ヒマだしワインのむ。

ヒマなのでワインを飲みます。ワインの知識はありません。

菊鹿シャルドネの味わい「まるでムルソー」は本当か? 飲んでみた!

熊本ワインの菊鹿シャルドネを買ってみた

以前、ふと思いついてこんなことをツイートしたことがある。

これ夏の甲子園シーズンとかに状況が許せばホントにやりたいのだが、このツイートには反響を多くいただき、それぞれの出身県ごとに「ウチの県ならこれ!」的なご意見が寄せられて大変興味深かった。

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熊本ワインの菊鹿シャルドネを飲みました。

そんななか、熊本ならこれ一択といった感じで名前が挙がったのが菊鹿シャルドネだ。「きくしかしゃるどね」って読んでたんだけどこのときに「きくかしゃるどね」と読むことを知った次第だが、日本のおいしいシャルドネとしてしばしば名前の挙がるこのワインの存在は知っていた。その菊鹿シャルドネが手に入ったので飲んでみたよというのが本稿の趣旨である。

 

熊本ワインの歴史と菊鹿町のワイン造りの発展と課題

菊鹿シャルドネを生産する熊本ワインの設立は1999年。本坊酒造南九州コカ・コーラボトリングの共同出資で設立されたんだそうで、知らなかったのだが、山梨県マルスワインも山形県の高畠ワイナリーも本坊酒造の系列なんだそうだ。マルスワインが成功したことで、高畠、そして熊本と設立していったそうな。へー。

さて、それから20年余を経てブランドとして成長した菊鹿シャルドネだが、熊本日日新聞の記事によれば、1999年当時菊鹿町でたった3軒からブドウ栽培がスタートしたんだそうだ。

(参考/ワインで地域づくり、熟成への道 山鹿市・菊鹿ワイナリー開業2年 | 熊本日日新聞社

2009年に「ジャパン・ワイン・チャレンジ」で「最優秀新世界白ワイン」を獲得したことなどで評判を上げていく。

一方、人気に応えるべく2013年に4.5ヘクタール、2015年に9.5ヘクタールと栽培面積を拡大しているものの、地元農家の高齢化や、ワイン用ブドウ栽培だけでは生計を立てるのが難しいといった問題に直面しているんだそうだ。人気に対し供給は追いついておらず、さりとてブドウの栽培面積は以上のような理由で簡単には増やせないどころか高齢化はこれからさらに進んでいく。

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そんななか、2018年には菊鹿ワイナリーが完成。今までは菊鹿でとれたブドウを30キロ離れた場所に運んで醸造していたが、より新鮮な状態で醸造することが可能になったのだそうだ。さらに、以前よりも小型のタンクを備えたことで、「品種や畑の個性を持ったワイン造りが可能に」なったという。

「日本ワインの品質がここ数年で急激に高まっている」みたいな文章をよく目にするけど、こういう設備投資が進んでいることがその背景にあることがわかって面白い。一方、ワイン用ブドウが生食用ブドウに比べて「儲からない」という問題は根が深いよなぁ。と、日本ワインの今後に思いを馳せつつその健全な発展を願いつつ、スポンと開けて飲んでみることにした。

 

菊鹿シャルドネを飲んでみた。

で、あとから気が付いたんだけど菊鹿シャルドネってノンヴィンテージなんすね。公式サイトの商品紹介ページには「ステンレスタンクのワインと樽熟成のワインをブレンドする」と書いてある。菊鹿シャルドネには「アンウッデッド」という商品もあり、こちらはヴィンテージ表記があるので、樽熟成けっこう長いことさせてるのかもしれない。

さて、飲んでみるとこれが評判通りにおいしい。ブルゴーニュシャルドネと言われれば「なるほど」と言うだろうし、カリフォルニアのシャルドネと言われても「なるほど」と私レベルの舌ならば言うであろう味だ。しかし、熊本のシャルドネと言われたならば「マジかよ!」となる。

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日本ワインの評価が総じて低いvivinoで3.8点と高得点。納得。

ほどよく樽の効いた普通においしいシャルドネなのだが、ステンレスタンクと樽熟成のワインをブレンドしているからなのか、まろやか一辺倒じゃなくてスッキリ感もある。後味にはほんのりあるかないかの和柑橘的な苦味があって、後付け感100%でいうとそこに日本らしさがあるような気がしなくもない。よくムルソーを引き合いに出されるようだが私はムルソーを飲んだことがないのでわからない。無念すぎる。

いやでもうまいわ菊鹿シャルドネ。実際に「ワイン甲子園」を開催する場合、おそらく参加条件として3000円以下とかそれくらいのレギュレーションを設ける必要があると思うのだが、仮にそのレギュレーションを採用した場合2913円のこのワインは優勝候補の一角になるのは間違いなさそう。熊本は野球も強いもんなあ。私の好きな赤い帽子の野球チームのレジェンド選手・前田智徳さんは熊本工業高校出身だし(なんの関係もない)。

おいしいと評判の菊鹿シャルドネ。一度飲む価値は十分にあると思います。あと、ムルソーはなにを飲めばいいんでしょうか。教えて詳しい方。

 

ボテガス・パラシオ「グロリオーソ セレクション エスペシャル」を飲んで、リオハとボルドーの歴史に思いを馳せる。【GLORIOSO SELECCION ESPECIAL】

ボテガス・パラシオ「グロリオーソ セレクション エスペシャル」を買ってみた

先日「やまや」で購入した1650円のクレマン・ド・ボルドーが妙においしかったので、二匹目のどじょうを狙って再びやまや探検へと向かった。そして棚をかきわけあれこれ物色した末に選んだのがボテガス・パラシオの「グロリオーソ セレクション エスペシャル DOCa リオハ」。これまた1650円なのに格付け上位のDOCaリオハですよヤダお安い……!

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しかもなんかこれなんかの100周年記念ワインみたいなことが書いてある。周年ワイン、大概おいしい説。こっそり調べたvivinoの点数3.9と激アツ。というわけで買った。

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レビュー数が十分に多く、かつ高得点なので期待大。

スペイン・リオハの歴史とボルドーからの影響

リオハのワインを飲むのはド初心者の頃にエノテカのセットワインを飲んで以来。というわけで調べると、リオハにおけるワイン造りは1850年代にお隣フランスからリシアーノ・ムリエタという人物がボルドーで学んだ醸造技術を持ち帰ったことで近代化がはじまり、その後1870年代にフィロキセラ禍に見舞われたフランスから醸造家たちがやってきてさらに発展したようだ。

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リオハの位置。フィロキセラ禍の折、ボルドー醸造家はピレネー山脈を越えてこの地を目指した(Té y kriptonita, CC BY-SA 3.0)

豊臣秀吉文禄・慶長の役朝鮮半島から連れてこられた陶工たちが唐津焼を編み出したとか、満洲からの引揚者たちによって今に連なる札幌ラーメンが生まれたとか、地理的に近い国同士の文化が混淆することが歴史上にはある。カバもシャンパーニュで修行した人がスペインに持ち帰った技術で生まれたっていうし。

マセレーションに大型樽を、熟成に225リットルのバリックを使用するボルドー方式を迎え撃ったのが、フェニキア人の時代からこの地で栽培されていたというブドウ、テンプラニーリョ。wikiによればその性質はカベルネ・ソーヴィニヨンピノ・ノワールなどに比べると「比較的控えめな性質」で、「樽の香りが容易にワインに移る」ことから、オーク樽での熟成との相性がいいというふうに説明されている。製法と材料のマリアージュ的なことが起きたわけですね。

様々な地理的歴史的必然と偶然が折り重なり、リオハはテンプラニーリョ×ボルドー製法という必殺技を編み出す。おいしいワインに歴史ありですなあ。

 

ボテガス・パラシオ「グロリオーソ セレクション エスペシャル」はどんなワインか

で、今回買ったワインの生産者、ボテガス・パラシオは1894年創業というから、ちょうどリオハワインが急速に発展した黄金時代に設立されたということになりそう。1917年に誕生したというブランド名の「グロリオーソ」は「栄光」という意味で、なんかこう往時のアッパーな感じを思わせる。そのブランド100周年を記念したボトルが、スペインを遠く離れたニッポンの片隅の歓楽街のど真ん中のやまやの店頭で私が手にした1本だったようだ。

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「グロリオーソ セレクション エスペシャル」を飲みました。

収穫は2014年。熟成区分はオーク樽熟成12カ月以上のクリアンサで、公式サイトによれば最低でも13カ月ミディアムローストのフレンチオーク樽で熟成後、最低でも6カ月に瓶熟後にリリースされるそうな。ではいよいよ飲んでみたいと思います。

 

ボテガス・パラシオ「グロリオーソ セレクション エスペシャル」を飲んでみた

グラスに注ぐとほんのりくすんだ紫色で、うーん、いい香り。ベリー系と、老夫婦が営む都心のエアスポットみたいな喫茶店に置いてある灰皿から漂うタバコの残り香みたいな香り。

飲んでみると、渋みと酸味が助さん・格さんのように護衛する隙間から水戸のご老公的存在感で果実味が顔を出し、その果実味の控えめ具合に先の副将軍的上品さがある。(若い方は『水戸黄門』で検索してください)。

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「なにかしら92点」みたいなシールが貼られていました。92点感あるよね。

端的にこれは非常においしくて、1650円でこの内容をボルドーワインの無限に近いラインナップから探すのはかなり難しいのでは、という気がする。安うま、ともまた違う、安本格、みたいな味。本格的な赤ワインが飲みたいなあ、カネないけど。みたいなタイミングでまた買いたい。

というわけで「やまや」ではここまで1000円台のワインを3本買って3打数3安打。やまやの探検を、引き続き進めていこうと思う。

 

シャトー・トロンコワ・ラランドを飲んでみたので産地やワインや生産者について調べてみた。【CHATEAU TRONQUOY-LALANDE】

シャトー・トロンコワ・ラランドとボルドーサンテステフ

春先に「セレスト」というショップの4380円のワインくじを購入したところ、「シャトー・トロンコワ・ラランド」というワインが当たった(ヴィンテージは2011)。

調べると7000円くらいするワインなのでラッキーだったのだが、こういった高いワインは開ける機会がなかなかつかめずセラーを圧迫しがちなので母の日を機にスポンと開けることにしてしまった。

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シャトー・トロンコワ・ラランドを飲みました。

さて、トロンコワ・ラランドはボルドーサンテステフのワイン。なのだが、ボルドーのワインのことが私はちょっとどうかと思うほどわからない。なんかあれですよね、二つの川が交わってひとつの川になって右岸と左岸がある。右岸がメルロー、左岸がカベルネ。あれ、逆だっけ? とかそれくらいのレベルだ。あれホントにどっちがどっちだっけ。

サンテステフはたしかメドック地区だったはず。メドック地区といえばメドック格付け。五大シャトーは大体メドック。悪そうなやつは大体ともだち。この程度の知識で歩むこの道、的な状態だ。お恥ずかしい。

調べると、メドック地区でもっともジロンド河の河口よりにある村名AOCなんですねサンテステフ。で、wikipediaを読むとカベルネ・ソーヴィニヨンが主体であるはずの左岸にありながら土壌が粘土質であるためメルローの比率が高く、「香りがおとなしく、酸味が強い」のが特徴だそうだ。

格付けシャトーは、
シャトー・コス・デストゥルネル(2級
シャトー・モンローズ(2級
シャトー・カロン・セギュール(3級
シャトー・ラフォン・ロシェ(4級
シャトー・コス・ラボリー(5級
とあり、今回飲んだシャトー・トロンコワ・ラランドはシャトー・モンローズのオーナーが所有している。

そのオーナーはオリヴィエ・ブイグという人物。フランス語版の個人wikiに記されたその肩書きを今から書くので驚いてください。「億万長者の実業家」ですよ。本当にそう書いてある。そんな肩書あるのかよ。ロワールの「クロ・ルジャール」も所有していて、2020年の推定財産は28億ユーロだそうです。これ億万長者ってレベルじゃなくないスか。全然イメージできないが参考までに前澤友作氏の資産が20億米ドルだそうですよワインの話だった。

 

シャトー・トロンコワ・ラランドとは

さて、シャトー・トロンコワ・ラランドはどんな生産者なのか。それは、公式サイトに貼られた見事というほかないYouTube動画をご覧いただければ一発でわかる。

www.youtube.com

以下、3点の写真はYouTubeの画面キャプチャだ。

ボルドーサンテステフにあって……、

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立地はシャトー・モンローズとシャトー・カロン・セギュールに挟まれた感じの好立地で……、

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メルローカベルネ・ソーヴィニヨンが半々、プティ・ベルドが少し栽培されている。

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うーん、わかりやすい。入ってるなー、資本。

前出のオリヴィエ・ブイグがこのシャトーを取得したのは2006年。しかるべく資本が投下され、2010年に設備の大幅な刷新がなされたようだ。私の手元にあるワインのヴィンテージは2011。大規模な熟成庫、垂直プレス機、温度調節機能付きの22基のステンレスタンクといった設備の恩恵を受けたワインということになるのかもしれない。楽しみ。

 

シャトー・トロンコワ・ラランドを飲んでみた

というわけで開けて飲んでみた。飲んでみたんですけどこれすっぱいですね普通に。10年の眠りから覚めてまだ全然目が開いてない寝ぼけまなこ状態っぽい。というわけでしばし待ち、その間に肉を焼くなどしたあとに料理とともに再度飲んでみると印象が一変していた。

真夏の夜8時頃の闇、みたいなぬるっとした質感に、ブルーベリーや土みたいな香り。少し色あせた透明度の高い赤紫色で、うーん、いかにもボルドーのいいやつって感じする。10年も経ってるんで熟成も多少なりともしてるんだろうけど、私はワインの液体のどこが熟成による影響なのかさっぱりわからないのでそのあたりはわからない。

データシートを見ると2011年はメルロー42%、カベルネ・ソーヴィニヨン47%、プティ・ヴェルド11%を使用。ヴィンテージチャートを見ると、あまりいい年ではなかったのか、ワインアドヴォケイトで88点、ワインスペクテーターで91点となっている。

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vivinoの点数は3.9点。なんだけど、2011VTは3.7点。うん、そんな感じ。

それでもとにかくちゃんとおいしいと感じられたのだった。絶賛! 激うま! とかではないけれども。ともかくこういう自分では買わないワインと出会えるのは、ワインくじの大きな魅力ですよね。

ドンナルーチェ。2000円台アロマ系白BEST級発見【DONNA LUCE】

イタリア・ラツィオの白ワイン「ドンナルーチェ」

なぜこのワインを買ったのかの経緯をまったく覚えていないのだが我が家に「ドンナルーチェ ポッジョ レ ヴォルピ」というワインがあったので飲むことにした。絶対過去にあったことがあるんだけど名前とかプロフィールがまったく思い出せない人と飲み会で同じテーブルになった、みたいな感じである。つまりもう飲むしかない。

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ポッジョ・レ・ヴォルピの「ドンナルーチェ」を飲みました。

一体なんで買ったのか、ボトルを眺めて思い出そうと手に持つと、なんだこりゃこのボトルめっちゃくちゃ重い! お値段は購入ショップのトスカニーで2552円と高くないのだが、なんですかこの重さは。グラスに注ぐことが軽めのワークアウトになりそうなほどの重量感。

ためしに自宅のキッチンスケールに乗せてみると出ました驚異の1939グラム。ちなみにドンペリの重さが1671グラムだ。

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めちゃ重い。

ドンナルーチェ、それはドンペリよりも重いワイン。ちなみにドンナは女性、ルーチェは光で、ラベルには女性の顔と太陽がデザインされている。1939グラム、それは情念の重さ。

 

ドンナルーチェはどんなワインか

さて、ポッジョ・レ・ヴォルピの公式サイトを訪ねると、おお、日本語対応してる。なんでも創始者がローマ郊外で約1世紀前にワインの量り売りをはじめ、今はその息子と孫が事業を受け継いでいるそうだ。

で、ドンナルーチェはIGPラツィオの白ワイン。使用ブドウはマルヴァジア・デル・ラツィオグレコシャルドネ。マルヴァジア・デル・ラツィオはワイナリーの本拠地周辺が名産のブドウなんだとか。ムスクやアプリコットの香りがあり、残糖が高いことから甘口ワインやスパークリングにも使われるみたい。え、てことはアロマティックな感じなんですかねこのワイン。

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グレコはジャンシス・ロビンソンが「ヴィオニエに似た香り」と評した品種なんだそうでこれまたアロマ系。モモや若葉の香りだそうだ。さらにシャルドネは遅摘み。

Vivinoでの評価も確認してみると、4.1点と非常に高い。なんかこう、ボトルの太陽のイメージから濃厚なシャルドネ的味わいを勝手にイメージしていたのだが、ピーチ、メロン、アプリコット、ライチ、パイナップル、レモン……みたいな感想が多いようだ。アロマ系だなこりゃ。2キロ近い激重ボトルからのアロマ系っていうギャップがいい。

 

ドンナルーチェを飲んでみた

というわけでドンペリ超えの重さなのでセルフお酌の体で両手で注いで飲んでみると、薄めの黄金色のキレイな液体から香ってくるのはこれピーチですね。そして飲んでみるとなるほどマスカット。別荘のテラスで日光浴中の貴族が飲んでる氷で冷やした湧き水に桃とマスカットを浮かべた贅沢なチェイサー、みたいな印象だ。

レシピは水、氷、桃、マスカット。トッピングにレモンスライスとミント。あとなんかその辺に自生してるベリー。その世界観をワインで表現したらきっとこんな味になる。夏、木漏れ日の下でキリリと冷やしたこれを飲んだらさぞかしうまかろうという味だ。さぞかしうまかろうなあマジで。以上の要素のなかで私が持っていないのは別荘だけなのでどなたか私をこの夏別荘に誘ってください。ワイン持っていきます。

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vivinoの評価は4.1と高い。 納得。

2000円台のオススメアロマティックな白ワイン、というカテゴリはここまで私のなかで空位だったけど、これはピッタリそこにハマるワインと言えそう。1000円台アロマ系ベストのヴィリエラジャスミン的な飲みやすさがありつつ、2000円台半ばならではの存在感を伴う重さ、みたいなものも備わっている。いいな。

結局この原稿を書き終えてなおなぜこのワインを手に取ったかを思い出せないのだが、ワインの世界の入り口に置いておきたい飲みやすさ抜群のワインで、とにかく買って正解だったのだった。にしてもなんで買ったんだろう本当に。

おいしいけど環境のことを考えると軽いボトルにしてくれたらもっといいな。

おいしい白ワインといえば南アフリカのウェホフがセットで安い。

1650円でシャンパーニュ的味わい!? 「ミッション・サン・ヴァンサン」がすごい【MISSION ST VINCENT】

1000円台のおいしい泡、意外とない問題

最近私は大変なことに気がついてしまった。以下のようなことだ。

1000円台のおいしい赤ワイン→無限にある
1000円台のおいしい白ワイン→無限にある
1000円台のおいしい泡→意外とない

これである。意外となくないすか1000円台のおいしいスパークリングワイン。これが100円台だとカクヤス500円泡シリーズとかイオンで売ってるサラビベとかの「別にそこまでおいしいわけじゃないけど1000円でお釣りくるからオッケー」軍団が控えているのだが1000円台だと味と価格がいまいちバランスしない。こういうときに頼りになるコノスル、モンテスとかのチリ軍団もどうもピリッとしないし。

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ミッション・サン・ヴァンサン クレマン・ド・ボルドーを飲みました。

結果、1000円札を1枚足して安シャンパーニュを買うことが多くなるのだがそれだとお金がかかって生活が困窮し、ごはんのおかずが塩だけ、みたいな事態にもなりかねない。困る。お肉が食べたい。

一方で、これからの季節にもっとも必要となるのもスパークリングワインだ。とりあえず泡。やむをえずシュワシュワ。これもまた絶対だ。しかして、泡の消費量が増える季節に対応すべく、私は「やまや」へと調査に向かった。酒類売店チェーン最大手のやまやならば、きっとおいしい1000円台泡が見つかるに違いない。

 

ミッション・サン・ヴァンサンとプロダクタ ヴィグノーブル

さて、そんなこんなで向かったやまやのスパークリングワインコーナーで「今月のオススメ第1位!」として「ミッション・サン・ヴァンサン」なるクレマン・ド・ボルドーが推されていた。300記事くらいをアップしてきたなかで、もしかしたらクレマンは初かもしれないってくらい私はクレマンを飲んできていない。いい機会だしっていうんで1650円という絶妙な価格のそれを自宅に連れ帰ることにした。

ミッション・サン・ヴァンサンを検索すると公式サイトが出る。ボルドーを流れるガロンヌ川とドルドーニュ川がつくる三角地帯をアントル・ドゥー・メール(ふたつの海の間)と呼ぶのだそうで、そこでつくられるワインみたいなのだがこれ生産者っつーかブランドですね。

じゃあ誰がつくってるんだと調べると、出てきたのがプロダクタ ヴィグノーブルという1949年設立の生産者組合で、50のアペラシオンにまたがって、2500の栽培農家、20000ヘクタールの土地を持つという巨大な組織であることがわかった。

さて、ワインについても調べると、セミヨン、メルローカベルネ・フランを使っているのだそうでめっちゃボルドー感ある。そして醸造は瓶内二次発酵であることはもちろん、それ以外も徹頭徹尾「シャンパノワーズ方式」なのだそうだ。残糖度は10g/l。

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ミッション・サン・ヴァンサンを飲んでみた

なんか良さそうじゃないすかとグラスに注いでみたのだが、まず泡立ちが非常に良い。色も輝くゴールド色で、香りは……あれこれシャンパーニュじゃないよね。シャンパーニュっぽいパンみたいな香ばしさがある。

で、飲んでみるとこれはもうジェネリックシャンパーニュの筆頭はこれでいいんじゃないかなという味だった。当たりだった。明らかに「シャンパンっぽいなにか」を目指してる味がして、失礼な言い方になるけど「2500円するカバ(いいやつ)です」って言われたら深く納得しそうなおいしさ。しかも売っているのがやまやというのがいい。

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輸入元はコルドンヴェール。やまやはイオングループ系列で、コルドンヴェールはやまやとイオンが共同出資した猪木と馬場のタッグみたいな強者連合的輸入商社。そこがオススメして、生産者は大規模協同組合。つまり安定的に供給される商品であろうことも素晴らしい。

1650円という価格も絶妙で、カバ以上シャンパーニュ未満っていう空白地帯を見事に埋めている。新宿と吉祥寺に挟まれた中野とも高円寺とも異なる阿佐谷的良さがある。

というわけで1000円台のおいしい泡、という課題がひとつ解消されたのだった。やまやにはまだお宝が眠っていそう……!

東京都練馬区産ブドウだけ作ったワイン! 東京ワイナリー「ねりまブラン」とブドウの葉の天ぷらを合わせてみた。

東京ワイナリーの「練馬ヴィンヤード」に行ってみた

「東京ワイナリー」が青空マルシェ的なイベントを開催するとFBで告知していたので行ってみた。最寄り駅は西武池袋線保谷(ほうや)駅。そこから歩いて10分ほどの場所に「練馬ヴィンヤード tetto(鉄塔)」と名付けられた畑がある。広さはこれどれくらいなのだろうか。ちょっと広めの児童公園とか、それくらいの規模。

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保谷駅徒歩10分の「練馬ヴィンヤード」

ちょっと様子見、くらいのつもりで行ってみたのだが、思いがけず「芽かき体験ツアー」なるものが開催されており、もちろん参加してみることとした。料金は1組500円。ガイドの方がひとりつき、ブドウ畑の説明をしてくれ、持ち帰り用の小さな保存用ビニール袋に入る程度の量の芽かきを体験させてもらえる。

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畑の様子。住宅街の真ん中に急にブドウ畑が! という感じ。

時間にして10分程度だが、やさしいガイドの方にいろいろ教えてもらうことができたので、記憶を頼りに以下に再録してみたい。なおガイドの方の発言を私はメモしていないため、間違いがあればそれは私の聞き間違い・書き間違い、あるいは勘違いだ。

 

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練馬ヴィンヤードのブドウたち

ヒマ:この畑のブドウは、植えられてどれくらい経つのですか?

ガイドの方:3年ですね。

ヒマ:まだ若い樹なんですね。それにしても住宅地のど真ん中にあって、驚きました。

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ここから必要な芽だけ残し、不要なものを取っていく……のだがどれが不要かはサッパリわからない。指示の通りに取りました。

ガイドの方:ですよね(笑)。ここのほかに、練馬の6つの畑でブドウを栽培しています。

ヒマ:そんなにあるんですね! どんな品種が植えられているのでしょうか?

ガイドの方:ここでは、シャルドネ、アルバリーニョ、リースリングメルロー、シラー。それに、小公子とベリーアリカントAです。

ヒマ:なるほど。ブドウの垣根の間には、雑草も茂っているんですね。

ガイドの方:はい。農薬は使わずボルドー液(硫酸銅消石灰の混合溶液)を少量使うだけで育てているんですよ。

ヒマ:いやあ、こうしてブドウ畑を訪ねると、ここのブドウで造られたワインが飲みたくなりますね!

ガイドの方:今年初ヴィンテージを迎える予定なんですよ!

ヒマ:絶対に飲みます(決め顔で)。

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見てくださいよこのブドウの赤ちゃんを。かわいすぎ。

東京ワイナリーと「ねりまワインプロジェクト」

うーんなるほど。西武池袋線保谷駅は池袋から各駅停車で20分の場所。都心からそう離れていない場所でワイン用ブドウが栽培され、それが今年ワインになる。その事実だけでなぜか感動してしまう。

北海道や青森、そして東京の高尾などからのブドウでワインを造っている東京ワイナリーだが、練馬区と官民協働の「ねりまワインプロジェクト」では、練馬にある6つの畑で採れたブドウを使って「ねりまワイン」を造っている。この日訪ねた練馬ヴィンヤードはその6つのうちのひとつだ。

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練馬ヴィンヤードでは、7種類のブドウが栽培されているそうな

実際に体験した“芽かき”は、ガイドの方から「この芽を取ってください」と指示を受け「わかりました」と取っただけなので語れることはなにもないのだが、この畑の規模でもすべてのブドウ樹でそれを行うのは一仕事だし、ましてや丘一面のブドウ畑、みたいなよく見る風景の中でそれを行うと思うと気が遠くなるほど大変であることがわかった。百聞は一見に如かず。ワインを飲むありがたみがワンナップである。

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「ねりまブラン」は練馬産ブドウ100%のワイン。

マルシェでは、練馬産ブドウを100%使ったいわばアペラシオン練馬コントローレの白ワイン「ねりまブラン」が売られていたので迷わず購入。

帰宅後、東京ワイナリーのサイトに貼られている「ねりまワインプロジェクト」の畑の地図を見ると、ゲヴュルツトラミネールを造っているのは「トマト・ヴィンヤード」という畑のようだ。トマトも栽培する農家さんとかなのだろうか。わからないけど、なんかいいな。

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ぶどうの葉の天ぷらと「ねりまブラン」

さて、収穫した芽と葉は翌日自宅で天ぷらにしてみたが、これが非常に美味しかった。食感はサク! 系でシソの天ぷらとかと同じ感じ。苦味や香りの少ない味わいで、特徴的なのは酸味。葉っぱのくせに酸っぱいってアンタ。でもってこの酸味は言うまでもなく白ワインの酸味とあたかもE.T.と少年の指先が触れ合うかのごとくにピンポイントで合う。「ねりまブラン」と「ねりまシャルドネの天ぷら」の相性すごい。

「ねりまブラン」自体も大変おいしいワインで、無濾過ならではで少し濁っていながら味わいはすっきりで、ほんの少しの雑味みたいなのがうまみに転化して食事のおともにバッチリ。アルコール度数が11度と低いこともあり、720mlをスルリと飲めてしまった。

購入価格は3000円。3000円出せばそりゃまあ世界中においしいワインはいくらでもあろうけれども、東京で造られたワインを飲む楽しさはわりとプライスレスだとも思うところ。個人的には、ブドウの葉の天ぷらをつまみにこのワインを飲んだとき、なんだか唐突に「ワインを好きになって良かったなあ」としみじみ思ったりした。

ねりまヴィンヤードで育ったブドウたちは、今年ファーストヴィンテージを迎えるとのこと。チャンスがあればボランティア的にも関わりたいもんだ、と思ったのだった。

 

「練馬」ではないけど東京産ブドウだけで造られたワイン。飲んでみたい↓

余市産ツヴァイゲルトレーベで造られたワイン。おいしい↓

 

ドメーヌ タカヒコも使う「三氣の辺」のブドウを使うさっぽろ藤野ワイナリー「MIKINOHOTORI ルージュ 2019」がすごかった。

ドメーヌ・タカヒコ「ヨイチノボリ パストゥグラン アイハラ」と「三氣の辺」

小学生のころ近所の夏祭りでくじ引きがあり、私は1本しかない特賞を当てた。賞品はファミコンかな、ビデオカメラかな、まさかハワイ旅行……!? とドキドキしたがすべて不正解。賞品は酒(一升)であった。子どもも多数参加するくじの特賞が一升瓶ってアンタ。

私は人生のくじ運をその不本意すぎる大当たりで空費、以来人生を通じてくじ運が悪い。というわけで先日新宿伊勢丹の「世界を旅するワイン展」でドメーヌ・タカヒコのワインの抽選販売があり、応募したものの見事に外れたのも想定の範囲内であった。

ただ、いくらくじ運が悪くても残念は残念なのでその悲しみを癒すべくドメーヌ・タカヒコのサイトを見ていると、「ヨイチノボリ パストゥグラン アイハラ」の商品説明文として、以下のような文言が記されている。

パストゥグランは、登地区の粟飯原ヴィンヤード(三氣の辺)のブドウが使用されており、ラベルには「AIHARA」の文字が入る

この「三氣の辺」という文言が気になって、Googleの検索窓に放り込むと、「余市の果樹園 三氣の辺へようこそ\(^o^)/」という文言が躍るキャッチーなページがヒットした。三氣の辺は「みきのほとり」と読むのだそうで「除草剤は使用しないこと。有機肥料有機農薬を中心に化学農薬を少しでも省く努力をすること。」を“こだわり???”として挙げている。

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三氣の辺(みきのほとり)と北海道余市町とさっぽろ藤野ワイナリー

三氣の辺の所在地は北海道余市町登町。私は北海道余市町が推し自治体であり、登地区は縁もゆかりもないけどたぶん日本でもっとも気になっているエリアで、すごく魅力的な土地だと感じている(推しですから)。そのエリアに在し、曽我貴彦氏が「尊敬するヴィニョロン」と記す三氣の辺のブドウ、サイトには取引先として以下の生産者の名前が挙げられていた。

さっぽろ藤野ワイナリー
ドメーヌ・タカヒコ
東京ワイナリー
農楽蔵

不勉強なことに農楽蔵という函館市の生産者を私は存じ上げなかった。だが、東京ワイナリーの「北海道余市産 ツヴァイゲルトレーベ」というワインは以前飲んだことがあってとてもおいしかった記憶があり、もしかしたらこれは「三氣の辺」のワインだったのかもしれないと思うと本当に楽しい気持ちになる。

そして、さっぽろ藤野ワイナリーには「MIKINOHOTORI 三気の辺 ルージュ 2019」というワインがあることがわかり、かつそれがネットで買えることもわかった。

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MIKINOHOTORI 三気の辺 ルージュ 2019を飲みました。

さっぽろ藤野ワイナリーといえば、これまた余市町の生産者、ドメーヌ・ユイの「T6+254ペティアン ロゼ」を飲んでそのワインについて調べた際に名前が挙がっていたワイナリー。ドメーヌ・ユイ=さっぽろ藤野ワイナリー=三氣の辺と点と点がつながって線になる松本清張的快感もあいまってこんなもん買う一択である。というわけで買った。価格は3740円と飲み物としては高いけど知的好奇心を満たすための必要経費と考えれば安い。これが世に言う「推しに課金」っていう感覚……?

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さっぽろ藤野ワイナリー「MIKINOHOTOR ルージュ 2019」はどんなワインか

さて、では「MIKINOHOTORI ルージュ 2019」はどんなワインなのだろうか。ショップのページで見つけたワイナリーコメントによると、ピノ・ノワール56.9%、ツヴァイゲルトレーベ43.1%を使用。野生酵母を使用し、3割は全房で発酵、1年間の樽熟成後、7.5ppmのSO2を添加して瓶詰めしたとある。

生産者が異なるので比較するのもアレだが同じ三氣の辺のピノ・ノワールとツヴァイゲルトラーベを50%ずつ使っているドメーヌ・タカヒコのヨイチノボリ2019と構成としては非常に似ている。面白いなあ。

というわけですでに調査段階で知的好奇心を満たすことができ、3740円の元はとれた。ワイン本体は実質0円という状態で、気楽にいざ抜栓である。

ちなみに、コルクをカバーしているのは蝋キャップ。私は蝋キャップを大の苦手としているが、とあるワインブログの偉大なる先達のお一人に「蝋ごとスクリューを刺し、そのまま抜けば良い」とご教示いただき、その説に従ったところ本当に驚くべきことにめっちゃくちゃ簡単に抜栓することができた。これすごい。蝋キャップを苦手としているみなさん、蝋ごといっちゃってください。

 

「MIKINOHOTOR ルージュ 2019」を飲んでみた

そんなこんなで抜栓してグラスに注いでみると、無清澄を思わせるやや濁った紫色。ボトルの底には無濾過を思わせるオリが漂っている。そして、結論を先に書くとこれはやべーやつ。メッタメタうまい。アセロラのようなハチミツ梅のような果実感を内包した酸味が素晴らしすぎる。これは2021上半期ナチュラル大賞を受賞するかもしれない(たいして飲んでないけど)。

飲み始めたら止まらず一気に飲み干してしまいそうになるところをグッとこらえて翌日また飲んでみたけど翌日も素晴らしい。森の奥のペンションのシェフのスペシャリテのブドウを使ったスープですって言われたら納得しそうな旨味・滋味がある。おいしい。

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年間生産本数は1727本。そのうちの1本を飲めて良かった。

ツヴァイゲルトレーベって私は全然飲んだことがない(上述の東京ワイナリーのワインくらい)のだがさすが北海道を代表する品種のひとつってだけあってすごく無理のない味わいに仕上がっている印象を受ける。なんかこう、上手く言えないんですけど無理にワインにしてないようないやわかんないな。わかんないけどおいしいです。

「三氣の辺」の「三氣」とは、土地の元氣・人の氣持ち・天氣、のみっつなんだそうだ。元気な土地で天気に恵まれて大事に育てられたブドウでつくったワインなんだろうなあ、と想像しながら飲むのは格別だ。

余市のワイン、引き続き飲んでいきたいと思います。あと私の「推し」の使い方は合っているのだろうか。私の時代は似たような心の働きをマイブームと呼んだ。その気持ちよりは強い気持ちだと思うのだが。

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