スーパーの「西友」のワインコーナーの“裏側”について取材してきました。ちなみにPR記事ではないけれどワインのお土産をいただいたので一応 #PRクレジットつけておきます。
スーパーワインのディープな世界
安ワイン愛好家ならば避けては通れないもののひとつに、「スーパーワイン」がある。「すごいワイン」という意味ではなく「スーパーで売ってるワイン」という意味だ。

各スーパーのワイン棚をよく見ると、大手インポーターの商品に混ざって直輸入ワインがちらほらあったりして、そこにスーパーごとの個性がキラリと光っていたりする。それを見極めるのが好きで、私はよくスーパーのワイン棚の前にいる。
さて、そんなスーパーワイン好きの私がもっともよく行くスーパーが「西友(SEIYU)」だ。売り場面積・品揃え・価格・家からの近さの四要素の総合点がもっとも高いというのがその理由で、多い時は週に7回ほど行く。たまに午前中と午後に2回行ったりすることもあるので週8で行くこともあるレベル。
さて、そんな西友愛をXを通じて発信していたからなのかなんなのか、「西友のワインを取材しませんか?」というお声がけをいただいたので、「西友のワ」くらいのタイミングで「行きます」と答え、取材場所に指定された店舗へと向かった。

さて、そこで出迎えてくれたのは輿石勇太さん。西友の社員でワインのバイヤーでソムリエでもあるという情報量が渋滞気味の方なのだが、この輿石さんが2024年春にワイン担当として着任されて以来、直輸入品の売り上げが50%アップしたというすごい方だ。
この輿石さんの話が非常に面白かったので、しばし私・ヒマワインとのインタビュー形式でお伝えしていこう。
ソムリエ/バイヤー・輿石勇太さんの西友ワイン売り場改革
ヒマワイン(以下、ヒマ):直輸入品の売上50%アップっていう成果をいきなり出されたとのことですが、どのような工夫をされたのですか?
輿石さん(以下、輿石):お客様のインサイトを分析すると、「なにを買ったらいいのかわからない」「味がわからない」という課題があることがわかりました。お客様は「買いたいけど、買って失敗したら嫌だ」と思っている。そこで、四象限のチャートを売り場の「おすすめワイン」につけたんです。

ヒマ:店頭に掲げられているPOPですね。たしかに、味の傾向がわかって選びやすそうですし、ソムリエがおすすめしているということで安心感もあります。
輿石:おかげさまで、新規にチャレンジしてくれるお客様が増え、リピーター獲得にもつながりました。
ヒマ:そして、その提案するワインが「直輸入ワイン」ってことでしょうか?
輿石:そうですね。西友の売り場には大手メーカーさんのワインが並んでいますが、そういった大手さんの手が届かない部分ってやっぱりあるんです。そういったところに、西友の企業力で調達した直輸入ワインを提案できれば、お客様により喜んでいただけると考えています。

ヒマ:消費者的には非常にありがたいです。私自身も「直輸入だからきっとコスパがいいに違いない!」と信じて買わせてもらっていますので(笑)。やっぱりコスパは良いわけですよね?
仕入れワインと直輸入ワインの違い
輿石:仕入れ商品は、当然のことですがメーカーさん、卸、問屋……と業者さんを通るたびに中間マージンが入りますからね。やっぱり違います。それと、仕入れ商品は他の(競合の)スーパーでも売っていますよね? すると、他店より1円でも高い値段では売れないんです。
ヒマ:面白い話になってきました(笑)。かといって、直輸入ワインだけにするってわけにもやっぱりいかないわけですか。

輿石:その通りです。仕入れるアイテムは売り上げをつくる上では絶対に必要です。一方で、直輸入ワインは利益率が高い。それらを組み合わせて棚を作ることでマージンミックス(粗利益率の高い商品と低い商品を組み合わせることで、全体の粗利益率を安定させる販売手法)ができて、ワイン全体の利益率も改善されますし、他社との差別化もできるんです。
ヒマ:なるほど……(深く納得)! 逆に現在の課題はなんでしょうか。
スーパーのワイン売り場の「価格の壁」
輿石:西友はいま、「量販店」から“
ヒマ:スーパーの売れ筋のワインっていうと大体いくらくらいなんでしょう。1,000円以下かなあと予想しますが……。
輿石:だいたい850円とか、それくらいです。そこに合わせて899円のイタリアワインを提案したり、少し上の価格帯である1,390円のカリフォルニアワインなどの直輸入ワインをおすすめしています。

ヒマ:まずは1,000円台の壁を突破していただくと。
輿石:はい。レンジを上げるのがタスクだからといって、いきなり3,000円のワインをご提案するのではなくてですね。その前に、まずはビールしか飲まなかったお客様にワインを飲んでいただく、2週間に1本でもワインを買っていただく必要がありますから。
ヒマ:899円と1,390円の間にも、意外とあなどれない差がありますもんね。
輿石:そうなんです。今展開しているカリフォルニアワインの「770マイルズ」は1,390円で初速を心配していたのですが、おかげさまでいいスタートを切れています。1,390円でも手に取っていただけることが実感できたので、この先の展開も楽しみになっています。

ヒマ:あと、西友の直輸入ワインは総じてラベルがかわいらしくていいですね。ラベルが華やかだと、それだけで買いたくなります。
輿石:ありがとうございます。店舗の従業員からも「最近ワインの棚がいきいきしてきた。ラベルが語りかけてくるようだ」って言われます。これから何年かかけて、どれだけお客様にレンジを上げていただくことができるか、チャレンジしたいと思います。
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というわけで以上輿石さんのインタビューをお届けした。うーん、改めていい話。売り場を通じて、「スーパーのお客さん」を「ワイン愛好家」に導いていくような、そんなイメージだろうか。それをできるのは“接客”という要素を抜きにしては語れないレストラン出身の(輿石さんはレストランチェーンに長く在職された方だ)ソムリエだからこそなのだろうという感じがする。

ちなみに、この日はワインをいくつか頂戴したのだが、とくに赤、イタリア・プーリア州のサンジョヴェーゼが気に入った。果実味がしっかり強めにあって、とても飲みやすい。
ほかにも、ホワイトジンファンデルはアルコール度数9.5%のロゼでさわやかな甘さがとても飲みやすく、缶入りのヴィーニョ・ヴェルデのロゼと白は軽快で、暑い季節の外のみに最適。どれもラベルが個性的でもあるので、お近くに西友のある方は、ぜひワイン売り場に足を運んで探してみていただきたい。
今後、さらにレンジを上げていきたいと意気込む輿石さん。西友のワインで何千円もする高級ワインを普通に買う未来も近い、かも。
