ヒマだしワインのむ。|ワインブログ

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バリスタ シャルドネ。南ア「コーヒーピノタージュの父」がつくる白ワインの味わいは? 【Barista Chardonnay】

バリスタ シャルドネはどんなワイン?

南アフリカシャルドネバリスタシャルドネを飲んだ。これあれですよね。ピノタージュが有名な生産者。コーヒーとかチョコレートの味がするっていうやつ。

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バリスタ シャルドネを飲みました。

ワインの名前に「バリスタ」という名前をつける生産者、一体どんな人なのかとバリスタワインズの公式サイトを調べると、トップページに動画が一枚貼ってあり、あとは連絡先が書いてあるだけの簡素極まるもの。

なにもわからないので一歩下がって輸入元の株式会社スマイル(コノスル輸入してるとこ)のサイトを見ると、生産者名にベルタス・フォーリーという名前がある。なのでこの人物について調べてみると。

 

バリスタ シャルドネのワインメーカー、ベルタス・フォーリーはどんな人物?

ベルタス・フォーリー氏は「南アフリカで最大の規模を誇るワイナリーのKWV社でシニアワインメーカーとして働いた経験を持」つ人物でバリスタシリーズは、南アの卸売業者であるVinmark社と共同開発し、「コーヒーピノタージュの父」と呼ばれているのだそうだ。

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スキンヘッドに髭面、往年の名作漫画『CITY HUNTER』の名脇役・海坊主こと伊集院隼人的外観を持つこの人物はいかなる人物かと名前で検索するとFacebookのページが出てきた。すると2011年にご結婚されたんだね……みたいなことがわかって非常に妙な気分だ。やましいことはしていないはずなのだがなんですかねこの他人の私生活を覗き見している感覚。FacebookというかSNSの本質は他人の生活を覗き見する点にあるのでしょうかワインの話だった。

ともあれFacebookのプロフィールからは面白いこともわかって、それは彼の職歴だ。それによれば(ただ更新されていないだけかもしれないが)2009年から現在に至るまで、フレックスキューブインターナショナルなる会社でセールスマネジャーを務めているとある。そして、このフレックスキューブというシステムが非常に興味深いのだ。

 

ベルタス・フォーリーとフレックスキューブ社とバリスタシャルドネについて

フレックスキューブとは、いわばオーク樽に変わる熟成のシステム。21世紀の今も、ワインメーカーは樽でワインをつくっていますが、ワインは資源として貴重だし、費用も高くつきますよね、そこでフレックスキューブの登場ですよお客様、といった具合だ。

その正体は、オーク樽の酸素透過性を模倣したというポリマー性の容器と、その中に入れるこれなんていうんですかね。オークチップでいいのかな。その名も「Oak BarriQ」という商品の組み合わせ。Oak BarriQをポリマー容器の中に入れることによって、まるで樽で熟成させたような風味、タンニン、アロマ、複雑さをワインに与えることができるのだそうだ。

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たとえば、1000リットルのフレックスキューブにBarriQパックを入れた場合、それは60%の新樽使用とイコールになるのだそうだ。そしてそりゃまあ費用はこちらのほうが安いでしょうどこをどう考えても。安うまワインが生まれる秘密の一端を見た感じがして面白いなーこういうの。夢はないが合理性はある。悲しいけどこれって資本主義社会なのよね状態である。

そしてベルタス・フォーリー氏がこのフレックスキューブを取り扱う会社のセールスマネジャーである(だった?)ことと、彼が「コーヒーピノタージュの父」と呼ばれることは無関係ではないような気がする。バリスタ ピノタージュはフレンチオークの新樽で発酵させていると輸入元のサイトにあるが、オークに対する知見がワイン造りに存分に生かされているに違いない。

ではその知識と技術をシャルドネに援用したら? それを検証するために、いざ飲んでみよう。輸入元商品ページによると、「バリスタ シャルドネ」はシャルドネを100%使用。フレンチオークとアメリカンオークで発酵させ、6カ月間澱とともにワインを熟成させているそうだ。

 

バリスタ シャルドネを飲んでみた

そんなこんなの調査を経て飲んでみたわけなんですが……これめっちゃくちゃおいしいです。1000円台シャルドネのBEST5に確実に入るおいしさ。南アでいうと「リントンパーク 76シャルドネ」以来の衝撃。なんだこりゃマジでやるなベルタスさん。

ものすごくキレイないわゆるひとつの「樽ドネ」だ。透明な果実の風味にバニラの香り。そこにリンゴとかパイナップルとか鉛筆の芯のような感じが入るPPAP状態であるたとえが古くて申し訳ないけど。蜜っぽくもあるし、ほんのわずかに茶葉のような苦味あって1000円台半ばとは思えない複雑さもある。

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vivinoの評価も非常に高い。誰が飲んでもおいしいですよこんなもんは。

というわけでピノタージュのほうも絶対飲まなきゃならんとなったのだった。調査も楽しかったし、これは買って良かった。私は特段「南アびいき」ということはないのだが、1000円台ベスト級のワインは本当に南アに多い。やっぱりすごいな、南アフリカワイン。