ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

ド・モンティーユ&北海道「驚」。ブルゴーニュの老舗が造る日本のワインを飲んでみた

ド・モンティーユ&北海道の「驚」を飲んだ。ブルゴーニュの老舗「ドメーヌ・ド・モンティーユ」が函館に設立した、日本初の外資ワイナリーのワイン。

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ド・モンティーユ&北海道 驚 Surpriseを飲みました。

さて今回ド・モンティーユ&北海道について調べてみるとネット上にいくつか興味深い記事が時系列に沿って見つかった。なので本記事では、それらの記事をひもときながら、ド・モンティーユの足跡をたどってみることとする。

興味深い話がたくさんあるので、北海道ワインに興味のある方はリンク先をたどってみてください(リンクが切れてたらすみません)。それではいってみよう。

 

記事でたどるド・モンティーユの北海道進出の歴史

まずもっとも古い記事は2018年3月10日の日経の記事。2017年にドメーヌ・ド・モンティーユが函館にワイナリー設立を発表したことを短く伝えている。

2020年1月8日の産経BIZの記事はもう少し詳しく、設立の意図を「ブルゴーニュでも温暖化の影響でブドウの熟成や収穫時期が早まっている」ことから候補を寒冷地に絞って日本で土地を探していたところ、函館が選ばれたと報じている。雪が少ないのと土壌が良いというのが理由だったみたい。

 

ド・モンティーユの北海道進出とピノ・ノワールと「気温14度」の関係

ピノ・ノワールの栽培は4〜10月の平均気温が14〜16度の地域が適しているのだそう。北海道は1990年台後半から安定してこの時期の気温が14度を突破。栽培の好適地になっているんだそうだ。

これについては2021年11月26日のNHKの記事が面白い。池田町では1980年に11.8度だった平均気温が、2019年には14度に到達。三笠市余市町では2004年以降14度を下回らなくなったそうな。

ちなみにこちらのショップで買いました↓

himawine.hatenablog.com

で、面白いというかなんというかなのは、北海道で14度を超えるようになった一方で、ブルゴーニュでは同時期の気温が16度を超えるようになってきたというんですよこの記事によれば。ピノ・ノワールの栽培好適地として北海道IN、ブルゴーニュOUTというまさかの現象が気候変動によって起きている。

ご存知の通りその傾向は今後も続く見込みのため、北海道ではより温暖な気候に向くスペイン系品種の試験栽培も始まっているそうだ。マジか。

 

ド・モンティーユ&北海道のワイン造りタイムライン

ド・モンティーユに話を戻すと、植樹式が行われたのが2019年7月。2020年10月7日の日経電子版の記事によれば、余市町岩見沢市の農家から2018年産のブドウを調達し、岩見沢市の10Rワイナリーで醸造し、2020年に発売した「2018」がファースト・ヴィンテージ。ピノ・ノワールとケルナーを発売したのだそうだ。

himawine.hatenablog.com

この記事では函館産ブドウを使った自家醸造ワインの発売は「23年ごろ」と書いてある。一方、2021年1月2日の朝日新聞デジタルの記事によれば「初収穫は23年、ワインの出荷は25年を見込む」とあるので混乱してくるのだが、タイムラインにまとめるとこんな感じになると思う。

2016年 プロジェクト始動

2017年 函館にワイナリー設立を発表

2018年 北海道でワイン造りをスタート(初仕込み)

2019年 植樹式

2020年 別地域ブドウ・委託醸造でファーストVT「豪」リリース(2018VT)

2021年 セカンドヴィンテージ「驚」リリース(2019VT)

2023年 函館にワイナリー完成。自社畑ブドウでの自社醸造をスタート

2025年 自社畑ブドウでの自社醸造ワインをリリース

おし、だいぶ整理できた。ちなみに、もちろんというかなんというか、植えているのはピノ・ノワールシャルドネだそうだ。

 

ド・モンティーユ&北海道「驚 Surprise」はどんなワインか

さて、今回私が飲んだのは2019VTの「驚 Surprise」という名前のワインだ。若干こう、外国の方が着てる漢字Tシャツ感なきにしもあらずの名前だが、一周回ったオリエンタリズムがあってラベルともども私は好きだ。

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ラベルは日本ワインに多い一枚をグルリと巻くタイプ。醸造所は10Rであることが明記されている。

公式サイトによれば、2018年から2022年にかけては、北海道余市地域のブドウを用い、ココファーム、そして10Rのブルース・ガットラブさんとのパートナーシップによってワイン醸造を行う“学びの期間”。この間に作られたワインは日本のワイン愛好家のみに限定供給されるとある(もちろん将来的には世界での販売を見込んでいるそうだ)。

さて、その「驚 SURPRISE」はケルナー、ピノ・ノワール、ツバイゲルトの3種。私はツバイゲルトを入手した。購入価格は6000円弱で、調べたところどうやら定価は5900円のよう。高いけど、にわか北海道ワインファンとして、これは飲んでみないと! という使命感で財布の紐がゆるっゆるになった次第だ。

 

ド・モンティーユ&北海道「驚 Surprise」はどんなワインか

さて、そんなこんなでこのワインを飲んでみたのだが、まったくもって私好みの味だった。

梅干しみたいな酸味と塩気まじりのちょっとの甘み。最近飲んだドメーヌ・タカヒコのナナツモリにあった鰹節とかキノコみたいな感じは私にはあまり感じられず、むしろ昆布っぽい印象を受けた。礼文のあたりね。礼文のあたりでウニに甘噛みされた昆布のニュアンスだ(ホントかよ)

その日食卓に並んでいたのはひじきの煮物だのイクラだのといったゴリゴリの和食の惣菜だったのだが、これがひじきの煮物にド・ピッターリイクラにも合った。それこそウニとか昆布と合わせてみたいなと思うなど、赤だけど海産物に合いそうな海のワイン的印象を受けた。

5900円という価格はコスパがいいとは言い難く、私の普段飲みの価格帯的ストライクゾーンからは大きく外れるというのが正直なところだが、味は間違いなく好き。次のヴィンテージも手に入れば飲んでみたいなあと思ったのだった。(あとツヴァイゲルトっておいしいですよね)

※価格が間違っていたため、記事公開後に修正しました。

 

“本家”も飲んでみたい。↓

a.r10.to