ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

シレーニのソーヴィニヨン・ブラン泡を1年ぶりに飲んでみた。【セラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブラン】

エノテカ駅発急行シレーニ号に乗って

ワインを飲み始めたばかりの2019年の春ごろ、なにを買えばいいのかさっぱりわからないので私はよくエノテカのワインセットを買っていた。でもって、エノテカのワインセットによく入っているワインのひとつにニュージーランドのシレーニのワインがある。

個人の見解だが、日本のビギナーでコノスル駅から果てしないワインの鉄路を旅し始めて、途中の巨大ターミナル駅であるエノテカステーションで次の目的地に向かう、という人は少なくないように思う。チリ方面に向かうのがモンテス特急、ニュージーランド方面に向かうのが急行シレーニ号。

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シレーニのセラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブランを飲みました。

乗り継ぎ乗り換えを繰り返し、ときに逆方向の電車に乗っちゃったり切符をなくしたり終電を寝過ごしたりして、今やすっかり鉄道迷子の私だが、久しぶりに急行シレーニ号に乗り込んでみて気づいたことがある。私はシレーニという生産者についてなにひとつ知らないぞ、ということだ。なので、調べてみた。

シレーニエステートの創業者・エイブリー卿と息子たちが凄い

シレーニエステートの設立は1998年と意外にもその歴史は浅い。わずか20年で日本のスーパーに普通に並んでるのすごいな、と思ってさらに調べてみると、創業者であるグレアム・エイブリー卿が相当レベルの俺の空。実業家としてwikiの個人ページがあるレベル。

なんでも、医療系出版社の設立からキャリアをスタートさせたエイブリー卿は会社の売り上げを1億ドルまで育て上げて売却、その後シレーニ・エステートを設立。同時に、本拠地ホークスベイのワインツーリズム、フードグループ、ファーマーズマーケットなどの設立と観光地化を主導し、国際的な販売方法に変化をもたらしたとある。

また、長年のスポーツとビジネスへの貢献が認められ2007年には女王陛下から表彰され、母国の勲章も授与され、ニュージーランドビジネス殿堂入りも果たしているんだとか。ハイただの偉人。

南アフリカでいうグラハム・ベックとか、チリのエラスリスの創業者のドン・マキシミアーノ・エラスリスとかと同じ、ビジネスで大成功→ワインビジネス参入→ワインビジネスでも大成功っていうホームランしか打てないバッターみたいな人って世界中にいるんですなあ。

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でもって現在のCEOはエイブリー卿の息子のナイジェル。会計士であり、2000年のシドニーオリンピックに重量挙げチームの一員として参加とある。ちょっと待ってすごいなこの一族。パワー型だな。

息子はもう一人いて、北アジアと太平洋地域のゼネラルマネジャーを務めるサイモンは15年にわたりニュージーランド代表を務めたプロサーファーとのこと。ワイン会社の経営に求められるのは運動神経なんでしょうか。とにかく身体能力モンスターたちが経営していることがわかった。

父は女王陛下の勲章持ちで殿堂入りのビジネスマン。CEOは元オリンピアンでGMは元プロサーファー。なんすかねこれ。中学2年生女子が考えた乙女ゲームの設定かなにかか。

セラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブランはどんなワインか

というわけでもう前置きだけでお腹いっぱいなのだが今日はそんなシレーニのソーヴィニヨン・ブランで造られたスパークリングワイン「セラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブラン」を飲む。このワイン、1年前にシレーニ何本かセット、みたいなのに入っていて大変おいしかった記憶があるのだった。あれからいろいろワインを飲んで、感想に変化はあるだろうか。現在地たしかめ系の購入である。現在地たしかめ系ってなんだよ。

さて、そんな経緯で昨年は気にもしなかった製法を調べてみると、裏ラベルに「炭酸ガス含有」とある。瓶内二次発酵でも、タンクで発酵させるのでもなく、ベースワインをブレンドしたあと炭酸ガスを加えて、その後ボトリングするとのこと。ステンレンスタンクで発酵後、フレッシュで若いうちに瓶詰めするため、みたいなことのよう。ソーヴィニヨン・ブラン100%で、アルコール度数は11.5度と低め。

セラー・セレクション・スパークリング・ソーヴィニヨン・ブランを飲んでみた

このワインでしか見たことがない再栓可能なキャップをスポンと抜栓、グラスに注いで飲んでみた。

まず香りがすごい。目の前のテーブルでグレープフルーツとかややすっぱ系の柑橘類を牛刀で叩き切ったようなフレッシュな香りがする。うーん、いい匂い。味わいはなんすかねこれ。水草みたいなイメージが湧くけど言わずもがな水草なんて食べたことない。なんで湧いてきたんだよ水草お前。柑橘系のフレッシュな酸味と、草系の苦味があいまって大変おいしい。泡は「炭酸ガス含有」だけあって元気いっぱい。このあたりの良し悪しは自分の実力・経験値ではなんともいえないです。ただ、いいシャンパーニュとかとは違うような気がする。クリーミーって感じではないので。

ソーヴィニヨンブランをそのまま発泡させたワインだけあって、とにかくフレッシュさ特化。夏の暑い時期に刺さる性能を研ぎ澄ましている。「炭酸ガス含有」っていうワードが気にならければ、再栓の容易さもあってデイリーに楽しめるワインだと思います。たまにある残った白ワインに炭酸水入れて飲みたいみたいな欲求をアルコール度数を保ったまま満たしてくれる感。エノテカの2本で20%オフセールで1000円代後半だし、悪くないのでは。

定点観測的に、また来年飲んでみようかな。

明日の10時まで、エノテカで2本で20%OFFの対象になってます。