ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

年間500種類くらいワインを飲むワインブロガーのブログです。できる限り一次情報を。ワインと造り手に敬意を持って。

テ・テラ ピノ・ノワールはどんなワイン? ワインについて調べたことと味の感想【Te TERA Pinot Noir】

3000円以下のピノ・ノワールと私

3000円以下のおいしいピノ・ノワールを私はいつも探している。比喩的表現ではなく本当にほぼ日課として探しており、具体的にはネットショップなどで価格帯・品種指定で検索し、片っ端からvivinoの口コミ点数を調べる、というとても他人にはお見せできない地味な作業を行なっている。これが俺のテレワーク……!

人生には残念ながら限りがあって、42歳の私が仮に80歳まで元気に2日に1本ペースでワインを飲めるとしても飲めるワインはたったの6935本に過ぎない。少ない! もっと飲みたい! というわけで6935分の1をおろそかにできるわけがなく、かつワイン購入のための手元資金もニホンウナギの稚魚を思わせる有限っぷり。悲しい。

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マーティンボローヴィンヤード「テ・テラ ピノ・ノワール」を飲みました。

以上のような理由から3000円以下のおいしいピノ・ノワール調査作業を私は意外な真剣さでやっており、おかげさまでおいしいワインと多数出会えてハッピーなのだが今回は中でも久しぶりに大きめの当たりとなった1本をご紹介したい。飲んだのはニュージーランドマーティンボローヴィンヤードの「テ・テラ ピノ・ノワール」である。

 

マーティンボローヴィンヤードとは

どんなワインか、とりあえずカタカナでマーティンボローヴィンヤードを検索してみると輸入元のラックコーポレーションのサイトがヒットし、「そこにはNZピノの素晴らしさを世界に知らしめたパイオニア」とあった。調査をスタートしていこう。

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マーティンボローヴィンヤードは、1979年に国立土壌局の調査によりブルゴーニュとの気候的・土壌的類似性が認められ、その調査を担当した博士が翌年その土地にワイナリーを設立したのが起源なのだそうだ。博士行動力ありすぎ。「調べた博士が惚れ込んで設立した」っていうストーリーがまず良い。

博士の目に狂いはなかったようで、マーティンボローヴィンヤードのワインは1997年にロンドンのインターナショナル・ワイン・チャレンジで世界で最高のピノ・ノワールに贈られる賞を受賞するなど成功を収める。最初にブドウの木を植えてから20年足らずで世界の頂点に立つんだから本当にいい土地だったんだね感がある。

 

「テ・テラ ピノ・ノワール」はどんなワインか

ここで公式サイトに情報の出元を変えて見てみると、マーティンボローが位置するのはニュージーランド北島の南端。土壌は水はけが良く、降雨量は少なく、日中暖かく、夜涼しく、秋は乾燥して長いのが特徴だそうで、結果、「伝統的な冷涼気候のワインを栽培するのに最適な産地」なのだそうだ。いいじゃないの。

今回飲んだテ・テラはニュージーランド先住民族マオリ族の言葉で「もうひとつのもの」を意味し、樹齢の若い木からとれたブドウで造られるワイナリーのエントリーワイン的な位置づけ。ショップページをみると、このワインの価格は6本で153NZドル。1本あたり25.5NZドルで、日本円で約1934円。私の購入価格は2552円税込なので価格も非常に優秀だ。

 

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購入したトスカニーの商品ページによれば、平均樹齢18年のブドウ樹から手摘みされたブドウは小型開放タンクで自生酵母により発酵。新樽率15%の樽で7カ月熟成後、フィルターをかけずに瓶詰め。年間生産量は約7万本のようだ。なんというか、そこはかとなくナチュラル感のある造りっぽいですね文字情報だけを見ると。

さて、いよいよ飲んでいくわけだが新世界のピノ・ノワールをグラスに注ぐとき、どこか祈るような心境になるのは私だけだろうか。向こうが透けないド紫で「ピ、ピノ・ノワール! お前、いったいどうしてこんな姿に……!? 」みたいになるワインもあるわけですよ。なんじゃこりゃ。ウェルチかよ。とか言いながら悲しみの6935分の1を消化しているちょっぴり切ない夜がある(このブログはワイン批評ブログではなくレコメンドブログなのでおいしかったやつだけご紹介してます)。果たしてこのワインはどうか。

 

マーティンボローヴィンヤード「テ・テラ ピノ・ノワール」を飲んでみた

祈りの気持ちとともにテ・テラのスクリューキャップをくるくる回してグラスに注いでみると、実にいい感じのルビー色なんですよいきなり。実にいい色。「お前 見込みあり」って地獄のミサワみたいな顔でいいたくなる(『お前 見込みあり』で画像検索してみてください)。

そして香りが非常にいい。花のような果実のような私のなかで「ピノ・ノワールってこういう香りであってほしいなあ」と思う香りがちゃんとする。香りで生ハム2枚食べられる。ウナギ焼く香りでごはん2膳いけるみたいな文脈で。いいピノ・ノワールは香りが本体。その上でこのワインは、ニュージーランドと聞いてイメージするような大草原を思わせる草の香りも最初にして、それがまたいい。まさにいい香りすぎて草。

で、飲んでみるとこれがなんていうんですかね果実味がやや強いブルゴーニュピノ・ノワールみたいな印象で非常においしい。これ以上果実味が強いと甘過ぎ、これ以上酸っぱいと酸っぱすぎってなるギリギリの甘酸っぱさ。アルコール発酵後に砂糖とか調味料で味付けっていうことをしないのがワインという飲料だと思うけど、そのやり方でよくぞまあこんなギリギリのバランスが造れるもんだ。醸造家ってのはすごいもんだわと感心しちゃう味だ。

最近ではTwitterやらClubhouseやらでおいしいワイン情報を得たり、オススメワインを教えていただけたりといった機会が格段に増え、おかげで非常に充実したワインライフを送ることができているが、脈絡のないところから探して出会ったワインがおいしいと、それはそれで嬉しいものだ。この土壌を調査した博士に「お前 見込みあり」と私は言いたい嘘ですありがとうございます博士。

というわけでテ・テラ ピノ・ノワール、大変おいしいワインだったのだった。オススメです。

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