1692年創業・スピアーワインズはどんなワイナリー?
昨夜は南アフリカの白ワイン、スピアーワインズの「スピアー ソーヴィニヨン・ブラン」を飲んだ。
スピアーワインズについて調べようとグーグルに入力、どんなところかと地図で見て驚いた。
駅がある。
スピアー駅がある。
ワイナリーの目の前に……駅がある!
え、スピアー駅あるのすごくないすか。勝沼ぶどう郷駅かよ。
しかも、どうやらイベント的に「スピアー・ワインランド・エクスプレス」なる臨時列車も走るのだとか。
ケープランドからの日帰りで、鳥類園的な場所を見学してワイナリーでランチと試飲をしてお土産のボトルもついて2500円とかみたい。なにそれ今週末行きたい。
スピアーワインズは、農場あり、ワイナリーあり、ホテルあり、会議場まで備えている、なんつーんですかね、アグリツーリズム的なものが楽しめる場所になっておるようです。
敷地内には現代アート作品が点在し、季節ごとに企画展が開催されたり、光のアート的なイベントもあるクレマチスの丘状態。もう完全にワイナリーの域を超えて、地域の文化の中心地、みたいな風情。来年フジロックここでやるって聞いても驚かないレベル。
スピアーワインズの所在地、ステレンボッシュのワイン造りの歴史
スピアーワインズの創立は1692年と非常に古い。
ワイナリーが位置するステレンボッシュ自体が南アフリカで2番目に古い都市なんだそうで、その建設は1679年。
ここでステンボッシュの歴史を調べてみると、この地でワイン造りがはじまった背景には1688年の「ナントの勅令」廃止の影響があったことがわかる。ナントの勅令ってナンゾと調べると、ユグノー(カルヴァン派)などのプロテスタントにカトリックと同じ権利を保障した勅令なんだそうで、それが廃止されたことでユグノーたちは南アに逃走、ステレンボッシュに大量に入植したそうだ。
「この地方の渓谷の気候、ヨーロッパにめっちゃ似てんじゃん。肥沃だし」(ユグノー)
と言ったかどうかはさておいて、彼らはともかくこの地にブドウの木を植え、ケープ・ワインの歴史がはじまった。
スピアー ソーヴィニヨン・ブランはどんなワインか
以上のように歴史あるスピナーワインズの「スピナー ソーヴィニヨン・ブラン」がどんなワインかといえば、これは現地で「シグネチャーシリーズ」という名前でウェブサイトのワインカテゴリのもっとも上に表示されるワイン。最上位表示だから最高級かといえばさにあらずで、もっともやすいデイリーワインレンジ。現地価格は68ランドで、1ランド約6円なので400円ちょっとですかね。ワイナリーツアーに参加するともらえるワインもこれ。
ただ、とくに明言されているわけではないけれど、「だからこそ気合入れてんだよね」という雰囲気は漂ってくる。一番多く人に飲まれるであろうワインだからこそ、ワイナリーの威信をかけて造ってる、みたいなオーラ出てる。初見のラーメン屋では券売機の一番左上を押せ、それがその店の名刺がわりのメニューだからだという話があるがその「券売機の左上」的な矜持がある。ような気がする。券売機の左上、たまにトッピングのもやしだったりするけどな!
ともかくあなどることなく飲まなければなりません。2019年ヴィンテージの使用品種はソーヴィニヨン・ブラン90%、セミヨン10%。発酵後、4カ月間「on lees」と書いてあって、leesはおりのことで、フランス語のsurは「上に」のことなのでこれ要するにシュール・リーってやつですかね。そんな風に作ってあるそうです。
スピアー ソーヴィニヨン・ブランを飲んでみた
で、飲んでみるとなんだこれとってもうまいぞ。ソーヴィニヨン・ブランならではのさわやか柑橘風味はそのままに、セミヨン配合の妙なのか、シュール・リーの効果なのか、なんともいえないコクがある。ソーヴィニヨン・ブランってものすごくさらっさらな印象なんだけどちょっとトロッとしている感じがする。刺身というよりカルパッチョに合いそうな感じ。オリーブオイルだぶだぶかけて。なんですかね、ディルかなんかと一緒に食べたらおいしそう。と思ってテイスティングノートを見たら、ディルマヨネーズ味のマスのスモークとかマグロのカルパッチョと合うって書いてあった。さもありなん。
それにしても南アフリカのワイン、人生で10本くらいしか飲んだことないけど全部おいしい。しかも安い。本を読むと、南アフリカワインには安かろう悪かろうみたいなイメージがあるみたいに書いてある場合があるけど、悪かろう感はまったくなく、グッドバリュー・フォー・ザ・マネー感が私はすごくしております。今回の買い値も1298円(しあわせワイン倶楽部)と大変満足できる低価格。いつかハイエンドもいってみたいな、こりゃあ。