プラネット・オレゴンとはそもそもどこか?
もしも世界がオレゴン州だったら、どうなるのだろうか。
オレゴンの場所がそもそもわからないので調べてみると、カリフォルニア州の北、ワシントン州の南。アメリカで大西洋と面する西海岸三州で主にワインは作られてるってことなんすね。なんだろう、オレゴンの西海岸感のなさ。
ワシントン=首都(首都はワシントンD.C.)。
カリフォルニア=西海岸。
ときて、オレゴンの印象のうすっぷりがむしろすごい。私の持っているオレゴン州に対する知識は、ナイキの本社がある、以上終わり、というもので、なあオレゴン州さんよ、いっそナイキ州を名乗ったほうが西海岸感が出るんじゃない? と提案したくなるレベル(失礼)。
州都はセイラム。最大の都市はポートランド。最大の企業はやっぱりナイキで、アウトドアウェアのコロンビアのヘッドクォーターもオレゴンにある。映画『グーニーズ』『スタンド・バイ・ミー』の撮影地でもある。出身の有名人で日本で一番なじみがあるのはフィギュアスケートのトーニャ・ハーディング。ライバル選手への襲撃疑惑でおなじみ。でもって富山県と姉妹自治体。
うん、世界がオレゴン州だった場合、自分の楽しみはただひたすらワイン、ということになりそうな気配であります。
さて、いまやブルゴーニュに並ぶピノ・ノワールの銘醸地といわれるというオレゴン州のワイン栽培だが、1970年の段階でワイナリーの数はわずかに5軒。しかしときは1979年、オレゴン州のピノ・ノワールがワインオリンピックで最高級の評価を獲得したのをきっかけに発展に次ぐ発展を遂げ、2005年には314にまで数を増やしたのだとか。
プラネット・オレゴンはどんなワインか?
でもって、今日飲むのはソーター・ヴィンヤーズの「プラネット・オレゴン」。ラベルには地球のような青い星に超大陸・パンゲアみたいな感じでオレゴン州が鎮座するイラスト。なんともアメリカ的というか、ハードロックカフェっぽいというか、オレゴン州のロードサイドの中古車屋かなんかの隣のハンバーガー屋の看板、みたいなラベル。嫌いじゃないぜ、このダサさ。
ブドウはピノ・ノワール100%。プラネットを名乗るだけあって地球にやさしくサスティナブルな農法で収穫されたブドウを使い、環境に負荷をかけずに新樽5%のフレンチオーク樽で7カ月成熟とのこと。
で、ある日の夜、近所の洋食屋でテイクアウトしたサイコロステーキのおともにグラスに注ぎ、まずは匂いを堪能して仰天。自室の床が突如春の野原に変貌、スミレやらタンポポやらが咲き乱れたみたいな、ダっサいラベルからは想像もつかない華やかで繊細で、でもとっつきやすい香りがする。ブロゴーニュの上品おピノ・ノワールとは一線を画すような気がするフレッシュなピノ・ノワール。
味わいがまた素晴らしい。端午の節句はピノ・ノワールで祝うべきってレベルで今の気候にマッチする。酸味が少なくて、果実味もしっかりあるけどあり過ぎず、あれ、誰かおれのグラスにさくらんぼかなんか入れた? っていう感じのチャーミングな味がする。3000円を切る買値で、激安! って感じではないけれども週末をハッピーに過ごすためと思えば全然いける。
「空気と光と友人の愛、 それだけ残っていれば落胆することはない」と言ったのはゲーテだが、空気の光と友人の愛に加えてピノ・ノワールも我は所望す。世界には猫がいるべきだし、オレゴン州があるべき。世界がオレゴン州になってしまうのは困るけどな!
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