伊勢丹新宿店で開催中の「農民ア・ラ・モード」に行ってきた
伊勢丹新宿店地下1階のグランドカーブで3月1日まで開催されている「農民ア・ラ・モード」なる、一体全体なんのイベントなんだという名称のワインイベントが開催されているとTwitterで教えていただいたので行った。
いきなり脇道に逸れるのだが、このア・ラ・モード、どういう意味かご存知だろうか。フランス語でà la mode。流行の、現代風、といった意味で、1651年「中世のものとは異なるルネサンス以降の料理を指す語」として使われたのが初出だそうだ。すっきりした。
というわけで農民ア・ラ・モードだ。企画したのは甲府市のショップ、マルシェ・オ・ヴァン。そのFacebookページの投稿によれば、「日頃、畑を御手伝いさせて頂いてる造り手さんを中心に、工業的で無く、農業的プロセスでワイン造りをしている造り手さんをご紹介」するイベントとのこと。
70種類ほどのワインが購入可能。日替わりでの試飲は合計30種類ほどを予定しているそうだ。
「農民ア・ラ・モード」の参加ワイナリー
さて、今回のイベントの参加ワイナリーは以下の通りのようだ。
ドメーヌモン
リタファームアンドワイナリー
ファットリアアルフィオーレ
イエローマジックワイナリー
ベルウッドヴィンヤード
キヨワインズ
共栄堂
四恩醸造
ダイアモンド酒造
ドメーヌオヤマダ
ドメーヌポンコツ
パパブル
よひち農園
セイルザシップヴィンヤード
ドメーヌナカジマ
ドメーヌ長谷
南向醸造
レヴァンヴィヴァン
國津果實酒醸造所
ヒトミワイナリー
ボタニカルライフ
グレープシップ
ラグランドコリーヌジャポン
ストゥディオゴーゴー
とどろき酒店
北は北海道から南は福岡まで。甲府のショップだけに山梨や長野が中心という印象だが日本全国のワインが集結している。この日はグレープリパブリックの方が店頭に立たれており、試飲メニューは以下のような感じだった。
グレープリバブリック「ビアンコ2020」を飲んでみた
有料試飲は一人2杯まで、制限時間10分とのこと。かねて飲みたいと思っていたラ・グランド・コリーヌ・ジャポンの「小公子」が開いていたのでこれは飲むとして、あとの1杯は非常に悩ましいところだが、せっかく店頭にグレープリパブリックの方がおられることだしということでグレリパ「ビアンコ」をオーダーすることとした。
グレープリバブリックのビアンコ2020は、デラウェアをメインにスチューベンを13%ブレンドしたというワイン。取材地の山形県南陽市のサイトによれば、南陽市は山形県におけるぶどう発祥の地なのだそうだ。
「滞在して楽しむ南陽」なるやや名称がクセ強めのおそらく同市役所のオウンドメディアと思われるウェブサイトによれば、南陽でのぶどう栽培は江戸時代に遡り、甲州(山梨)の人が甲州との共通点を見出して苗を植えた説、出羽三山で修行する修験者が持ち込んだ説などがあるとのこと。
同サイトの写真を見るとけっこうビックリで、ときにモノレールを使うほどの急斜面にブドウが植えられている。この水はけの良い急斜面、土壌、気候などが相まって、南陽市はブドウ栽培の好適地なのだそうだ。
そんな南陽市のブドウで造られた「ビアンコ2020」だが、香りはちょっと過去に嗅いだことがないくらいのデラウェア香。デラウェアで造ってんだからデラウェアの香りがすんのは当たり前だろうが、たわけ、と思われるかもしれないがほらワインってブドウの香りしないじゃないスか。一般に。
なのだが、デラウェアの皮をつるんと剥いたときの、あの香りがグラスからは漂う。このワイン、ブドウの香りがする!
味わいは一転してドライ。香り甘やか、味すっぱい、というパターンが日本ワインにはたまにある気がしないでもないが、このワインはそのようなことがなく、酸がしっかりと残りつつ、ドライなんだけど果実感もあってとても飲みやすい。なんでも赤品種であるスチューベンが入ることでボディがしっかりするんだそうで、名産地ならでは、ブドウの質がいい感じがワインからした。
というわけでとてもおいしいワインだったのだった。開けたてちょっとプチプチ感もあったりして。
ラ・グランド・コリーヌ・ジャポン「小公子」を飲んでみた
続いてはラ・グランド・コリーヌ・ジャポンの小公子。小公子はヤマブドウ系の品種で、それに同じくヤマブドウ系品種である「ふじのゆめ」を15%ブレンドしたというワインだ。
世界に通用する日本ワインには「日本の気候にあった日本独自の品種を使うことが必要」であり、「他にない個性を持つことがワインの価値」につながるという考えのもと、日本土着のヤマブドウを使っているというこのワイン、飲み頃はリリースから15-20年後と書かれており、それもあって購入を尻込みしていたのでこういう機会に飲めるのはありがたい。
ヤマブドウは実が小さく、糖が高く、酸も高くてタンニンが豊富という「グランヴァンに必要な要素」を兼ね備えているという品種で、なるほどグラスのなかの液体は濃い紫色で、すごく存在感がある。
「衝撃的なワインです」という言葉とともに提供していただいたワインの香りは、正直に私の語彙で記すと「漬物屋さんの香り」ということになるかなり独特な香り。
飲んでみると液体自体はかなり濃いめ。日本ワインに散見される薄さはまるでなく、かなり強めの酸味と、しっかりとした渋みがあって、なんというかとても堅牢な印象。
これまた正直にいえばなるほど飲み頃が15-20年後というだけあって、今飲んでうまい! 最高! というワインではないのかもしれないが、飲みごろを迎えたらすごいことになるのだろうか。際立つ個性があって、飲めて良かったのは間違いがないというワインだったのだった。
というわけで2杯を飲み干して席を立ったのだが、どうやら明日には試飲メニューもガラッと入れ替えるようだ。なかなか飲めないワインが飲めるので、明日以降も時間があったら寄ってみたいなーと思ったのだった。
日本ワインに興味のある方は、寄ってみて損がない催しだ。おひまな方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
安心院ワインも小公子でワイン造ってるんですね↓