしましょう。
ミシェル・グロ「ブロゴーニュ・コート・ドール 2018」を飲んでみた
グラスに注いでみると、意外と濃いめの紫色。香りはこれはあれですよ。あんまりこう言い方好きじゃないけどまだ開いてない感じ。薔薇の花のつぼみになる前の状態のものを鼻に強引につっこんだような、本番がまだ来ていない予感の香りだ。バンドのライブでいうところのリハ。ただ、飲んでみると酸味渋み果実味すべてが突出しない鉄の塊のような硬質な印象で、派手さはないけど割としみじみ旨い。リハで鳴らしてた音、悪くなかったぜ……!
とはいえこれはきっと少し時間が経ったほうがおいしかろうということで、半分以上を翌日に持ち越したところ2日目がおいしかった。「太陽のヴィンテージ」(公式サイトより)の本領発揮だった。
昨夜のリハ状態から一転し、グラスからは本番感のある薔薇の香りが漂ってくる。ドカンとくることはないけれども立てた線香から1本真っすぐに煙が立ち上るように、静かに香りがやってくる。味わいも、前日の果実味が抑制された渋すっぱ味から一皮剥けて果実味が顔を覗かせて甘酸っぱい印象となっている。うまいなあ。
購入価格は3256円。高いか安いかはよくわからないのだが、ともかく1830年から続くヴォーヌ・ロマネの老舗がつくったワインなんだなあ、これは、と思いを馳せながら飲む体験に払う値段としては妥当だ。
楽しいな、ブルゴーニュ・ルージュ。次は、ルー・デュモンのブルゴーニュ・ルージュを飲む予定だ。
- 価格: 3256 円
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