#drinksouthafricans 南アフリカワインを飲むべき理由
南アフリカでのアルコール販売禁止が続いている。いくつかのニュースを読むと、その間、イギリスの食料品店が南アフリカワインのセットを格安価格で販売したり、フランスのミシュラン星持ちのシェフが自身のレストランでのペアリングコースのワインをすべて南アフリカワインにしたりと、草の根での支援の輪が広がっているようだ。
一方で、禁止を取り下げるよう求める声も広がっている。ステレンボッシュ、エルギン、フランシュフック、パールといった私でも知ってる有名産地を含む“ワインランド”を擁する西ケープ州の知事は、このアルコール販売禁止は「第二のパンデミックである失業を引き起こす」として販売再開を求めている。
さらに、問題は南アにとどまらず、南アフリカに年間300億円を超える酒類を「輸出」しているヨーロッパも、禁止を撤廃するよう要請している。雇用は失われ、税収は減り、アルコールの違法販売が横行し、酒屋強盗の報告は476件あったという。強盗多すぎませんかね。
この大変な状況を前に、日本の消費者ができることは南アフリカのワインを飲むことほぼ一択。しかも南アフリカワインはそもそも安くておいしい。というわけで、今日も南アフリカワインの大家・KOZE氏に教えていただいたワインを飲もうと思う次第だ。
いつもの↓
南ア３千円以下打線組んだ
— KOZEのワインブログ (@kozewine) 2020年8月2日
1 (遊) アタラクシアSB
2 (二) ヴィリエラジャスミン
3 (右) グラハムベックBdB
4 (左) ポールクルーバーCh
5 (一) グレネリーリザーヴ赤
6 (三) ジョーダンCh
7 (中) ポークパインリッジシラー
8 (捕) マイルズモソップ イントロ赤
9 (投) シモンシッヒカープスヴォンケル
南ア3000以下オススメ打線の2番バッター、ヴィリエラ ジャスミン
さて、今回飲むのは2番・セカンドのヴィリエラ ジャスミンである。どんなワインかなと公式サイトを訪問すると、こんな一文が出迎えてくれる。
（前略）南アフリカでのすべてのアルコールの販売と配達は、追って通知があるまで禁止されました。（中略）ワインはオンラインおよび電子メールでいつでも注文できます。納品は禁止が解除された後に行われます。
うーん、辛い。公式サイトを名前で検索して来るロイヤルティの高いユーザならば、きっと指名買いが目的だろう。にも関わらず、売ることができない。「追って通知があるまで」というところが辛いよなあ。ともあれワイン情報を見てみる。
ヴィリエラはケープタウンの東に位置するワイン産地・ステレンボシュに1983年に創設され、現在は国内最大級のプライベートワイナリーにまで成長しているという家族経営（創業者はいとこ同士なのだとか）のワイナリー。
今回飲んだヴィリエラ ジャスミン（2019)はモスカート18%、ゲヴュルツトラミネール52%、リースリング30％というブレンド比率だが年によって使うブドウの品種からブレンドの比率までが大きく異なるので、飲み比べしたら楽しそう。
ついでなのでジャスミンという花についても調べると、「ジャスミンの香りを特徴づける独特な香気成分であるcis-ジャスモンは、未だ工業的生産法は確立されておらず、自然の花から抽出し精製するしか方法がない」とかいうロマンチックな情報がwikiにある。ヴィリエラ ジャスミンに使われるモスカートは、「麝香（マスク、ムスク）」に喩えられる強い香りが特徴である（マスカットのwikiより」というブドウ。ブドウの香りを組み合わせて自然界にしか存在しない白い花の香りをイメージさせる。素敵ですなあ。
ヴィリエラ ジャスミンが女子ウケMAXだった件
というわけでこれはきっと女性ウケがいいのではないか花だしアロマだしと極めて安直に考えて友人の女性に飲ませてみたところどハマりし、翌日LINEで「買った」という報告があった。南アフリカワインをもう1本作戦成功である（結果論）。
しかしながらこのワイン、実際に無茶苦茶おいしかった。私がワインにハマったきっかけはコノスルのゲヴュルツトラミネール。最初期にそればっかり飲んでいたらさすがに飽きて、以来アロマティックなワインには食指が伸びない、という状態が続いていたので実はリハビリ的な意味合いもあって購入したのだがこれは良かった。おいしかった。
舌に残る甘さはまったくないのに印象は華やか。果物や柑橘類の香りがしつつ、味わいにはお茶の苦みのようなものも感じられて、案外硬派で、かつ甘美なワインだった。南アフリカの3000円以下ワイン軍の2番セカンドを任せられだけの実力はたしかにある。これは飲む殿馬（『ドカベン』より）。
2番打者に求められるのは、以前のような送る・つなぐに特化した小技専的役割に止まらず、統計学的データ分析から先制点の重要性が再認識されるにつれ、より攻撃的なものに変化しつつあり、メジャーリーグではこの打順に最強打者を置くケースも少なくないという。小技もできて一発もある。なんなら緊急時にはピッチャーまで務める。価格は驚異の税込1694円。殿馬、じゃなかったヴィリエラ ジャスミンおそるべしである。
