売上10億円超! 「バルデモンテ」をご存知か?
楽天市場でシリーズ累計10億円以上を売り上げる、圧倒的な売り上げNO.1のワインをご存知だろうか。
あれかなこれかなとみなさんが頭に思い浮かべたワインはもしかしたら不正解かもしれない。正解は3リットル入りの箱ワインだ。その名は「バルデモンテ レッド(以下、バルデモンテ)」。なんと15年の長きにわたって売れ続けているという、超ロングセラーのスペインワインが“売上NO.1”なのだ。
と、バルデモンテの話の前に、みなさん箱ワインって飲んだことありますか? いや、飲んだことはあると思うんすよ居酒屋とかで。グラスワインを頼んだら箱から注がれたのが出てきた、みたいなことは普通にある。でも、それが家にあったことは私の場合ない。いや、告白せねばなるまい。箱ワインを一段下に見る気持ちが正直私にはあった。
というわけで今回は「バルデモンテはどんなワインか?」という問いともに、「箱ワインってぶっちゃけどうなの?」という問いをも考えていきたい。
「バルデモンテ」が自宅にやってきた!
そんなこんなで家にバルデモンテが届いた。スリーサイズは縦22.1センチ、横17.2センチ、奥行き10.1センチ。重量は3キロ超。黒光りするボディはワインというより小型の家具、くらいの存在感(オーラ)を放っている。
通常のボトルであればセラーなり冷蔵庫に突っ込み、飲むときにテーブルに出すわけだが、箱ワインの場合そうではなくて「設置」という作業が必要になる。
愛媛・松山空港の1階ロビーには「みかんジュースが出る蛇口」が存在するが、バルデモンテのボックスはいわば「赤ワインが出る蛇口」である。私は少年のころソフトボールをしており、夏の練習時には蛇口をひねってタンクから注がれる冷たい麦茶を飲むのが大好きだった。それから幾星霜、蛇口をひねると赤ワインが出る装置を私は設置しようとしている。
とはいえやることは箱の内部から注ぐ口を取り出して、留め具をミシン目に沿って取り外すだけのこと。めちゃくちゃ簡単だ。これで「蛇口をひねると赤ワインが出てくる」暮らしがスタートした。
バルデモンテがもたらす生活の変化とは?
数日後、私は気がついた。箱ワインとボトルワインの最大の違いは「グラスに注ぐまでの工数」だ。ボトルワインは、セラーから出し→テーブルに運び→キャップシールを剥がし→コルクを抜き→グラスに注ぐ、という工数がかかるのに対し、箱ワインはいきなり「グラスに注ぐ」なのだ。まさかの工数ゼロ。いきなりワイン。玄関開けたら、即ワイン。注ぐまでの工数削減によるワインへのアクセスの容易さ、そこに箱ワインの魅力の本質はある。
それを可能にしているのが、箱ワインの構造だ。箱ワインの中には真空状態の袋が入っており、ワインを注いだ分だけその袋がしぼみ、酸化を防ぐ構造となっている。最近多い「最後まで鮮度が保たれるタイプの醤油」と同じような構造と言っていいんだと思われ、私は2週間ほどほぼ毎日飲んだが、いい意味で変化をほぼ感じなかった。
商品の紹介文によれば、品質自体は開封後ひと月ほど保たれるのだそうだ。3リットル入りだから1日にグラスワイン1杯100mlを30日飲んで空になる計算。価格は2024年10月現在税込1848円だから、グラス1杯あたりの費用は61.6円だ。コンビニでコーヒーを買うより安い予算で毎日グラスワインが飲めるぞ……!
心理的にも「家につねに赤ワインがある」ことはデカい。いや、ワイン愛好家なのだから家にはつねに赤ワインはある。しかし、「飲みたいときに開けていい赤ワインがない」のはワイン愛好家あるある。夕食終盤、ちょっと赤ワイン1杯飲みたいな、というタイミングでセラーに眠る5000円のワインは開けられないんですよどう考えても。いやごめんちょっと見栄張った。2000円のワインだって開けられないんですよ。そんなときバルデモンテがあれば、1杯だけグラスにチューッと注げてしまうのだ。なにこれ最高。
箱ワインのメリットとは?
箱ワインってどうなの? と思う方もおられると思うが、以上に述べたように、箱ワインは我々の暮らしを変えるものであり、その点でウォーターサーバ、ロボット掃除機、全自動調理器などに使用感としてはおそらく近い。いずれも日常生活における作業工数を削減してくれるものだが、箱ワインはグラスにワイン注ぐまでの工数を圧倒的に削減してくれる装置として優れている。箱ワインがあると生活がちょっぴり便利で愉快になるのは間違いない。
いやでもちょっと待て、便利なのはわかったけれども味が良くなきゃ意味ないでしょ、と思う方もまた多くおられよう。そこで、ここからはバルデモンテがどんなワインなのかを掘り下げていきたい。
バルデモンテはどんなワインか?
バルデモンテの産地はスペイン最強の安ワイン産地カステーリャ・ラ・マンチャ。イタリア・プーリア、フランス・ラングドック、そしてスペイン・ラマンチャのワインは安くても大概うまいという事実は試験には出ないが覚えておいて損がない。
造り手は1850年創業でカスティーリャ・ラ・マンチャ最古の生産者だというフェルナンド・カストロ。2万平方メートルの広大な敷地に近代的な工場を備えた超巨大生産者だ。
「工場で造られたようなワインが飲みたいですか?」みたいな問いに、ワインを飲んでいると触れることがままあるが、私の答えはつねにYESだ。大規模な工場で造られたワインにはスケールメリットが生じ、安くておいしい可能性が高いからだ。職人が手仕事で造るワインは素晴らしい。同様に、工場で大量生産されるワインにも別の素晴らしさがある。
品種はテンプラニーリョ。アルコール度数は12%と軽め。そしてこのワイン「ティナハ」という素焼きの甕(かめ)で熟成させてるみたいなんですよどうやら。箱ワインを甕熟成……? てっきり巨大ステンレスタンクで造られているのかと思いきや、使用容器、まさかの甕。そこにこだわるんだ。
そんな甕熟成の箱ワインをグラスに注いでみると、外観はやや濃いめのルビーレッド。カスティーリャ・ラ・マンチャのテンプラニーリョらしい、やや赤系果実のニュアンスのあるベリー系の香りに加え、皮や土、煙のような香りも漂ってくる。
飲んでみると果実がしっかりと液体の中心に存在し、その左右を渋みと酸味が補佐するタイプの飲みやすい系。お肉はもちろんだが、マグロの刺身やカツオのタタキといった赤身の魚にも合いそうだし、野菜のアヒージョなんかにも合いそうな万能感がある。
清く正しいテーブルワインの味わいに、甕熟成由来なのか、少しの複雑みが加わって、普通においしい。毎日飲んで飽きのこない味といってもいいだろう。しっかり濃いので、たとえば居酒屋のグラスワインでこれが出てきたら満足度は高いと思う。
バルデモンテと過ごした2週間を振り返って
以前、イタリアのとあるワイナリーを訪問した際、巨大な容器から地元住民の方が自宅で飲む分だけを持参したポリタンクに量り売りしてもらい、持ち帰る姿がとても印象的だった。
バルデモンテからグラスにワインを注ぎながら、私はなぜかその光景を思い出したのだった。ワインは特別なものではなく、日常の食卓を彩るもの。そう考えた場合に、ワインを注ぐ工数を削減し、いつでもおいしい赤ワインが飲める箱ワインという選択肢はとてもいい。そして、3000ml入りであることで心に余裕が生まれるのかなんなのか、むしろ飲みすぎることが減ったのは意外なメリットだった。
というわけで、バルデモンテと2週間ともに暮らした私からのレポートは以上だ。少なくとも箱ワインを一段低く見ていたのは間違いだったと、今は己の不明を恥じたい。箱ワインとの暮らし、みなさんも一度体験してみてはいかがだろうか。